家族葬の費用相場と、家族葬を営むときの注意点について

通夜、葬式の進行や注意点、日程決めのルールを知っておきましょう

「家族葬」とは、家族だけで故人を見送る葬儀のかたちをいいます。

家族葬はその性質上、一般葬(参列者を招くやり方)や社葬(会社が中心となって行う葬儀。大規模なものとなる)に比べるとこぢんまりしたものになり、費用も安くなります。

ここでは、家族葬の相場について見ていきましょう。

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など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
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この記事の目次

  1. 家族葬にかかる相場費用は110万円
  2. 家族葬と一般葬の葬儀費用との比較
  3. 家族葬の費用を抑えるポイント
  4. 家族葬でのお布施や香典返しの相場
  5. 親族側が気をつけるべき家族葬でのマナーと香典相場
  6. まとめ
  7. 監修者コメント

家族葬にかかる相場費用は110万円

家族葬の平均相場については、エンディング・データバンクの「家族葬の平均費用」に見ることができます。
これは「10人~30人程度の小規模な葬儀」を行ったときの平均額であり、首都圏のものだけをまとめたデータです。
ただ、家族葬儀の金額の平均値を知るうえでは、非常に役に立ちます。

これによれば、家族葬の平均費用は110万円程度だということがわかります。
データにやや偏りやばらつきがある可能性は考えられますが、これが一つの指針となるでしょう。

金額の差はなぜ起こる?

さてここで、「家族葬の相場は50万円程度だと聞いた」と頭をひねる人もいるかもしれません。
実際、「家族葬の相場は50万円」として紹介しているサイトや業者のホームページはそれほど珍しくありません。
実はこれも、ある意味では正しい数字なのです。

葬儀の費用を出すとき
「寺院(あるいはほかの宗教者)へのお布施を含む場合」と「寺院へのお布施を含まない場合」で算出する、という2つの方法があります。

これもあくまで平均的な数字ですが、寺院費用は一般葬でだいたい50万円程度かかりますから、
「寺院費用をいれないとき」と「いれたとき」で数字を求める場合、
前者と後者では50万円程度の差が生まれてしまうわけです。

もちろん家族葬の場合は寺院費用も抑えられる傾向にありますから、一概に「プラス50万円」とするわけにはいきません。

しかし葬儀レビが出した「全国の葬儀費用ランキング」では、上で紹介した
「千葉県」「東京都」などの都心部の平均葬儀費用が高いことが分かっています。

「家族葬であっても高くつくであろう首都圏の集計」ということを考えれば、「一般葬に比べて寺院費用なども抑えられがちな家族葬であっても、地域ゆえ、高くなる」となるため、このような金額が出ることは決して不自然ではありません。

ちなみに、「なぜ寺院費用が入っていると統計と入っていない統計があるのか」については、あくまで推測の域を出ませんが、「寺院費用は換算しにくい」ということがあると考えられます。

葬儀会社の管轄となるのはあくまで「葬儀全般」であり、寺院費用については葬儀会社は関与しません。
そのため、葬儀会社が出してくる「金額」には、寺院費用が含まれないし含むことができないと推察されます。
ただ、葬儀会社に尋ねれば、ある程度お布施の目安を教えてくれるでしょう。


<出展>

葬儀レビ「全国の葬儀費用ランキング」
https://sougi.minrevi.jp/gimon/gimon0012.html

エンディング・データバンク「家族葬の平均費用」
https://data.urban-funes.com/data/cost-of-family-funeral/

家族葬の相場が低い理由とは

家族葬が安い理由は?

家族葬での費用が安くなるのには、明確な理由があります。
一つずつ見ていきましょう。

なおここでは特記しない限り、

  • 宿泊施設があるセレモニーホールで葬儀を行う
  • 仏式のお式であり、通夜や葬儀を行う
  • 通夜→通夜振る舞い→葬儀→火葬→初七日法要→精進落とし までを2日間で行う
  • 香典は辞退しない
  • 「家族葬でも大きな祭壇を作りたい」などのような特別な希望はなく、参列者(5~30人程度)の規模に合わせた小規模な祭壇にする

というケースを想定しています。

会場

現在のセレモニーホールは、広さの異なるいくつかの会場を用意しているもしくはパーテーションで区切ることのできる会場を持っています。
この「会場の広さ」は、料金に大きな影響を与えます。

アパートやマンションを借りるときもそうですが、広いスペースを借りようとすればそれだけお金がかかります。会場の広さを小さくすることができれば、それだけ費用は節約しやすくなるのです。

祭壇

祭壇の大きさは、会場とほとんどセットになって考えられるものです。

一部の例では、「祭壇は大きいがホールは小さい」「人が来ないだろうと思って祭壇もホールも小さいものにしたが、参列者が多くてパーテーションを途中で取り除いた(葬儀会社によっても異なりますが、追加料金が発生することも多いでしょう)」ということもありますが、基本的には、家族葬の場合は小さな祭壇になります。

祭壇が小さい場合、そこに飾る花なども少なくて済みます。
また、白木の祭壇の場合はパーツに分かれていて祭壇の規模によってパーツをくっつけていくかたちをとることもできますが、花祭壇の場合をイメージすると分かりやすいでしょう。

大きな花祭壇を作る場合はそれだけたくさんの花が必要になりますが、50万円程度の小さな祭壇の場合ならば使う花の数も圧倒的に少なくなります。

このため、「祭壇の大きさが小さいから、安くなる」というのも家族葬の大きな特徴です。

食事

食事は、葬儀費用でも大きな割合を占める部分です。
このため、人が少ない家族葬の場合、食事の費用も浮かすことができます。

ただ、「親戚が多く、関係も密である。故人の遺志としても、また家族の意向としても、ぜひ彼ら全員を家族葬に招きたい」という場合は、少し様子が異なってきます。

なぜなら、「葬儀のときに一般の参列者が食事を食べる機会」というのは実は非常に少なく、葬儀のときの飲食代のほとんどが「親戚縁者による飲み食い」となるケースが多いからです。

葬儀のときに一般参列者が口にすることになるのは、基本的には通夜振る舞いだけです。
それに加えるとなると、せいぜいロビーなどで出すコーヒー代くらいでしょうか(業者によって違いはありますが、「何杯飲んでも値段は変わらない」というコーヒーサービスで、1日に5000円というところがありました)。

たしかに通夜振る舞いも重要ですが、「1人5,000円~10,000円」が相場となっている精進落としの食事の席には、そもそも親戚縁者もしくは家族同然に付き合っていた極めて親しい友人などしか臨席しません。

そのため、「食事」に関しては、通夜振る舞いのときの金額しか差が出ないため、「思ったより安くならなかった」と感じることもあるかもしれません。

ただ、飲食代の「飲み物料金」は、一般葬だと天井知らずになってしまうこともあるため(料理は食べ終わってしまえばそれで終わりだが、飲み物はその場で追加できる)、この点で費用が変わってくることもあります。

香典返し

これはある意味では「諸刃の刃」でもあるのですが、家族葬の場合、香典返しにかかる費用が少なくなります。
香典返しは、本来は「いただいた金額の3分の1~2分の1を、四十九日が明けた後にお返しするもの」でした。

しかし現在は即日返し(香典を通夜や葬式のときに受け取り、用意していたものを金額に関わらず一律で返す)というやり方がよく見られるようになっています。

家族葬の場合は香典を渡して来る人が少なくなるため、「即日返し」の香典返しであっても、また本来の「後でお返しする」という方法であっても、香典返しの数は少なくて済みます。このため、費用も安くなります。

もっとも、香典が少ないということは、費用の面を考えると痛手にもなります。
香典で葬儀費用を補てんすることができなくなるからです。

家族葬で必要となる費用内訳

家族葬の内訳は、大きく分けて、

  • 葬儀全体にかかる費用
  • 飲食費用
  • お布施などの宗教者にお渡しする費用」の3つです。これは一般葬の場合とまったく同じです。

「葬儀全体にかかる費用」というのは、非常にあいまいな言葉です。
ただ、このようにしかまとめられない言葉でもあります。

たとえば、病院からご自宅(あるいはセレモニーホール)へ故人をお連れするときの費用や祭壇を作る費用、セレモニーホールの賃貸料金などがこれにあたります。
「飲食費用とお布施以外の費用」を除いたすべてがここに分類されると考えてください。
「飲食費用」は、その名前の通り、飲み食いに発生するお金です。

「お布施などの宗教者にお渡しする費用」は、寺院費用などとも呼ばれます。
基本的には葬儀の規模が大きくなればなるほど呼ぶご僧侶様の数も増えるため、家族葬の場合はこの分野も抑えることができます。

あくまで体感的なものではありますが、社葬の場合はご僧侶様が5人ほども入場されるのに対し、家族葬の場合は1人というケースが多いように思われます。

家族葬と一般葬の葬儀費用との比較

一般葬を含めた「葬儀の平均費用」については、「全国平均で約200万円」という数字が出ています。
この統計結果については、そのアンケートの集める手法や母集団の少なさから疑問を呈す声があるのも事実ですが、実際の葬儀の例とあわせて考えてみても、それほどおかしな数字ではありません。

そのため、ここではこの「200万円」という数字を使っていこうと思います。
家族葬の費用は100万円程度ですから、一般葬と比べるとかなり安くなることが分かります。

また、家族葬を行う目的が「できるだけ簡素なものにしたい」「故人の希望で、可能な限りスレンダー化した葬儀を行いたい」ということであれば、工夫することで、さらに葬儀費用を抑えることが可能です。

家族葬の費用を抑えるポイント

ポイントを示す女性

現在は、生前から「私の葬儀は最低限でいい! できるだけ安くしてもらって、遺産は子どもたちが遊ぶときに使ってほしい」という希望を出す人も多く見られます。

家族として思うところはあるかもしれませんが、故人の生前の意志を大切にするのが弔いには大切です。
また、経済的な事情で、できるだけスレンダー化した葬儀を行いたいと考える人もいるでしょう。

「できるだけコストを掛けずに葬儀をしたい」というのが家族葬を挙げる主な理由ならば、「それぞれの分野にかかる費用」をこそげおとしていくことで、大きく葬儀費用を節約することができます。

会場を選ぶ

この記事では主に民間のセレモニーホールで葬儀を挙げることを想定していますが、会場を選ぶことでコストカットをすることができます。

その方法のうちの1つが、「公営の葬儀会場を選ぶ」という方法です。
公営の葬儀式場は市町村が運営しているところであり、その分レンタル費用は民間のセレモニーホールで挙げるときよりも安くなります。火葬場と一体化している場合もあります。

ただ、もちろん施設によって違いはありますが、公営の葬儀式場は立地が悪いことも多く、また設備の充実さは民間のそれと比べるべくもありません。

加えて、公営の葬儀式場はあくまで「そこに住んでいる人」を対象としているため、
「故人も遺族も東京で働いていてそこに住んでいたが、葬儀は父が子ども時代を過ごした福島県で執り行いたい。故人もそう希望していた」
というような場合は、非常に高額になります。

民間のセレモニーホールは、基本的にはそれぞれの葬儀会社が有していることがほとんどです(例外もあります)。
そのため、民間のセレモニーホールを選ぶ場合も、古い施設などを選ぶと安くなることもあります。

ただこのあたりは「葬儀プラン」「葬儀会社の基本の見積もり」に左右されるので、事前に見積もりをとっておくと安心です。

プランを選ぶ

葬儀を安くするもう1つの方法は、「安いプランを選ぶこと」です。
これは「祭壇を小さくする」ということにだけにとどまりません。

家族葬には、大きく分けて3つの形式があります。

  • 直葬
  • 一日葬
  • 一般的な家族葬

直葬とは、ご遺体を安置した後に通夜や葬式を経ずに、そのまま火葬をし、収骨を行うスタイルです。
なお、日本の法律で火葬ができるのは死亡後24時間を経過しなければできませんから、その間はセレモニーホールの遺族控え室に安置したり、自宅に安置したりします。「火葬式」とも呼ばれ、もっとも簡素なやり方です。

対して一日葬というのは、「通夜を行わず、葬式のみを行う」というスタイルを指します。
直葬とは異なり通夜を省くだけですから、祭壇などが設けられており、葬儀の形態はとることになります。

最後の「一般的な家族葬」とは、通夜があり、葬式があるかたちです。
単純に「家族葬」とだけ言われるときはこのスタイルをいうことが多く、直葬や一日葬は明確に分けて記載されます。

この3つを比較したとき当然ながら、直葬(火葬式)<一日葬<一般的な家族葬 の順番で値段が高くなります。
ただ、直葬や一日葬は、やはり少しイレギュラーなかたちではあります。
そのため、家族や親族との話し合いを十分に行う必要があります。

無宗教の式にする

家族葬に限った話ではありませんが、「寺院(宗教者)費用」というのは、葬儀のなかでもかなり多くを占める分野です。
葬儀費用全体の20パーセント~30パーセントほどが、この寺院費用にあたることも珍しくなく、大きな負担になります。

家族葬の場合はご僧侶様の数も少なく、1人だけで行うかたちが一般的です。
しかしそれでもやはりこの費用負担は大きいため、「無宗教の式にする」と割り切ってしまえば、総額は大きく抑えられます。
「総額で」50万円以下にすることも決して難しくはなくなります。

もっとも、無宗教の式にする場合は、やはり親族との話し合いが必要になってきます。
私たち日本人は宗教に対してはそれほどこだわりを持たない民族だと言われていますが、「供養」の概念は私たちのなかに深く根差しています。そのため、読経などのない葬儀に対して、強い抵抗感を抱く人も当然います。

葬儀の後に感情的なわだかまりを残さないようにするためにも、しっかりと話し合うことが重要です。

家族葬でのお布施や香典返しの相場

一般的な家族葬をしたとして、そのお布施の相場や香典返しの相場についてみていきます。

家族葬でのお布施の相場と渡し方

お布施の金額には、明確な決まりはありません。しかし以下のような考えのもとで、お布施の相場は決まってきます。

宗教者の人数

宗教者(仏教の場合はご僧侶様)の人数は、お布施を決めるうえで非常に重要です。
基本的には家族葬の場合は1人で十分ですが、「祭壇は小さくて良いので、ご僧侶様の人数は多くしてほしい」と故人が希望を出していた場合は、当然その分お布施が高くなります。

何日かかるか、何回読経をあげるかでは変わらない

拘束時間が長くなれば長くなるほど、読経の回数が多くなれば多くなるほど、お布施の金額もあがると考えるのは誤りです。お布施は労働の対価ではなく、信仰に対する施しという考え方があるからです。

一般的に、家族葬の場合は

  • 枕元であげるお経
  • 通夜のときにあげるお経
  • 葬儀のときにあげるお経
  • 火葬の前にあげるお経
  • 還骨法要であげるお経(かんこつほうよう。後飾り祭壇の前であげるお経。
    火葬の後のお骨を、セレモニーホールや自宅に持って帰ったときに置揚げるお経のこと)
  • 初七日法要であげるお経(現在は火葬後、同日に行うことが多い。その場合は特に区別して「繰り上げ初七日法要」と呼ばれることもある)

の6つがあります。これは一般葬と同じです。
このすべてでお経を読んでもらったからといって、当然にその分のお布施が高くなるわけではありません。

これらを合わせて考えると、家族葬での葬儀であっても、お布施は平均して30万円程度はかかると考えるべきです。
ただ、直葬や一日葬の場合は、通夜であげるお経を省くことなどができるため、お布施も少し抑えられます。

その他の家族葬に必要な費用 ※お車代など

喪服をレンタルするとなれば、その分の貸衣装代が加算されます。
個人で手配すると、フルセットで6,000円くらいで借りることもできます。

また、葬儀会社を経由して借りることも可能です。この場合は、着付け費用なども含めて(和服の場合)10,000円というのが一つの相場になるでしょう。

お車代に関しては、考え方が分かれます。
ご僧侶様(宗教者)へ渡すお布施のなかに交通費を含む場合もありますが、受け取らない場合もあります。

また、親族が駆け付けた場合も、基本的にはお車代は出す必要はありません。
ホテル代なども個々人が負担するというケースが多いことでしょう。
ただ、「非常に遠くからきてもらったので」「親族間でお車代を出しあうのが慣習となっている」という場合は、包んだ方がよいでしょう。

遺影や骨壺、棺や位牌などの準備費用は、基本的には葬儀費用に含まれます。
ただ、骨壺や棺をグレードアップしたいということであれば、その分のオプション費用が加算されます。
この「グレードアップ」はまさに天井知らずで、骨壺1つでも100,000円を超えるケースも珍しくありません。

家族葬でも香典返しは必要

家族葬の場合であっても、原則として「香典返しが必要である」という考え方があることを知っておかなければなりません。
むしろ、家族葬の場合はこの「香典返し」の手配が少し手間取るかもしれません。

一般葬の場合、現在では「即日返し」という考え方の元でお返しする方法も出てきています。
これは香典の額の多寡に関わらず、当日同じものを一律で返すといったやり方です。

10,000円以下の香典の場合はこれで済むことも多く、参列者にも喪主側にも負担の少ない方法です。
それ以上の金額を頂いた場合は、後日改めてお返しする方法をとるのが一般的です。
ただ、家族葬の場合、参列者は当然故人(もしくは遺族)と極めて近い関係にある人に限定されます。

香典は、身近な人であればあるほど多額を包む傾向にあります。そのため、香典返しも高価なものになります。
香典返しの予算をあらかじめ計上しておく必要がありますし、それぞれからいただいた香典の金額に相応しいものをお返しする必要もあります。

もっとも、多額の香典をいただいた場合は、香典の常識である「3分の1~2分の1の金額でのお返し」にのっとる必要は必ずしもなく、4分の1程度であっても失礼にはあたりません。

また、「香典返しも高価になるため、相手の好みに合わないものを贈ってしまったらお互いにとって残念なことになる」と懸念する場合は、カタログギフトなどを利用するとよいでしょう。
これならば好きなものを選んでいただけます。

香典返しが必要ではない場合

ただ、家族葬であっても、香典返しが必要ないケースもあります。

1.入院中などで、弔電などでだけ弔意を示された場合

  1. 家族葬に呼びたく思うほどの近しい関係の人であっても、「長患いで病院から出てくることができない」「外国で暮らしていて、香典を渡したり葬儀に参加できたりする環境にはない」ということで、電話やお手紙でだけ弔意を示されるケースもあるでしょう。

    このような場合は香典をいただいてないため、当然香典返しを贈る必要はありません。
    ただ、退院後や帰国後に改めて弔問を受けることもありますから、そのときには礼を尽くしてお返しをしましょう。
  2. 2.香典あるいは香典返しを辞退される場合

  3. 喪主側が香典を辞退するあるいは香典を出した側が香典返しを辞退する場合は、香典返しは必要ありません。
【香典辞退の場合】

「家族葬はこぢんまりとしたものだし、香典返しの手配をする元気もない。
しばらくゆっくりと故人との思い出にひたっていたい。家族葬は挙げるが、香典は辞退する」
という場合は、香典自体を受け取らないことになるので、香典返しは必要ありません。
また、自分が親族側の場合、ご家族がこのような考えを表明されたのなら、無理に香典を渡すことは慎むべきです。

【香典返し辞退の場合】

自分が親族の立場のときに、親族から「故人には生前大変お世話になった。
香典はそのときのお返しと思ってほしい」ということで、
香典は出すけれどもお返しは固く辞退する旨を告げられたのならば、素直にそれを受け取りましょう。

ただし、お礼はしっかりとします。
親族側として香典返しを辞退する場合は、きちんとそれを告げてください。
あいまいな態度をとっていると、喪主側に気を使わせてしまいます。

3.遺児の養育費に充てる場合

まだ子どもが小さいのに大黒柱が亡くなったというような場合は、香典を子どもの養育費に充てるということで香典返しをしなくてもよいとされています。

ただこの場合は、御礼状などでその旨をきちんと告げるようにしてください。
また、「故人の意向で、すべてを福祉団体に寄付する」という場合も、香典返しの必要はありません。

親族側が気をつけるべき家族葬でのマナーと香典相場

「親族側として、家族葬に招かれた」という場合のマナーや、香典・供花・供物の相場について見ていきましょう。

香典の相場

香典の金額は、原則として(未成年者などでない限り)「故人との関係が近く、付き合いが深かった人の方が高く包まなければならない」といるルールがあります。

家族葬であってもそれは変わりありませんし、家族葬に招かれる立場はそれだけ近しい仲であったということにもなります。
そのため、一般の参列者として参加する場合と比べると、包むべき金額は大きくなります。

祖父母が亡くなった場合、20代では10,000円程度、30代では10,000円~30,000円程度、40代では30,000円~50,000円程度包む必要があります。

自分の両親が亡くなった場合は、自分が喪主になることもあるためあまりぴんとこないかもしれません。
しかし自分以外の兄弟姉妹が喪主を務める場合は、100,000円程度包むことになります。

これは直接の血の繋がりはない義両親(配偶者の父母)の場合も同じです。
叔父や叔母の場合は、10,000円~30,000円ほど包むのが一般的です。

この金額は、「一般葬で親族(家族)を送る場合」も「家族葬で親族(家族)を送る場合」も変わりありません。
また、家族葬ということもあり、香典を辞退されることもあります。その場合は、喪主の意見に従いましょう。

香典返しを辞退する場合は、その旨をしっかり伝えることが重要です。
なお、原則として香典は、「通夜もしくは葬式のときに渡せばよいもの」です。
このため、2つの袋に分ける必要はありません。ただ、地域によっては分けて出すこともあります。

ちなみに、「家族葬に呼ばれたけれど参加できない。香典だけお渡ししたい」という場合は「御花代」として香典の代わりにお渡しすることもあります。この場合の金額は、香典の金額に準じます。

ただ、家族葬の場合はもともと極めて近しい人しか呼んでいませんから、特別な事情がない限りは参加したいものです。

お花代・供花の相場

葬儀のときに、親族から供花や供物が出されることもあります。
なお、祭壇に直接飾る「生花祭壇」の場合の「花」と、供花として出される「花」は明確に区別されます。

前者の場合は祭壇費用に含まれるため、喪主側が負担します。
対して、供花のようにフラワースタンドなどにのせられて贈られる「供花」は、原則として出す人(親族)が負担します(「孫一同」などの札を掲げるために、喪主が自分の小さい子どもたちの名前だけを借りて出すという場合などは除きます)。

供花と供物は、中身が違います。
供花は花で作られますが、供物は乾物類や缶詰、お菓子などが詰め合わせたもので作られています。

どちらにするかはバランスを考えて決めていくことが一般的です。
特に、打ち合わせに参加するレベルの縁者であるのなら、「母方の兄弟姉妹は花を出して、父方の兄弟姉妹からは供物を出す」などのように決めていくとよいでしょう。

「打ち合わせには参加しないが、気持ちとして供花や供物を出したい」という場合は、葬儀会社や喪主に確認してください。
小さなホールで式を執り行ったり、質素にやりたいという希望を喪主が持っていたりする場合は、供花や供物を辞退しているケースもあります。

また、自分自身の気に入っている花屋などを利用することができないわけではありませんが、制限が設けられていることもあるため、これを確認する意味でも葬儀会社に問い合わせた方が安心です。

供花や供物の相場は、10,000円~20,000円です。15,000円が一つの目安となるでしょう。
「打ち合わせにも参加していて、喪主とも緊密な関係にある。また、供花や供物は、喪主が葬儀会社に対して一括で発注する」という場合は、喪主に直接供花・供物代を渡してもよいでしょう。

それ以外の場合は、葬儀会社のスタッフに聞いてみましょう。
受付などを設けている場合はそこで渡してくださいと言われることもありますが、どのようなケースであっても、「渡し方」を教えてくれるはずです。

ちなみに、供花・供物代は、香典とは別に包んで渡します。
白黒の結び切りの水引がついたものを選びましょう。

「お淋し見舞」って?

家族葬などに親族として呼ばれた場合、供物・供花・香典とは別に、「お淋し見舞(おさびしみまい)」「伽見舞(とぎみまい)」としてお菓子を持ち寄ることもあります。

主に東海地方で見られる風習で、通夜のときに食べるお菓子などを持ち寄るものです。
また、このような名称ではなかったとしても、ちょっとした食べ物を持ち寄って過ごすというかたちをとることもあります。

このあたりについては、地域や家庭によって考え方に違いがありますが、

  • 小分けにできるもので
  • 温度変化に強く
  • ある程度賞味期限が長いもの

を選ぶとよいでしょう。相場は2,000円~3,000円程度でしょう。

ちなみに、「大往生で、家族に囲まれて幸せな人生を終えた。100歳近くの年齢であり、これはお祝いの一つだ」と考えるような葬儀の場合は、各地に散らばった親戚縁者がそれぞれの地方のお菓子を持ち寄ってお供えする、というやり方をとっていた実例もあります。
また、食べきれなかったものは、引き出物に入れて配ることもあります。

お淋し見舞については、「必ず持って行かなければならない」というものではありません。
ただ、このような風習がある地方や家庭もあることは留意しておくとよいでしょう。

まとめ

特別な事情がない限り、家族葬であっても香典返しは必要です。
家族葬の場合はいただく香典が高額になることも多いため、香典返しにも高額になる傾向にあります。

親族として供花・供物を出す場合の相場は、15,000円くらいでしょう。
香典は関係性が近くなるほど高くなり、両親(配偶者の両親を含む)の場合は100,000円ほど包まなければなりません。

また、一部の地域には、「お淋し見舞」という、和菓子などを持っていく風習がみられます。

家族葬は、家族や親族だけで見送るため、一般葬に比べて安くなります。
だいたい100万円~120万円程度が相場です。(葬儀全体の平均費用は200万円)

直葬プランや一日葬プランを利用したり、宗教者を呼ばなかったりすれば、さらに葬儀費用を安くすることができます。特に宗教者へのお布施は家族葬でも30万円程度かかることを覚えておかなければなりません。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

家族葬という言葉が一般的に使われるようになって久しいですが、家族葬をパッケージにしてインターネットで販売するネット系葬祭業者が増え、トラブルもよく耳にするようになりました。ネット系葬儀業者は、全国一律価格として、最低価格を表示しています。しかし実際は地域によって異なり、式場使用料や飲食費用等が含まれていないこともあり、見積もりの段階で「ネットで見たのと違う」というトラブルが多発しています。これらの「追加料金不要」「定額」等をうたっているネット系葬祭業者の代表的な3業者では、景品表示法違反でそれぞれ措置命令が出されていますが、根本的な解決にはなっていないのが現状です。


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