現代仏壇のパイオニア!株式会社八木研のショールーム取材レポート
家具調(モダン)仏壇というものをご存知ですか?
仏壇と言うと、大きくて金色の仏具が並ぶ、従来型の仏壇をイメージされる人が多いかと思います。
しかし今回ご紹介する現代仏壇は、現代のライフスタイルに合わせてデザインされたスタイリッシュな仏壇です。
ライフエンディングジャーナル第20弾。今回は、近代の生活にマッチした家具調(モダン)仏壇のパイオニア・株式会社八木研の名古屋駅前ショールーム『ギャラリーメモリア名古屋駅前』にお邪魔しました!
「株式会社八木研が手掛ける現代仏壇とは?」「他の仏壇メーカーと何が違うの?」といった魅力を、ご担当者様のインタビューを交えてご紹介します。
お近くにショールームがない方は、ぜひ参考にしてください。
また、お近くにショールームがある方で少しでも気になった方は、ぜひショールームへ足をお運びください。
取材・文/Life.編集部
八木研の現代仏壇とは
『現代仏壇』とは、株式会社八木研が手掛ける「家具調(モダン)仏壇」のこと。約40年前から家具調仏壇の商品開発を手掛けている八木研は、このジャンルの先進ブランドとして注目を集めています。
株式会社八木研の現代仏壇では、家族の集まるリビングや食卓を囲むダイニングなど、毎日の暮らしの中で自然と仏壇に向き合える祈りの場をデザインしています。
お客様のご要望に応えて開発された商品の種類はなんど約200種類!ラインナップも充実しており、各家庭の生活にマッチする仏壇を選んでいただけます。また、現代仏壇はどの宗教・宗派の祀り方でも利用いただくことが可能です。
民俗学の思想に基づいた現代風のデザイン
仏教伝来より以前の日本では、部屋に棚を設けて花を飾り、ご先祖様の霊を祀っていました。日本民俗学の創始者と呼ばれる柳田國男氏は、その棚を「魂棚(たまだな)」や「先祖棚」と呼び、ご先祖様を大切にする信仰としています。
やがて大陸より仏教が伝わると、貴族社会の中で「小さな寺院」として仏壇を屋敷に安置して礼拝するようになりました。そして江戸時代の中期ごろ、庶民にも仏壇が広まり「魂棚」と融合して、各家庭で祀られるようになったとされています。
現代仏壇は仏壇のルーツといえる「魂棚」をコンセプトにして、家族団らんの場などに飾ることのできるデザインとなっています。
現代仏壇の特徴
生活空間にマッチするデザインが現代仏壇の特徴です。
従来の大きな仏壇と比べて身近な場所で祀れるように、持ち運べるサイズや壁に取り付けられるデザインとなっている仏壇があります。
また、デザインのポイントとして仏壇の扉と本体を繋ぐ「金具・蝶番(ちょうつがい)」を見せない工夫がされています。オリジナルで作られた金具により、見た目をスッキリとさせ、耐久性も上がっています。
ここまでは、八木研が手掛ける『現代仏壇』を簡単に紹介しました。
では実際にどのような商品があるのか、ショールームのご紹介とともにご説明します。
ギャラリーメモリア名古屋駅前の紹介
今回は、ギャラリーメモリア名古屋駅前に取材に伺いました。
ギャラリーメモリア名古屋駅前は、大名古屋ビルヂング10階のハウジング・デザイン・センター名古屋内にある東海地区最大級の現代仏壇店です。
シックな色のじゅうたんと柔らかな照明がおしゃれでブティックのような雰囲気を作っており、仏壇店とは思えない素敵な空間です。
ギャラリー内にはさまざまな種類の現代仏壇が陳列されており、使用されている木目や香りが分かるほどの近い距離で商品を見ることができます。
実際に並んでいる商品と見た感想をお伝えします。
GRAND CRU『Panorama al tramonto(パノラマ アル トラモント)』
イタリアの一流家具メーカーが作る『GRAND CRU(グラン クリュ)』シリーズ。パノラマ アル トラモントは、イタリア語で「夕焼けの眺め」という意味です。
大胆な円弧を描いた外観は、最高級ウォールナットを贅沢に使い、威風堂々とした雰囲気はモダン仏壇の最高峰と呼べる商品です。
ボリュームのある外観に、削り出された繊細な脚から、佇まいに重厚感と気品を感じる仏壇です。
壁掛け仏壇
Life(ライフ)という商品で、日本製の壁かけ仏壇です。扉を閉じると仏壇だという事に気づかない、シックな作りになっています。
扉を閉めると、「本当に仏壇なの?!」と思ってしまうほどのちょうど良い存在感とモダンなデザインです。
壁には他にも、複数種類の壁掛け仏壇が飾られていました。どれもコンパクトでオシャレな作りになっており、現代風のインテリアにマッチするデザインです。
コンパクトな収納付き仏壇
床や畳に置くタイプの台付仏壇です。材質も豊富で、リビングや寝室の雰囲気に合わせて選ぶことができます。
また、最近では収納の引き出しに骨壷をそのまま保管されたり、故人の遺品や日常使いのロウソクやお線香なども収納したりできるため便利です。
その他、ギャラリーメモリアには棚や台の上に置くコンパクトな仏壇や、仏具など幅広い商品が並んでいます。
ショールームに入ると、スタッフの方が優しく声をかけてくださいます。
故人様を祀る大事な仏壇のため、自分が納得のいくまで質問や相談をし、お家やご家族にあった仏壇選びをしてみてください。
接客をする際の心がけとして、「お客様のカウンセリングを大事にする」と言う八木研のスタッフだからこそ寄り添って選ぶお手伝いができるのでしょう。
また、ショールームを訪れる際に気になるのは、どのような接客をされるのかという点でないでしょうか。
今回は八木研の取締役である八木様、ギャラリーメモリア名古屋駅前店の店長である荒谷様にお話を伺いました。
直営店はお客様の希望を叶えるため
初めてギャラリーメモリアにお伺いしたのですが、よくある昔ながらの仏壇店とは雰囲気が全く異なり驚きました!
八木さん:ありがとうございます。入りやすくて落ち着いてお買い物ができるという店づくりを心がけています。また、当店は名古屋駅前という便利な場所にあるため、仏壇を強く意識していないお客様にもお立ち寄りいただきたいと思っています。
ただ、駅前に店舗を構えるというところまでに来るのはとても大変だったんですよ。仏壇のイメージから、テナントを管理するオーナーさんから断られることが多くて…。
仏壇が持つ暗いイメージが影響するのでしょうか…。そもそも、なぜメーカーである貴社が直営店舗を構えることになったのですか?
八木さん:お客様の気持ちを叶える仏壇を提案したいと思ったからです。
以前、兵庫県の三宮にショールームを出す機会がありました。ショールームのため販売はしておらず、見学に来られたお客様で購入を希望される人には小売店さんを紹介していました。
その後、小売店さんからの注文を聞いて驚くことがありました・・・。
ショールームでお客さんがいろいろと考えて決められた仏壇の中身が、小売店さんを通すことで宗派に沿った従来型の仏具に全部変わっていたんです。
こういった経験を繰り返すことで「仏壇に関するお客様の想いはどうなるんだろう?」という気持ちが膨らみ、直営店舗を構えることになりました。
お客様の希望に沿った仏壇を販売するために、直営店を出されたのですね。そうして2000年から、徐々に店舗を増やしていかれたと。
八木さん:はい、まずは関東から店舗を構えました。その後に関西、そして他のエリアへと店舗展開を行っていきました。
また、東京の銀座という中心地に直営店を出したことが一つのポイントです。銀座店の雰囲気を伝えることで、他エリアでの店舗開拓の際に、仏壇店が街中へ出店するという事への理解を得やすくなりました。
供養に対する想い
現代仏壇を販売するうえでのコンセプトや大切にされていることはございますか?
荒谷さん:現代の日本ではライフスタイルが洋風化しているため、和室がどんどん減っていますよね。だから仏壇を選ぶときに大切なのは、宗派に則るということではなく、「ご先祖様を大事にする気持ち」とお客様に伝えています。
編集部の方は、仏壇で手を合わせるときに誰に向かって手を合わせますか?
祖父・祖母の遺影に向かって手を合わせるので、祖父・祖母ですね・・・。
荒谷さん:そうですよね。ちなみに仏壇には、ご本尊は祀っていらっしゃいますか?
そう聞かれるとぼんやりですが…御本尊は仏壇の真ん中に飾ってあったと思います。
荒谷さん:そういう人は多いんですよ。日本特有ですが、宗教儀式としてではなく、ご先祖様に手を合わす気持ちを一番大切にしているんです。
以前は日本国内でお墓参りに行く人は約9割いると言われていました。この数字が物語っていますが、ご先祖様に手を合わせることを大切にするのが日本特有の文化なんです。この文化を大切にするために、お家に1つ仏壇を置くというのは理にかなっていますよね。
核家族化が進んでいくなかで親戚やご近所の人との繋がりが減っています。しかしこういう世の中だからこそ、ご先祖様との繋がりを受け継いでいくことが大事という想いで事業を展開しています。
販売時の接客の際も、「ご先祖様を大切にしてほしい」という想いは伝えていらっしゃるということですか?
荒谷さん:はい、ご先祖様への気持ちを大切にお祀りすることを考えましょうとお話ししています。もちろん、宗派に則ってきちんとお祀りしたいというお客様には、ご要望に沿うように提案をいたします。
なにより接客の際に大切にしているのは、「お客様がどうしたいのか」という事を聞く姿勢です。お客様のカウンセリングをしっかり行い、気持ちに寄り添っていろいろとご提案をすることが大事だと思っています。
お客様の声をしっかり聞くことで、驚きと共感を得ることができます。
気持ちに耳を傾けてからのご提案ということですね。
仏壇の購入ではすぐに購入決定をされる人がいないイメージなのですが…どのくらいの期間をかけて検討する人が多いですか?
荒谷さん:購入までの期間は、お客様によってさまざまです。
でも、お寺さんは「急がなくてもいいんですよ」と仰るところが多いと聞いています。
一方で弊社で購入されたお客様からは、「仏壇を早めに買って良かった。心の拠り所ができました!」という声もいただきます。毎日悲しみに暮れていたのが、仏壇があることで日常を取り戻すことが出来たとおっしゃったんです。
大切な人を亡くすと悲しみを癒すのには時間がかかるものです。でもこういうときに仏壇に向かってお話をすることで、心が少しでも軽くなるのではないでしょうか。この行為が、グリーフケアのひとつになると思います。
また、ご先祖様に対しても泣いたり笑ったりを共にし、一緒に生活することが供養になるのではと考えています。よって今日の出来事を仏壇に向かって話すことができる、というのが理想ですよね。
そのために現代仏壇は、生活のシーンに合わせて選んでいただけるようにさまざまなデザインを取り揃えています。
ものづくりに対する熱量
デザインが豊富ということは、店舗を拝見しても感じました。直営店を持つ貴社だからこそが持つ、メーカーとしての強みはどういうところにありますか?
八木さん:接客をする際にお客様の生の声を聞くことができるところです。
お客様の設置例を見させていただくと、仏壇メーカーの社員である私たちでも驚くことがあるんですよ。「この場所にこうやってお祀りする仕方があるんだ」と、概念を壊されます。
でも、それが直営店の強みですよね。お客様の生の声を拾うことができ、そして商品化することができるんです。接客時や納品時に聞くことができるお客様の声が、新しい商品開発に活かされるという点が当社の強みです。
直営店舗を持つ貴社ならではの強みですね。やはり、強いのはお客様の声なんですね!商品を開発するときは、開発までの背景が大事ですよね。
八木さん:そうなんです。なぜこの商品を開発したのか、という背景が大事です。
だからこそ、メーカーならではの生みの苦しみというのもあります。お客様の声を拾って開発に活かしますが、満足のいく商品に仕上げるためには何度も試行錯誤を繰り返します。でも、この経験があるからこそ満足いただける商品を提供できます。
また、弊社は自社工場を持たずにアウトソーシングで作るというのも特徴です。世界のいろいろな国に発注先の工場があり、高度な技術を組み合わせることができる。例えば、世界的に有名な自動車メーカーの塗装を手掛けている工場に依頼をすることだってあります。
自社工場がない分、あらゆるメーカーの技術を駆使した商品を作ることができるんです。
優れた職人の技を、商品に合わせて活かすことができるということですね。生活にマッチするデザインを作るために、あらゆる技術を組み合わせられるのは強いです!
八木さん:また、発注先としては昔ながらの婚礼家具を作られている職人さんなど、日本文化として残していくべき技術をお持ちの方も多くいらっしゃいます。
現代仏壇は他の家具調仏壇と比較すると、全体的にお値段は高いです。なぜなら、このように職人の方の技術を活かすため無理をさせたくないという想いがあるからです。技術にこだわっているので、価格を下げるということはしない。
そして当社の商品デザインの行程にも特徴があります。職人の技術を熟知したうえで、当社の企画者(デザイナー)がその技術の特徴をいかしたデザインを作ります。
よって、他社とは比べられない唯一無二の洗練された商品が完成します。
発注先の職人の方が持つ技術への尊敬と、ものづくりへのこだわりが強いからこそ洗練された現代仏壇シリーズの商品が出来上がるんですね。
本日は、お話をお聞かせいただきありがとうございます!
株式会社 八木研 概要
企業名 | 株式会社 八木研 |
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代表者 | 代表取締役社長 八木龍一 |
設立 | 1948年7月 |
所在地 | 大阪本社 〒537-0011 大阪市東成区東今里2-7-37 |
ギャラリーメモリア 名古屋駅前(今回の取材先) | 〒450-6410 名古屋市中村区名駅3-28-12 大名古屋ビルヂング10階 HDC名古屋内 |
公式サイト | https://yagiken.co.jp/ |
【PR情報】ギャラリーメモリア 名古屋駅前
名古屋駅のすぐ前、大名古屋ビルヂング10階ハウジング・デザイン・センター(HDC名古屋)内という観光地にも近い好立地。空中回廊をイメージした開放的な店内には、モダンな仏壇が80種類以上!機能的で小さい仏壇をはじめ、置き場所を取らない壁掛け仏壇、おしゃれな仏具、位牌、線香、ろうそくなど多彩な品揃えです。専門知識の豊富なスタッフが、仏事のご相談からご購入後のアフターフォローまでしっかりサポートいたします。どうぞお気軽にお声かけください。- 直営店サイト → https://yagiken-memoria.com/
- Facebook → https://www.facebook.com/memoria.nagoya
- Instagram → https://www.instagram.com/memoria.nagoya
編集後記
私自身、仏壇に対しては大きくて暗いイメージを持っており、正直自分の住む家には仏壇を置くイメージが持てていませんでした。しかし、ショールームに訪れてみて実際に現代仏壇を拝見すると、どれもオシャレなデザインの仏壇ばかり!「将来置くとしたら…」と考えると少しワクワクしました。ご担当者さんもおっしゃっていましたが、仏壇はご先祖様の魂が宿る最期のお家です。故人が何を好きだったのか、どのような飾りをすると喜びそうなのかを考えて仏壇を購入するのはとても良い供養になります。また、なかなかお墓参りに行けなくても、仏壇が家にあるだけで、毎日手を合わせて想いを馳せることができます。ご先祖様と向き合うことで、自分の心にも良い変化を得られることでしょう。生活に溶け込むデザインの『現代仏壇』、おすすめです。
ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。