納骨堂の契約で悩まされない!知っておきたい懸念される4つの問題

【納骨堂 問題】アイキャッチ

納骨堂の問題とは?徹底解説

  • 納骨堂契約では遺骨紛失や補修費、トラブル、合葬のリスクがある
  • 納骨堂はコスト明確で後継者不要、墓じまいにも対応
  • 納骨堂の欠点は期間経過後の合葬や建物消失リスク、参拝感の薄さ
  • 納骨堂の利点は短期預かり、低コスト、天候無関係の参拝可能性

昭和時代では、お墓と言えば「墓石」というイメージが根強く世間に浸透していました。

しかし、平成、令和と時代が進むにつれて、「墓石」ではなく「納骨堂」という選択をする人は増加傾向にあります。
納骨堂は、シンプルかつ人気がありますが、契約する際は何も懸念するような問題点はないのでしょうか。

納骨堂を契約した後に、「こんなはずはなかった……」ということにならないよう、事前に納骨堂で起こりえる問題について、しっかりと把握しておきたいものです。

今回は、納骨堂で起こる可能性のある問題や、納骨堂のメリット・デメリットなどについてご紹介いたします。
この記事を読むことで、納骨堂と一般のお墓との比較ができるようになるため、安心して納骨堂を契約することができますよ。

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この記事の目次

  1. 人気上昇中の納骨堂!その背景で懸念される4つの問題
  2. 納骨堂の人気が高まっている3つの理由
  3. 【一般のお墓と比較!】納骨堂に遺骨を預ける3つのデメリット
  4. 【悪い点ばかりではない!】納骨堂に遺骨を預ける3つのメリット
  5. まとめ
  6. 監修者コメント

人気上昇中の納骨堂!その背景で懸念される4つの問題

仏壇式の納骨堂

納骨堂は人気がある供養方法の一つですが、一方で懸念される問題もあります。ここでは、具体的にどのような問題があるのかについて確認していきましょう。

  1. 火災や地震などによる「建物の崩壊」で遺骨が紛失する可能性
  2. 建物の老朽化にともなう補修費用を請求される可能性
  3. 住宅地での建設した場合、反対する近隣住民とのトラブルになる可能性
  4. 最終的には合葬されてしまう

1.火災や地震などによる「建物の崩壊」で遺骨が紛失する可能性

万が一、契約している納骨堂が火災や地震などの災害で建物が崩壊してしまった場合、先祖の遺骨が紛失してしまう可能性があります。一般のお墓の場合、遺骨を入れるスペース(カロート)に骨壺ごと納骨しているため、災害時でも遺骨が紛失する可能性は低いです。

しかし、建物に収容している納骨堂の場合は、建物の崩壊にともない遺骨が散乱してしまい紛失する可能性が高いことが問題といえるでしょう。

2.建物の老朽化にともなう補修費用を請求される可能性

納骨堂は、建物内に作られているため老朽化してくると補修費用が掛かる可能性があります。納骨堂によっても異なりますが、「補修費用を納骨堂利用者から集める」というケースもあるのです。

なぜなら、納骨堂ではあまり高い年間管理費用を回収していないことが多いからです。「納骨堂は、比較的利用料金がリーズナブルだから契約した」というケースでは、建物の老朽化したときの方針について確認しておかないと余計な負担が増えてしまい後悔する可能性があります。

3.住宅地で建設した場合、反対する近隣住民とのトラブルになる可能性

納骨堂を住宅地で建設した場合は、近隣住民とのトラブルに巻き込まれる可能性があります。実際に、2017年4月は千葉市稲毛区、2017年8月に大阪市淀川区で納骨堂建設の反対住民が「建設許可差し止め」を裁判所へ提訴しました。

今までも全国で同じような裁判例はありますが、反対住民の差し止め結果は棄却や却下が多い傾向です。ここでは、どうして建設できてしまうのか、反対する理由などについて3つの観点から解説します。

納骨堂建設予定地における隣接居住者の許可は絶対条件ではない

納骨堂を建設する場合、隣接居住者の許可をとらなくても施設を建築できます。なぜなら、法律上明記されていないからです。

具体的に、『墓地、埋葬等に関する法律』第10条では「納骨堂を経営しようとするものは都道府県知事の許可を得る」としか謳われていません。
そのため、自治体は許可条件がそろっていれば納骨堂建設の許可をせざるをえない状況なのです。

こういった状況からも近隣住民との溝を深めてしまいかねない状況と言えるでしょう。ただし、自治体によっては条例により納骨堂の建設に関して近隣土地所有者の同意が条件になっているところもあります。

今後、住宅地に納骨堂がたくさん作られるようになると、同じように条例で近隣住民の同意が条件になることも増えていくかもしれません。

嫌悪施設のイメージから反対の声がある

納骨堂は、たくさんの遺骨を納骨できるスペースがあるため、嫌悪施設として反対される傾向です。嫌悪施設とは、周辺住民から嫌われる施設のことで、例えば公害発生施設や火葬場、刑務所などがそのうちの一つになります。

納骨堂を建築される場所の住民からすると、「自分の家の近くに遺骨があるのはいやだ」という心理的嫌悪感があっても当然でしょう。また、別の観点ではお墓などの嫌悪施設があることで、その地域の不動産価値が下がる可能性があります。

お盆やお彼岸など参拝者による交通渋滞が発生する可能性

納骨堂もお墓同様に参拝することができるため、お盆やお彼岸などは特に納骨堂周辺が交通渋滞する可能性があります。近隣住民からすると、生活に支障が出ることも考えられるため問題視され反対される原因の一つです。

4.最終的には合葬されてしまう

納骨堂は、一般的なお墓とは異なり33年や50年など一定の契約期間を満了すると骨壺から遺骨を出されて合葬されてしまいます。合葬とは、他の人の遺骨と一緒に合同で埋葬されるということです。

大切な故人を想うとぞんざいな扱いをしているようで気が引けてしまうという人も少なくありません。契約時には、「一定期間後合葬されるのか」「どのぐらいの年数で合葬されるのか」についてしっかりと確認をしておきましょう。 

納骨堂の懸念される4つのポイントについて説明してきました。契約後に知らなかった…と後悔しないようしっかりと確認しておきましょう。
では、納骨堂はどんな理由で人気が高まっているのでしょうか。人気の理由を確認してみましょう。

納骨堂の人気が高まっている3つの理由

位牌型の納骨堂

近年、納骨堂の人気が高まってきています。たくさんの人たちが納骨堂を選択する理由は一体何なのでしょうか。ここでは、納骨堂の人気が高まっている3つの理由について解説します。

  1. 費用が明朗でリーズナブル
  2. 墓守となるお墓の後継者が必要ない
  3. 墓じまいの選択肢の一つになる

1.費用が明朗でリーズナブル

納骨堂は、費用が明朗で分かりやすく、リーズナブルな傾向です。そのため、費用負担を抑えたい遺族にとっては選択しやすい供養方法となっています。

2.墓守となるお墓の後継者が必要ない

納骨堂は、墓守となるお墓の後継者がいなくても問題ありません。納骨堂によっては、年間管理費を集めているようなケースもあります。

しかし、契約時に費用を一括で支払い、年間管理費も不要で後継ぎがいなくても施設側が供養してくれるという「永代供養タイプ」の納骨堂も多い傾向です。

3.墓じまいの選択肢の一つになる

墓じまいをする際、納骨堂は選択肢の一つになります。実家のお墓が遠くて、あまり管理ができていないようなケースでは、「無縁仏になるぐらいなら改葬したい」という人も多い傾向です。改葬とは、いわゆるお墓の引越しのこと。墓じまいとも呼ばれます。

人気が高い理由を目の当たりにすると、その部分しか目に入ってこなくなりますが、注意するポイントはあるのでしょうか。デメリットについても確認していきましょう。

【一般のお墓と比較!】納骨堂に遺骨を預ける3つのデメリット

デメリットを考える男性

納骨堂に遺骨を預ける場合には、3つのデメリットを押さえておきましょう。一般的なお墓とどのように違うのかを把握しておくことで、納骨堂のイメージも深まりますよ。

  • 一定期間経過すると合葬されるため、遺骨を取り出すことができない
  • 遺骨を預ける建物がなくなる可能性がある
  • お墓参りをしているという実感がわきにくい

1.一定期間経過すると合葬されるため、遺骨を取り出すことができない

納骨堂は、契約する施設によって異なりますが一定期間経過すると合葬されてしまい、遺骨を取り出すことができなくなります。納骨堂でずっと安置してくれると勘違いしている場合は注意が必要です。

2.遺骨を預ける建物がなくなる可能性がある

納骨堂の問題点でも記載しましたが、納骨堂は建物の中にあるため、経年劣化にともない建物自体がなくなる可能性があります。
一定期間経過するとどちらにせよ別の場所へ合葬されてしまうわけですが、一般的なお墓では建物がなくなる可能性ということはありませんので、押さえておきたいポイントです。

3.お墓参りをしている実感がわきにくい

一般的なお墓でお参りすることが慣れていると、納骨堂での参拝は実感がわきにくい一面があります。いままでの参拝スタイルが一番良いと感じている人にとっては、屋内かつ、狭い空間でのお墓参りは違和感を覚えるかもしれません。

【悪い点ばかりではない!】納骨堂に遺骨を預ける3つのメリット

メリットを考える男性

納骨堂は、問題点やデメリットだけではなくさまざまなメリットもあります。ここでは、納骨堂を選択した際の3つのメリットについて見ていきましょう。

  • 遺骨を短期間で預けられる
  • お墓の費用を抑えられる
  • 屋内なので天候に左右されず参拝できる

1.遺骨を短期間で預けられる

納骨堂は、場所が空いていれば短期間で遺骨を預けることができます。一般的なお墓の場合は、寺院や霊園と墓所使用契約を結んだ後に墓石の発注を石材店にすることが必要です。
しかし、納骨堂はすでに納骨する場所があるため、必要書類さえ整えば利用することができます。

2.お墓の費用を抑えられる

納骨堂は、上述したとおり費用がリーズナブルですので、お墓の費用を抑えることができます。一般的なお墓の場合は、どうしても墓地使用料(永代使用料)だけでなく、墓石を建立する費用が大きくなりがちです。しかし、納骨堂は墓石が必要ないため大幅に費用を抑えることができます。

3.屋内なので天候に左右されず参拝できる

納骨堂は、屋内のため天候に左右されることなく参拝ができます。屋外のお墓の場合は、雨風がひどいときの参拝は非常に大変です。しかし、屋内にある納骨堂は空調設備なども整っていることが多く、快適なお墓参りが期待できます。

まとめ

人気が出てきている納骨堂の背景には、少子高齢化や子どもに墓守で負担を掛けさせたくないなど、さまざまな現代社会がかかえる問題が関係していることが理解できたのではないでしょうか。

これまでの記事の内容を簡単におさらいしてみましょう。

納骨堂の懸念される4つの問題

  • 火災や地震などによる建物の崩壊で遺骨が紛失する可能性
  • 建物の老朽化にともなう補修費用を請求される可能性
  • 住宅地での建設した場合、反対する近隣住民とのトラブルになる可能性
  • 最終的には合葬されてしまう

納骨堂が人気の3つの理由

  • 費用が明朗でリーズナブル
  • 墓守となるお墓の後継者が必要ない
  • 墓じまいの選択肢の一つになる
納骨堂のデメリット納骨堂のメリット
1.一定期間経過すると合葬されるため、遺骨を取り出すことができない1.遺骨を短期間で預けられる
2.遺骨を預ける建物がなくなる可能性がある2.お墓の費用を抑えられる
3.お墓参りをしているという実感がわきにくい3.屋内なので天候に左右されず参拝できる

納骨堂は、現代人にとって選択しやすい供養方法だからこそ、しっかりした情報を把握したうえで後悔することのないよう契約したいものですね。

また納骨堂についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。


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実際に希望エリアの納骨堂を調べてみたい方は、こちらから検索できます。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

納骨堂は、宗教・宗旨・宗派不問として販売しているところが多いようですが、宗教施設だという認識は、購入する側も持っていたいところです。つまり、同じ敷地内、同じ建物内で、日常の勤行や法要が行われ、檀信徒の方が日常的に出入りする施設だということです。「自分は檀家ではないから関係ない」というのではなく、少なくとも教義に対して理解を示すくらいの配慮は欲しいところです。

以前、某機械式の納骨堂が、宗教施設と認められず課税対象になったことがありました。納骨堂の目的は、宗教の教義を広め、儀式を行い、信者を教化育成するという宗教団体の主たる目的を実現するために使用しているかどうか、ということが争点だったようです。それ以来、各納骨堂では、日常的に宗教儀礼が行われるようになっています。購入する側も、単なる遺骨を納める場所としてではなく、寺院とご縁を持ち続けることができるかという視点で選びたいものです。