仏教における「焼香」、焼香の種類とやり方について

【焼香】アイキャッチ画像

葬儀の場面では数多くの耳慣れない単語を耳にすることがありますが、そのなかで「焼香」は比較的よく知られた単語だといえるでしょう。だれもが一度は聞いたことがあるものですし、実際に行ったことがある人も多いはずです。

しかし、焼香そのものの意味や、焼香の正しいやり方についてはよくわかっていない……という人もいるかもしれません。

ここでは、非常に多くの葬送儀礼で行われる「焼香」の詳細についてみていきます。

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この記事の目次

  1. 焼香とは仏式における故人の冥福を祈る行為
  2. 焼香は立って行う場合と座って行う場合の3種類ある
  3. 一般的な焼香の流れ
  4. 宗派で異なる!焼香の動作
  5. 葬儀で焼香をおこなう順番
  6. 葬儀に参列するときに気を付けること
  7. まとめ
  8. 監修者コメント

焼香とは仏式における故人の冥福を祈る行為

「焼香(ご焼香)」は、仏式の葬儀において行われる宗教的儀式のうちのひとつです。
「ホテルでの社葬なので、焼香が禁じられている」などのような特別のケースではない限り、仏教の式では必ずこの「焼香」が行われます。

焼香とは、簡単にいえば、

  1. 焼香台の前に歩み出る
  2. 香炉台を使う
  3. お香を供える

という儀式のことをいいます。

焼香の歴史は、インドに端を発します。仏教が広く知れ渡る前から、インドでは香がたかれていました。インドは日本よりも気温が高く汗がかきやすい環境にあることから、臭い消しの手段のひとつとしてお香が使われていたのです。

この「臭い消し」という効能は、葬儀の場面においても非常に役立ちました。
ご遺体は、時間をおくと傷んでいき臭いを発するようになります。お香を使うことによってその臭いが薄れることから、葬儀の場でお香が使われるようになったと考えられます。

また、お香の香りによって自らの身を清められるという考え方が浸透していき、葬送儀礼に限らず、お香=仏教とする価値観が広く知れ渡るようになりました。

このように実用的な意味もある「お香」ですが、宗教的・精神的な意味ももちろん持っています。お香は、亡くなった方が食べるものだと考えられています。加えて、故人の冥福を祈るという意味も持っています。

今も仏教の葬儀では、「御香典(御香奠)」「御香料」と表書きをした不祝儀袋を持参することが多いといえます(なお、厳密にいえば「香典袋」という言い方は仏教の葬儀のときにしか使わない言葉です)。

かつてお香は非常に高価なものでしたし、また一夜を通じてたき続けなければならないものでもありました。
そのうえ、今ほどお香の技術が発達していない時代ですから、お香はすぐに絶えてしまいました。このため、近所の人などがそれぞれお香を持ち寄って、一晩中たきつづけられるようにしていたのです。

現在では長持ちするお香が出たことから、「お香自体を持ち寄る」という習慣はなくなりました。しかし「相互扶助」の考え方と「香典(香を備える)」の言葉は残ったため、「御香典」として現金を包んで持っていくようになったのです。
なお、まれにお香自体を持ってくる人もいますが、その場合でも、お香+現金を持参するのが一般的です。

仏教以外の宗教における焼香・お香

「焼香」「お香」は主に仏教の文化ではありますが、ほかの宗教でも使われることはあります。その代表的なものが、キリスト教のカトリックの葬儀です。

カトリックの葬儀では、「散香(散香の儀式)」という儀式が行われることがあります。
これはお香を振りまく儀式をいいます。聖水を使う「散水(散水の儀式)」とともに語られることが多いものであり、希望をすれば通夜で焼香を行うことができる場合もあります。

ただ、特に「焼香」の方はそれほどメジャーなものではありません。焼香は通夜祭のみで行うことができるものですが、そもそもキリスト教には通夜の考え方はありません。
通夜をするようになったのは「日本の文化として、お通夜があるから。日本に入ってきたキリスト教が、日本の風土に合うように変化したから」であって、本来のキリスト教の葬送儀礼では必要がないのです。また、司祭の許可も必要であるため、積極的に「焼香」が行われることはありません。

キリスト教においては、焼香の代わりとなるものとして「献花」があります。
これはお花を祭壇に捧げる儀式であり、カトリックのみならずプロテスタントの葬儀でもよく見られます。
キリスト教の葬儀において、「参列者が参加する葬送儀礼」として取り上げられるのはこちらの方です。

そのため、多くの専門ページでは「焼香は仏教独自のもの」としています。この考え方で問題はありませんし、この記事でも特に記載がない限り、「焼香=仏教の葬送儀礼で使われるもの」としてお話ししていきます。

なお、余談ではありますが、仏教では特に白檀(びゃくだん)の、キリスト教では特に乳香(にゅうこう)が重要視されてきたという歴史があります。


神式の場合は、お香はたきません。

通夜などの葬儀では抹香、法事では線香を使用する場合が多い

さて、仏教で使う「お香」ですが、このお香には大きく分けて2通りあります。
1つが「抹香」で、もう1つが「線香」です。これはまったくかたちが違います。

抹香

細かい粉状態になっているものを指します。
黒~赤みがかった色をしていることが多く、樒(しきみ。枕飾りのときにも飾られるもの)や白檀、龍脳(りゅうのう)を原材料としています。
ただ、現在ではシキミを使ったものがよく見られます。

抹香はよく通夜や葬式・告別式のときに用いられるお香です。
これらの場面で、「ご焼香をお願いします」と言われた場合は、この抹香を手にすることが多いことでしょう。

線香

棒状に加工されたお香のことをいいます。
白檀や杉を使って作られるものなのですが、前者は「匂い線香」、後者は「杉線香」と呼ばれることがあります。

部屋全体を香りで満たすことができるこの線香は、万物は平等であるとした仏教の考え方とよく調和すると考えられています。

抹香に比べて、線香は主に「先祖供養」「法要」のときに使われます。そのため、通夜や葬式・告別式でこれを使う頻度は決して高くありません。
ただ、在来仏教のなかでも、浄土宗だけは「通夜、葬式・告別式でも、線香を使うことがある(抹香を利用することもある)」としているので、浄土宗の葬儀に参加する場合は線香をあげる可能性もあります。

葬儀の席では気にする必要はありませんが、法要などで線香をたいたときは「火の始末」が気になる人も多いかと思われます。
しかし線香を消すときは、息を吹きかけて消してはいけません。
仏教においては、生者の口から吹かれる息は穢れであると解釈されます。
線香はそのままにしておいても燃え尽きるものですが、消す場合は手で仰いで消すようにしましょう。振って消しても構いません。

なお、この「息を吹きかけて消すのはよくない」という考えは、「仏壇のろうそくの火」にも同じことがいえます。
この場合は、ろうそくの火にかぶせて火を消すキャップのようなもの(キャンドルスナッファーとも呼びます)を利用しましょう。道具がなければ、手で仰いで消しても問題ありません。

焼香は立って行う場合と座って行う場合の3種類ある

焼香は、立って行うやり方と座って行うやり方の2通りがあります。
また、これに加えて、「回し焼香」と呼ばれるものもあります。

葬儀の席でもっともよく見られるのは、「立って行う焼香」でしょう。特段の記載なく「焼香」とする場合は、これを指すことが多いかと思われます。この「立って行う焼香」は、「立礼焼香」と呼ばれます。
祭壇の前に歩み出て、立った状態で焼香するやり方です。

座って行う焼香は、「座礼焼香」といいます。これも、立って祭壇あるいは遺影の前に行きますが、焼香を行うときは焼香台の前に置かれた座布団に正座して行います。

自宅などの会場が狭いときによく用いられる方法です。ただし、お寺で行う葬儀の場合は、「会場全体は十分に広いが、座礼焼香のかたちをとる」という場合もあります。また、法要のときにもこの方法が使われることもあります。

最後の「回し焼香」は、あまり目にすることがないものかもしれません。これは「立ち上がる」という工程を全く含まない焼香のやり方です。香炉とお香を乗せたお盆が隣の人から回されるので、自分の席でそのお盆を使って焼香を行います。

非常狭い会場で、かつ弔問客(もっとも回し焼香が採用される葬儀の場合は家族葬であることが多いと思われるので、「弔問客」というよりも「親族・家族」ではあります)が多いときにとられる焼香のかたちです(「一番時間がかからないかたち」でもあるので、人数が非常に多くて時間がかかりそうだというときにもとられるかたちだ、とする説もあります)。
葬儀に長く携わってきている人間でも、「回し焼香で葬儀を行う現場」は見たことがないという人もいます。ただ、法要の場ではしばしば見られる形態です。

もちろん、それぞれの焼香のやり方に「優劣」はありません。ただ、多く行うことになるのは立礼焼香ですから、このやり方はしっかり覚えておいた方がよいでしょう。

一般的な焼香の流れ

焼香のやり方を紹介していきます。

立って行う立礼焼香の場合

もっとも行う頻度が高いであろう立礼焼香のやり方です。葬儀の式次第は各葬儀会社によって微妙に違いがありますが、焼香の全体的な流れはどこの葬儀会社でも同じです。
なお、立礼焼香を行う場合は、

  • 葬儀ホールなどで
  • イス席に座った状態

からスタートすることが多いので、このような状況を想定して解説していきます。

  1. 1.焼香の順番が来たら立ち上がる
  2. 2.ご遺族・僧侶・祭壇に一礼
  3. 3.香をつまみ、香炉にくべる
  4. 4.祭壇に一礼
  5. 5.数歩下がり、ご遺族に礼をして戻る
1.焼香の順番がきたら立ち上がる

焼香は、喪主→ご遺族→ご親族→一般弔問客 の順番で行われます。個別に名前を呼ばれるようなことはありませんから、前の人に続いて順次行っていきます。

なお、立礼焼香の場合は、祭壇・葬儀の規模によっては香炉が複数台用意されていることがあります。この場合は、開いている香炉を使って焼香を行います(座礼焼香や回し焼香の場合は、基本的には1台だけです)。

2.ご遺族・僧侶・祭壇に一礼

ご遺族に一礼します。ご遺族が座っている席は、葬儀会社・葬儀会場ごとによって異なります。祭壇からみて90度の角度にイスが配置されていることもありますし、一般弔問客の一番前の席にイスが設けられていることもあります。

軽く一礼し、僧侶と祭壇にも一礼をします。なお、ご遺族の場合は軽く頭を下げて応じられることが多いようですが、僧侶からは特にアクションがないのが普通です。

3.香をつまみ、香炉にくべる

香をつまみ、香炉にくべます。「焼香」はこれを指す言葉です。お香を額に押しいただくかいただかないか、いただく場合は何回か、またお香を落とす回数は何回かなどは、宗派ごとによって異なります。

このときは相手の宗派(つまり、故人の信仰していた宗派)に従うのが一般的です。ただ、やり方が分からなくても問題はありません。焼香は喪主が一番初めに行うため、喪主のやり方に倣えばよいのです。

4.祭壇に一礼

焼香が合掌をし、祭壇に一礼をします。

5.数歩下がり、ご遺族に礼をして戻る

祭壇に顔を向けたまま、2~3歩下がります。祭壇にお尻を向けてはいけません。その後、ご遺族に一礼をして席に戻ります。席に戻ったら、そのまま座って構いません。


焼香に限らず、キリスト教の献花や神式の玉串奉奠(たまぐしほうてん)でも同じことがいえますが、「前の人と同じように行うこと」を旨としていれば、失敗はしないでしょう。

座って行う座礼焼香の場合

座って行う座礼焼香のやり方を紹介していきます。立礼焼香と基本の流れは同じですから、違うところのみに解説を付けていきます。

1.焼香の順番が来たら立ち上がる

座礼焼香の場合は、「イスに腰かけている状態」ではなく「座布団に正座をしている状態」からとなることが一般的です。ただし、「足を悪くしているので、正座は難しい」という場合はイスを使っても構いません。また、小型のイスを香炉台の前に持って行っても構いません。必要があれば、周り人が香炉を持ち上げるなどして介助しましょう。

2.ご遺族・僧侶・祭壇に一礼

狭い会場で行われることが多い座礼焼香の場合は、祭壇も小さくなります。そのため、焼香台も1つしか置かれないことが多いかと思われます。ただし、お寺での葬儀の場合はこの限りではありません。 座った状態でご遺族に一礼をして、祭壇に一礼をし、立ち上がらずに膝で焼香台の前まで寄っていきます。

3.香をつまみ、香炉にくべる
4.祭壇に一礼
5.数歩下がり、ご遺族に礼をして戻る

立ち上がってご遺族に一礼をして、自分が座っていた席に戻ります。


座礼焼香は、足や腰を悪くしている人にとっては負担が大きくなる可能性の高い焼香の形態です。その場合は無理をせず、道具を使ったり介助の手を借りたりしてください。

香炉を回して行う回し焼香の場合

回し焼香は、かなり特殊な焼香です。あまり行う機会のない焼香形態ですが、これのやり方についても解説していきます。

1.隣の人から、香炉とお香を乗せた盆が回って来るので受け取る

ここでは「盆に香炉とお香が乗せられている」としていますが、実際にはかたちはさまざまです。
台の真ん中が区切られていて、左手側に杯が入れられていて右側にお香が入れられているタイプのものもあります。回してくれた人に会釈して受け取ると、感じがよいでしょう。

香炉(盆)は、膝の上ではなく、畳の上に置きます。
ただし、イス席で行う場合は、床ではなく膝の上に置いて焼香を行います。

2.祭壇に向かって合掌をする

立礼焼香や座礼焼香のときに行った「ご遺族への一礼」は、回し焼香では行いません。物理的スペースが狭く、アイコンタクトなどが難しいという事情もあります。

3. 香をつまみ、香炉にくべる
4.合掌~一礼を行う

合掌して、祭壇に向かって一礼をします。

5.となりの人に回す

となりの人に香炉を回します。香炉はそれほど重いものではないため、取り回しに苦労することはないでしょう。
ただし、ご年配の方で手の動きに不安がある人などの場合は、周りの人がサポートするようにします。

回し焼香の場合、立礼焼香や座礼焼香のときに行ういくつかの過程が省略されます。
ただ、「回し焼香は、立礼焼香や座礼焼香に比べて礼が欠けるやり方だ」ということもありません。会場の広さや人数のことを考えて、どの焼香のやり方にするかを決めていくとよいでしょう。

宗派で異なる!焼香の動作

「焼香」は仏教の葬儀で必ずと言ってよいほど行うことになるものです。しかし、実は宗派ごとによって、そのやり方が異なります。

ポイントは、「回数」と「押しいただく(人差し指と中指、親指でつまんだお香を、額~目のあたりまでに持っていく動作)か押しいただかないか」です。

天台宗3回行う。1回のこともある。押しいただくか押しいただかないかは自由。
真言宗3回行う。1回のこともある。押しいただくのが基本。
浄土真宗押しいただかない。本願寺派は1回、大谷派は2回。
浄土宗回数に決まりはない。「3回を基本とするが、心を込めた1回の方が尊ばれる」とされている。
押しいただくことが多い。また、線香を使うこともある。
臨済宗と曹洞宗1回押しいただき、2回目は押しいただかない。
この2つは「禅宗」に属し、修行の考え方や数珠のかたちについても似ている部分が多い。
日蓮宗3回が正式とされているが、これは僧侶の場合。
参列者は1回とされることも多い。押しいただかずに行う。

焼香のときに使う数珠も焼香自体も、宗派によって違いが見られます。数珠は自分の宗派のものを使えばよいのですが、焼香は相手(喪主・喪家・故人)の宗派に従うのが原則です。

ただ、このような決まりも絶対的なものではありません。
宗派によって違うとはいうものの、「周りの人数によって決める」としている場合もありますし、地方によって多少の違いも出てきます。
また、このような「宗派による焼香の違い」を、仏教関係者でもない一般の人にきちんと覚え、実践するように求めるのは現実的ではありません。

焼香は、喪主→ご遺族→ご親族→一般弔問客……の順番で行っていくので、喪主やご遺族のやり方をそのまま真似れば問題はないのです。

葬儀で焼香をおこなう順番

葬儀で焼香を行う順番については、宗教や葬儀会社の差は存在しません。
喪主→ご家族→ご親族→一般弔問客 の順番で行われます。

ただし、社葬の場合は葬儀委員長が喪主より前に焼香を行います。
また、例外的な話ではありますが、受付を担当する人(多くの場合、通夜や葬式・告別式が始まっても、だれか1人は数十分~1時間程度はロビーに残る)、あるいは「通夜や葬式・告別式が始まるタイミングは仕事で出られないが、仕事の前に寄った」という場合などは通夜や葬式・告別式が始まる前に焼香を行うことはあります。

なお、社葬の場合は非常に人数が多くなりますが、「指名焼香」が行われることがあります。これは特定の人物を特に重んじ、焼香をしてもらうやり方をいいます。
指名されるのは、多くの場合、その会社にとって重要な人物であり、かつ知名度の高い人や団体などの代表者です。

また、地方によっては「止め焼香」と呼ばれる焼香が行われることもあります。止め焼香は西日本で見られることのある焼香のやり方です。「葬儀会社のスタッフを務めていたが、一度も見たことがない風習だ」と語る人も、ほかの地方では見られます。

この止め焼香は、「焼香の順番が正しくなかったとしても、ご勘弁ください」という意味があるとされています。
止め焼香は、「親族間でのもめ事を避けることを目的として行われる場合」と「参列者の方に失礼があった場合にご容赦願いたいと考えて行われる場合」の2通りに分けられます。
前者の場合は、一般参列者の前に親族の代表者が止め焼香を行います。後者の場合は、一般参列者の後に親族の代表者による止め焼香が行われます。

本来、親族の焼香は遺族に続いて行われるものです。しかし焼香の順番の最後に、あえて親族が焼香することで、一般弔問客に対して「焼香の順番に不備があっても、ご勘弁ください」という気持ちを示すのです。

葬儀に参列するときに気を付けること

葬儀に参列する際には、「焼香のやり方」だけではなく、ほかにも気にしなければならない点があります。それについて見ていきましょう。

服装

まずは服装をチェックしましょう。

通夜

男性はダークスーツを、女性は地味な色合いのスーツを着用します。濃紺や落ち着いたグレーのものが望ましいでしょう。靴下やストッキングは黒色を選びますが、女性の場合は肌色のストッキングでも可とされています。

地方によっては、「ネクタイなどの小物は、あえて黒ではなくて一般的なものを着ける(=亡くなることを待っていたわけではありません の意味)」としているところもありますが、この場合でも黒のネクタイを持って行った方が無難です。

葬式・告別式

男性も女性も、黒のスーツを選びます。女性の場合は、アンサンブルなどでも構いません。黒の靴下もしくはストッキングを着用します。

通夜と葬式・告別式で共通のポイント

靴と鞄は、金具のついていないものを選ぶのが正式です。また、蛇革素材のものや、カカトやつま先が開いている靴は使ってはいけません。

アクセサリーは結婚指輪と真珠のアクセサリー以外は着けていってはいけません。
真珠は黒真珠(喪の色)でも白真珠(涙を表す)でも構いませんが、2連になっているネックレスはつけません。また、結婚指輪にしろ真珠のアクセサリーにしろ、これは「着けていても構わない」というものであって、「着けなければならないもの」ではありません。無理に買い求める必要はありません。

ハンカチは、黒もしくは白のものを選びます。不祝儀袋は紺色などの弔事用のものにしますが、紫色ならば慶弔どちらでも使えます。新しく買うのであれば、紫色が便利です。

重ね言葉などに気を付ける

葬儀の場には、「相応しくない言葉」があります。それについても理解しておきましょう。

  • 生死を直接的に表現する言葉
    「死んだ」「生きているとき」などの表現は、葬儀の場においては相応しくありません。「御逝去」「生前は」などの言い換えをしましょう。
  • 重ね言葉
    「重ね重ね」「たびたび」などは、不幸が重なることを連想させるので避けます。また、重ね言葉ではありませんが、「再び」「再度」「再三」などのような言葉も同じ意味を持つので使わないようにしましょう。
  • 縁起のよくない言葉
    「消える」などの表現です。また、「苦しみ」に繋がる「9」や、「死」に繋がる「4」も避けるべき表現です。香典で、9000円や4000円などを入れるのは失礼とされています。
    「4名の部員から1000円ずつ集めた」というような場合は、プラス1000円して5000円にして渡しましょう。
  • 宗教上考えるべき言葉
    仏教の葬儀では、「ご冥福をお祈りする」「成仏」などの表現は使っても問題ありません。ただし、キリスト教や神式の葬儀のときには使いません。
    なお、厳密に言うと、浄土真宗の場合は「亡くなった方はすぐに仏になる」と考えるため、「ご冥福をお祈りする」という表現は使いません。
    また、不祝儀袋でも「霊前」は使いません。ただし、このような細かな使い分けが一般参列者に求められることは、基本的にはありません。

まとめ

「焼香」は、仏教の葬儀において非常に重要な役目を持つ儀式です。数千年も前からお香の文化はありましたし、お釈迦さまとお香の逸話もあります。なお、ほかの宗教でも「お香」が出てくることはありますが、基本的には「焼香」は行いません。

焼香には、大きく分けて、

      • 立礼焼香
      • 座礼焼香
      • 回し焼香

の3つがあります。ただ、一般弔問客の立場でもっとも行う確率が高いのは、「立礼焼香」でしょう。

立礼焼香を行う場合は、

  1. 1.焼香の順番が来たら立ち上がる
  2. 2.ご遺族・僧侶・祭壇に一礼
  3. 3.香をつまみ、香炉にくべる
  4. 4.祭壇に一礼
  5. 5.数歩下がり、ご遺族に礼をして戻る

の流れをとります。

焼香は、宗派ごとにやり方が異なります。
抹香を落とす回数や、押しいただくか押しいただかないかに違いが見られます。

これは相手(喪主・喪家・故人)側の宗派にあわせて行うのが原則です。
喪主が一般弔問客に先だって焼香をしますから、それに倣えば問題ありません。なお、焼香の順番は、喪主→ご家族→ご親族→一般弔問客 の順番で行われます。

ただし社葬の場合は喪主の前に葬儀委員長が焼香を行います。
また、関西の一部では、家族が一般弔問客の前や後に焼香を行う「止め焼香」が行われるケースもあります。

葬儀に参列するときは、格好や言葉にも気を付けたいものです。
通夜の場合はダークスーツを、葬式・告別式の場合はブラックフォーマルを着用します。ネクタイや靴、鞄、靴下やストッキング、ハンカチは黒いものを選べばよいでしょう。ただし、通夜の場合にストッキングは肌色でも構いません。また、ハンカチは白いものも使えます。

アクセサリーは、結婚指輪もしくは真珠(白黒どちらでも構わない。しかし2連になったものは避ける)のもの以外は着けません。また、結婚指輪や真珠のアクセサリーも、外す方が無難ではあります。
重ね言葉や、生死を直接的に表現する言葉は使わないようにします。また、数字の4や9も避けましょう。

「焼香」は、葬儀の場においてはかなり頻繁に目にする宗教的儀式です。構え過ぎる必要はありませんが、とても大事な儀式ではあります。故人への気持ちを表し、ご家族のお心に寄り添えるような丁寧な焼香を心がけたいものです。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

お香が日本に伝わったのは、今から約1400年ほど前のことと言われています。

淡路島にたとえようもない芳香を放つ1本の木が漂着し、この噂を耳にした聖徳太子がこの香木を回収しました。この芳香を放つ木の正体は沈香。
幹、花、葉ともに無香ですが、自然現象により芳香を放つ木となり、さらに質の良いものは伽羅と呼ばれます。

線香が登場するのは江戸時代になってから。
数種類の原料を粉にして調合し、つなぎには粘土状になるタブノキの粉が使われます。これらを練り合わせて棒状に伸ばして乾燥させたものが線香です。

現在の線香のトレンドは、煙の少ないタイプだとか。香りはラベンダーやバラなどアロマ系が人気。コーヒーやキャラメル、ミルキーなどの線香も市販されています。


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