【納骨堂のデメリット】お墓選びに後悔しないためにも知っておくべき4点
納骨堂のデメリットとは?徹底解説
- 納骨堂は期限後合葬の可能性あり、遺骨回収不可に。
- 納骨堂は収蔵スペース限られ、維持管理に懸念。
- 納骨堂利用時、お供え物制限あり、火災リスクも要注意。
- 納骨堂の種類により、スペース狭い、費用高い、機械トラブルの心配も。
昨今、注目が高まってきている納骨堂ですが、もちろんメリットばかりではありません。
納骨施設としてお墓の役割・機能はしっかり果たしているものの、遺骨の収蔵スペースに限りがある、一定期間たった後に合葬される、といったデメリットもあります。
特に合葬後は遺骨を取り出せなくなることもあるので、のちに親族とのトラブルになることも考えられます。
そのため納骨堂を選ぶ際は、事前にどのようなデメリットがあるのかしっかり理解しておくことが大切です。
この記事では、納骨堂のタイプ別のデメリットについて解説しています。
あわせて利用のメリットも紹介しているので、納骨堂を選ぶべきかどうかの判断にお役立てください。
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この記事の目次
選ぶ前に知っておきたい納骨堂のデメリット
納骨堂とは、納骨施設を設けた建物のことです。
屋内型のお墓として人気があり、多くの人々に選ばれています。
しかしお墓といえば、やはり一般的な墓石を第一に挙げる人も多く、中には新たなお墓の形として樹木葬を選ぶ人も増えています。
納骨堂の最大の特徴は、屋内でお参りができることですが、それゆえのデメリットについてご紹介して参ります。
一定期間で合葬されることがある
納骨堂によっては使用期間が決められているところもあります。
いわゆる、お墓のような「永代使用権」を手に入れるのではなく、一定期間の使用の契約であり、期間を過ぎてしまうと中の遺骨は合葬、つまりは他の人と同じ場所に埋葬されます。
もちろん納骨堂の中でも承継者が続く限り永代に渡って使用できるものもあります。
契約の際には、使用期間についてきちんと確認しておきましょう。
万が一、合葬されてしまうと、その後は遺骨を還してもらえなくなるので充分に注意しましょう。
預けられる遺骨に制限がある
納骨堂の場合、遺骨は納骨壇の中に骨壷のまま納められます。
そのため、中に納められる遺骨の数に限りがあります。
一般的な墓石のカロートは、骨壺を並べることも、遺骨を土に還すことも、その両方に対応できるように作られています。
しかし、納骨壇の場合はそうは行きません。
納骨壇の中の遺骨がいっぱいになった場合、お寺がどのような対応をしてくれるのか事前に確認しておきましょう。
※カロートとは、お墓の中にご遺骨を納めるための場所のこと。
建物/施設の維持管理への不安
納骨堂は建物の中にあるため、建物そのものの老朽化によってトラブルが起きる可能性があります。
建物の劣化が心配なだけでなく、建て替えや改修工事の費用負担を利用者にも求めてくるかもしれません。
また、火事や地震など万が一のことが起きた時、遺骨をどのように守ってくれるのか、具体的な対応策を示しているお寺はそう多くありません。
お供えに制限がある
納骨堂では、お供えに制限があります。
主に挙げられるのは、線香やローソクなどの火の使用について、そして生花や供物などです。
納骨堂は屋内施設のため、万が一火の取り扱いを間違えると火事になりかねません。
また、お花が枯れたり、お供え物が傷んだりすることで異臭を放ち、周りに多大な迷惑を与えてしまうでしょう。
一般的な墓石であれば当たり前のようにできるこのようなお供えですが、それができないことに違和感や物足りなさを感じる人もいます。
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納骨堂のデメリットをタイプ別に解説
納骨堂には、ロッカー式、墓石式、仏壇式、自動搬送式など、さまざまなタイプがあります。
タイプ別のデメリットを考えてみましょう。
ロッカー式の納骨堂
ロッカー式とは、ロッカー状の納骨壇を用いるタイプです。コインロッカーの形状をイメージしてもらえば分かりやすいでしょう。
1列を複数(3〜5区画)に区切って利用するため、費用を安く抑えられるのがメリットです。
反面、スペースが狭く、納骨の数にも限りもあるので窮屈に感じる人もいるでしょう。
また、お供え物を置く余裕もなく、その形状ゆえに遺骨を粗末に扱っている印象を受ける人もいるようです。
墓石式の納骨堂
墓石式とは屋内に墓石を設けて、その中に納骨をします。
お墓が屋外か屋内にあるかの違いだけで墓地の永代使用料や墓石の建立費など、費用は一般的な墓石並みにかかるでしょう。
また、屋内の墓地なので区画は狭く、場合によってはデザインを自由に決められないケースもあります。
仏壇式の納骨堂
仏壇式とは仏壇の形状の納骨壇です。
1列をすべて1家族が利用し、上段を仏壇として、下段を納骨スペースとして利用します。
納骨壇それぞれにご本尊(仏様)が安置されているので、その場で手を合わすことができます。
また、遺骨も複数納められるので世代を超えての利用も可能です。
ただし、その分、費用が高めに設定されているのがデメリットでしょう。
自動搬送式の納骨堂
自動搬送式では、お参りの際に参拝ブースへ遺骨が自動搬送されてきます。
お参り場所と納骨の場所を隔離されており、遺骨の管理や搬送は完全機械制御で行われます。
省スペースでたくさんの遺骨を保管できるため、大都市を中心に徐々に普及されてきている新しいタイプの納骨堂です。
ただし、ハイテク機器の使用、さらには都市部という立地のため費用は高めです。
また、それ以外に考えられるデメリットとしては、参拝ブースが限られているため、お盆などの時期は大変な混雑が予想されます。
また、万が一、機械が故障することもあるでしょう。
管理者側がどのように対応するのかも予め確認しておきましょう。
納骨堂を利用する5つのメリット
従来のお墓参りは屋外で行われました。そうしたお墓参りに慣れている人にとっては、納骨堂のデメリットが気になってしまうかもしれません。
しかし、納骨堂には墓石にないメリットもたくさん持ち合わせています。
ここからは、納骨堂を利用するメリットをご紹介します。代表的なのは次の5つです。
メリット1:価格が安い
墓石の建立に比べて料金が比較的安価です。
タイプによって金額は異なりますが、納骨堂の平均相場は50万円〜100万円程度です。
墓石を1基建てるのに200万円〜300万円近くかかる(墓地費用と墓石費用をあわせた平均相場)ことを考えると、いかに納骨堂が安価かが分かるかと思います。
※納骨堂の費用についてより詳しく知りたい方は、納骨堂の費用は100万円前後!基本知識や種類を紹介をご覧ください。
メリット2:天候に左右されずにお参りができる
屋内であるため、天候に左右されずに落ち着いてお参りができます。特にお盆時期は厳しい暑さの中でのお墓参りですし、雨の日のお墓参りを敬遠する人もいます。しかし、納骨堂ではこのような心配がありません。
メリット3:掃除の負担が少ない
納骨堂は、墓石のようにずっと雨や風や日光にさらされているわけではありません。また、墓石であれば足下からも雑草が生えてきます。納骨堂ではこうした負担はなく、掃除も、埃を払い、内外を軽く拭く程度ですむでしょう。
メリット4:アクセスの良い立地
お寺の境内に設置されることの多い納骨堂ですから、墓地とは異なり都市部でも実現可能です。一般的な墓石よりは、お参りしやすい納骨堂が見つかることでしょう。
メリット5:永代供養してもらえる
納骨堂はお寺の境内にあるため、あとを見る人がいなくなったらそのまま永代供養をお願いできます。
墓石の場合は、改葬の手続き、墓石の撤去、永代供養の受け入れ先を探すなど、しなければならない手間や費用の負担が重くのしかかります。
しかし、納骨堂の場合は、これらの手間も基本的には不要です。
納骨堂でもしっかり供養できる!人気が高まっている理由
墓石や樹木葬など、さまざまなお墓の形態が選ばれている中、どうして納骨堂は人気なのでしょうか。
「充実した供養」という面から、その理由を具体的に深く探ってみたいと思います。
承継が難しい時代だからこそ、数百年続くお寺が再評価
納骨堂の多くはお寺の中にありますが、お寺という場所がもたらす安心感こそが納骨堂の人気の理由の1つです。
その家で代々遺骨を守ろうとすると今の時代ではどうしても無理が生じます。
少子化社会で、2018年の平均出生率は1.42人。子どもを産まない選択をする人もいます。
また、移動社会であちこちの街や土地を転々としながら生活するのが当たり前の時代でもあります。
お寺という空間は、数百年という人間の寿命よりも長くそこにい続けられる場所です。
だからこそ大切な家族や先祖の遺骨をお寺に預ける人が増えているのです。
落ち着きある雰囲気と安心感
お寺の境内は神聖な空間です。山門をくぐるだけで何か普段とは違う清浄な雰囲気を感じるものです。
そんなお寺の中にある納骨堂を利用することで安心感を覚える人も多くいます。
お寺には住職やその家族が24時間いますので防犯上も安心でしょう。
また、近年流行しているマンション型の納骨堂も、経営はお寺によるもので、建物の中に入ると静かで落ち着きある雰囲気が作られています。
周囲の環境から区切られた納骨堂だからこそ、気持ちを落ち着けて手を合わすことができます。
いざという時の改葬の手間が軽減 永代供養を受け入れてくれる
納骨堂を利用する人の多くが、子や孫がお墓を守れないかもしれないという先行きの不安を持っています。
お墓を持っていたら、あとが続かないと分かった時に墓じまいをしなければなりません。そのためには次のような煩雑な対応や費用負担がのしかかります。
- 改葬先を決める
- 役所から改葬許可証を得る
- 寺院に性根抜きや場合によっては離檀の相談をする
- 石材店に解体撤去工事の依頼をする
納骨堂は家族が個別に利用しお参りできる施設ですが、万が一お参りする人がいなくなっても、そのままお寺の中で永代供養にしてくれます。
お寺の中にある納骨堂だからこそのメリットです。
納骨堂が向いていない人の特徴まとめ
どんなに納骨堂が流行してるからといって、すべての人が納骨堂を選んで満足いく供養ができるとは限りません。
ライフスタイルが多様化しているということは、それだけ家族のあり方もさまざまだということです。
あくまでも自分たちにあったお墓の形を考えて話し合うのが望ましいでしょう。
この章では納骨堂が向いていない人の特徴をまとめました。
墓石への愛着がある人
どんなに時代が変わったとはいえ、いまでも日本では大多数が墓石への納骨を実施しています。
もちろんこの傾向は近い将来さらに変わって行く可能性はありますが、「お墓参りと言えば墓石」と考える人が多くいます。
中には「お墓掃除は大変だけど心が洗われる」と、その大変さこそに価値を見いだす人にとっては納骨堂は不向きかもしれません。
遺骨を土に還してあげたい人
遺骨はやっぱり自然の土に還してあげたいと考える人は墓石や樹木葬の方がよいかもしれません。
納骨堂でも最終的には合葬という形で土に還りますが、個別の土地に個別に埋葬したいという想いは実現できないでしょう。
空や風、日光や草花など、自然を感じながらお参りしたい人
納骨堂へのお参りは建物の中ですが、これまでのお墓参りは野外で行われていました。
空や風、そして太陽の光を浴びて、場所によっては草花などの自然に囲まれながらのお墓参りをすがすがしく感じる人もいるでしょう。
納骨堂へのお参りではこうした「自然のよさ」は感じづらいかもしれません。
費用をさらに安く抑えたい人
納骨堂では、タイプによっては比較的安価に納骨ができます。
しかし、費用のことだけを考えるのであれば、永代供養(合葬)や散骨など、さらに安い費用負担で済む方法もあります。
「納骨堂=安い」という先入観に捉われず、自分たちの予算にあった中で納得のいく方法を考えてみましょう。
親族との話し合いができていない人
お墓参りの場所が納骨堂であることに抵抗感を持つ親族もいるかもしれません。
どんなお墓を選ぶかは家族(厳密には故人の亡きあとを見る祭祀承継者)が決めればいいのですが、周囲の人たちのお墓参りにもある程度の配慮が求められます。
大切な親族がいる場合は、まずは相談、あるいは話し合いをしてからでも遅くはないでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
いま注目されている納骨堂にも、さまざまなデメリット、そしてそれと比較してもあまりあるメリットがあることがお分かりいただけたでしょうか。
では最後にこの記事のポイントを、デメリットとメリットに分けて、箇条書きでまとめます。
みなさまのお墓選びの一助になれば幸いです。
納骨堂のデメリット
- 納骨堂は一定期間で合葬されることがある
- 省スペースのため預けられる遺骨に制限がある
- 建物の老朽化や火事など、建物施設の維持管理への不安がある
- 線香やローソク、お花やお供え物などが制限されている
- ロッカー式は納骨堂の中でも特に狭く、遺骨を粗末に扱っている印象を受ける
- 墓石式は、一般的な墓石並みに費用がかかる
- 仏壇式も、費用が比較的高め
- 自動搬送式は、万が一の機械トラブルが心配
納骨堂のメリット
- 価格が安い
- 天候に左右されずにお参りができる
- 掃除の負担が少ない
- アクセスの良い立地
- 長くそこにいつづけてくれるという永続性
- 仏さまに守られているという安心感
- いざという時の改葬の手間が軽減され、そのまま永代供養を受け入れてくれる
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監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
かつて納骨堂といえば、墓所に納骨するまでの一時預かりというイメージでしたが、近年開発される納骨は、家墓として外の一般墓所と同じような感覚で求める人が増えています。
たしかに、20年以上前は、納骨堂を探しても限られていて、値段も一般墓所より高額なところがほとんどでした。ところが2000年以降、ロッカー式や棚式の納骨堂ができはじめ、さらに機械式納骨堂が登場したあたりから、一気に注目度がUPします。「お墓が足りない」「公営霊園の申し込み者が多く、抽選倍率が高い」といった情報も飛び交い、現在の納骨堂建設ラッシュに至っています。
機械式の納骨堂は将来のメンテナンスに不安があると言われています。耐用年数は15年から20年と言われていますが、お墓は50年、100年の長い単位で守っていくものです。きちんと販売業者の対応を求めたいところです。