お墓の形は何が人気?和形・洋型・デザインといった種類を解説

ピアノの形をしたお墓に水をかける女性

お墓の形について徹底解説

  • お墓には和型、洋型、デザイン墓石の3種があり、地域や宗派で好みが分かれる
  • 形選びは霊園規約、雰囲気、石材店の範囲、家族意向、予算を考慮する必要がある
  • お墓探しは石材店選びが鍵で、複数店の情報を比較検討することが大切

お墓の形を自由に決められるなら、どんなデザインにしたいでしょうか。
今は伝統的な和風のお墓ばかりではなく、洋風のおしゃれなお墓やオリジナルデザインのお墓を選べます。
でも、種類豊富だからこそ、迷ってしまうということはありますよね。

この記事では、お墓の形の種類と地域や宗派による違いを解説します。
また、お墓の形を決めるときの注意点も解説するので、自分の好みだけでなくいろいろなことを考え、総合的に検討できるようになりますよ。

建ててしまってから致命的なことに気づいては遅いですから、石材店と打ち合わせをする前に、知識を豊富に持っておきましょう。

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「お墓」は一生に一度あるかないかの大きな買い物。
後悔のないお墓を建てるためには、パートナーとなる石材店選びがとても重要です。

  • お墓を建てるのにかかる費用・相場が知りたい
  • 自分の希望するお墓を建てられるかどうか知りたい
  • お墓を建てるまでの流れを知りたい

など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
お墓について詳しく知るには実際に複数の石材店の話を聞き、しっかりと情報収集することをオススメします。

まずは気になる墓石の資料を請求してみましょう。

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この記事の目次

  1. お墓の形は大きく分けて3種類
  2. 地域によるお墓の形の割合
  3. 宗派によるお墓の形の違い
  4. お墓の形を決める上での注意点
  5. まとめ
  6. 監修者コメント

お墓の形は大きく分けて3種類

お墓の形には、大きく分けて3種類があります。

  • 和型墓石
  • 洋型墓石
  • デザイン墓石

次の見出しから、順に説明します。

和型墓石

和型墓石は、伝統的な縦長のお墓です。
長方形の墓石に、「●●家之墓」「先祖代々之墓」などと刻まれている、おなじみのお墓を指します。
特徴的なデザインには、以下のように名前がついています。

大名墓(だいみょうばか)

時代劇で馬に乗った大名がかぶっているような傘を、石造りで竿石にかぶせてあるのが大名墓です。
有力者を個別に弔うために作られたお墓でしたが、現代では好みによって誰でも使えます。

五輪塔型(ごりんのとうがた)

丸い飾りのようなものがついた三角形の屋根の下に球形、四角形の石が連なっているのが、五輪塔型墓石です。
てっぺんの丸い飾りにもきちんと意味があります。

上から、宝珠形は「空輪」、半月形は「風輪」、三角形は「火輪」、球形は「水輪」、方形は「地輪」を表し、
自然界の5大要素を表しています。
鎌倉時代から武家や有力者などがお墓に使用してきた形です。

宝篋印塔型(ほうきょういんとうがた)

上部に宝珠型の石が置かれ、屋根部分が細く長く、尾根が王冠のような作りをしているのが宝篋印塔(ほうきょういんとう)型です。
本来はお経を納めるための塔です。
供養塔や、古くからの名家のお墓に使われることが多く、一般的な墓石としてはあまり扱われません。

洋型墓石

洋型墓石は、横に長く背が低い、すっきりしたデザインのお墓です。
外国映画によく出てくるようなお墓の形といえば、イメージが湧くでしょうか。
洋型墓石も、特徴的な形には名前が付けられています。

オルガン型

ただの横長ではなく、名前を彫りこむ前面を斜面にした洋型墓石を、オルガン型と呼びます。
洋型墓石は背が低いので、正面を斜面にすることで、彫刻された文字が見やすくなります。

ウォール型

洋風のすっきりした趣を残しながらも、竿石部分を縦長にした洋型墓石を、ウォール型と呼びます。
横長の墓石ではスペースを取ってしまうような場合に、省スペース型として利用されます。

プレート型

芝生型の墓地などに、直接名前が刻まれたプレートを埋め込んであるのが、プレート型の洋型墓石です。
使用する墓石の量が極端に少ないので、他の形に比べて安価なのが特徴です。

デザイン墓石

各石材店が独自に開発したり、オリジナルデザインを発注したりして作られる墓石を、デザイン墓石と呼びます。
デザインは実にさまざまです。代表的なタイプをご紹介します。

墓石の一部にガラスがはめられている

光を通す色ガラスが墓石にはめられているデザイン墓石は、全面に墓石を使っているものよりも明るい印象になります。
月形や円形に抜いてあるデザインが多いですが、なかには全面がガラスになっているものもあります。

参考:光り墓
http://hikaribo.jp/

洋型墓石の上部が流形をしている

基本は洋型墓石ですが、上部が波打つようなデザインになっているものです。
上部の仕上げ方を変えるだけなので、デザイン墓石の中では安価で済みます。

彫刻が個性的

オリジナルデザインの彫刻を施した墓石も、デザイン墓石のひとつです。
和型でも洋型でも対応でき、彫刻を選ぶだけなので、やはりデザイン墓石の中ではリーズナブルです。

色の違う墓石を組み合わせている

2色以上の墓石を組み合わせた墓石もまた、デザイン墓石の一つです。
墓石の材質によっては組み合わせられないものも多いため、
自分で好みの石や色味をいちから検討するというよりは、石材店が提案するデザインの中から選ぶのが一般的です。

参考:カーサメモリア「アオイ・イチ」
http://www.casa-memoria.jp/lineup/aoi/index.html

お墓の形自体がユニーク

ピアノ型や本型など、お墓の形自体がユニークなものは、施主側からの発注であることが多いでしょう。
石材店側が用意しているデザイン墓と比べると、かなり費用がかさむ傾向にあるため、予算と照らし合わせながら話し合いを進めます。

さまざまなお墓の形があることを見てきましたが、とくに選ばれているのは、どんなデザインなのでしょうか。
実は、選ばれるお墓の形は、地域によって違いがあります。次章で詳しくご案内します。

地域によるお墓の形の割合

地域によって、選ばれるお墓の形は若干違いがあります。
全優石(全国有料石材店の会)が2017年に調査したデータを参考に、どの地域でどんなデザインが選ばれているのかを解説します。

参考:http://www.info-ginza.com/zenyuseki/2017/07user/user.pdf

東北~関東では洋型墓石が人気

東北から関東にかけては、半数近くの人がシンプルな洋型墓石を選ぶ傾向があります。
とくに一都三県に絞ると、洋型墓石を選ぶ人が67%、和形は18%と、圧倒的に洋型が優位です。
都市部にガーデン型や芝生型など洋風の霊園が増えたことで、洋型墓石を利用する人も自然と増えたと考えられます。

北陸、近畿、中国、四国では和形墓石が人気

東日本とは真逆で、西日本では伝統的な和型墓石が人気です。
とくに近畿地方では和形墓石の割合が78.2%、四国に至っては82.4%を占めます。

京都を中心として、近畿や北陸はお寺との付き合いがまだまだ盛んで、今まで使っていた墓地に新しい墓石を建てるケースが多いためと考えられます。

また、東日本よりも西日本のほうが、墓地面積が若干狭いという事情も関係しているかもしれません。
墓地が狭いときは、横長の洋型墓石よりも縦長の和型墓石のほうが建てやすいのです。

さらに、四国は伝統的に高級墓石の産地であることから、
昔ながらの和型墓石を好む人が多いということができるでしょう。

中部地方はデザイン墓が人気

中部地方は、和型墓石が45.6%、洋型墓石が33.1%で、デザイン墓を選ぶ人が17.2%います。
デザイン墓を選ぶ人の割合が多いのが、中部地方の特徴です。
この理由を考えるのはなかなか難しいですが、デザインに優れた石材店の頑張りが功を奏しているのかもしれません。

地域によってこんなに傾向が違うとは、驚いてしまいますね。
次章では、宗派によるお墓の形の違いをご案内します。

宗派によるお墓の形の違い

宗派によって、お墓の形も違ってきます。
代表的な次の3つの宗派について解説します。

  • 仏教
  • 神道
  • キリスト教

仏教でも洋型墓石を建てられる

「仏教なら和型墓石」という印象がありますが、現代においては、その限りではありません。
仏式の葬儀を選んだ人も、洋型墓石を建てることができます。

ただし、菩提寺や霊園の方針には気をつけなければなりません。
また、一般的に浄土真宗では五輪塔型の墓石を建てませんから、注意しましょう。

神道のお墓の形は決まっている

神道のお墓の形は決まっています。
見た目は一般的な和型墓石ですが、上部の仕上げ方に注目すると、4面が斜めに切られ、三角錐の形をしています。

これを「角兜巾(かくときん)型」といい、神道特有の墓石の形です。
よって、神道である場合は自動的にお墓の形が決まるため、心得ておきましょう。

キリスト教の墓石に制限はない

キリスト教の墓石に制限はありませんが、やはり洋型が好まれます。
墓石のどこかに、キリスト教のシンボルである十字架を刻むケースが多いでしょう。
信仰心がとくに強いと、シンボルとなる竿石自体を十字架の形にすることもあります。

以上のように、若干の制限はあるものの、神道以外であればお墓のデザインの選択肢はけっこう幅が広いものです。
ただ、注意しなければならない点はありますから、次章で詳しく解説します。

お墓の形を決める上での注意点

お墓の形を決める上では、次のことに注意しましょう。

  • 霊園の規約
  • 霊園の雰囲気
  • 石材店がデザインできる範囲
  • 配偶者や子どもの意向
  • 予算

詳しく解説します。

霊園の規約に制限はないか

霊園によって、お墓のデザインに制限がある場合が少なくありません。
例えば以下のような制限です。

  • 寺院墓地につき洋型・デザイン型は遠慮すること
    寺院墓地の景観を損ねないため、基本的に和型墓石を選んでほしいという寺院側の要望です。

  • 洋風の雰囲気を大事にした霊園なのでデザインは用意されているものから選ぶこと
    霊園の雰囲気を崩さないよう、霊園側が用意している複数のデザインから選んでほしいという要望です。

  • 高さ●cm以上の墓石は建てない
    倒壊の危険を避けるため、高すぎる墓石は建ててはいけないという決まり事です。

契約予定の墓地があれば、規約をじっくり読んで、自分の希望に沿ったお墓を建てられるかどうか考えてみましょう。
不明点のある場合は、管理者に問い合わせたり、石材店に相談したりするなどして、必ず疑問を解消しておきます。

霊園の雰囲気に合っているか

たとえお墓の形を自由に選べるとしても、デザインが霊園の雰囲気にそぐわないと、違和感を覚えてしまいます。
実際に契約予定の霊園を見学して、自分のイメージ通りに希望のお墓が建てられるかどうか想像してみましょう。

石材店はオーダーに応じてくれるか

とくにデザイン墓石を選びたい、オーダーしたいという要望があるなら、石材店の腕を見極めることは必要不可欠です。
民間の霊園や寺院墓地は指定石材店制度をとっていることがほとんどなので、
指定された石材店がオーダー通りの墓石を作ってくれるかどうかは、念入りに確認しましょう。

指定の石材店ができないデザインの墓石を、どうしても使用したい場合は
墓石だけを違う石材店に発注し、基礎工事や墓石の設置は指定石材店に行ってもらうという手があります。
ただ、柔軟な対応を取ってくれるかどうかは、石材店や霊園しだいです。

配偶者や子どもの意見はどうか

奇抜なデザインの墓石にしたいときにはとくに、家族にもよく相談しましょう。
一緒にお墓へ入る配偶者や、お参りをしてくれる子世代から
「そのデザインのお墓には入りたくない、お参りしたくない」と反発を受ける可能性もあります。

家族みんなが納得し、気持ちよく使えるお墓を建てたいものです。

予算内に収まるか

お墓の形を自由に選べると、つい嬉しくてさまざまな装飾を施すなど、凝ってしまいがちです。
しかし、予算内に収まるかどうかを常に意識しなければなりません。

墓石の値段は、石材の質、墓石の量、そしてデザインで決まります。
一般的には、背が高く石材を多く使う和型墓石のほうが、洋型墓石よりも値段が高くなりがちです。
さらに、装飾やデザインといったオプションをつけると、費用がかさむ傾向があります。

自分の希望通りにお墓のデザインを決定したら、一度詳細な見積もりをもらい、予算内に収まるかどうかを確認しましょう。

以上のように、霊園や寺院、家族、そして石材店とよくコミュニケーションをとることが、
希望通りの墓石デザインを叶える近道です。

まとめ

この記事では、お墓の形について解説しました。
和型、洋型、デザイン墓石のうち、気に入った形、自分の希望や宗教に沿った形はあったでしょうか。

好みはもちろんのこと、霊園や寺院の意向、石材店が施工可能な範囲、家族の希望などをヒアリングしたうえで決めましょう。
さまざまな形やデザインがあることを知れば、きっと楽しくお墓を選ぶことができますよ。

墓石の形以外の基礎知識について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

有名人の中には、お墓の場所をオープンにしている人も少なくありません。「人生いろいろ」のヒット曲で知られる島倉千代子さんは、生前に自身のブログ(※現在は閉鎖)の中で、「生前にお墓を建てました。〇〇にあります。皆さんいらしてください」と報告していました。そのため、亡くなった直後は納骨前にもかかわらず、多くのファンが詰めかけたものです。

漫画家の長谷川町子さんは、多磨霊園にあるのですが、クリスチャンだったため洋型の墓石で、中央に小さく十字架が刻まれています。岡本太郎さんの墓も同じく多磨霊園にありますが、1967年に発表された作品、「午後の日」をモチーフに造られたもの。お墓をじっと見ていると、その人の人生、家族の歴史をいろいろと想像してしまいます。