お彼岸とは何をする日?由来や期間・2024年のお彼岸の過ごし方

お彼岸とは アイキャッチ

お彼岸の意味とは?徹底解説

  • お彼岸は春秋の分の日を含む7日間で、悟りへの修行期間
  • 中日には墓参りし、春はぼたもち、秋はおはぎを食べる風習
  • 供養と修行がお彼岸の重要行事、先祖を思い六波羅蜜を意識
  • お墓参りできない時は仏壇で手を合わせるか掃除代行を利用

皆さまは今年の秋のお彼岸をどのように過ごす予定ですか?
お墓参りに行き、ご家族と過ごすという方も多いのではないでしょうか。

しかし「本来、お彼岸って何のためにあるもの?」と問われると、「しっかり答えられない・・・」という方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、お彼岸の意味や由来、過ごし方について詳しく解説しています。

日本古来の風習である「お彼岸」。
今年の秋は、お彼岸の由来・慣習といった知識を深めたうえで、迎えてみてはいかがでしょうか。

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この記事の目次

  1. お彼岸とは?意味・由来を解説
  2. 2024年のお彼岸は3月17日~3月23日と9月19日~9月25日
  3. お彼岸はなぜ7日間もあるのか
  4. お彼岸に何をすればいいの?行うべきことは供養と修行の2つ
  5. すべきこと①:お墓参りや先祖供養を行う
  6. すべきこと②:六波羅蜜(ろくはらみつ)の修行実践
  7. お彼岸にふさわしいお供えものは「おはぎ」
  8. お彼岸にお墓参りに行けない場合にどうしたらいいか
  9. お彼岸について よくある質問
  10. お彼岸にまつわる様々な地域の風習
  11. まとめ
  12. 監修者コメント

お彼岸とは?意味・由来を解説

お彼岸の意味とは何か、ちゃんと答えられる人は実はあまり多くありません。

意味や由来を知ると、お彼岸をどのように過ごすのが良いか、理解できるでしょう。

「お彼岸」の意味 言葉の由来はインドの仏教用語

「お彼岸」とは、「到彼岸(とうひがん)」という意味で、煩悩や迷いのある世界から悟りの開けた世界へ至ること、至るために行う修行のことを指します。

語源は、サンスクリット語(古代インド・アーリア語に属する言語)で、「paramita(波羅蜜多、パーラミタ)」という言葉だそうです。

「paramita(波羅蜜多、パーラミタ、はらみった)」とは仏教用語で、彼岸(パーラム)」「至る(イタ)」の2つの意味を持つ言葉です。

「彼岸」は川の向こうにあるとされるもの

仏教では元来、煩悩に満ちあふれるこの現世の世界を「此岸(しがん)」と呼びます。

それに対して、悟りの境地である涅槃(ねはん)、あの世の世界を「彼岸(ひがん)」と呼びました。

「此岸」とは「こちら側の岸」という意味で、「彼岸」は「あちら側の岸」の意味です。こちらとあちら、双方の間には川が流れているのです。

川とは、すなわち生と死の世界を隔てる「三途の川(さんずのかわ)」のことです。

川は仏教にとってとても象徴的な場所で、生と死を分けるだけでなく、煩悩と悟り、俗世と来世を分けるものとされています。

極楽浄土は西の方角にあるとされるもの

お彼岸は西に向かって拝みます。

これは浄土宗による浄土思想が元になっていて、西の方角に極楽浄土があると考えられていたためです。

極楽浄土は、阿弥陀如来がつくられた仏国土、天国のようなところです。

この浄土信仰は、仏教とともに中国より日本に伝わり、平安時代より広まり始めました。

古くよりこの世を憂う人々は、西の方角に向かって、彼岸と呼ばれる極楽浄土に想いを馳せてきたのです。

日本独自のお彼岸の成り立ち

お彼岸の成り立ちは、彼岸の浄土信仰に加え、太陽の動きや天文学も合わさっています。

古代の中国では、お彼岸に太陽が沈む真西の方角に、極楽浄土があると信じました。
太陽が東西へ一直線に動く春分や秋分に太陽が沈む方角こそが、浄土のある方角だとしたのです。

太陽が真東から昇り真西へと沈む、春分の日・秋分の日は、この世(此岸)とあの世(彼岸)がもっとも通じやすい日と考えられ、死者を偲ぶ日、来世を偲ぶ日としても捉えられるようになりました。

このように、太陽の動きや天文学と、至彼岸の浄土信仰が合わさって、「お彼岸」という風習が成り立っていきました。だから私たちは、お彼岸にお墓参りを行っているのです。

2024年のお彼岸は3月17日~3月23日と9月19日~9月25日

彼岸花

お彼岸は毎年2回、春と秋にあります。

春彼岸は、春分の日を中心とした前後3日を含めた合計7日間
そのため、2024年春のお彼岸は、春分の日である3月20日(水)を中心とした前後3日。すなわち2024年3月17日(日)~3月23日(土)となります。

秋彼岸は、秋分の日を中心とした前後3日を含めた合計7日間を指します。
そのため、2024年秋のお彼岸は、秋分の日である9月22日(日)を中心とした前後3日。すなわち2024年9月19日(木)~9月25日(水)となります。

春分の日、秋分の日は、太陽と地球の動きや天文学と、暦が結びついたもので、昼と夜の時間が均等になると言われている日です。

太陽は真東から昇り、真西に沈み、この日を境に冬は春へ、夏は秋へと四季が移ろいます。
日本人は、この春と秋のお彼岸の7日間を、死者や先祖供養の日として大切にしてきました。

お彼岸の時期

春彼岸は、春分の日(3月20日)前後の7日間

春のお彼岸は、「春分(しゅんぶん)」を中日とした前後3日を含む合計7日間を指します。

春分とは、太陽が春分点を通過した瞬間のことです。

暦の上では、その瞬間が属する日を「春分」としています。太陽の動きに影響されるため、日本では春分の日にちが年によって固定されておらず、3月20日か21日のどちらかが春分になります。

春分の日とは

お彼岸の中日となる春分の日は、日本の祝日で、2024年は3月20日(水)です。

日本の法律「国民の祝日に関する法律」によって、次のように定義されています。

春分の日とは「自然をたたえ、生物をいつくしむ。」ためのもの

春分は、季節が冬から春に切り替わる日です。春の彼岸の到来は長い冬の終わりを意味し、土から草花や虫が顔を出し、その穏やかな雰囲気の中でお墓参りをされる人もたくさんいるのではないでしょうか。

春の到来を喜ぶ人々の想いがあふれていて、その喜びをご先祖様とともに分かち合うのだろうと想像すると、お墓参りがより素晴らしいことに思えるのです。

春彼岸の豆知識:春分は世界的にも休日になっている

イランの暦ではこの日が元日ですし、日本以外の多くの地域(アジアからアフリカやヨーロッパまで)がこの日を春の開始日として、休日にしています。

秋彼岸は、秋分の日(9月22日)前後の7日間

秋のお彼岸は、「秋分(しゅうぶん)」を中日とした前後3日を含む合計7日間を指します。

秋分とは、太陽が秋分点を通過した瞬間を指します。暦の上では、その瞬間が属する日のことを「秋分の日」とします。

春分の日と同様に、秋分の日も太陽の動きに影響を受けるので、必ずしも日にちが毎年同じ日になるわけではありません。

日本では9月23日になることが多いのですが、まれに9月22日が秋分の日になる年もあります。2024年は9月22日が秋分の日です。

秋分の日とは

お彼岸の中日となる秋分の日は、日本の祝日です。

日本の法律「国民の祝日に関する法律」によって、次のように定義されています。

秋分の日とは「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」ためのもの

日本人にとってこの時期はまさに稲刈りの最盛期。田んぼのあぜ道に咲く赤い彼岸花が、まさに秋のお彼岸のシンボルですよね。

古くより秋彼岸は農村での稲穂の収穫を喜び、ご先祖様に報告し感謝をすることも兼ねた風習として根付いています。

また秋分の日は、夏が終わり秋の到来を告げる日でもあります。

秋彼岸のまめ知識:秋分の日は「お墓参りの日」でもある

国の法律によって「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」と定められていることを受けて、秋分の日は2013年8月15日に一般財団法人日本記念日協会に「お墓参りの日」として認定されています。
記念日として世間一般への認知度はまだまだですが、風習としてお彼岸にお墓参りすることは古来より根付いていますね。
皆さんも、お彼岸にはまずお墓参りをしてから、休暇を楽しんではいかがでしょうか。

お彼岸はなぜ7日間もあるのか

さて、お彼岸の意味は、下記のように解説しました。

「お彼岸」とは、「到彼岸(とうひがん)」という意味で、煩悩や迷いのある世界から悟りの開けた世界へ至ること、至るために行う修行のことを指します。

つまりお彼岸とは、仏教者たちの修行期間だったのです。

悟りの境地である彼岸にたどり着くために、迷いや煩悩を断ち切って悟りの境地に至るための修行がお彼岸に行われてきたのです。

悟りの世界へ至るための修行とは、「波羅蜜多(パーラミタ、はらみった)」と呼ばれるものです。
波羅蜜多には「六波羅蜜」と「十波羅蜜」の2種類があるのですが、仏教の主要流派である大乗仏教では六波羅蜜が実践されています。

「六波羅蜜」とは、その名からも分かるように6つの項目に分かれた修行です。

お彼岸の7日間のうち、中日である春分の日と秋分の日は祖先を偲び、それ以外の6日はこの六波羅蜜を1日ひとつずつ修めるとされています。

だからお彼岸は7日間あるのです。

ここまでで、お彼岸の意味や由来、お彼岸の時期について解説しました。次の章からは「お彼岸にすべきこと」をご紹介します。

お彼岸に何をすればいいの?行うべきことは供養と修行の2つ

お彼岸は、お盆や大晦日などと並ぶ、1年の中でも大きな仏事です。

多くの人はお墓参りにでかけますが、その他にどんなことが行われるのでしょうか。

元来のお彼岸の由来によれば、お彼岸の7日間のうち6日間は修行を行う期間だとされています。現代において、私たちがお彼岸どう過ごすべきなのかを解説します。

すべきこと①:お墓参りや先祖供養を行う

供花を入れた手桶

お彼岸と言えば、なんといってもお墓参りです。
春分の日や秋分の日の祝日を利用して、お墓参りに行ってみましょう。

お彼岸期間中にお墓参りに行く

普段、頻繁にお墓参りをされない方でも、1年の中でお盆とお彼岸だけはお墓参りをされるという方も多いのではないでしょうか。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、春彼岸は冬から春へと季節が暖かくなり、また秋彼岸は夏の暑さが和らいで季節が涼しくなり、お墓参りをするには最適な季節でもあります。
ご家族とともに墓地へ出向き、季節の移ろいをご先祖様とともに感じるひとときもよいものではないでしょうか。

お墓参りに行くタイミング

7日間のお彼岸期間の中日である、春分の日、秋分の日がベストとされています。

しかし、お墓参りに行くタイミングについては厳密に「この日じゃないとダメ!」ということはありません。

お彼岸のお墓参りで行うこと・必要な準備

お彼岸だからといって、お墓参りで特別なことをする必要はありません。
いつもと同じようにお参りいただければ、きっとご先祖様も喜ぶでしょう。
きれいにお墓を掃除して、お花やお線香や好物を供えてあげて、心を込めて手を合わせましょう。

服装も正装する必要はなく、普段と同じで構いません。
墓地は公共の場所ですので、露出の多い服や、サンダル、短パンなどは控え、TPOだけはしっかりと守るようにしましょう。

お彼岸法要を行う場合

日本全国の仏教寺院で、「彼岸会(ひがんえ)」と呼ばれるお彼岸法要が行われます。
縁のある寺院に出向いて、仏様に礼拝し、ご先祖様を供養しましょう。

また、永代供養墓などを持つ寺院や霊園では、この日に合同法要を執り行うところも多くあるようです。

お布施はどうしたらいい?目安金額はどのくらい?

お寺が主催する合同の彼岸会や法要に参加する場合、数千円~1万円程度をお布施として包むのが一般的とされています。

会の趣旨や、お寺や住職の意向にもよりますので、お寺からの案内をご確認ください。

お坊さんをお呼びして個別に法要を行う場合は、3~5万円のお布施をお渡しすることが多いようです。

お呼びする墓地やご自宅の距離によっては、お車代として数千円を別に包むこともあります。

お墓について家族で話し合うことも大切

彼岸は家族で集まってお墓について話しあう良い機会です。

先祖に想いを馳せることと同時に、今後お墓をどうするか、一度家族で話し合われてはいかがでしょうか。

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2024年のお彼岸「新型コロナ」の影響はある?

外出制限がなくなってきているものの、新型コロナウイルスの流行を心配して、外出を控えている方やご家族との集まりを控えている方もいらっしゃるでしょう。

墓地は屋外がほとんどですから、お墓参りに関してはソーシャルディスタンスを保ちながらであれば問題ないでしょう。

ただし、マスクを着用してのお墓参りは熱中症の危険が高まるため注意してください。
コロナ対策に加え、熱中症対策もされながら、お墓参りにいきましょう。また、お墓が屋内にある方は、特にコロナ対策に気を付けるべきです。
春は比較的過ごしやすい気温ですが、秋の到来をつげる「秋分」あたりになると、近年の日本列島は9月でも30度を超える日が続きます。

お彼岸シーズンはお墓参りに訪れる方が多いので、施設に人が密集する可能性があります。

気になる方はお彼岸シーズンをあえて外してお墓参りに行かれたり、事前に施設に混雑状況を問い合わせることをおすすめします。

すべきこと②:六波羅蜜(ろくはらみつ)の修行実践

お彼岸に行うこととして、お墓参りの他に「修行」があります。
修行といっても、自分にできることから始めるのが大切ですので、難しく構える必要はありません。

お彼岸に6日間かけて行われる「六波羅蜜」の修行とは

お彼岸に行われる修行「六波羅蜜(ろくはらみつ)」について詳しく解説いたします。
六波羅蜜は、6種類の「善」についてまとめられているのものです。

布施(ふせ)完全な恵み、施し。
有形・無形を問わず、人のために惜しみなく善いことをする。施す側も、受け取る側も見返りを望んだり、期待をしない。
持戒(じかい)戒律を守り、自己反省する。
自分勝手になるのではなく、常識や道徳をもって自らを戒め、慎みをもって譲り合いながら生活する。
忍辱(にんにく)完全な忍耐。
辛いことがあっても困難に耐えて頑張ること。
精進(しょうじん)努力の実践。
最善を尽くして、ひとときも無駄にすることなく努力すること。良い結果が得られても驕らず、更なる向上心を持つこと。
禅定(ぜんじょう)心作用の完全な統一。
冷静に自分を見つめ、心を静めて平静を保って動揺しないこと。
智慧(ちえ)真実の智慧を開現し、命そのものを把握する。
真理を見極め、真実の認識力を得ること。知識だけではなく、智慧を以て考えること。智慧は、他の5項目の根拠となる考えです。

お彼岸の間、六波羅密を意識して生きてみましょう

「修行」というと、座禅を組んだり、山に籠ったり、修行僧でないと挑戦できないようなハードルの高いものを想像する方も多いかもしれませんが、このように六波羅蜜の内容を見てみると、修行というよりも、人生における大切な考え方・生き方の指針といった内容になっています。

人に優しくしたり、正しく生きるために、自分の心がけ次第で実践できそうなものばかりではありませんか?
ケチになったり、自己中心的になったり、諦めたり、怠けたり、六波羅蜜に背くような行動をしないように意識して生活し、より善い行いができるよう、お彼岸の間、自分なりに過ごしてみてはいかがでしょうか。

お彼岸にふさわしいお供えものは「おはぎ」

お彼岸にふさわしいお供えものといえば、「ぼたもち(牡丹餅)」と「おはぎ(お萩)」です。
季節の花にちなんで、春はぼたもち(牡丹の花)、秋はおはぎ(萩の花)を供えます。

その他、地域によっては彼岸団子を供えるところもあるようです。
これにも彼岸の入りに供える「入り団子」と、明けに供える「明け団子」があります。
お供えものに特別な決まりはありません。
故人様が好きだったもの。あるいはあとで家族や親戚たちで分け合って口にできるものを供えてあげましょう。

お彼岸に「ぼたもち」や「おはぎ」を食べる理由

ぼたもちやおはぎに使われているあんこの原材料は小豆(あずき)です。

赤い色の小豆は、栄養価に優れているだけでなく、縁起物ともされた大変高価な食材でした。古代中国から赤色を魔除けや長寿を願う色とされてきたのが理由です。

そのため、死者や祖先を偲うお彼岸に、小豆をたっぷりと使ったあんこでつくられたお餅を供えたのです。

何となくお供えする物にも、こうした言われや意味があるのです。
そこには、この世に生きる人たちの、仏や祖先や死者への心を込めた祈りが込められています。

「ぼたもち」と「おはぎ」の違いとは

お彼岸のお供え物である「ぼたもち」と「おはぎ」。あなたはこの2つの違いを説明することができますか?

春彼岸では、春の花である牡丹にちなんで「ぼたもち」と呼びます。

秋彼岸では、秋の花である萩にちなんで「おはぎ」と呼びます。

そして、この2つが決定的に違うのは、下記の点です。

  • ぼたもち=こしあん
  • おはぎ =粒あん

小豆もお米も、収穫期は秋です。新鮮な小豆は皮が柔らかく丸ごと食べられるため、秋のおはぎは粒あんで作られていました。

春彼岸に食べるおはぎは、秋に収穫した小豆を冬越して使うので皮が固くなってしますので、皮を剥いてこしあんにしてあります。

お餅の形にも違いがあり、ぼたもちは大輪の牡丹の花をイメージして大きな丸い形に作られます。一方おはぎは、萩の花のように細長い俵型に作られます。

また、ぼたもちとおはぎの違いは、地域によって違うこともあります。

お餅に使用するお米の種類の違いによって、ぼたもちとおはぎを呼び分けている地域もあるそうです。出身地の違う知人と、ぼたもちとおはぎの違いについてお互いに話してみるのも話題が盛り上がって楽しいかもしれませんね。

お彼岸にお供えする花の種類のおすすめ

お彼岸だからといってお供えするお花に決まりはありません。普段のお墓参りと同様に、菊を中心とした仏花をお供えするのが一般的です。

故人の好きだった花、思い出の花など、大切な人にちなんだ花をお供えするのもよいでしょう。

秋のお彼岸時期に咲く花と言えば「彼岸花(ひがんばな)」が有名です。深紅の花が咲き誇る光景を見ると、秋の到来を感じるものです。

彼岸花

しかし、この彼岸花は有毒の花です。
彼岸花を見かけても目で見て楽しむだけにして、摘んだり触ったりしないようにしましょう。

お彼岸にふさわしい手土産、お供え物とは

手土産やお供え物についても、お彼岸だからといって何か特別なものを用意する必要はありません。
とはいえ、供養の気持ちを表現することは受け取る側にとっても嬉しいものですので、何か贈るものを考えてみてはいかがでしょうか?

お供え物の掛紙、水引、表書きはどうしたらいい?

お供え物の包装紙の上に一周ぐるっと巻く紙が「掛紙(かけがみ)」です。
掛紙に印刷されている水引が黒白・双銀、地域によっては黄白の結び切りになっているものを選びましょう。
お寺へお布施と一緒にお渡しする場合は、掛紙はなくて構いません。

表書きには、お寺にお渡しする場合は「粗品」または「上」と書きます。
親戚や知人へ渡す場合は「御供」とし、忌明け前であれば「御霊前」、忌明け後であれば「御仏前」と書くとよいでしょう。

お彼岸のお供えもののお返しにふさわしいもの

お彼岸にいただいたお供え物のお返しの品は、すぐに消えてなくなるものがよいとされていて、お茶、海苔、コーヒー、お菓子などが一般的です。
いただいたものの三分の一~半額程度を目安にするとよいでしょう。

表書きは、「彼岸供養」「粗供養」「志」「粗品」などとします。

お彼岸にお墓参りに行けない場合にどうしたらいいか

お彼岸の時期にお墓参りに行く都合がつけられない場合、家に仏壇や遺影があるのであれば手を合わせましょう。
お墓がある方角や、あの世(彼岸)があるとされる西に向かって手を合わせても構いません。
供養の気持ちを込めることが大切です。

事前にお供え物をお送りすると、なお良いでしょう。
お送りする品は3,000円~5,000円程度の日持ちのよいお菓子やジュース、お線香やロウソクなどが一般的です。
お彼岸が始まる前日(春分の日や秋分の日の4日前)までには届くようにし、仏壇やお墓にお供えしてもらいましょう。

自分がお墓を管理する立場である場合は、お墓掃除の代行サービスを利用するもの手です。
自分がお墓参りに行けない代りに、お掃除を依頼することができます。

お彼岸について よくある質問

お彼岸期間中にしてはいけないことはありますか?

お彼岸は喪中のように、身を慎む時期ではありません。
結婚式や入籍、お誕生日などのお祝い事や、連休に旅行をしたりすることは問題ありません。

ただ、お彼岸の時期に帰省したりお墓参りすることを習慣にしている人もいるので、人数を集めるイベントごとは配慮してスケジュールを立てるようにしましょう。

初彼岸の場合に行うことは何ですか?

故人が亡くなってから四十九日が過ぎた後に初めて迎えるお彼岸を「初彼岸(はつひがん)」といいます。
お彼岸では、四十九日を終え、あの世(彼岸)にいる方の供養を行います。
人は亡くなった後、四十九日まではまだこの世にとどまっているとされるので、お彼岸で供養を行うのは四十九日を迎えてからになります。

初彼岸だからといって、普段のお彼岸と特別変わったことをする必要はありません。

お彼岸にまつわる様々な地域の風習

真言宗で行われる大師会(だいしえ)

真言宗の寺院では、3月20日に大師会(だいしえ)が行われます。
これは、真言宗の開祖である弘法大師空海の入定(息を引き取り永遠の瞑想に入ること)した日であり、大師を讃える法要が行われます。
お大師様を信仰する人はいまでも日本全国にたくさんいるので、こうした人たちが近くの寺院に出向き、法要に参列してします。

浄土宗で行われる日想観(にっそうかん)

日想観(にっそうかん)とは、浄土教で行われる瞑想法です。
現在でも浄土宗や浄土真宗で大切にされているお経に『観無量寿経』というものがあります。
お坊さんや熱心な檀家や門徒には「観経」と呼ばれています。
その中では、極楽浄土を観想する(見る)修行法が16ほど書かれているのですが、そのうちのひとつが日想観です。

西に沈む夕日の方を向いて、気持ちを落ち着けて、まっすぐに太陽を見つめます。
やがて太陽が沈み、あたりはゆっくりと夕闇に覆われるのですが、それでも目の中に、そして心の中に太陽を見続けるよう観想するのだそうです。
目を開いても、閉じても、目の前に太陽が浮かんでいることが大切なのだそうです。

現在「念仏」と言えば称名念仏(しょうみょうねんぶつ)、つまりひたすら「南無阿弥陀仏」を唱えることですが、浄土信仰を日本中に広め、後世の法然(浄土宗の開祖)や親鸞(浄土真宗の開祖)に多大な影響を与えた源信は、観想念仏(かんそうねんぶつ)の必要性を説いていました。
つまり、瞑想と念仏の、両方を大切に考えたのです。

大阪・四天王寺で行われる日想観

大阪にある四天王寺は聖徳太子創建の由緒ある寺院です。
長らく浄土信仰の聖地として、たくさんの人々の信仰を集めています。

四天王寺の西門は極楽浄土の入口であるという信仰が古くからあり、いまでも、春分と秋分の夕刻から日想観を執り行います。
当日はたくさんの参拝客であふれ返り、出店や縁日が並びます。

日が傾いたころから極楽門の真下で法要が始まり、導師と一緒にその場に集まった数多くの参拝者も一緒に聖徳太子和讃や念仏(南無阿弥陀仏)を唱えます。
そして、法要が終わると、太陽が真西に沈むのを見届けます。
夕日は、極楽門からまっすぐ続く参道の向こうの石鳥居の中を沈み、たいへんきれいで、ありがたい光景が広がります。
参拝者からは「すごいなー」「きれいだなー」「ありがたいなー」と感嘆の声が洩れるほどです。

大阪の春と秋の彼岸の風物詩と言えるでしょう。

まとめ

季節が移り変わり、この世とあの世が近くなるお彼岸。
お墓参りやお寺参りをして、亡くなった人々を偲んでみませんか?

このページで解説したこと

  • お彼岸とは、春分の日と秋分の日を中心とした前後3日を含めた合計7日間のこと
  • お彼岸とは、悟りの境地である彼岸(あちら側)へ至るための修行期間
  • お彼岸に行われる修行「六波羅密」の内容
  • 太陽が真東から真西に沈むため、西方極楽浄土信仰と結びついた
  • お彼岸には祖先や死者を偲び、お墓参りを行う
  • 秋分の日は「お墓参りの日」に認定されている
  • 春はぼたもち、秋はおはぎをお供えする

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

春のお彼岸は寒さが和らぎ、秋のお彼岸は秋の訪れを感じる時期で、お墓参りをするには絶好のタイミングです。
墓石業界も、春のお彼岸から秋のお彼岸まで、建墓や納骨が多く、忙しい時期になります。

お彼岸に食べるものとして「おはぎ」が挙げられますが、地域によって異なります。ただ全体としてみると、概ね「おはぎ」をはじめとしたもち米等で作った団子状のものが多いような気がします。

ちなみに沖縄では、中国と同様、旧暦の「清明」にあたる4月にお墓参りを中心とした先祖供養の行事が行われます。
最近では沖縄のお墓も本州と同じような形のものが増えつつありますが、それでもお墓参りの習慣は「清明祭」に行われることが多いようです。