葬儀の必需品だと思われている「数珠」実はいらない場合も!数珠の種類と考え方

【葬儀 数珠】アイキャッチ画像

「葬儀の持ち物といえば、数珠」と考える人もいるのではないでしょうか。
しかしながら、実は数珠が必要のない葬儀もあります。また、数珠自体にも数多くの種類があります。

ここでは、「数珠が持つ意味」「数珠の種類」「数珠の特徴」「数珠がいらないのはどんなとき?」などについて解説していきます。

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この記事の目次

  1. 数珠が持つ意味
  2. 仏教の宗派によって数珠が異なる
  3. 各宗派の数珠の特徴と持ち方
  4. 仏教以外の葬儀では数珠は必要ない~選び方について
  5. 自分の宗派にあわせた数珠を持てばいい~数珠の実際
  6. 葬儀で数珠を使う場面と使い方
  7. 葬儀で数珠をもっていくときの注意点
  8. 通夜・告別式などに参列するときの持ち物
  9. この記事のまとめ
  10. 監修者コメント

数珠が持つ意味

「数珠」とは、紐に玉を連ねた仏具です。私たちにとってもっとも身近な仏具であり、「念珠(ねんず・ねんじゅ)」とも呼ばれています。

数珠にはたくさんの種類がありますが、もともとの数珠は108個の玉が連ねられているものでした。「除夜の鐘は108回つく」ということからも分かるように、「108」という数字は仏教において特別な意味を持つ数字です。

108は、人間の煩悩の数だとされています。除夜の鐘はこの煩悩を払い、数珠は1つの煩悩を1つの玉に対応していると考えられています。また、仏具のひとつであるため、これを持って拝むことで仏の世界と心を通じ合わせることができると考えられています。

数珠の歴史は非常に古く、その歴史はなんと3500年以上前にまでさかのぼることができるとされています。これは、お釈迦さまが誕生されるよりもずっと前の話です。その頃は、毘沙門天や梵天が連珠というかたちでこれを持っていたといわれています。

仏教で念珠が持たれるようになったのは、お釈迦さまがルハリ国(インドにあったとされる国)の国王に、「108個の玉からなるものを身に着けて、仏様の名前を繰り返せば国は平らかになる」と伝えたのが理由だとされています。

ちなみに、日本に伝わったのは552年ごろのころだとされていますが、それが市民の間で広まってきたのは1688年以降のことだとされています。それまで念珠は、限られた人・限られた層だけの、特別なものでした。

もっとも、現在はこのような厳格な考え方をすることは少なくなっています。
玉の数も108個のものばかりではなく、半分の54個、あるいはさらにその半分の27個のものも販売されています。加えて、「お守り」「厄除け」としての意味を強く持つようになったため、おしゃれでファッショナブルな数珠もたくさん売られるようになりました。また、ブレスレット型の数珠も登場しています。

かつて、特別な人しか持つことのできなかった仏具である数珠も、現在は100円ショップなどで買うこともできるようになっています。

数珠の各場所の名前

数珠には、「本式数珠」と「略式数珠」があります。

本式数珠は、「主玉」「四天玉」「親玉」「浄明玉」「弟子玉」「露玉」「」で成り立っています。
なお、ここでは「玉」という漢字を使っていますが、すべて「球」と表記する場合もあります(例:主玉=主球)

主玉

煩悩の数を表す108個の玉です。数珠を構成する玉のなかで、もっとも数が多いのがこの「主玉」です。

四天玉

主玉の間に存在する玉であり本式数珠には4つあります。四天王を意味する玉です。

親玉

阿弥陀如来や釈迦如来を表す非常に重要な玉です。なお、この「親玉」を基準に、この下に浄明玉や弟子玉、そして露玉や房がつくことになります。

浄明玉

親玉のすぐ下に着けられている玉をいいます。仏様の後継者を表す玉とされています。

弟子玉

浄明玉の下についている玉を言います。20個が基本ですが、宗派によっては40個つけられることがあります。仏様の10人の弟子と10の修行を表したり、10人の弟子と10の菩薩を表したりするといわれています。

露玉

雫のようなかたちをした玉をいいます。これは弟子玉の一番下に着けられています。

露玉から伸びる房です。
また、これらをつないでいるヒモは、「観音菩薩」を意味するとされています。


略式数珠の場合、もう少し作りが簡単です。
たとえば、主玉の数はもっと少なく、54個や27個などとなっています。また、36個や18個の場合もあります。
四天玉の数も少なく2つだけで、親玉も1つだけです。親玉にはボサ(「ボサ玉」とも)が点けられていて、そこから2つの房が伸びています。

なお、房にもたくさんの種類があり、かたちも実に多種多様です。長く伸びているものもあれば、ぼんぼんのような丸いかたちになっているものもありますし、ヒモ房型になっているものもあります。

数珠は宗教によって異なりますが、房のかたちには宗派による違いはないとされているので、好きなものを選ぶとよいでしょう。

仏教の宗派によって数珠が異なる

数珠は仏教において非常に重要な意味を持つものですが、実は同じ「在来仏教」に分類されるものであっても、その種類やかたちは大きく異なります。
ここでは、特によく取り上げられる宗派の数珠について紹介していきます。

真言宗の場合

表と裏に、2本ずつ房がついているため合計4本の房で構成されることになります。なお、上で挙げた「本式数珠」は、主にこの真言宗のものを取り上げています。

浄土宗の場合

独立した2つの輪を繋げたかたちの数珠が使われています。また、金物の輪が用いられ、そこから房が伸びています。非常に特徴的なのは、その玉の数です。1つの輪は20個、もう1つは20個もしくは40個で構成されています。

浄土真宗の場合

浄土真宗は、在来仏教のなかでもとても特徴的な宗派です。浄土真宗ではなくなった方はすぐに極楽に行くという考えを持っているため、枕飾りをする際にもお供え物(一膳飯や団子など)を供えることはしません。
この考え方は数珠にも反映されています。「煩悩を消すために数珠を使う」とは考えないため、数を数えることのできない「蓮如結び」といわれる結び方で構成されています。

天台宗の場合

ほかの宗派の場合は丸い玉が使われることが多いのですが、天台宗の場合は平玉を利用することもあります。

日蓮宗の場合

日蓮宗は、5つの房が付いています。そのうち1本には弟子玉が10個配置されています。この「5本の房」は日蓮宗ならではの特徴であり、さまざまないわれがあります。


これ以外にも、「臨済宗」「曹洞宗」があります。この2つは「禅宗」に分類され、坐禅を特に重んじる宗派です。
同じ「禅宗」に分類される臨済宗と曹洞宗では、数珠のかたちも似ています。ただ、曹洞宗の方には、金属製の輪が1つ通されています。

このような特徴があるものの、禅宗においては、「悟りとは自分の力で得るものである」という考えが中心であるため、念仏よりも坐禅を中心とします。そのため、数珠についても、ほかの在来仏教ほど厳格な定めがあるわけではありません。

数珠はその人の信仰する宗派のものを持てばよいとされていますが、臨済宗と曹洞宗の場合はこのような考え方が中心であるため、敬虔な信者であっても、本式の数珠を持っていないことも決して珍しくはありません。

各宗派の数珠の特徴と持ち方

宗派によって数珠のかたちは異なりますが、持ち方もまた異なります。

真言宗の場合

真言宗の数珠と持ち方解説

両手の中指に数珠をくぐらせます。手を開いたときに、両手の中指で数珠の橋を架けるようなかたちです。そしてそのまま手を合わせます。なお、このとき、房は手の甲側に出ます(自分のために念仏などを唱える場合は、房は手のひら側に来ます)

浄土宗の場合

浄土宗の数珠と持ち方解説

房が付いていない方を、人差し指と親指の間に掛けます。房がある方の数珠は、人差し指と中指の間に挟みこみます。そのまま握りこみ、念仏を唱える際に、親指で体側に向かって数珠を繰っていきます。なお、合掌をする際は、両手の親指に掛け、手首に直接数珠をかけることはしません。

浄土真宗の場合

浄土真宗(お西さん)の数珠の持ち方と解説

浄土真宗大谷派の数珠と持ち方解説

浄土真宗の場合は、それほど複雑ではありません。親指に数珠をかけて、そのままたらします。しかし、浄土真宗本願寺派と浄土真宗大谷派の2つで少し異なりますので注意です。

天台宗の場合

天台宗の数珠と持ち方解説

天台宗では、人差し指と中指の間に数珠をかけます。そのまま手の甲を通し、小指のあたりまで持っていきます。人差し指と中指の間、そして小指~手の甲で橋を作るようなかたちです。合掌をするときは、そのまま手を合わせます。

日蓮宗の場合

日蓮宗の数珠と持ち方解説

日蓮宗の場合は、少し複雑です。両手の中指に数珠をかけるのですが、そのまままっすぐに橋を渡すようにかけることはせず、∞の文字を描くようにして持ちます。房が手の甲に来るようにして手を合わせます。合掌するときは二重にして左手の親指にかけ、両手を合わせます。

曹洞宗・臨済宗の場合

臨済宗の数珠と持ち方解説

二重にして左手の親指と人差し指の間にかけます。禅宗ということで、こちらの2つの宗派は同じです。

仏教以外の葬儀では数珠は必要ない~選び方について

数珠を選ぶ際のポイントは、まずは「宗派」です。

宗派にとらわれすぎる必要はありませんが、新たに買い求めるのならば、自分の宗派に合わせたものを選ぶとよいでしょう。

数珠の素材

素材に関しては、非常に多岐に渡っています。
たとえば、「木」で天然の木を使った数珠もたくさん販売されています。紫檀(したん)や柘植(つげ)、屋久杉(やくすぎ)といったよく耳にする木で作られたものが販売されています。なかには、香りがあるものや彫刻が施されているものなどがあります。

きれいな見た目で人気を博しているのが、「石」を使ったものです。天然石などを利用したもので、現在ではローズクォーツやタイガーアイなどを使ったものもよく出ています。
数珠ではありますが、日ごろから持ち歩きたいという人にも向いています。

安価なプラスチック製の物も出ています。「プラスチック」ということから重厚さに欠けると思う人もいるかもしれませんが、そもそも数珠は重厚さを競うものではありません。

なお、数珠にはさまざまな色・素材があります。宗派によって選ぶべき数珠の色・素材に違いがあると思う人もいるかもしれませんが、実はこれについては何の決まりもありません。
自分が「これにしたい」「この色が気に入った」というものを選べばよいのです。

数珠の値段

数珠の値段についてですが、これはまさに「ピンからキリまで」あります。100円で買うことができるものもあれば、200万円を超えるものもあります。

「このお数珠を一生使っていきたい」と考えるのであれば、ある程度値段の張るものを選ぶのがよいでしょう。

逆に、「結婚したらまた数珠を買い替える」「そもそもそれほど熱心な信者ではない」ということであれば、1,000円を切るものを使っても問題はありません。

大切なのは、「数珠にどのような思いを込めるか」です。

キリスト教や神式の葬儀のときには数珠は必要ない

数珠は仏教独特のものです。キリスト教や神式の葬儀には必要ありません。
「自分が仏教徒であり、相手がキリスト教もしくは神式の葬儀である」という場合は、数珠は持っていきません。

相手の宗教がわからない場合はとりあえず持参し、現地で確認するようにします。仏教以外の葬儀であるならば、そのまま鞄の中などに片付けておけばよいのです。

なお、数珠と対して語られるものに「ロザリオ」があります。
ロザリオは、カトリックの葬儀の場合に利用されるものです。自分自身がカトリックでありロザリオを持っているのであれば持参していけばよいのですが、「数珠しか手元にない」ということであれば何も持って行かなくて構いません。わざわざ買う必要もないでしょう。

自分の宗派にあわせた数珠を持てばいい~数珠の実際

同じ「仏教の葬儀」においても、宗派ごとにお数珠の形やかけ方は異なります。
このため、「これをきちんと守らなければ、失礼にあたるのではないか」「ほかの宗派の人の葬儀に出席するときは、その人の宗派の数珠を持たなければならないのではないか」と考える人もいるでしょう。

しかしながら、参列する葬儀の宗派にあわせるかどうかまでは基本的に気にしなくてもよいと考えられています。
もちろん、「自分はお寺の出身。僧侶職には就いていないが、参列する葬儀も同じ宗派の僧侶のものである」などのようなケースの場合は気にしなければならないでしょう。

しかし、厳密に考えすぎる必要はありません。
実際、現在では「どの宗派でも使える」という数珠も売り出されていますし、略式数珠もよく販売されています。このようなものを使っても、失礼にはあたらないと考えるのが普通です。

また、「自分の宗派は浄土宗だが、相手の宗派は臨済宗だから臨済宗用の数珠を買わなければならないのではないか」と考える人もいるかもしれません。

しかしこれも、気にしなくて構いません。自分の持っている数珠を持参して良いのです。ただ、「それでも良いとはされているが、どうしても自分が気になる」という場合は、どの宗派でも使える略式タイプの数珠を利用するとよいでしょう。

数珠の貸し借りはしてもよいのかどうか

「数珠を人と貸し借りをしてよいのかどうか」の話もしばしば話題にのぼります。
これは専門家同士の間でも、かなり意見の分かれるところです。「数珠にはその人の思いが宿るから、貸し借りはよくない」とする意見がある一方、「だめだとする合理的な理由があるわけではない」とする意見もあります。

もちろん個人で所有してきちんと持っていくことが一番望ましいのですが、「数珠を貸し借りしたら、その時点で絶対に成仏できない」と考えるのもまた極論だといえるでしょう。

どう解釈するかは結局本人の気持ちひとつですが、「数珠を忘れてしまったことで、それが気になって心を込めてお参りすることができない」などのようになってしまっては本末転倒です。

その場合は、葬儀会社のスタッフにまずは相談をしてください。
貸してくれたり、販売してくれたりします。なお、葬儀会社では、「売店」というかたちでコーナーを設けていないケースもあります。

その場合でも、スタッフに声をかければ販売をしてくれることが多いと思われます。正確な数字を出すことは難しいですしあくまで一例にすぎませんが、葬儀会社で販売している「その場で使える」数珠はだいたい3,000円前後の物が多かったように記憶しています。ただこれはあくまで一例ですから、葬儀会社ごとのよって違いがみられます。

「普段は使わないし、3,000円はちょっと高い」と感じる人は、100円ショップなどでも買うことができます。なにかと便利なコンビニエンスストアでも売られている可能性はありますが、その可能性はかなり低いでしょう。コンビニに頼るよりは、葬儀会社のスタッフに頼んだ方が確実です。

「人との貸し借り」については賛否が分かれる数珠ですが、人に贈る分には問題がないとされています。
むしろ、結婚や就職などのタイミングで贈るとよいものとされており、人生の転機に渡すものとして相応しい選択肢とされています。また、「亡くなった母から受け継いだ数珠」なども、ずっと使っていけます。

数珠は、たしかに非常に大切なものです。
しかし、「こうでなければならない」「こうでなければマナー違反だ」とがちがちに考えてしまうことは、素直な気持ちでお参りをすることを時に妨げてしまいます。
100円ショップで買った数珠は10,000円の数珠の10分の1しか心を込められない、というものでもありません。

葬儀で数珠を使う場面と使い方

数珠は、主に焼香の場面で使います。また、僧侶が読経をしている間ずっとお数珠を手にお祈りを捧げる人もいます。

焼香のときに用いる場合も、数珠は葬儀中ずっと手に持っていた方がよいでしょう。自分の番になってから鞄から出すのではばたついてしまいます、鞄の開閉音が響いてしまうこともあります。
焼香のときは、まずは家族と僧侶、そして祭壇に向かって一礼をし、焼香をしてから両手を合わせて合掌をします。流派によってお数珠の持ち方には違いがありますが、気にしすぎる必要はありません。

なお、焼香にも宗派による違いがあります。たとえば、真言宗は3回、曹洞宗は2回行いますが1回目はお香を押しいただき2回目は押しいただかないなどです。

「数珠は自分の宗派のものを持って行って構わない。手を合わせるときもそうだし、そもそもそれほど厳格には定められていない。では、焼香はどうなのだろう?」と考える人もいるかもしれません。

これは「自分の宗派のやり方に従う」という場合と「相手の宗派に従う」という考え方の2つが存在します。どちらが正しい・どちらが正しくないとはいえないものではありますが、「絶対に自分の信仰する宗派のやり方で行いたい」といった強い信念がない限りは、相手の信仰する宗派のやり方に従う方がよいでしょう。特に、自分の宗派の焼香のやり方もよく分かっていない場合はなおさらです。

焼香は、喪主→ご家族→ご親族→一般弔問客 の順番で行われるのが基本です。そのため、焼香のやり方が分からない場合は、喪主やご家族、ご親族のやり方に倣うようにするとよいでしょう。

なお、喪家の立場に立った場合で自分の宗派の焼香のやり方が分からない場合は、葬儀会社のスタッフに確認してください。特に聞かなくても、葬儀会社のスタッフの方から簡単な説明が行われるケースもあります。

葬儀で数珠をもっていくときの注意点

現在は、ブレスレット型の数珠も出ています。
これは一見すると「略式数珠」と同じようなものに見えますが、ファッションアイテムのひとつとして身に着けるものです。パワーストーンなどで作られたものが多く、非常にファッショナブルです。

これは、日常的に「お守り」として使うのならば何一つ問題のないものです。しかし葬儀の席には相応しくありません。
なお、略式数珠の方は葬儀の場に相応しい持ち物ですから、これを持って行くことはなんら問題はありません。

数珠を持っていく場合は、数珠袋があると心強いかと思われます。
数珠は仏具のひとつですから、丁寧に扱うことが望ましいとされているのです。もちろん、「絶対に数珠袋にいれなければならない」「数珠袋にいれなければバチがあたる」といった性質のものではありませんが、可能ならば数珠と一緒に数珠袋も購入するとよいでしょう。

数珠袋はそれほど高いものではなく、500円程度~1000円程度でよく販売されています。
数珠袋の「色」については厳密に定められているものではありませんが、慶事を強く意識するものは避けた方が無難でしょう。

ちなみに袱紗(ふくさ。不祝儀を包むもの)は「黒系統~寒色系統が弔事用で、赤色などは慶事用。紫ならばどちらにでも使える」とされているので、これを参考にしてもよいかもしれません。

通夜・告別式などに参列するときの持ち物

「数珠」は通夜・告別式に持っていくべきものですが、これ以外にも通夜・告別式に持っていくべきものがあります。それについて見ていきましょう。

1.不祝儀

多くの通夜・告別式で必要となるものです。ただし、「香典(不祝儀)辞退」の意向を示されている通夜・告別式では必要ありません。家族葬の場合、一般葬に比べて「香典(不祝儀)辞退」の旨を通知してくる可能性が高いといえます。

不祝儀の外袋に関しては、数珠とは異なり相手の宗教・宗派に合わせるのがマナーです。

仏教の場合

御香典」「御香料」が望ましいでしょう。「御仏前(御佛前)でもよい」とされることもありますが、「御仏前(御佛前)という言葉は、四十九日を過ぎた後にのみ使われる言葉である」とする説もあるため、避けた方が無難です。

水引の色は、地域によって多少異なります。ただ、白と黒、あるいは双銀の不祝儀袋がよく使われます。なお、仏教に限り、ハスの花が印刷されたものも使えます。

キリスト教の場合

御花料」を使います。カトリックの場合は「御ミサ料」としても構いませんが、相手がカトリックかプロテスタントかまではっきりとわかっているケースはそれほど多くはないかと思われます。このため、「御花料」の方が安全です。

キリスト教の場合、水引はなくても構いません。
ただ、水引がない不祝儀袋は意外なほど探すのが難しいので、双銀もしくは黒白の水引がつけられていても構わないとされています(「水引の色は何色でも構わない」とする説もありますが、一般的に日本では双銀もしくは黒白が使われるため、こちらにしておいた方が無難です)。十字架や百合の花が印刷された封筒を使うことができますが、ハスの花は使えません。

神式の場合

御霊前」「御榊料」「御神饌料」とします。水引は、双銀もしくは黒白のものとします。神式の場合は、ハスの花も百合の花も使えません。

相手の宗教・宗派が分からない場合

御霊前」としておけば間違いありません。これはどの宗教でも使える言い回しです。
なお、浄土真宗の場合、「亡くなった方はすぐに仏様になる」という考え方を取るので、厳密にはこの書き方は避けるべきだとされています。
しかし仏門関係の知り合いでもない限り、実際の葬儀においては「御霊前」にしたからといって見とがめられることはありません。

不祝儀袋の表書きは、薄墨で書くのが正式です。ただしこれも現在ではそれほどうるさくは言われません。

2.袱紗

袱紗は不祝儀を包むためのものです。
弔事の場合は、黒や青色系統の落ち着いた色を選びます。新しく買い求めるのならば、慶弔どちらでも使える紫色がおすすめです。

かつては風呂敷タイプがメジャーでしたが、現在は出し入れのしやすい金封袱紗も出ています。「金封袱紗は風呂敷タイプとは異なり、略式である」とされることもありますが、実際の葬儀でそこまで問われることはありません。

3.ハンカチ

白色もしくは黒色のものを使います。柄が入ったものは避けるべきですが、小さな刺繍やレースがあしらわれている程度ならば問題はありません。

なお、かつては「葬儀の持ち物として、エプロンを」という話もありました。しかし現在の葬儀は葬儀会社のスタッフによって段取りがつけられていますし、喪家~近所の人が炊事をする習慣もほとんどなくなっています。

そのため、基本的には持参する必要はありません。
ただ、「家族葬であり、自分たちでやることが多い」「親族の立場なので、みんなが使い終わったコップなどを洗う役目がある」「故人の希望で自分たちで食事を作り、振る舞うことになっている」などのようなケースの場合は、エプロンを持参するとよいでしょう。
黒いエプロンが理想的です。

葬儀の持ち物のひとつとして「手袋」が取り上げられることもありますが、これは原則として必要ありません。ただ、ネイルアートが爪に施されているのであれば持参します。
一番理想的なのは葬儀に参列する場合はネイルアートを落とすことですが、「昨日やってもらったばかりだ」などのようなときは、さすがに落とすのはもったいないものです。その場合は、手袋で指先で隠して参列します。

この記事のまとめ

数珠は、仏教用具のうちのひとつです。非常に歴史のあるもので、これを使って拝むことで仏様の世界と通じ合えると考えられています。

数珠のかたちや拝み方、持ち方は、宗派によって異なります。ただし実際の葬儀においてはそこまで問われることはあまりありません。
100円ショップに売られている数珠なども使うことは可能です。ただし、ブレスレット型のものはあくまで「アクセサリー」ですから、避けるようにしましょう。

数珠の素材や色は、好きなものを選んで構いません。また、相手の宗派に合わせる必要はなく、自分の宗派の数珠を持って行って構いません。気になるようならば、略式の数珠を選びましょう。ただし、キリスト教や神式の葬儀のときに数珠を出すのはマナー違反です。
数珠は、数珠袋に入れて持ち歩きます。紫色のものが使い勝手がよいでしょう。

葬儀の持ち物は、

    • 数珠
    • 数珠入れ
    • 不祝儀(「御霊前」とするのがもっとも無難)
    • 袱紗(紫色が使いやすい)
    • ハンカチ(白もしくは黒)

の5点です。必要に応じてエプロンや手袋を用意することもありますが、頻度としてはそれほど高くありません。

数珠は、個人にとってもっとも身近な仏具です。高価なものである必要はありませんが、粗雑に扱うことのないようにしましょう。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

珠をつないで輪にし、それを祭祀道具として使う習俗は、仏教だけではなく他の宗教、また地域に伝わる祭祀に同様のものが各地で見られます。

キリスト教(カトリック)で使うロザリオには、聖母マリアが聖ドミニクスのもとに姿をあらわし、霊的な道具として使うことを教えたという伝説があります。同じキリスト教でも正教会の場合は、コンボスキニオンという数珠状の祭具がありますし、イスラム教でもスーフィズム(イスラム神秘主義)の間では、数珠に似た形のタスビを使った礼拝をすることもあります。

数珠は葬儀や法事など弔事の時にだけ持つものではありません。観光などで寺院に立ち寄るときに、数珠を持参しても良いでしょう。

数珠袋も仏具店で販売しているものに限らず、小物入れでも大丈夫です。
ただし、数珠はコンパクトに畳んでしまうと紐が切れやすくなってしまうため、余裕を持った大きさの小物入れがお勧めです。

墓じまいを検討されている方

  • 墓じまいはどこに相談するのかわからない
  • 複雑な事務手続きをやりたくない
  • 墓じまいにいくら必要なのか知りたい

親族や知人などに墓じまいを経験した人がおらず、不安に感じる人もいるかと思います。
また、今あるお墓を片付けることに抵抗感がある方もいるかもしれません。
しかし、大切なのはお墓をきちんと片付け、あとの供養に繋げていくことです。

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