墓誌とは先祖の名を刻む石!意味や目的を解説

墓誌とは先祖の名を刻む石!意味や目的を解説

墓誌とは?徹底解説

  • 墓誌は先祖の名前を記録する石で、後代への伝承に役立つ。
  • 墓誌は任意で、名前は軸石にも彫れる。設置場所は自由だが通常は石塔の側にある。
  • 戒名や命日などを墓誌に彫る。宗派により内容・順序が変わることも。追加は新墓誌で対応。
  • 墓誌費用は10万円から。石材・彫刻・工事込み。名前が多い場合や手間を省く時に設置が良い。

お墓に入っている方を記録している「墓誌」ですが、お墓の横に建てられているのを見た事がある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、墓誌を建てる意味から彫る内容、墓誌の費用まで解説していきます。
あなたにとって本当に墓誌が必要なのか、どんな内容を彫るべきなのか、検討していくための参考にしてください。

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この記事の目次

  1. 墓誌はお墓に埋葬された先祖の名前を記録するもの
  2. お墓に埋葬されている人を後世に残す役割がある
  3. 墓誌の成り立ちから、墓誌の意味や必要性を考える
  4. 墓誌に彫る内容と注意点
  5. 墓誌の費用は10万円台から
  6. こんな人に墓誌の設置はおすすめ
  7. まとめ

墓誌はお墓に埋葬された先祖の名前を記録するもの

墓誌はお墓に埋葬された先祖の名前を記録するもの

墓誌とは石塔の横などに設置される、ご先祖様の名前を刻む板石のことです。

「霊標」「戒名板」「法名碑」などとも呼ばれます。

お墓に埋葬されている人を後世に残す役割がある

私たちは、祖父母や曾祖父母より古いご先祖様が、どんな顔で、どんな声で、どんな人柄だったかだなんて知ることができません。

でも、そのようなご先祖様がいたからこそ、今自分がここにいるというのは揺るがない事実ですよね。
お墓参りした時に墓誌に刻まれたご先祖様の名前を見ることで、

「ああ、こんな人が私たちの先祖にはいたんだなあ」
「この時代に〇〇という人が生きていたんだなあ」

などと、時を超えて自分たちの先祖に想いを馳せるものです。

亡くなった人に名前を授けて、その名前を石に刻むことで、後世に残された私たちは死者や先祖とつながることができるのです。

では、墓誌がどのような成り立ちで作られるようになったのかなど、墓誌の意味を具体的に説明して参ります。

墓誌の成り立ちから、墓誌の意味や必要性を考える

墓誌が作られ始めたのがせいぜい3~40年前からであることを、皆さんはご存知でしたか?
お墓の成り立ちから、墓誌が作られるようになるまでをじっくりと見ていきましょう。

もともとは1人につき1つのお墓だった

もともとお墓は1人につき1つの石塔が建てられました。

昔は土葬が主流だったために、遺体を葬り、土をかぶせて、その上に自然石や石塔を据えることで、その場を墓所と認識させたのでした。

今の時代のように墓地が割り当てられているわけではなく、墓地内の空いた土地を墓所として、埋葬していったのです。

今でも古いお墓を見ると、墓石の正面文字が「〇〇家乃墓」などではなく個人単独の名前だったり戒名だったりします。こういったお墓は個人墓なのです。

イエ制度と同時に夫婦墓が登場

江戸時代になると寺檀制度(寺と檀家の専属的な関係)が確立され、それは同時にイエ制度の始まりでもありました。

死者の埋葬地におかれる石碑は、イエ制度においてシンボル的役割を果たすようにもなります。
その家族を支える最も代表的な単位は夫婦であるために、このころからお墓の正面に夫婦の名前を刻む夫婦墓が登場します。

墓埋法の制定により家墓が急増

戦後まもなくお墓や埋葬等の死者の取り扱いに関する法律『墓地埋葬などに関する法律(通称「墓埋法」)』が制定され、自由に埋葬や建墓ができなくなりました。

これにともない、墓地も区画整理され、墓地が不足していったために、1つの石塔で先祖代々を祀る家墓が登場します。現在私たちがよく見るお墓のスタイルです。

正面には個人で夫婦の名前でもなく「〇〇家之墓」などのように家名を刻み、これまで墓石の正面に刻んでいた個別の戒名は軸石の両脇に彫刻するようになりました。

軸石の両脇には名前が収まりきらず、墓誌が登場する

家墓ではその家系代々の人の遺骨を埋葬して名前を刻むので、やがて彫刻するスペースが無くなってしまいます。

そうして現れたのが墓誌です。

墓誌は礼拝の対象となるものではなく、先祖の戒名などを刻む、記録のための板石です。
現在ではこの墓誌を石塔の横に据え付けるのが一般的なスタイルになっています。

墓誌は必ずしも必要ではない

墓誌は必ずしも必要ではありません。
軸石の側面に彫るスペースがあれば、そこに彫ればいいのです。

文字の大きさや配列にもよりますが、通常であれば片面に4名、つまり両面で8名までは彫刻することができます。8名といえば、夫婦で刻んだとしても4代先のことです。

石屋さんにそそのかされてついつい墓誌を購入するのではなく、自分たちのお墓に墓誌が本当に必要かどうかをまずは考えましょう。

設置場所にも決まりはない

墓誌の設置場所に決まりはありませんが、石塔の左右に設置してあるのを多く見かけます。

墓誌に彫る内容と注意点

墓誌には、故人様やご先祖様のさまざまな情報を彫刻します。
宗派によって彫刻する内容が異なることもあります。詳しく見ていきましょう。

一般的に墓誌に彫る内容は4つ

一般的に墓誌に彫る内容は4つ

墓誌には以下の4つを彫刻します。

  • 戒名:寺院により授かった戒名。浄土真宗では法名と呼びます。
  • 命日:亡くなった年月日を彫刻します。多くは元号(昭和、平成など)を用いますが、キリスト教のお墓では西暦が用いられたりします。
  • 行年:年齢を彫刻します。年齢は数え年(実際の年齢に、お腹の中の一年を加えたもの)が一般的です。
  • 俗名:ご先祖様の生前の名前のことです。

宗教による違い

墓誌の形は、宗派によって異なることはありませんが、彫刻する内容は宗派ごとのきまりごとがあります。一般的なものをまとめました。

  • 真言宗では梵字の「ア」を刻むことがあります。  梵字の「ア」
  • 浄土真宗では死者に授ける名前を戒名ではなく「法名」と呼ぶために、墓誌のことも「法名碑」と呼びます。
  • 日蓮宗などの法華系に宗派では「妙法」という二字を加えることもあります。
  • キリスト教では横書きで彫刻することもあります。

墓誌に彫るスペースがなくなった場合

墓誌は、一般的な大きさのもので、片面8~10名彫刻することができます。
表面がいっぱいになったら裏面を使うこともできるため最大20名程度の名前を刻むことができます。

万一墓誌に彫るスペースがなくなったら、新しい墓誌を作り、墓地内の別の場所に据え付けます。
あるいは、古い先祖を「〇〇家先祖代々之霊位」としてまとめてしまう方法もあります。

新しい墓誌を用意して、一番初めに「〇〇家先祖代々之霊位」と彫刻し、2番目以降に個別の戒名を刻みます。

戒名を彫る順番は亡くなられた順

戒名を彫る順番は、向かって右側から亡くなられた順です。
また、夫婦単位で彫刻する場合もあります。

墓誌の費用は10万円台から

墓誌を据え付けしてもらうには、安価なものでも10万円から20万円は必要となるでしょう。その内訳をまとめてみました。

新しく墓誌を建てる費用

墓誌を新たに建てるには、墓誌の石材費、彫刻費、そして工事費用が必要です。
石材は使用する種類にもよりますが、安価な外国製の石で10万円程度します。国内産出の高価な石材だと100万円近くするものもあります。

彫刻費も彫る名前の数にもよりますが、5万円前後でしょうか。
工事費も墓地の状況によりますが、一般的なところでは3万円前後だと思われます。
これらを総合すると、安価なものでも10万円から20万円は見ておいた方がいいでしょう。

墓誌に追加で戒名を彫る費用

いまある墓誌に戒名を追加で彫刻する場合は5万円前後が相場です。
最近は現地での彫刻が一般的ですが、墓誌を工場に引き取って彫刻することもあります。

こんな人に墓誌の設置はおすすめ

墓誌は必ずしも必要ではないですが、墓誌を据えることによるメリットもあります。
以下の考え方に当てはまる人は墓誌を検討されたらよいでしょう。

8名以上の名前を彫刻しなければならない人。

軸石に彫刻することのできる人数は、左右でせいぜい8名までです(文字をもっと小さくすればできなくはないですが、あまりおすすめできません。

これまでのご先祖様、これからの家族や次の代の人数を考慮して、8名に及びそう、あるいは超えそうな場合はあらかじめ墓誌を用意するのがいいでしょう。

性根抜きのお参りの手間を省きたい人

軸石に戒名の彫刻をする場合、そのたびに寺院の性根抜きと性根入れが必要になります。礼拝の対象である軸石は仏さまやご先祖様のお性根(魂)が入っていて、それに向けては彫刻できないのです。

その墓前で読経していただくためにお布施も必要になります。
これらの手間を省きたい方は墓誌をおすすめします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

墓誌はあってもなくてもよいものです。それ自体に魂がこもるものでもありません。
とはいえ、ご先祖様の生きてこられた証を後世に残すとても大切な石材です。

石に名前を刻むことが、その人の生きた証を永遠に残すことになり、私たちのルーツを思い出させてくれる場所になるのです。