【令和版】失敗しないための墓地・霊園の違いから探し方を大解説!

墓地の選び方アイキャッチ

墓地とは?徹底解説

  • 墓地は寺院、公営、民営の3種類あり、お墓の土地です。
  • 墓地選びは現地確認が重要で、立地や費用、管理をチェック。
  • 永代使用料は地価次第で高く、費用抑えるなら共同墓や永代供養墓が良い。
  • お墓建立は永代使用料等で約160万円が必要。

「お墓を建てるために何から準備をするべきだと思いますか?」と尋ねると「分からない。知らない。」と答える人がほとんどです。
先に説明すると、お墓を建てるにはまず、墓地(=土地)が必要になります。

なんと、墓地を決めてお墓を建てるまでに、3ヶ月以上かかる人が多いとのデータがあります。お墓購入者アンケート参照

よっていざお墓が欲しい!と思ってから探すとなると、なかなか進まない工程に焦りともどかしさを覚えるでしょう。
焦って探して墓地選びに失敗する人が一人でも少なくなるように、「墓地」に関する情報を紹介しようとこの記事を書きました。

年間200記事以上「お墓」に関する記事を編集する筆者が、丁寧にわかりやすく「墓地の種類や、お墓を建てるまでの手順」について解説します。
まずは「墓地」に関する基礎的な知識からご紹介します。

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墓地とは「お墓を建てる場所」のこと

墓地(ぼち・はかば)とは「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域」です。

堅い表現ですが、昭和23年に制定された『墓地、埋葬等に関する法律』で、国として定められています。

参考:墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)

「墓地」とは?

墓地(ぼち)とは、亡くなった人の遺体や遺骨を埋葬する墓を設けるための区域。墓場(はかば)ともいう。なお、墓をつくるために土地(墓地等)の一部を区画した部分を墓所(ぼしょ)という。

参考:墓地|Wikipedia

「墳墓(ふんぼ)」とは、下の写真のように区画された墓地にお墓が置かれているものです。住宅に例えると一軒家のイメージに近いです。

墳墓の解説

墳墓は遺骨を埋蔵する施設の1つで、お墓の墓石を指します。

そのため、墓地とは「個別の墓石を建てるために都道府県知事の許可を受けた土地」という意味を持ちます。

現在では、都道府県ではなく市区町村長単位で許可を出すことのできる自治体もあります。

「墓地」を「寺院とそれ以外」といった文脈で使う方もいますが、言葉の定義としてはお墓を建てる場所を指すことになります。

管理・運営団体で異なる!墓地の種類は大きく分けて3つ

墓地は管理・運営団体(管理主体)や形態によって種類が分かれます。

よく分けられる種類は管理・運営団体です。

管理・運営団体の墓地の種類は3つ

墓地を管理・運営する団体によってわけると

  • 種類1:寺院墓地…お寺などの宗教法人が管理・運営し寺院の敷地内にある。宗教法人が管理・運営する
  • 種類2:公営墓地…都道府県や市区町村などの地方自治体が管理・運営する
  • 種類3:民営(民間)墓地…営利を目的としない公益法人か宗教法人が管理・運営する

に分けられます。

寺院墓地・公営墓地・民営墓地

墓地の種類によって特徴が出てきます。当然、それぞれにメリット・デメリットもあります。

墓地の特徴を知らずにお墓を建てると不都合がでることもあります。次の章で紹介しますので必ず確認しましょう。

種類1:「寺院墓地」はお寺や宗教法人の敷地内にある

寺院墓地のイラスト

寺院墓地とは、簡単に言うとお寺や宗教法人の敷地内にある墓地のことです。お墓を建てるには、そのお寺の檀家にならなければいけない場合がほとんどです。

墓地の場所はほとんどが寺院の敷地内もしくは、近隣の土地にあります。

寺院墓地にお墓を建てるメリット・デメリット

寺院墓地にお墓を建てる場合に考えられるメリットとデメリットを挙げてみました。

メリットデメリット
  • 葬儀や法要、供養についての相談が気軽にできる
  • 継承者がいなくなった場合、永代供養をしてくれるところが多い
  • 檀家として、お寺の活動への参加や寄付が求められる
  • 指定石材店があるお寺が多い
  • お寺の宗派にあわせる必要がある

寺院墓地にお墓を建てることの最大のメリットは、檀家に入るお寺の僧侶に供養全般に関する相談ができることです。法要で読経をお願いできるほか、急逝する人がいた場合に、葬儀の準備などで力になってくれます。 

一方で、お寺の経営を支えるためにお布施や心付けなどのお金の付き合いが発生します。お寺の修理などに使用するため、まとまった金額が必要になることもあるため用意が必要です。

寺院墓地にお墓を建てることに向いている人

3種類の墓地のうち、寺院墓地を選ぶことに向いている人の特徴をまとめました。

寺院墓地を選ぶことに向いている人
  • お墓を子孫代々と引き継いでいきたい人
  • 供養に関して、相談する人が欲しい人
  • 年忌法要などを大切にする人
  • 人との付き合いや行事への参加が好きな人

人付き合いが苦にならず、町の行事などにも参加することが好きな人は向いているでしょう。

※ご希望の都道府県にある寺院墓地を探すことができます。

寺院墓地についてもっと知りたい方は「寺院墓地の使用料相場は約77万円。檀家料などの費用も必要」で紹介しています。合わせてご覧ください。

種類2:「公営墓地」は市区町村といった自治体が管理・運営

公営墓地のイラスト

公営墓地とは、都道府県や市区町村などの地方自治体が管理・運営する墓地です。

お墓を建てるためには、区画の募集期間中に応募して当選する必要があります。応募は誰でもできるわけではなく、各自治体が決める条件に合う人ではないといけません。

応募条件には、例えば下記のようなものがあります。

  • 〇〇市内に連続して6ヶ月以上在住
  • 1世帯1申し込み
  • 配偶者又は、一親等の焼骨を持っていること

一例として青山霊園における応募資格を紹介します。

申込者は、申込期間満了日(令和5年7月3日)において、都内に継続して5年以上、合葬埋蔵施設(樹林型を含む)の場合は継続して3年以上居住していることが必要であり、それを住民票で証明していただきます。

令和5年度「申込みのしおり」 から引用

注意点としては都内などの都市部では抽選倍率が高い点です。都立霊園の抽選倍率では10倍を超える霊園もめずらしくありません。

何年も当選せずに遺骨は家に置いたままという人も聞きます。

このように公営墓地にお墓を建てたいと思っても、すぐにお墓を建てる場所を確保できるわけではありません。

公営墓地にお墓を建てるための流れについては、「公営墓地とは?民営・寺院とは違う、費用や申込方法などを解説!」の記事でより詳しく解説しています。参考にしてください。

公営墓地にお墓を建てるメリット・デメリット

公営墓地にお墓を建てる場合に考えられるメリットとデメリットを挙げてみました。

メリットデメリット
  • 自治体が運営しているので突然潰れないという安心感がある
  • 永代使用料や管理料が比較的低価格
  • 宗旨や宗派などの制約がない
  • 募集時期が不定期で、応募して当選しなければお墓が建てられない
  • 応募資格として住所やご遺骨の有無などが設けられている
  • 好きな場所にお墓を建てることができない

最大のメリットは、自治体が管理・運営しているため閉鎖の可能性はほぼないという点です。

寺院や民営と比較して、自治体なので経営破綻による墓地の閉鎖という可能性はありません。一方のデメリットとして、お墓を建てるためには抽選に応募し、当選しなければならないというステップを踏む必要があるため、区画の確保までに時間がかかります。

関東で人気の青山霊園谷中霊園などは応募に対して10倍以上の人が申し込み、毎回抽選となっています。

気になる方は事前に自治体が運営する霊園の募集状況を確認しておきましょう。

公営墓地にお墓を建てることに向いている人

3種類の墓地のうち、公営墓地を選ぶことに向いている人の特徴をまとめました。

公営墓地を選ぶことに向いている人
  • 宗教宗派にこだわりがない人
  • お墓や供養に関する費用をできる限り抑えたい人
  • すぐにお墓を建てる必要性が高くない人

公営墓地は、お墓を建てたいと思ったときにすぐに建てられない可能性があります。そのため、時間的に余裕があり、区画が確保できるまで待つ余裕がある人が向いているでしょう。

※ご希望の都道府県にある公営墓地を探すことができます。

公営墓地についてもっと知りたい方は「公営墓地とは?民営・寺院とは違う、費用や申込方法などを解説!」でより具体的に紹介しています。合わせてご覧ください。

種類3:「民営墓地・民間墓地」は民間企業によって販売・管理

民営墓地

民営墓地とは、民間企業が販売管理する墓地のことです。しかし、「墓地、埋葬等に関する法律」で墓地の管理者は下記3つに限られており、通常の企業は運営できません。

<墓地の管理者として許可されている団体>

  • 地方自治体
  • 宗教法人
  • 公益法人

なぜなら、墓地という場が実質的な宗教施設で公共財的な側面をもっているためであり、企業として営利に走るべきではないとされているからです。また、経営破たんを起こすわけにもいきません。

よって、登記上の管理運営者を宗教法人にしておいて、実質的な経営を石材店や開発業者が行っているという実情です。

特徴としては、宗教フリーであることです。そのため、お墓の形もさまざまなものが建ち並んでいるところが多いです。自分好みのお墓にこだわりたい人は、民営(民営)墓地を中心に選ぶのが良いでしょう。

民間(民営)墓地にお墓を建てるメリット・デメリット

民営(民間)墓地にお墓を建てるメリットとデメリットをまとめました。

メリットデメリット
  • 利用にあたっての資格制限がない
  • 宗教宗派が不問のところが多い
  • 公営墓地と比べると募集倍率が低い
  • お墓の形を自由に選びやすい
  • 公営墓地と比べると永代使用料や管理料が割高
  • 指定石材店を設けているところが多い
  • 人気のある霊園や区画はすぐに売り切れてしまう

自由度が高い分、費用が高いなどのデメリットが目立ちます。
また、指定石材店があるケースが多いため、墓石の相見積もりをとることができないのも費用がかさむことにつながるでしょう。

民営墓地にお墓を建てることに向いている人

3種類の墓地のうち、民営墓地を選ぶことに向いている人の特徴をまとめました。

民営墓地を選ぶことに向いている人
  • 設備などのきれいさを求める人
  • すぐにお墓を建てる場所を決めたい人
  • 宗教宗派にこだわりがない人

民営墓地は、他の2つの墓地に比べると施設・設備が充実している墓地が多いです。なぜなら、そのような管理をして人を集めて経営をしていかなければならないからです。

よって、設備の充実さや綺麗さを何よりも求める人には向いているでしょう。

※ご希望の都道府県にある民営墓地を探すことができます。

民営墓地についてもっと知りたい方は「民営霊園のメリットとデメリットを解説!その実態や内情まで」を合わせてご覧ください。より具体的に紹介しています。

コラム:お墓の形態で種類分けされることもある

故人の弔い方によってお墓の形態が大きくかわります。

たとえば、

  • 芝生墓地:芝生が敷き詰められた墓地
  • ガーデニング墓地:墓地の周りや通路に季節の植物を植え、ガーデニングのように施した墓地
  • 納骨堂(立体墓地):マンションのように墓所を立体的に区画を分けて納骨する墓地

のように墓地の種類が分けられることがあります。

次の章では「墓地」「霊園」「墓苑」の違いを紹介します。

区別して理解されていない方はぜひご確認ください。

はっきりした差はない!?墓地・霊園・墓苑の違い

お墓を建てる場所を探し始めると、「△△霊園」「□□墓苑」といった名前のついた場所も頻繁に目にします。この「霊園」「墓苑」は、「墓地」と同じくお墓を建てることのできる場所のことで、違いはありません。

墓苑の「墓」は、いうまでもなくお墓を指します。 一方で「苑」は、大きな地所や庭園を指す言葉で、「園」とほぼ同じ意味です。 よって、「墓苑」は、「お墓がある大きな庭園」という意味であり、「霊園」と違いはありません。

しかし、厳密にいうと大きさや雰囲気で呼称を分けているようです。

簡単に紹介すると下記のようになります。 

  • 墓地 → 寺院墓地に代表するように、古くからあり比較的狭い
  • 霊園 → 公園の機能を備えている、海沿いの一角にあるなど土地面積が広い
  • 墓苑 → 霊園と同じく土地面積が広い

このように、3つの言葉はすべて「お墓を建てる場所」です。

経営主体が寺院であれば墓地、それ以外は霊園・墓苑という違いと理解できます。

つまり、霊園・墓苑には檀家制度がないということです。檀家制度とは寺院が檀家の死者や祖先の供養を取り仕切り、その気持ちとして寄付やお布施を用意します。詳しくは「檀家制度ってなに?その成り立ちや実態をくまなく解説」をご覧ください。

まずは墓地探しから!お墓を建てる流れ

お墓を建てる!と決めたら、まずはお墓を建てる場所を決めることから始めましょう。その後、どのような形のお墓を建てるか、いつお披露目するのか、といったことを決めていきます。

一連の流れは下記にある通りです。確認しましょう。

お墓を建てるフロー

お墓を建てる場所を決めると、その後の流れは石材店とのやりとりだけになります。お墓を建てる墓地の管理事務所の人たちが相談に乗ってくれることもあります。

では、その前の墓地を決めるときには何が1番大事なのでしょう。それは、現地へ見学に行くことです。

墓地を決めるには、現地見学が大事!

お墓を建てる場所を決めるときのポイントは、墓地・霊園の現地へ見学に行くことです。なぜならば、取り寄せた資料だけでは実際の雰囲気をつかむことが難しいからです。

なぜならカタログには、綺麗に撮影された写真を使用しセールスポイントとなる良い点ばかり載っていることが多いからです。

実際に足を運ぶことで、「坂道が多くてお墓参りがしんどい…」「草の手入れが行き届いてなく虫が多い」など、資料だけではわからないことがたくさんあります。

お墓を建てたあとは、できる限り定期的にお墓参りに行きたいですよね。定期的に行くことが苦にならず、自分たちの理想と合う墓地を決めるためには現地へ足を運んでみましょう。

では、資料や実際に現地へ見学に行く際に確認すべきポイントとは何でしょうか。次の章では、墓地を決めるうえで確認した方が良いポイントについて紹介しています。

墓地・霊園を決めるときに考えた方がいい条件・特徴

墓地や霊園を決めるときには、譲れない条件を決めて探すと良いでしょう。なぜなら、地域差はありますが墓地・霊園の種類はさまざまあり、比較検討する項目が多くなってしまうからです。

多くの人が優先項目として挙げる条件7つを、下記にまとめてみました。

墓地・霊園をさがすときに便利な条件項目

  • 宗旨宗派
  • 自宅からの距離
  • 永代使用料と管理料は予算内に収まるか
  • 交通アクセスが充実しているか
  • バリアフリーなど設備や環境が満足できるか
  • 掃除や雑草の処分など管理が行き届いているか
  • 周辺に食事処や花屋などの店が充実しているか

実にさまざまなポイントがあります。このなかから、自分や家族が管理やお墓参りをする場合に何を重視するのか、話し合って決めると良いでしょう。

納得したうえで墓地探しをすることで、決めた後に揉めないだけでなく、お墓を建てた後にお墓の面倒をスムーズにすすめられるからです。

また、今の自分や家族だけを基準にするのではなく、数十年後の家族の状況も考慮しましょう。足腰が弱くなっても通えるかどうかを考えることは、お墓を守るために大切です。

次の章で、話し合いをして決めた条件に合っている墓地をさがすための現地見学へ行く流れやポイントを紹介します。

現地見学がおすすめ!理想の墓地・霊園を探す

墓地・霊園を決めるときは、必ず現地へ足を運ぶことをお勧めします。土地を購入するときに、現地を見ないで購入する人は少ないと思います。墓地・霊園の区画申し込みをするときも同じです。

まとまったお金が必要になり、短くても30年近く利用する土地なので、後悔しないように実際に見て確かめましょう。お墓掃除のときに水を使うのに水はけが悪い、敷地内は坂が多くて大変、など資料やホームページだけではわかりにくい点に気づくこともあります。

また、管理事務所や僧侶の対応なども永くお付き合いするうえで大切になります。当日の様子を観察しましょう。

墓地・霊園に見学へ行く流れ

墓地・霊園の見学は、寺院・公営・民営でも基本的に同じ流れになります。

霊園・墓地見学の流れ

空き区画の情報などを聞くためにも、事前予約をして該当する墓地に関係する人に立ち会ってもらいましょう。

墓地や霊園に見学予約をする方法については、次の章で解説しています。チェックしていきましょう。

墓地・霊園に見学予約をする3つの方法

墓地や霊園に見学を行くには、事前に予約をすることをお勧めします。なぜなら、区画の空き状況などの話を聞くことができるからです。

<現地見学の予約方法>

  1. インターネットで墓地・霊園情報を扱っているサイトから申し込み
  2. 見学したい墓地・霊園の管理事務所に直接問い合わせる
  3. 希望する墓地・霊園の近隣にある石材店に問い合わせる

一度に、複数の墓地・霊園に見学申し込みをしたい場合は、インターネット上にあるポータルサイトを利用すると一括で申し込むことができるので便利です。 

<墓地・霊園の場所を検索できるサイト>

上記に挙げたサイトで、お墓を建てたいエリアから、理想に近い墓地・霊園をさがしてみてください。

墓地・霊園の現地見学については、「霊園見学の際に見るべき8つのチェックポイント!後悔のないお墓を建てよう」の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。

では、現地見学に行くことが決まると、どのようなことを確認するべきか知っておきたいですよね。見学に行くときやその前で、チェックすべきポイントを紹介します。

後悔しないために!良い墓地を見分けるチェックポイント

墓地や霊園を決めるときに、最低限確認しておくといい項目というものがあります。家族で決めた譲れないポイントと合わせて、確認しておくといいでしょう。

墓地を決める時のチェックポイント

  • 立地
  • 環境・設備
  • 管理体制

これら3つの項目は、お墓参りをするときだけではなく、永くお墓の面倒をみるために重要なポイントです。
しっかりと確認しましょう。

項目別で紹介!お墓を建てるためにかかるお金

お墓を建てるには、平均で160万円前後のお金がかかるとされています。(※2018年全優石のデータ参照)この金額は、想定内ですか?それ以上でしょうか?

身近なものでいうと、軽自動車1台が買える金額と同程度ですよね。車を選ぶときと同じように、各項目について情報を集め、じっくりと検討して購入すべきだと筆者は思います。

でも、どこにどのくらいお金がかかるのかを知らないと、墓地を決めるときの予算は立てられないですよね。よってこの章では、お墓を建てるときに必要なお金を紹介します。

お墓を建てるときにお金のかかる項目

  • 墓地の区画使用のお金(永代使用料)
  • 墓石を建てるためのお金(石材・石材加工・工事・付属品)
  • 年間の管理をしてもらうお金(年間管理料)
  • 開眼と納骨の法要に関するお金

上記4項目に関するお金が必要となります。簡単な表にまとめましたので、参考にしてください。

 費用項目

費用相場

永代使用料

25~135万円

石材・石材加工・工事・付属品

40~160万円 (※2018年全優石のアンケート参照

年間管理料

2~3千円

法要(お布施や心付け)

3~50万円

 全て「お墓を建てる場所」「選ぶ石材」「依頼するお寺」で金額が異なりますので、いくら用意すれば十分というはっきりとしたことは言えません。よって、「開眼」「法要」を依頼する予定のお寺に供養に必要な金額を聞き、逆算して予算を考えるのが良いでしょう。

では、宗教宗派やお寺によって大きな差がある「供養」と、選ぶ石の種類で費用差がある「石材」以外の項目について、相場を紹介していきます。

借りるときに1回のみ支払う!永代使用料

墓地や霊園の区画を使用するために支払うのが、「永代使用料」です。

これは、お墓を建てる土地を代々使用する権利を得るために支払う料金で、寺院や管理事務所などの墓地の所有者に支払うお金です。よって、利用の契約をするときに1度だけ支払います。

注意すべき点は、この費用を支払っても土地の所有権を持つわけではないということです。
永代使用料は、区画を永久的に使う権利である「永代使用権」を得るための費用です。よって、使わなくなった場合は、所有者へ使用権利を返還しなければなりません。

また、永代使用料は墓地・霊園がある場所の地価に比例します。

<関東エリア 地域別の永代使用料のイメージ>

  • 【東京23区】価格:133.8万円/区画面積:0.79
  • 【東京郊外】価格:57万円/区画面積:0.96
  • 【神奈川県】価格:63.5万円/区画面積:0.8
  • 【埼玉県】価格:31万円/区画面積:1.46
  • 【千葉県】価格:27万円/区画面積:0.86

墓地の良好な状態を保つため!年間管理料

年間管理料は契約後、毎年一定の額の管理料を支払う必要があります。

墓地全体の維持・管理に必要なお金で、墓地を購入したら既定の管理料を寺院や霊園の管理者に支払います。この管理料で、墓地の通路や休憩所などの共有スペースの維持管理が行われ、水道料金などもまかなわれます。

寺院墓地では、管理料ではなく、護寺会費(寺院の維持管理費)やお布施という名目の場合もあります。護持会費とは、檀家が支払う会費のようなもので、寺院墓地特有の費用です。

支払いは1年分をまとめて支払うのが一般的です。墓地によっては数年分をまとめて支払うように定めているところもあります。滞納してしまうと、永代使用権を取り消される場合もあるため、支払いを滞らせないよう気をつけましょう。

墓地の使用権利を得る「永代使用料」は、地価にあわせた相場になる

墓地は、簡単に言うとお墓を建てることのできる土地です。よって、永代的に使用する権利を得る「永代使用」の費用は、地価にあわせて金額が左右します。

具体的に費用感をつかむため、一等地にある「都立青山霊園」と、住宅地にある「都立八王子霊園」の2つで比較してみましょう。
参照:令和2年度都立霊園の使用者を募集

霊園名

区画の大きさ

永代使用料

年間管理料

都立青山霊園

4.00㎡

11,356,000円

3,500円

都立八王子霊園

4.00㎡

1,196,000

3,760

上記表をみると、同じ都内でも永代使用料に約10倍の差があります。東京都内はとくに地価に開きがありますが、どの都道府県でも都市部と郊外では金額に大きな差があるでしょう。年間管理料については、大きな差がなく、反対に八王子霊園のほうが高いという結果です。

お墓を建てるときの費用のうち、「永代使用料」が高い比率を占めていることがわかりますね。

お墓の相場約160万円で考えると、半分ちかく永代使用料にかかることになるでしょう。 予算的に厳しいと感じた人は、「永代使用料」を抑えたお墓があるのか気になるでしょう。

次の章では、永代使用料が比較的安くおさえられるお墓について紹介します。

墓地の使用料が高いと感じたら!共同墓や永代供養墓がおすすめ

先祖代々の墓を建てるための永代使用料は、わりとまとまったお金が必要です。この永代費用を抑えたいという人におすすめなのが、この2つのお墓です。

  • 永代供養のお墓
  • 共同・合同(祀)のお墓

それぞれ、どのような特徴があるのかを使用するときの相場とともに紹介します。

ほかの人と一緒に眠る共同墓・合同(祀)墓【相場:3~50万円】

複数の人の遺骨を1つの場所でまとめて埋葬するお墓のことです。供養パターンは2つあり、それぞれで相場が異なります。

初めから他の人と一緒に埋葬されるパターン…3万円~15万円

遺骨を預け、寺院や霊園の判断によって合同のお墓に埋葬されます。1年近くは骨壺のまま安置しておくケースもあれば、すぐに土に帰すケースもあります。

もちろん、寺院の中で埋葬されるので、毎年の法要などで供養してもらえますが、個別に名前を読み上げてもらうようなことはないでしょう。その分、費用が安価に済む供養の方法です 

一定期間個別供養をして後に合同墓に移動するパターン…50万円前後

一定期間個別で供養され、その後にほかの人たちと同じお墓に入ります。一定期間とは、寺院や霊園によって異なりますが、多くは13年や33年など、区切りとなる年忌法要に設定します。

初めの個別供養の際には、故人の命日や、毎年の法要や慰霊祭で、寺院に手厚く供養していただけます。よって、永代供養に出す家族側は心理的にも安心できるでしょう。

どちらの場合も、個別で墓石を建てる必要がないため、永代使用料の金額が安くなっています。

個別での供養期間が決められている永代供養墓【相場:10~30万円】

永代供養のお墓とは、寺院や霊園が供養や管理に付随することを代行してくれる供養方法です。
先ほどの合同墓も永代供養墓に含まれます。主なお墓の種類は、下記のとおりです。

  • 樹木葬
  • 納骨堂
  • 合同墓

すべて、一定期間個別で供養をしてもらった後、他の人と一緒に供養されます。なかには個別でお墓を建てることのできる永代供養のお墓もあります。その場合も、決められた墓石を建てるため自由度は低いでしょう。

このように、半永久的に墓地を使用する必要のないお墓の種類ですと、使用料はぐっと抑えることができます。また、こういった種類のお墓は、昨今では次の世代にお墓の面倒を見るという負担をかけないということで人気を集めています。

お墓の供養形態

費用相場

メリット

デメリット

共同・合同(祀)のお墓
(初めから合同供養)

3~15万円

  • 費用が安い
  • 管理をする必要がない
  • 個別での供養がされない
  • 遺骨の掘り起こしができない

共同・合同(祀)のお墓
(途中まで個別供養)

50万円前後

  • 個別での供養がされる
  • 一定のタイミング後は、管理の手間が省ける
  • 他の合同墓に比べて費用が高い
  • 合同墓への移動後は遺骨の掘り起こしができない

永代供養のお墓

10~30万円

  • 個別に供養ができる
  • 共同墓に比べて費用が高い

まとめ

お墓を建てることのできる土地で「墓地」には、種類や費用に関していくつか特徴があります。

寺院墓地・公営墓地・民営墓地

  • 管理や運営主体によって3種類に分けられる … 「寺院墓地」「公営墓地」「民営墓地」
  • お墓を建てる墓地や霊園を決めるときは「現地見学」をすることがおすすめ
  • 墓地を使用する権利「永代使用」の費用は地価に比例する

お墓を建てるということは、一生に一度あるかないかの大きな買い物です。慎重に検討を重ね、家族みんなが納得する場所にお墓を建てましょう。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

お墓を探すとき、一番気にかけるのは「立地」と答える人が多いです。
立地から検索すると、いくつかの墓地、霊園が該当しますが何を基準に選んだら良いか悩むところです。費用、宗教・宗派など、条件を絞っていきますが、事業主体や運営などを把握してくことも大切なポイントです。

例えば気に入った場所があっても、それが寺院の敷地内で宗旨・宗派の条件が合わなければ選択肢に入らないでしょう。
公営墓地の場合は、無縁墓となって荒れてしまっている墓もよく見られます。そのような区画が多いと不安になるものです。

墓地選びは「百聞は一見にしかず」。実際に現地に足を運んで、いくつかみていくうちに、自分たちがお墓に対して何を求めているのかがつかめてくるはずです。

お墓・墓地・霊園の基礎知識を解説