火葬についてイチから解説!背景や歴史、実際の流れや費用まで

骨壷とロウソクが並べられているテーブル

葬儀のあとに火葬をするのは当たり前のことのように思えますが、詳しいことを知らない人が実に多いようです。

まして、一度も葬儀に参列したことがない、火葬場に行ったことがないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では火葬に関するこのような疑問を解消!

  • 火葬にかかる費用はいくら?
  • 火葬をする流れは?
  • 火葬の立会いで気をつけることは何?
  • 日本はいつから火葬が主流になってきた?

この記事では、火葬とは何か、火葬の歴史や、実際に火葬を執り行い際の流れなど、火葬に関するさまざまなことを細かく解説していきます。 

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  • 自分のライフスタイルに合ったベストなお墓はどういうものなのか知りたい
  • お墓選びで複雑な手順を簡単に詳しく理解したい
  • お墓選びで注意するべきポイントを詳しく知りたい

など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
そのためにも複数の霊園・墓地を訪問して実際に話を聞き、しっかりと情報収集することをオススメします。

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この記事の目次

  1. 火葬とは
  2. 日本国内で土葬から火葬が主流になった背景
  3. 死亡確認から24時間以内の火葬は禁止されている
  4. 火葬に必要な手続きと法律の関係
  5. 火葬にかかる料金・費用
  6. 火葬にかかる時間
  7. お亡くなりから火葬の流れと保管方法
  8. 火葬の立会いで気をつけること
  9. 火葬式(直葬)を選択する人が増えている
  10. 都心の葬儀事情!火葬場が足りずに葬儀までの時間がかかる
  11. まとめ 
  12. 監修者コメント

火葬とは

火葬とは、遺体の処理方法のうちのひとつで、遺体を焼却して遺骨や遺灰にします。
現在の日本では火葬が主流で、葬儀や告別式のセレモニーを終えたあとに火葬場で火葬します。

ちなみに、火葬以外の処理方法では、土葬、水葬、風葬、鳥葬など、さまざまな方法があります。

日本国内で土葬から火葬が主流になった背景

いまでこそ亡くなった人の遺体は火葬するのが当たり前でしたが、この習慣はそんなに古いものではありません。
現在のように火葬が主流になった背景についてご説明いたします。

世界的に見ると、土葬が主流

世界的に見ると、いまでも土葬の方が主流です。
これは、信者数が世界で1番多いキリスト教と、2番目に多いイスラム教が、原則として火葬を禁止しているからです。
ただし、キリスト教圏では昨今は火葬が普及しつつあります。

保守系のカトリックが根強い地域、たとえば南ヨーロッパ(ギリシア、イタリア、フランス、スペイン)などではいまでも土葬が主流のようです。

しかし、進歩系のプロテスタントが広まっている地域、北ヨーロッパ(ドイツやイギリス)やアメリカ西海岸などでは、カトリック圏よりも伝統的な教義への執着がゆるく、火葬が上昇しています。

宗教的には火葬は身体の毀損行為ですが、土地不足の解消といった合理性や、伝染病の回避といった衛生面からも、火葬を採用する動きが見られます。

一方、インドでは「人の魂は輪廻転生し肉体に執着しない」という考え方を持つので、遺体は火葬し、遺灰を川に流すというのは有名な話です。
地域の風土や宗教観によって葬法はじつにさまざまです。

最近の傾向では、世界全体を見渡してみても、合理的である火葬は普及しつつあります。
土地を必要としない、衛生的であるなどの理由が考えられます。

日本もかつては土葬が主流だった

日本は仏教国ですが、日本仏教は儒教の影響を強く受けているという点で、インド仏教とはかけ離れています。

中国発祥の儒教の思想の根幹には”先祖祭祀”があり、身体の毀損行為である火葬は禁じられていました。
これはインド仏教の”出家主義”とは相反するものです。
この相反する2つの大きな宗教が合わせ混ざったのが、日本仏教なのです。

また、仏教伝来以前から行われてきた日本古来の葬法に「もがり」があります。
これは遺体が風化し白骨化するまで遺族が寄り添うというもので、土葬につながる葬法でした。
儒教の影響が強い日本の農村社会では土葬がずっと主流だったのです。

浄土真宗の地域では「野焼き」といって、その教えから遺体を火葬したものの、それ以外の地域では、葬列(死者の棺を中心にして、行列を作って墓地まで運ぶ)をし、墓地に埋葬したのです。   

日本国内での火葬率

現代の日本の火葬率は99.99%を誇り、世界一の火葬大国です。
とはいえ、100年前までは30%前後でした。

鯖田豊之『火葬の文化』に、明治以降、昭和55年までの火葬率の推移が掲載されています。
火葬が主流となったのがごく数十年前のことということが分かります。
その一部を抜粋します。

昭和55年までの火葬率の推移

  • 1900(明治33)年 29.2%
  • 1940(昭和15)年 55.7%
  • 1970(昭和45)年 79.2%
  • 1980(昭和55)年 91.1%
    鯖田豊之『火葬の文化』(新潮選書)

死亡確認から24時間以内の火葬は禁止されている

『墓地、埋葬等に関する法律』で、死亡後24時間以内は火葬してはいけないことになっています。
これは、蘇生の可能性があるからです。

つい最近でも、外国で棺の中の遺体が棺から出ようともがいていた痕跡があるというニュースが配信されて驚いたものです。
通夜や葬儀を執り行うのであれば、24時間以内の火葬という事態は起こり得ません。

しかし、急いで直葬をしなければならない状況では十分に注意しなければなりません。

「墓埋法」と呼ばれるこの法律について、詳しく知りたい人は「墓埋法をわかりやすく解説!トラブルを避けるために覚えるべきこと」の記事を参考にしてください。

火葬に必要な手続きと法律の関係

火葬するためには、役所から”火葬許可”をもらわなければなりません。
死亡届の提出をすることで、火葬許可が下ります。
また、死亡届は死亡後7日以内にしなければなりません。

火葬許可が下りるまでの流れ

火葬許可の申請は次のような流れで行います。

  • 死亡後、病院の医師から”死亡診断書”が遺族に手渡される。(警察が介入した場合は監察医や警察医の”死体検案書”という書類を手渡される)。
  • 書類の左半分に、死亡者や届出人の戸籍の情報などを記入し、”死亡届”として提出する。
  • 役所に提出して、不備がなければ”埋火葬許可証”が発行され、手渡される。
  • 火葬時に”埋火葬許可証”を火葬場の窓口に提出する。

死亡届や火葬許可証の提出は葬儀社でも代行してくれるのでおまかせするのがよいでしょう。

死亡届の提出先

死亡届を提出できる場所は次の窓口のいずれかです。

  • 死亡した場所の役所
  • 故人の本籍地の役所
  • 届出人の所在地の役所

届出人になれる人

誰でも届出人になれるわけではありません。次の人たちに限られます。

  • (親族や関係者)親族・同居者
  • (死亡地に関係する人)家主・地主・家屋管理人・土地管理人
  • (その他)後見人・補佐人・補助人・任意後見人

火葬にかかる料金・費用

火葬だけでも、搬送・役所への手続き・火葬場の予約・遺体保全処置などに加えて、火葬料金がかかります。
火葬料金は、公営で約1万円、民営だと最低5万円程度かかります。
そのため、トータルで最低20万円くらいの費用が必要になってきます。
これに僧侶にお経をあげてもらう、仏名をいただく、納骨、というように別途お金がかかってきます。

火葬するだけのお金がない場合

火葬にもこれだけのお金がかかりますので、もし、火葬するだけのお金もないのであれば、葬式を行うことはとても難しいでしょう。

しかし、補助金を足しにする方法もあります。
国民健康保険または健康保険などの医療保険に加入していれば、保険加入者の葬儀を出した人に葬祭費埋葬費という補助金が支給されます。

金額は、
国民健康保険の場合、自治体によって金額はことなりますが3~10万円
健康保険の場合は加入者の標準報酬額の1ヵ月分
です。
ただし、10万円未満の場合は、一律10万円の支給となります。

この他に年金からの支給もあります。
保険料を3年以上納めた人で、老齢基礎年金も受けないで亡くなった場合に家族に支給されます。
金額は保険料を納めた期間により異なりますが、3年で12万円、最高で32万円です。

どちらも申請しなければ支給されません。申請期間は2年で、また申請時に領収書が必要となります。

火葬にかかる時間

火葬には1時間半から2時間ほど時間がかかります。
そのため、この間は控え室で待機して、喪主や遺族は茶菓子などで僧侶や参列者をもてなすのが一般的です。

お亡くなりから火葬の流れと保管方法

ここでは、通夜や葬儀をせずに火葬だけをする、いわゆる「直葬」の流れについてまとめます。

遺体の引き取り~搬送~納棺まで

故人が息を引き取ると、速やかに葬儀社に連絡して搬送の手配をしましょう。
出発の際には、医師から死亡診断書(あるいは死体検案書)を入手しなければなりません。

搬送・安置

葬儀社が到着したら、搬送先を指示しましょう。
つまり、予め搬送先を決めておかなければなりません。
自宅に連れ戻せる場合は、故人様を安置する仏間をきれいに整理しておきましょう。

また、自宅への安置が難しい場合は、火葬場や葬儀社が保有している安置施設を利用できます。
ただし有料で、面会などに条件もありますが、直葬を選ぶ多くの人はこうした施設に安置しています。

納棺

納棺は、遺体を棺の中に納めることです。
納棺式という儀式としてで執り行うのですが、直葬の場合は省略し、葬儀社に一任することが多いようです。

というのも、自宅に安置した場合は納棺式が可能ですが、安置施設を利用した場合は、同じ部屋で他の遺体も保管されているので、納棺式そのものができないからです。

荼毘(だび)に伏す

火葬することを「荼毘(だび)に付す」と言います。
火葬執行の前に、柩のふたを開けて最後のお別れをします。

また、寺院の読経をいただくこともできます。ただし5分から10分程度の短い時間に限られます。
火葬炉に柩が納まるのを見届けて、喪主が着火ボタンを押します。
※火葬までの流れは火葬場にシステムによって異なります。

控え室で待つ

火葬が終わり骨上げまでの時間、控室やロビーで待機します。
早い火葬場で45分。遅いところでも2時間程度で火葬は終了します。

骨上げをする

火葬が終わると遺族や参列者で骨上げをします。
箸で遺骨を壷の中に納めます。

2人一組での骨上げ

骨上げは、2人で一膳の箸を持って行います。
一方は竹製の箸で、一方は木製の箸です。
こうした習慣は諸説あります。

日常の箸とは違うものを用いて非日常の行為とすること。
不揃いな箸を使用することで、あらかじめ用意できなかった。つまり死を予期していなかったことの表現。
違う箸を用いることで「決別」を表すなどです。

三途の川を超えていくことにちなんで「橋渡し」とも呼び、故人の冥福を祈って、丁寧に遺骨を壷の中に納めます。

骨上げで言われる喉仏は背骨のこと

骨上げは足元の遺骨から順に納めていき、最後に喉仏を納めます。
喉仏とは、通常は成人男性の首元に見られる喉のでっぱりのことを指します(「喉頭隆起」と呼びます)。

しかし、骨上げの時に言われる喉仏は、第二頸椎の骨を指します。
第二頸椎の形が仏様が座禅を組んでいるような姿に見えることから、骨上げの際にはそれを「喉仏」として、大切に扱うようになったのです。

骨壷に入れて引き取る

遺骨は骨壺に納められ、桐箱に入れ、白布で包みます。
この時に火葬場から”埋火葬許可証”を手渡されます。
火葬済みの押印をされたもので、埋葬の際に必要となる書類なので、大切に保管しましょう。

骨壷の保管

骨壺は自宅で大切に保管しましょう。
仏壇がある場合は仏壇の側に置くのがいいでしょう。
なければ、適当な場所を見つけて、お花やお茶などを供えてあげると、きっと故人様も喜ばれるでしょう。

どうしても自宅に置けない場合は、寺院や霊園に相談して、永代供養や、一時預かりをお願いしてもよいでしょう。

火葬の立会いで気をつけること

火葬場はあくまで公共空間です。
他の利用者の迷惑にならないようにしましょう。
もしも参列者が大勢見えるようであれば、どこか式場を借りて、簡素な形でも葬儀や、お別れの場を設けましょう。

火葬式(直葬)を選択する人が増えている

昨今は、通夜や葬儀をしない”火葬式”(いわゆる”直葬”)をする人が増えています。
そのメリットはどんなところにあるのでしょうか。

一般葬と比較したときのメリット

  • 費用を安く抑えられる
    葬儀の平均費用は195万円と言われています。
    この中には宗教者への謝礼や、おもてなし費用も含まれており、葬儀社に支払う額は100万円前後でしょう。

    これが直葬だと20万円~30万円で抑える事ができます。
  • 数時間で葬儀を終えられる
    通夜や葬儀を行うと、その前後も含めてと3日から4日はを要します。
    直葬であれば、葬儀当日は半日あればすべての行程を終えられます。
    当然、打ち合わせなどの時間も一般葬ほどにはかからないでしょう。

一般葬と比較した時のデメリット

  • 満足度が低い
    とある企業の調査では、直葬では一般葬と比べて満足度が低いという結果が出ています。
    故人への供養を簡単に済ますことで、遺族の中に逆に後悔やしこりが残ることあるようです。
  • 周囲から苦言を呈されることもある
    直葬という簡単な葬儀に苦言を呈されることもあるでしょう。
    故人の死は、親族や知人など、関係のあった全ての人にとって大切なことです。
    こうした人たちへの配慮を考えるのも、喪主の大切な仕事です。

火葬式を検討する際に気をつけること

なによりも、ひとりの人間が、その一生を全うした最後の儀式が葬儀です。
「楽に」「簡単に」という基準で直葬を選んでしまって、あとから後悔しても取り返しがつきません。

さまざまな事情で直葬を選ぶ人がいて、それ自体は悪いことではありません。
「あの時、ああしておけばよかった」という後悔だけはないように、しっかりと家族や親族と話し合いましょう。

都心の葬儀事情!火葬場が足りずに葬儀までの時間がかかる

都心部の火葬場は不足傾向にあります。
高齢化によって死亡者が増加しているだけでなく、都心部への人口流入も増加傾向にあるからです。

東京都内で6つの火葬場を経営する東京博善の場合、火葬炉は朝の9時から夕方3時までで、1時間刻みで予約できます。
直葬の人は、朝早い時間や午後2時以降を予約すれば、余程のことがなければ火葬できるでしょう。

ただし、11時から13時までの時間帯はたいへん込み合います。
葬儀を終えて出棺してきた家族が何件も重なるため火葬炉が予約できないために葬儀の日程を延ばすというのは日常茶飯事です。

まとめ 

いかがでしたか?
それではこの記事のポイントをまとめます。

ここがポイント

  • 世界的には土葬が主流
  • 日本もつい最近までは土葬が主流
  • 日本の現在の火葬率は99.99%
  • 死亡から24時間以内の火葬は禁止されている
  • 死亡届などの手続きは葬儀社が代行してくれる
  • 直葬とは、火葬だけを執り行う葬儀スタイル
  • 骨上げは2人一組で行う
  • 直葬は費用を安く抑えられ、短時間で済む
  • 直葬をした場合の満足度は低く、周囲から苦言を呈されることもある
  • 後悔のない葬儀スタイルをしっかり考えておくべき

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

火葬場というと、ニンビー(NIMBY:Not in my backyard)つまり迷惑施設の代表と言われていましたが、近年の火葬場は無煙、無臭で近隣と調和した環境を有する施設になっています。

東京23区内の火葬場も住宅街と細い道路に囲まれた一角にありますが、最新の技術と効率的な運営により近隣住民との軋轢はほぼ耳にしません。

近年は火葬場不足と言われ、亡くなって1週間以上待たざるを得なかったという話もあります。

地域によって、また時期によって数日間待たなければならないケースは確かにありますが、それでも午前中は夕方近くの時間帯は空いているケースもあり、火葬時間がゴールデンタイムに集中しすぎる実態も問題視されています。

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しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
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