供養の目的や意味を紹介
供養とは?徹底解説
- 供養は亡き人の冥福を祈る行為で、心の平穏を保つ目的がある。
- 供養方法には納骨や永代供養などがあり、それぞれ異なる特徴を持つ。
- 永代供養は後継者不在時に寺院が行い、水子供養は流産した魂を慰める。
「供養」という言葉は、一度は耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
仏壇に向かって手を合わせる。お墓参りに行く。こういった行為も供養の一つです。
しかし、その意味を聞かれると答えられる人はどのくらいいるのでしょう。
この記事では、あまり詳しく紹介されてこなかった「供養」について、意味や目的を紹介しています。
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供養とは何か
供養とは、亡くなった人に供え物をして、冥福を祈ることです。
サンスクリット語(古代インドで用いられた言語)の「プージャー」という言葉を訳されたものだと言われています。
本来は神仏に食べ物や財物を真心こめて供えることでしたが、仏教が日本に伝来し、日本古来の祖先崇拝の習俗とあいまって、死者の冥福を祈ること全般を「供養」と呼ぶようになりました。
さらに言うならば、日本人には森羅万象(この世に存在するすべてのものや現象)に魂や生命が宿ると考えてきましたので、生き物でない道具類も供養の対象となりました。「針供養」や「人形供養」もそれにあたります。
供養する目的や意味
私たちは、自分たちの生活の中に亡くなった人を抱えて生きています。
まだ周りで亡くなった人がいない人にはわかりづらいかもしれません。
でも、おじいちゃんやおばあちゃんの法事、毎日のお仏壇へのお参り、お盆のお墓参り。
これらもすべて亡くなった人と向き合うための儀式です。
供養とは、そうしたいまはこの世にいない人が、あの世でも元気でいてくれますように、と祈ることです。
「どうしてこのような供養が必要なのか。」「そのための法事やお墓参りが必要なのか。」筆者なりに考えをまとめてみました。
人間は、亡くなった人の行き先を考えてしまう生き物
供養する目的は、人間が亡くなった人の行き先を考えてしまう生き物だからではないでしょうか。
これは、目的や意味など、後付けされたものではなく、そもそも人間という生き物に備わっている根源的な性質だと思われます。
作家の一条信也さんなども、人間の本質は「弔う」ことにあると言っています。
筆者は、自身の大切な家族を失った経験があり、葬儀社に勤務して1000件以上のお客様の葬儀に携わりましたが、どんな場合でも共通して言えることは、遺された人は亡くなった人の行方を考えずにはいられない、ということです。
「亡くなる瞬間、何を考えてたのかな」
「亡くなったおじいちゃん。いまごろ何してるかな」
「10年前に亡くなったおばあちゃんに会えたかな」
もうすでに死んでこの世にいない存在であるはずなのに、あたかもその人がまだ生きていて、その人の行方を考えてしまう、そういう生き物なのですね。
死者の幸せが遺された私たちの幸せ
大切な人を失ってしまうと、人智を超えたとても巨大で、強大な何かの存在を私たちに感じさせます。
それはたとえば、神や仏という言葉で語られたり、死神や悪魔という言葉で語られるものなのかもしれません。
そうした死のもたらす、とても大きな悲しみや恐れや不安を乗り越えようとするために、さまざまな死後の世界が物語として語り継がれました。
それこそが、世界中にある宗教の基本なのではないでしょうか。
亡くなった人はもうごはんなんて食べません。
それでも、遺されたものは食べ物を供える。
そこには、亡き人をいる存在としてこの世に生かし続けることで、自分たちの心の安寧を保とうとする、人間の切実な祈りが込められています。
死者が幸せだと、遺された私たちも幸せなのです。
一般的な供養の方法
供養をするには、その専門家である寺院を招きます。
ここでは、寺院に執り行ってもらう供養を中心に、死後からお墓への納骨までに至る供養について説明します。
- 逝去・末期の水(まつごのみず)
息を引き取った故人にはまず「末期の水」をします。息を引き取った人の口を水で湿らせてあげることです。渇きに苦しみ死者に水を施すのは、一番初めの「供養」だとも言えるでしょう。現在でも脱脂綿などに水を含ませて末期の水をします。 - 枕経
枕経とは、安置された故人に向かって寺院が枕元で読み上げる読経のことです。 - 通夜
通夜とは、夜を通して死者を見守ること。現代では儀式として行わます。 - 葬儀
葬儀は死者をこの世からあの世へ送る宗教的な儀礼です。死者に亡くなったことを知らせ(引導:いんどう)死者を仏門に導(受戒:じゅかい)が行われる宗派もあります。 - 初七日法要
初七日法要は、一番初めての追善法要です。四十九日を経て六道輪廻をする故人が成仏するようにと、遺されたものが集まって、故人の供養をします。 - 追善法要(二七日法要~六七日法要)
追善法要は七日ごとに執り行われますが、最近は省略することも増えています。 - 四十九日法要
四十九日法要で忌明けになり、御霊は白木の位牌から本位牌に移され、仏壇でお祀りされます。 - 年忌法要
一周忌や三回忌などと呼ばれる法要を年忌法要と呼びます。三十三年、あるいは五十年まで続け、死者や先祖の供養をします。 - 納骨
納骨のタイミングは地域や人それぞれですが、多いのは、一周忌や三回忌などの年忌法要に合わせて執り行います。すでにお墓がある人は、葬儀当日、四十九日などで納骨する人もいます。
供養塔について
供養塔とは、故人を礼拝して供養するための塔です。
ほとんどが石塔ですが、中には塔婆などの木製の塔を供養塔とすることもあります。
亡くなった人に塔を建てて礼拝するというのはブッダの時代にまで遡ります。
ブッダは自身が亡くなる直前に、弟子にストゥーパ(仏塔)を建てるようにと説きます。
そして、そのストゥーパに花やお香を供えて礼拝することで、利益と幸せが起こるだろうと伝えているのです(中村元『ブッダ 最後の旅』参照)。
仏教における遺骨崇拝、仏塔崇拝は、今の時代になってもまだ受け継がれているのですね。
供養の種類
亡くなった人の遺骨は土に還し、供養をするために石塔を建てます。
しかし最近ではさまざまな新しい供養の方法が登場しています。
それらをまとめました。
一般のお墓
いまでも一番ポピュラーな供養の方法はお墓を建てて、遺骨を納骨するというものです。
すでにお墓がある場合、葬儀当日、四十九日、一周忌などのタイミングで納骨をします。
お墓がない場合は、墓地を探してお墓を建てなければならないので、多少時間がかかってしまいます。
それでも、一周忌、三回忌、七回忌などの区切りとなる年忌法要にあわせてお墓を建てて、納骨することが多いようです。
永代供養
永代供養は、あととりのいなくなった家の場合、寺院に供養を委ねることです。
自分たちで供養をできなくなったために、寺院に遺骨を預けて永代に渡って供養してもらいます。
位牌は寺院に預け、遺骨は永代供養塔に納骨しますが、すべての寺院が供養塔を持っているとも限らないので、どのような扱いになるかは事前に確認しておくのがよいでしょう。
かつては、自身の菩提寺に永代供養をお願いしていましたが、昨今ではそもそもお寺つきあいがないことの方が多いために、広く永代供養を募集する寺院を多く見かけます。
納骨堂
納骨堂とは、寺院の堂内に設けられた納骨施設です。
お寺の中のお仏壇、お墓だと思ってもらえればよいでしょう。
形状は、ロッカー型のものが多く、単に遺骨を収蔵するだけのものもあれば、扉を開けると中に本尊が飾られていて、礼拝できるものもあります。
合葬墓
合葬墓とは、複数の人と同じ場所に納骨するためのお墓です。
永代供養を寺院にお願いした場合は、最終的には合葬されることがほとんどです。
一定期間(13年や33年)個別に供養したあとに合葬したり、遺骨を預けてすぐに合葬したりすることもできます。
供養の方法が簡素であるために、費用も安価に抑える事ができます。
自然葬
自然葬とは、樹木葬や海洋葬など、従来のお墓による供養ではない、新しい供養の方法です。
人工の石造物であるお墓を用いずに、直接自然に遺骨を還すことから、これらを総称して「自然葬」と呼ばれています。
とはいえ、樹木葬の実態はカロートや石造物を必要としたものも多く、また海洋葬についてはあいまいな法規制の中で地域住民や行政との間でトラブルもあり、新しい供養の方法なだけに問題や課題もあります。
手元供養
手元供養とは遺骨を手元に置いておく供養の方法です。
多くの場合、手元供養とは、納骨した遺骨とは別に一部だけを自身の自宅に安置することです。
デザイン性に富んだ骨壺や、肌身離さず身につけることのできるネックレスなどの容器に納めておく「納骨型」、陶器やダイヤモンドなどに加工する「加工型」に分けることができます。
水子供養について
水子とは、生まれて間もなく亡くなってしまった胎児や嬰児のことです。
おもに流産や中絶した胎児の魂をまつるための供養を水子供養と呼びます。
いつの時代でも、水子で悩み苦しみお母さんのために、さまざまなお寺が水子供養をしてくれています。
水子供養の慣習は昔からあり、水子を受け入れてくれる仏さまとして地蔵菩薩を礼拝します。
まとめ
供養とは、遺された人が亡き人を偲ぶことで、自身の心の平穏を求める営みだと思われます。
あの世で亡き人が幸せであれば、この世界で生きる私も幸せである。
こうした、亡くなった人と生きている人のつながりを確認する場が、お墓であり、お寺なのでしょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
供養とは、仏教用語で供給(くきゅう)資養(しよう)の略のこと。仏・法・僧の三宝に帰依し、お供えをすることによって自らの資(元手)が養われるという意味です。
また、供という字は「人と共に」と書き、共に支えあうことを意味していますので、弔いの中で「供」という作業をすることによって、自らの心に養分という気づきが得られるというわけですね。
日本人は、役割を終えた物に対して感謝し、手を合わせたいという気持ちがあります。
針供養、人形供養など現在でも多くの寺院で行われているのはそのためでしょう。
なお、浄土真宗の場合、供養という言葉はあまり使われていないのでご注意を。