神棚封じとは何のこと?神式の考え方と神棚について

神棚封じとは何のこと?神式の考え方と神棚について

日本には数多くの宗教が存在し、またそれぞれの宗教に信者がいます。

そして、宗教の数だけ「葬送儀礼(そうそうぎれい)」「死生観(しせいかん)」「弔い(とむらい)の方法」が存在します。

今回はこの「葬送儀礼」「死生観「弔いの方法」と関係してくる
神棚封じ(かみだなふうじ)」について紹介していきます。

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この記事の目次

  1. 神棚封じとは、同居家族の不幸の際に家にある神棚を封じること
  2. 神棚封じの目的は、神に「死」の穢れ(ケガレ)を近づけないため
  3. 神棚封じをするタイミング
  4. 神棚封じを行うのは忌中の50日目まで
  5. 忌中は49日~50日を目安とする
  6. 神棚封じの方法
  7. 神棚封じ中の祖霊舎(それいしゃ)・仏壇のお供えについて
  8. 神棚封じをするときの注意点
  9. この記事のまとめ
  10. 監修者コメント

神棚封じとは、同居家族の不幸の際に家にある神棚を封じること

女性の喪服姿

「神棚封じ」とは、文字通り、家にある神棚を封じることをいいます。
これは、その神棚のある家に住んでいる家族のなかで不幸事が起こったときに行われる対応です。

「神棚」を設けているのは神道であるため、仏教やキリスト教ではこのようなことを行いません。やり方としてはそれほど難しいものではなく、神棚に白い和紙(半紙)を貼りつけるだけです。

また、毎日神棚を拝むというご家庭もあるかと思いますが、この期間中はお参りを控えます。また、お供えもしません。この「神棚封じ」は、神式独自の儀式です。
これは神式における死生観と密接に関係しているものであり、神式の宗教観を感じさせるものでもあります。

ちなみに、神式に限らず日本では「お正月」を非常に大切にします。
普段は特に熱心な神式の信者ではないけれど、お正月の間は神棚に手を合わせたり神社に足を運んだりする人も多いのではないでしょうか。
しかし忌中の期間であるなら、このようなこともしないようにしなければなりません。

神道信仰でなくても、神棚がある場合は行う

「現在は神道を信仰しているわけではない」
という場合でも、神棚があれば神棚封じを行った方がよいでしょう。
仏教を信じている場合であっても、そこに神棚があるかぎり、神棚封じは行うのが基本です。

日本では信教の自由が認められていますから、
「先祖は神道だったが今存命中の人間は全員仏教徒であり、故人も仏教徒だった。ただ、神棚はある」という家庭もあるでしょう。

信教の自由があり、かつ仏教と神道が複雑にまざりあい、また宗教に対する関心度が低い傾向にある日本においては、このようなことは往々にしてありえる話ですが、神棚があるのであれば、神道の考えに基づいて対応します。

神棚封じの目的は、神に「死」の穢れ(ケガレ)を近づけないため

そもそも、神道ではどうして「神棚封じ」をするのでしょうか。
これは、「神様を祀る神棚は尊いものであり、そこに死の穢れがいかないように」という考えがあるからです。

神道では、人は旅立った後は子孫を守っていく霊になると考えています。
仏教のように「成仏する」という考え方は持っておらず、家に留まり子孫を守っていくわけです。

亡くなった人の魂は子々孫々に受け継がれ、永遠に不滅のものとなると考えます。
神道と仏教は似通ったところが多い宗教でもありますが、「人は死んだらどうなるのか」に関してはこの2つはまったく異なった考え方を持っていると考えるべきです。

神棚封じが持つ意味

神棚は、神道において、非常に重要な役目を持つものです。

ここには神様が祀られていると考えられており、不幸事があった際には、その神棚に穢れが及ばないようにと願い、神棚を封じるのです。

ちなみに、神棚は家庭にだけあるものではなく、会社などでも神棚を作っているところがあります。

家の高いところ(天井付近)に作られることが多く、ここに(さかき。サカキ属に分類される植物のこと。神式の葬送儀礼などにおいてもよく用いられるものであり、神道において重要な植物。なお、仏教でよく使われる「樒・しきみ」とはしばしば混同されることがあるが、まったくの別物である)や神饌(しんせん。神様にお供えするもの。神棚にお供えするものは特に水や米、塩を指す。また、葬送儀礼においてはそれ以外の海や山のものを指すこともある)をお供えします。

神道においては、死を「穢れ」ととらえます。このため、この「穢れ」が、大切な神様のところにまで行かないようにするために、忌中は神棚封じをするとしているのです。
ちなみに、「神棚封じは半紙を張り付ける」としましたが、神棚の扉もしっかりしめるようにします。こうして、神様に穢れが及ばないようにするのです。

穢れとは「気が枯れた状態」の事を指す

「神道においては、亡くなった人は子々孫々を守る神様になってくださる」ということを考えれば、死を「穢れ」「汚いもの」「避けるべきもの」と考えるのはどうにも違和感があると思う人も多いのではないでしょうか。

ご先祖様が旅立ち、自分達を守ってくださるというのに、そこに「穢れ・汚いと当てはめるのは納得がいかないと感じることでしょう。ただ、ここでいう「穢れ」とは、「汚いもの」「汚物」という意味ではありません。

これは本来、「気枯れ(けがれ)」と表すべきものです。
神式においては、人は神様から神気をいただくと考えます。

この神気が枯れてしまった状態を「気枯れ」とし、その状態が神様に及ばないようにと考えるわけです。
そのため「死は汚いものだから、神様に及ばないようにしよう」という考え方で、神棚封じを行うわけではないのです。

このような「気枯れ」の考え方は、神棚封じだけではなく、ほかの葬送儀礼にも表れています。
仏式の葬儀においては、葬儀を行う場所として「菩提寺」「寺」が選ばれることもあります。
対して神式の場合は、結婚式(ハレの日、めでたいもの)は神社で行うことがありますが葬儀は決して神社では行いません。

仏教と神式の違い~仏壇は封じないのが一般的

仏教においては「お寺」「菩提寺」は冠婚葬祭両方の舞台となるものであり、またお骨などもお寺の敷地内に納めることができます(この「敷地内に納める」ですが、これは「お寺にご遺骨を預ける」「お寺の持っている墓地に納骨する」の両方の意味があります)。

しかしながら、神式の場合は「神社」はハレの日やお参りにだけ使われるものであり、葬儀のときには使いません。
加えて、神式の場合は亡くなった方を「祀る」ことはあっても、神社内に墓地を設けてそこに遺骨を納めるということは基本的にはありません(現在は例外も出てきていますが、依然として少数派です)。

仏教と神道は、明確に分けて論じることが難しい宗教でもあります。
昔は「神仏混合」とされ、その時代が1000年近くも続きました。
しかし「死」に対する考え方、そして「死んだ後に人はどうなるのか」「故人と、信仰対象(神もしくは仏)の関係」は大きく異なります。
このため、神棚と仏壇の両方がある家の場合は、「神棚封じは行うが、仏壇は封じない」などの対処が原則となります。

神棚封じをするタイミング

遺言の執行

神棚封じを行うタイミングは、故人が亡くなってすぐです。
ただ、「亡くなってすぐ」といっても、「病院で臨終の知らせを受けたときか、それとも故人が家に帰ってきたときか、あるいは葬儀後か?」と迷う人もいるでしょう。

さまざまな考え方がありますが、基本的には「故人が家に帰ってきて、枕飾りなどをした後」に行われるやり方が多いかと思われます。

人は亡くなると、以下の手順で自宅に運ばれるのが一般的です。

  1. 1.病院で死亡報告を受ける)
  2. 2.葬儀会社に連絡
  3. 3.葬儀会社が病院にやってきて、故人を車にお乗せする
  4. 4.自宅に故人をお連れする
  5. 5.その宗派によって正しいとされるやり方で故人を安置する。
  6. 7.枕飾りをする
  7. 6.帰幽奉告(きゆうほうこく)の儀を行う~神棚封じを行う
1.病院で死亡報告を受ける

病院以外で亡くなることもありますが、現在の日本では病院で亡くなるケースが多いので、ここでは「病院」としています

2.葬儀会社に連絡

近場あるいは前から決めていた葬儀会社に連絡します。多くの場合、ここで対応してくれた葬儀会社に葬儀を依頼することになります。

なお、神式の葬儀に対応していない葬儀会社は、まったくないといっても差し支えないので、どこの葬儀会社を選んでも葬儀は行えます。
ただし、「丁寧さや誠実さが感じられない対応だった」という場合などは、ほかの葬儀会社を選ぶこともできます。

3.葬儀会社が病院にやってきて、故人を車にお乗せする

葬儀会社の車で、故人をお連れします。

4.自宅に故人をお連れする

故人を自宅に一度お運びします。(家の間取りの都合でどうしても難しいときは、すぐに葬儀会場などにお連れすることもできます)

5.宗派によって正しいとされるやり方で故人を安置する。

神道と仏教の場合は北枕とします。
なお、神道では「上座が北である」という考え方から、仏教の場合は「お釈迦さまが入滅するときに、北側に頭を向けていたから」という考え方から北枕としています。
そのため、同じ「北枕」でも意味が異なります。

7.枕飾りをする

枕飾りを行います。枕飾りもまた、仏教にもキリスト教にも見られるものです。
仏教の場合は香炉や線香などを置き、神式の場合は米や塩、榊を捧げます。

ちなみに、キリスト教の場合は十字架などを使うようです。
なお、頭を北にして枕飾りを行うことを、特に「枕直しの儀」といいます。

ここまでのお祀りはすべて業者が行ってくれます。家族が行う必要はありません。手伝うところがあるとすれば、「故人が使っていた布団を出してほしい」などでしょう。

6.帰幽奉告の儀を行う~神棚封じを行う

帰幽奉告(きゆうほうこく)は、神棚封じと非常に密接な関係がある儀式です。
これは、神棚に向かって「○○が亡くなりました」と告げる儀式をいいます。
この報告が終わったあとに、神棚封じに移行します。扉を閉め、白い半紙をつりさげましょう。
なお、このときには、神棚に着けられていた飾りなどを外すこともあります。


このため「神棚封じを行うタイミング」は、「故人が家に戻ってきて、北枕に安置され、そして枕飾りがされた後」と考えるのが一般的です。多くの場合はこのようなやり方がとられるでしょう。

ただ、「神棚に穢れが及ばないように神棚封じをする」ということもあってか、故人が自宅にやってくる前に神棚封じを行うやり方をとることもあります。
この2つはどちらが正しい、正しくないといえるものではありません。

ただ有名な神社では「故人が帰ってきて、枕飾りをした後」としていますし、やはり故人の帰宅~枕直しの儀のタイミングで行われることが多いようです。

神棚封じを行うのは忌中の50日目まで

「神棚封じ」を行うタイミングは「すぐに」であり、また忌中(50日)にある間はお参りをしてはいけないとされています。では、神棚封じをやめるのはどのタイミングがよいのでしょうか?

これを考えるうえでは、「忌中」「喪中」について知らなければなりません。
「忌中」「喪中」は、神道や仏教に見られる考え方です。

忌中は49日~50日を目安とする

「いつまでを忌中とするか」は宗教によって異なります。神式の場合は、忌中は50日間とされています。また、仏教では49日とされています。これは、忌明けの祭事である「五十日祭(神式)」と「四十九日法要(仏式)」と繋がっています。

忌中とはどちらかといえば神道よりの考え方です。神道では「死は穢れたものである」と考えるため、この時期には神棚封じを封じ、人に軽々に近づかないようにします。
この期間中は心静かに祈りを唱えて過ごします。

仏教においては、本来はこのような「忌中」は存在しないと考えるのが自然です。
なぜなら、仏教においてはそもそも「死とは穢れである」とする考え方がないからです。しかし神道と仏教には共通する部分もとても多いですし、またそもそも言葉の使い方は時代や使う人によっても異なるものです。このため、現在は仏教でも「忌中」という言い方をとることがあります。

なお、仏教や神道ほどは頻繁には使いませんが、キリスト教の場合でも「忌明け」という言葉を慣例的に使う場合もあります。
キリスト教の場合は、忌明けを1か月もしくは50日とすることが多いといえます。

忌中と喪中の違い

「喪中」もまた、基本的な考え方としては「忌中」と変わりません。
故人を思い、喪に服すことをいいます。

この「喪中」は、「忌中」よりも期間が長く、1年程度とされることが多いといえます。「喪中につき、新年のご挨拶を遠慮させていただきます」などの喪中欠礼のハガキをもらったことのある人も多いのではないでしょうか。

なお、仏教でも、浄土真宗の場合は本来「忌中」「喪中」という考え方は存在しません。なぜなら浄土真宗の考え方では、亡くなった人(で仏様を信じていた人)はすぐに成仏すると考えるからです。ただ、「なんとなく抵抗感があるので」ということで、喪中ハガキなどを用意する人もいます。

神棚封じの解除は忌明けが目安

この「忌中」「喪中」の考え方は、神棚封じにも大きな影響を与えます。

神棚封じが基準とするのは、「忌中」であり、「喪中」ではありません。
つまり、50日を過ぎたら神棚封じを解くのが基本的な考え方なのです。

喪中(1年程度)の間中ずっと神棚封じをしなければならないというはありません。基準となるのは、あくまで「忌中」です。

「忌中」はなぜ50日に設定された?

かつては「服忌令(ぶっきりょう)」によって、喪に服すべき期間が決まっていました。
神式の場合は、父母ならば50日間を忌引きとし13か月間を喪中とし、嫡子ならば20日間を忌引きとし、90日間を喪中とするなどです。

これは明治時代に定められ昭和22年まで続いていました(「子どもよりも父母の方がずっと重んじられる」「嫡子と養子と嫡子の方が重んじられる」「夫と妻だと夫の方が重んじられる」などに、時代背景が現れているともみることができます)。

現在はこの服忌令はありませんが、もっとも期間の長かった父母(50日)にのっとって、この期間を「忌中」としています。なお、現在でも地域によっては、「亡くなった人と喪主の関係」によって神棚封じを変えるところも見られます。このときの「関係性」は、服忌令にのっとっています。父母ならば50日、祖父母ならば30日といった具合です。

葬儀がそうであるように、「亡くなった後にどうするか」にも地域性がみられます。
「正確な数字が分からない」ということであれば50日間で問題ありませんが、もし親戚にこだわる人もしくは詳しい人がいたのなら、意見を仰いでみるとよいでしょう。

神棚封じの方法

神棚封じのやり方は、それほど難しいものではありません。

  1. 1.神棚に向かって挨拶を行う
  2. 2.家族が亡くなったことと、その家族の名前などを報告する
  3. 3.お供え物を下げる
  4. 4.扉を閉める
  5. 5.半紙を貼る

なお、しめ縄がある場合は、そのしめ縄にテープで半紙をはりつけます。この際には、画びょうなどは使いません。
また、神棚に飾りなどがある場合は、それを取り外してから神棚封じを行う場合もあります。

神棚封じは、基本的には「家族以外の人」が行うのが理想です。家族にもすでに穢れが影響を与えていると考えるからです。

しかし葬送儀礼が小規模なものへと変化していっていることや宗教に重きを置かない人を増えたこともあってか、現在では家族で神棚封じを行う場合もあります。

神棚封じ中の祖霊舎(それいしゃ)・仏壇のお供えについて

神棚封じをしているときの、「祖霊舎」と仏壇の扱いについて見ていきましょう。

祖霊舎は封じる必要がない

祖霊舎とは、先祖の魂が宿っているものです。

なかには霊璽(れいじ。仏教における位牌のようなもの)が収められています。
なお、似たような言葉で「祖霊社」というものがありますが、これは神社などに祀られる祠(ほこら)のことをいうので、「祖霊舎」とは明確に区別されます。

祖霊舎は、まれに「祭壇宮(さいだんみや)」や「神徒檀(しんとだん)」と呼ばれることがあります。ただ、ここでは「祖霊舎」に統一します。

祖霊舎は仏教における仏壇と同じようなものです。ここには「先祖の魂」が祀られていますが、神棚とは異なり封じる必要はありません。
また、「親戚が亡くなった。神式の葬儀に参加するつもりだが、同居していたわけではない」という場合は、神棚封じを行わなくて構いません。

なお、「新しい祖霊舎を購入した」という場合は、五十日祭のときにお祓いをしてもらう必要があります。

仏壇は仏教のもののため普段通りのお供えをする

仏教の場合は神道とは異なり、死を穢れだとはとらえません。
そのため、忌中の間であっても開いておいて構いませんし、普段通りお供えをしていても構いません。
ただ、これについては家庭・地域ごとのによって考え方が異なるといえます。

「神道では神棚を封じるのだから、仏教でも仏壇を閉めるのだと思っていた」と思っていた人もいれば、「新しくお迎えする故人のことでばたつきますし、お参りすることもできませんので……」といった理由で閉める人もいます。
また、もっと現実的な話で、「仏壇の扉を開いておくと作業がやりにくくなる」を閉める理由とすることもあります。

このため、仏壇に関しては、「閉める必要ではないし、開けておくことを推奨とする場合もある。しかしご家庭や地域などによっては閉める場合もある」といえるでしょう。
あまりかたくなにならずにやりやすいようにやればよいかと思われますが、不安ならば葬儀会社のスタッフなどに相談するとよいでしょう。

神棚封じをするときの注意点

ポイントを示す女性

神棚封じをするときの注意点についても取り上げます。

途中で開封した場合はお塩で清めて改めて封印する

「忌中まで神棚封じをしなければならないものだとは知らず、葬儀後神棚封じを解いてしまった」という人もいるかもしれません。神棚封じもほかの儀式もまた、普段の生活のなかにはないことですから、間違いは往々にして起こりうるものです。

間違って神棚封じを解いてしまったとしても、あまり問題はありません。この場合は塩を使って自分を清めた後、再びテープで半紙を貼りつければよいのです。これで神棚封じは続いていることになります。

仏壇を封じるのは神棚封じと意味が異なる

「神棚封じ」は非常に宗教的な意味合いが強いものですが、「仏壇を封じること」は神棚封じほどの強い宗教色は持ちません。

神棚封じの場合は「神様に穢れが及ばないように」と行われるものです。現在でこそかなりフレキシブルに考えられるようになりましたが、

  • 報告をしてから閉める必要がある
  • 普段はしていないこと(半紙を下げるなど)が必要となる
  • 本来は、穢れの影響を受けていない第三者が行う必要がある
  • 忌中(神道の考え方によるのであれば、50日間)は開かない

という決まりがあります。

対して、仏壇を閉め場合はこのような厳格なルールは存在しません。
人が亡くなった後でも、原則として仏壇は開けたままで構いません。

ただ、「仏壇とは、小型のお寺である」とする考え方もあるため、「お寺が朝に開いて夜に閉まるように、仏壇も朝に開けて夜に閉める」という家庭もあります。
ほかにも、「ほこりが入るのがいやだから閉じておく」「閉めっぱなしにしておくと湿気がこもりそうだから開けておく」と判断する人もいます。

「小型のお寺だから、朝に開けて夜に閉める」という考え方に関してはやや宗教的な色がみられますが、それ以外の部分では「手入れのしやすさ」が表に出てきています。

このように、神棚封じと仏壇を封じることは根本的にもまったく違うものなのです。

この記事のまとめ

神棚封じとは、神道の葬送儀礼において行われる儀式のうちの一つです。

神道においては、死を「穢れ」ととらえます。そのため、この穢れが神棚に及ばないように神棚を封じるのです。
もっとも、ここでいう「穢れ」とは「気枯れ」のことであり、一般的な「汚れ」の意味ではありません。

やり方は簡単です。神棚の前に、白い半紙を下げるだけです。
ただ、その前には神様にお祈りとご報告をすることが必要ですし、また飾りなどがあった場合はそれを片付けるようにします。
しめ縄がかかっている神棚の場合は、しめ縄の上からテープで半紙を止めます。

本来この「神棚封じ」は、家族以外の人間が行うべきものでした。同居していた家族もすでに穢れの影響を受けているから……というのがその理由です。しかし現在では家族が行うケースも珍しくなく、わざわざ第三者に頼むことも少なくなっています。

神棚封じが行われるのは、一般的に、「故人を自宅に安置した後」です。
故人を病院からお連れし、枕直しの儀が行われた後に、帰幽奉告を行いその流れで神棚封じを行います。
ただこれについてはある程度違いも見られ、「亡くなった後すぐ(つまりまだ故人が家にいない状態)で神棚封じを行う」というところもあります。

封じた神棚は、50日を目安として封印を解きます。
この「50日」というのは、神道における重要な祭礼儀式である「五十日祭」が行われる日です。この期間までは「忌中」と考えられています。

なお、「忌中」と似た言葉として「喪中」が挙げられますが、これは1年続きます。喪中よりも忌中の方がさまざまな制限が多く、忌中の期間は結婚式など控えるべきだと考えられています。なお途中で誤って神棚封じを解いてしまった場合は、塩で身を清めた後に、再度半紙を貼りつければ問題ありません。

神道と仏教には共通点が多くみられます。しかし「死生観」「死をどのように考えるか」については違いがみられます。
仏教の場合は死を穢れとはとらえません。このため、「仏壇を封じる必要性」はないのです。普段と同じようにお供えをしても構いません。
ただ現在は、「仏壇を閉めてしまってもそれほど問題にはならない」と考える向きもあります。

なお、「祖霊舎」は先祖を祀るためのものです。このなかには霊璽が入っており、仏教における「仏壇と位牌」に近いものです。この祖霊舎に関しては封じる必要はありません。

日本では神道と仏教とは、分けることの難しいものとして存在してきました。そのため、「神棚もあれば仏壇もある」というご家庭も多いことでしょう。この場合は神棚だけを封じて、仏壇はあけっぱなしにしておくのが基本です。

もっとも葬送儀礼のかたちは進歩・進化して行っています。わからないことがあれば、葬儀会社のスタッフなどに聞くとよいでしょう。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

その家に死者が出ると、神棚に白い半紙をつけます。これを神棚封じといいます。かつて神棚封じは、家族以外の第三者がすること、とされていました。その慣習が残っている地域では、第三者として神棚封じをしてくれる葬儀社もあります。
現代では、神棚がいくつもある家庭は少なくなりましたが、かつては、井戸や家畜小屋、作業小屋、厠など、それぞれの場所に神が祀られている家もありました。江戸時代の浮世絵などでも、神棚と思われるものが描かれています。

仏教が伝道宗教だとしたら、神道は宗教というより地域より派生した民間信仰ですので、「こうしなければならない」という厳密な決まり事はありません。神棚の扱い方等がわからない場合は、地域の氏神様や、崇敬神社に聞いてみると良いでしょう。

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