終活の基本!やることやエンディングノートについて
終活は、今やシニアのたしなみです。残される家族に迷惑がかからないよう、終活を始めなければと考えている人も多いでしょう。
しかし、いざとなると、何から手をつけたらよいのかわからないのもまた、終活の特徴といえます。
この記事を読んで分かること
- 終活って、そもそも何をすればいいの?
- 終活は何歳ごろからやればいい?
- 親に終活を始めてもらいたいと思うけれど、子世代ができることは何かないだろうか?
この記事では、以上のような疑問や悩みを持つ人のために、終活では何をいつからやるべきか、子世代が手伝えることは何かについて解説します。
また、終活は、その内容を伝えておくことが一番重要です。内容を伝える有効的な手段についてもご案内します。
終活とは人生の最期に生じるさまざまなことへの準備
終活とは、「終」わりに向けた「活」動の略で、「自分で自分のことができなくなる前に、やっておく」ことを指します。
年を取って身体が不自由になったとき、認知症になったとき、そして亡くなったときなど、自分で自分のことができなくなるときは、必ず訪れます。
そんなときにお世話になる人の手を煩わせないように、また、自分の希望を叶えてもらえるように、前もって準備をしておくことが終活です。
終活には、次の4つの種類があります。
- お金にまつわる個人情報の整理
- 荷物の整理
- 介護、終末医療、葬儀、お墓についての希望を固める
- 相続についての準備
それぞれ解説します。
お金にまつわる個人情報の整理
銀行関係、保険関係、クレジットカード関係など、お金にまつわる個人情報の整理をします。
人によっては、証券や株の形で持っている財産もあるでしょう。
それらをすべて洗い出し、整理しておかなければなりません。
認知症になったとき、急な入院生活を強いられたとき、そして死亡したときなど、生活費の引き出しから保険の支払い、死亡によるカードや銀行口座の停止が必要になります。
その全ては、子世代など他の人が手続きしなければなりません。
「保険証書はどこだ?」「銀行印が見つからない」「クレジットカードは何枚あるんだ?」と、家族が大騒ぎにならないよう、情報を一つにまとめておく必要があります。
不用品の整理
夫婦二人暮らしや一人暮らしである場合はとくに、不用品の整理を行っておく必要があります。
誰もいなくなった家を片付けるのは、とても大変だからです。
使う予定のない紙袋や紙箱、今はもう使っていない古いタンスやソファーが、部屋の奥に埋まっていませんか。
物がたくさんある親の家を片付けることは、「親家片(おやかた)」と呼ばれるほど困難視されています。
すでに役目を終えたものは、少しずつ処分していくようにしましょう。
介護、終末医療、葬儀、お墓についての希望を固める
終活では、介護や医療、葬儀、お墓についての希望を固めます。
認知症になってしまったとき、意識不明に陥って回復の見込みがないとき、亡くなってしまったときなどに、本人の希望さえ分かっていれば、家族がスムーズに手配を進められるからです。
とくに介護、葬儀、お墓については、プランを練るのと同時に見積もりを算出し、お金を準備しておくことが重要です。
相続についての準備
終活では、自分の死後に相続をスムーズに行うため、準備をしておくことが重要です。
相続については、お金にまつわる情報を洗い出すだけでは足りません。
家や車、装飾品、家具など、いっさいがっさいがあなたの「財産」です。
相続では、「財産」の行き先を一つ残らず決めることになります。
どんな財産があるか、誰に相続させるかについて、考えなければなりません。
できれば行政書士等の専門家に相談し、正式な遺言書を作成しましょう。
以上、終活の4つの種類について説明しました。
正直、やるべきことがけっこうあるなとうんざりした人もいることでしょう。
面倒なことも多いので、「そのうちでいいや」と、もうちょっとだけフタをしておこうと思ったかもしれません。
しかし、終活にはタイムリミットがあります。
次章では、終活を何歳から行うべきかについて解説します。
終活は65歳から段階的に行う
終活は、65歳から段階的に行いましょう。
「早すぎる」とビックリされるかもしれませんね。
今のシニアは「高齢者」という言葉がそぐわないくらい、健康そのものだからです。
しかし、健康そのもののうちにやっておかなければならない終活は、けっこうあるものです。
65歳という年齢の根拠と、段階的に行うべき終活のコツについて説明します。
健康寿命を「自由に動ける最後の年齢」ととらえる
終活の計画を立てるときには、健康寿命を「自由に動ける最後の年齢」ととらえましょう。
健康寿命とは、健康上の問題を抱えることなく日常生活を送れる期間を指します。
2013年のデータでは、男性の健康寿命はおよそ71歳、女性は74歳という数値が出ています。
一方、平均寿命は、2016年には男性がおよそ81歳、女性が87歳という数値が出ていますから、男女ともに人生の最後10年余りは、健康状態の思わしくない期間が続くということです。
「平均寿命は80歳を超えているのだから、75歳くらいになってから終活をすればいいだろう」
と考えていると、身体にガタが来てから不用品の整理などを行わなければならなくなります。
「元気でいられるのは70歳くらいまでだから、65歳からちょっとずつ終活を始めよう」
という意識でいるのが、ちょうどいいのです。
体力の必要なものから終活を始める
終活は、65歳になったら一気に始めるのではなく、体力の必要なものから段階的に始めるのがコツです。
終活のうち、体力の必要なものをピックアップしました。
- 不用品の整理
大型家具などを処分するときには、もちろん体力が必要ですが、小さなものでも「捨てる」ということ自体、意外と精神的に負荷がかかるものです。
心身ともに健康なうちに不用品整理を進めましょう。 - お墓の準備
新たにお墓を購入しなければならない人は、体力のあるうちにお墓の準備を始めましょう。
なぜなら、お墓探しには見学が不可欠だからです。足が悪くなってからでは困難です。
また、先祖代々のお墓を閉める、いわゆる「墓じまい」をしようと思っている人も、早い段階から動くのがいいでしょう。 - 介護施設の選定
身体が不自由になったとき、認知症になったときに「ここに任せれば安心」と思える施設を見つけておくことは、自分にとっても家族にとっても大切です。
やはり見学が最重要項目になってきますから、動けるうちに資料を取り寄せ、比較検討を始めましょう。
終活をいつから、何から始めたらいいか、おわかりいただけたでしょうか。
次章では、本人ではなく、子世代が親の終活のためにできることをご紹介します。
子世代が親の終活のためにできること
子世代が親の終活のためにできることは、主に以下の3つです。
- 緊急時の連絡簿の整理
- 介護施設や葬儀、お墓に関する情報収集
- 実家にある不用品の整理
終活は、意思疎通ができなくなった後も本人の希望をかなえるためのものであり、家族がスムーズに手続きなどを遂行するためのものです。
この目的を基準に考えれば、子世代にもできることはたくさんあります。
緊急時の連絡簿の整理
親と離れて暮らしているならなおさら、親戚の連絡先を知らない場合が意外とあります。
親が倒れたとき、亡くなったとき、誰に連絡すればいいか知っていますでしょうか。
緊急時の連絡簿を、子世代なりに整理しておきましょう。
介護施設や葬儀、お墓に関する情報収集
介護施設や葬儀、お墓に関しては、できれば親子そろって話し合いましょう。
遠方などでそれがなかなかかなわない場合は、せめてパンフレットだけでも取り寄せ、勉強しておくのが重要です。
実家にある不用品の整理
実家にあるのは、親の荷物だけではありません。
子ども時代の思い出の品などが、実家に眠っていませんか。
親は手が出しづらい子どもの荷物を、積極的に片づける時間を設けましょう。
以上、子世代ができる親の終活についてご紹介しました。
終活は、行動することも大事ですが、一番大事なのは、決めたことを家族で共有することです。
次章では、家族との終活情報の共有にベストな手段について解説します。
エンディングノートで気持ちを整理し希望を託す
終活を行ったら、決めたことや整理したことはエンディングノートに書き、家族にノートの存在を伝えておきましょう。
エンディングノートとは、葬儀やお墓の希望、相続について、延命治療についてといった、まさに終活で決めたことを書きつけるためのノートです。
自分史や想い出、家族へのメッセージを書く欄もあり、本人の死後に家族が読めば、愛する人を亡くした心を癒やしてくれます。
エンディングノートの種類や価格、書き方について詳しく解説します。
エンディングノートの種類と価格
エンディングノートには、大まかに次の4つの種類があります。
それぞれ特徴があるため、自分がとくにどんなことを書き残したいのかに合わせて選びましょう。
- 葬儀社などが無料で配布しているエンディングノート
とくに葬儀やお墓に関する書き込み欄が多いのが特徴です。 - 寺院が無料で配布しているエンディングノート
とくに自分史や思い出に関する書き込み欄が多いのが特徴です。 - 弁護士監修のエンディングノート
とくに相続に関する書き込み欄が多いのが特徴です。
1000円から1500円程度で、書店やネット通販で手に入ります。 - 終活の専門家が監修したエンディングノート
バランスの良い構成が特徴です。
1000円から1500円程度で、書店やネット通販で手に入ります。
書店などで内容をチェックして、書きやすいと思えるものを手に入れましょう。
エンディングノートの書き方
エンディングノートは、初めの項目から順序良く書くというよりも、自分が必要だと感じたことや、準備のできたことから書くのが基本です。
というのも、初めの項目は「自分史」や「家族へのメッセージ」などであることが多く、これらは多くの人が書くのをためらってしまうものだからです。
書きやすいことから書き始め、あとで訂正があってもいいように、鉛筆や消えるボールペンなどで書きこみましょう。
エンディングノートの内容には法的効力が認められないので、相続の希望などについても気軽に書き留めておくことができます。
エンディングノートの選び方や書き方についてご案内しました。
エンディングノートは、書いたら家族へ渡すまでが終活です。
ノートが「ある」ことだけでも伝えておければ、いざというときに家族が探してくれます。
個人情報なのであまりにもわかりやすいところに置くのは問題ですが、家族であれば見当をつけてくれそうな場所にエンディングノートをしまっておきましょう。
まとめ
以上、終活の種類や時期、子世代がやるべきこと、エンディングノートについて解説しました。
行動することだけが終活ではなく、大事な人に託すことが一番大事だということがおわかりいただけたでしょうか。
定年後に時間ができたからと、「断捨離」をすることだって、立派な終活になります。
身体が自由に動く健康なうちから、人生の最期に向けて動き出しましょう。
今のうちから、家族で終活のことも考えませんか?
終活は、家族で相談しながら進めることが重要です。お墓・葬儀・相続・保険など、準備することはたくさんありますが、できることから一つずつ始めてみましょう。
お墓の生前準備や、墓じまいの相談など、ご家庭ごとのお悩みやご事情に合わせて、終活カウンセラーの資格を持つスタッフが対応いたします。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
エンディングノートが「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンにノミネートされたのが2012年。それから数多くのエンディングノートが刊行されたり、配布されたりしてきました。
これまで多くのエンディングノートの作成のお手伝いをしてきましたが、雑誌の付録や無料配布されている程度のボリュームが書きやすいようです。分厚いエンディングノートや記述項目が多いと、書ききれないという事態に。完璧を目指さず、コピーや付箋を利用して、オリジナルエンディングノートを仕上げていくつもりで書いてみてはいかがでしょうか。