墓地と霊園の違いを解説!お墓を建てるならどっちがオススメか
墓地・霊園とは?徹底解説
- 墓地と霊園は共にお墓の場所だが、イメージが異なる。
- 経営者により、民間、寺院、公営の3種に分類される。
- 価格は民間が高く、寺院は檀家必要、公営は安いが承継者要。
- 選び方は宗派や価格等を考慮し、見学で設備や対応を確認。
お墓探しをしていると、「墓地」という言葉と「霊園」という言葉の違いに戸惑うことがあります。
同じ意味なのか、はたまた違うのかも分からない微妙な言葉のニュアンス、気になりませんか?
もしも、墓地と霊園とで価格帯やお墓の特徴が違うのであれば、ぜひ知っておきたいですよね。
この記事では、上記のような疑問を抱える人のために、墓地と霊園の違い、価格相場、お墓探しの注意点や見学時の注目ポイントについてご案内します。
自分が、そして家族が本当に納得できるお墓を探せるようになりますよ。
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この記事の目次
墓地と霊園に基本的な意味の違いはないが、イメージがやや異なる
実は、墓地と霊園に基本的な意味の違いはありません。どちらも、お墓が集合している場所のことを指します。
また、自治体から許可を得ており、お墓を建てることができる場所という意味もあります。
ただ、墓地と霊園では、一般に与えるイメージがやや違ってきます。
墓地と霊園の一般的なイメージの違いについて、詳しくご紹介します。
また、この章では、「墓地」と「霊園」いずれも含む意味合いの表現を「墓所」とします。
霊園のイメージは「民間の霊園」
「霊園」と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、寺院の敷地内にある墓所ではなく、民間会社が運営している墓所ではないでしょうか。
例えば、八王子市にある「上川霊園」は、京王グループの西東京バスが管理運営を行っている霊園です。
横浜市の「青葉ニュータウン霊園」は、メモリアルアートの大野屋が窓口になっています。
民間の霊園は、管理が行き届いていたり、美しいガーデン風だったりするため
「墓地」よりも「霊園」のほうが、新しくてきれいという印象を持っている人もいるでしょう。
ただ、最近では、「メモリアルパーク」「陵苑」「公園」など、一見するとお墓のある場所とはわからない名称をつけている民間霊園も増えてきました
また、「霊園」という名称であっても、民間の墓所とは限りませんし、「墓地」と名付けられている民営の墓所もあります。
このように、民間の墓所の名称は、実に多種多様です。
「霊園とは何?」「意味を知りたい」という方は「霊園とは?墓地との違いや霊園の種類・特徴をわかりやすく比較!」を合わせてご覧ください。より具体的な定義を紹介しています。
墓地のイメージは「寺院墓地」
墓地といえば、寺院の敷地内にある墓所を思い描く人が多いでしょう。
イメージ通り、寺院の敷地内にある墓所は一般的に「寺院墓地」と呼ばれます。
ただ、正式名称はさまざまです。
たんに「●●寺」とし、墓所名として「墓地」も「霊園」も使わない例が多く見られます。
その一方で、「墓苑」「霊園」といった名称を使う寺院墓地もあります。
墓地についてより詳しい情報をお求めの人は、「墓地とは?種類や選ぶポイントを紹介」の記事も参考にしてください。
どちらもイメージが重なるのが「公営墓地」「公営霊園」
「墓地」も「霊園」も、名称として使われるイメージがあるのが、公営の墓所です。
例えば、「青山霊園」は都立霊園です。
「さいたま市営諏訪入墓地」は、さいたま市営墓地です。
このように、公営の墓所ではどちらの名称もあり得ます。
墓地と霊園には、イメージによる傾向はあるものの、基本的な違いはないことがお分かりいただけたでしょうか。
以上のように、墓地や霊園は名称で区別できるわけではありません。
しかし、墓地や霊園は、経営主体や管理運営業者によって、はっきりと3種類に分かれています。
次章では、墓地と霊園の種類を解説します。
墓地と霊園の種類
墓地と霊園には、以下の3種類があります。
- 民間の墓地・霊園…宗教法人が経営し、民間会社が管理運営する
- 寺院の墓地・霊園…宗教法人が経営・管理・運営する
- 公営の墓地・霊園…自治体が経営し、指定業者が管理運営する
詳しく説明します。
民間の霊園は宗教法人が経営し、民間会社が管理運営している
公営でもなく、寺院の敷地内などにもない民間の霊園は、宗教法人が経営し、民間会社が管理運営しています。
数は少ないですが、宗教法人ではなく、公益法人が経営母体の場合もあります。
なぜ民間会社が霊園や墓地を直接経営しないかといえば、
厚生労働省のガイドラインにのっとって、霊園や墓地の経営は宗教法人か公益法人にしかできないためです。
また、宗教法人や公益法人であっても、自治体の審査が下りなければ墓地経営には乗り出せません。
遺骨を埋葬する墓地や霊園はとても大事な場所なので、永続的な経営ができると判断されなければ、許可が出ないのです。
ただし、経営主体が宗教法人や公益法人であれば、実際の管理運営は他の会社に委託してもよいことになっています。
実際、民間霊園の問い合わせ先にはお寺の名前が出ておらず、石材店などの電話番号が記載されていることが多いでしょう。
民間霊園は、寺院が経営主体とはいっても、宗教フリーで誰でも契約できるケースがほとんどです。
寺院墓地は宗教法人が経営・管理・運営をしている
寺院の敷地内にあるような墓地は、その寺院が経営・管理・運営のすべてを行っています。
経営主体でありながら、実際の管理運営もお寺が行っている例です。
よって寺院墓地も民間霊園の一部であるといえます。
古くからの墓地が多く、一昔前まではその寺院の檀家にならなければお墓を購入することができませんでした。
しかし最近では、檀家にならなくても契約できる永代供養墓や、宗教フリーのエリアを設けている寺院墓地もあります。
公営墓地や霊園は自治体が経営し、指定業者が管理運営している
公営の墓地や霊園は、自治体が経営し、指定業者が管理運営を担っています。
市営などの霊園でも、問い合わせ先に民間会社の名前が記載されていることがあるのは、そのためです。
ただ、町村の小さな墓地や霊園などには、指定業者を立てないケースもあります。
指定業者を立てない場合は、自治体の管理課が直接管理運営を行ったり、墓地を使用する構成員である町内会が管理したりしています。
以上のように、霊園と墓地には経営主体や運営管理会社によって3種類があります。
気になるのは価格相場ですね。種類によって、価格の相場に違いはあるのでしょうか。
それぞれのメリット・デメリットを交えながら、次章で解説します。
種類によるメリット・デメリット、価格相場の違い
民間霊園、寺院墓地、公営墓地・霊園それぞれのメリットやデメリット、価格相場の違いについて詳しく説明します。
民間霊園のメリットとデメリット、価格相場
民間霊園のメリットは、ほとんどが宗教フリーで、また承継者の必要がない永代供養墓の設置も盛んなところです。
デメリットは、公営墓地・霊園に比べると価格帯がやや高めなことといえるでしょう。
価格帯は、エリアや形式によって違ってきます。承継墓はおよそ200万円から250万円、永代供養墓は30万円から50万円、永代供養付きの個人墓は80万円から150万円ほどが相場です。
寺院墓地のメリットとデメリット、価格相場
寺院墓地のメリットは、特定宗派の寺院によって手厚く供養してもらえるところです。
檀家になれば、葬儀や法要のサポートはもちろん、供養に関するあらゆる相談に乗ってもらえます。
デメリットは、後継ぎを必要とするお墓が多く、檀家になる必要がある場合が多いことです。
檀家になれば、寺院の修理などが生じた際にお金を負担しなければならない場合があります。
価格帯は、やはりエリアや形式によって違ってきますが、承継墓はおよそ200万円から250万円で、
よりリーズナブルな永代供養墓があるかどうかは寺院によります。
公営墓地・霊園のメリットとデメリット、価格相場
公営墓地・霊園のメリットは、価格帯が低めなこと、宗教フリーであることです。
デメリットは、多くが承継者を必要とすること、人気のある霊園は募集倍率が高くなってしまうことがあげられます。
価格帯は、エリアによってだいぶ違います。
民間霊園や寺院墓地より価格帯が低いといっても、都内の霊園では200万円を超える例もあります。
以上、価格帯についてはあくまでも傾向の話であり、エリアや形式、お墓の大きさなどによって大きく変化します。
目安としてだけ覚えておきましょう。
次章では、霊園や墓地を探すときにはどのような点に注意をしたらよいかをお伝えします。
霊園や墓地の探し方
霊園や墓地の探し方を、種類に要点を置きながら解説します。
具体的に注意すべき点は以下の通りです。
- 宗派
- エリア
- 形式
- 相談窓口における情報集め
- 価格
- 実際の雰囲気
それぞれ詳しく解説します。
まずは、実際に霊園・墓地を探す前に検討すべきことを挙げています。
宗派を検討する
まずは、お墓の宗派を検討しましょう。
特定の宗派の寺院に供養をしてもらいたいのであれば、寺院墓地で決まりです。
無宗教を選びたいのであれば、寺院墓地は極力避けて、民間霊園や公営墓地・霊園を候補にしましょう。
エリアを検討する
宗派で種類を絞ったら、次はエリアを検討します。
エリアは、配偶者や子世代がお墓参りに行きやすい場所に絞りましょう。
自宅から電車や車で1時間程度であれば、お墓参りがしやすい範囲といえるでしょう。
形式を検討する
宗派とエリアが定まったら、次に形式を検討します。
お墓の形式には、大きく分けて継承者を必要とするものと、しないものがあります。
公営墓地・霊園の多くは継承者を必要としますし、寺院墓地でもほとんどの区画は継承者が必要です。
それに対し、民間霊園は、継承者を必要としない永代供養墓が比較的多いのが特徴です。
「宗派の面から考えると寺院墓地にしっかり管理してもらいたいけれど、お墓を継いでくれる人がいない」
という事情を持った人は、寺院墓地でも永代供養を行ってくれるところを探さなければなりません。
いきおい、候補はぐっと絞られてくるでしょう。
情報を集める
エリアと形式を検討すれば、求めるお墓の形がだいぶはっきりしてきたことでしょう。
ここで、各窓口から情報を集めます。
インターネットで情報を集めるのが一番手っ取り早い方法ですが、足を運んで初めてわかることもありますから、
できれば複数の切り口から情報を集めましょう。
情報の窓口には、次のような場所があります。
霊園
目星をつけた霊園の事務所に直接訪れれば、そのまま見学も叶います。
近隣の石材店
近くの石材店は、近接エリアにある複数の霊園の指定石材店になっている場合があります。
ネットでは拾えなかった霊園の情報を得ることができるかもしれません。
市区町村役場
市区町村役場へ出向けば、公営霊園の情報が一挙に手に入ります。
価格を検討する
宗派、エリア、形式で絞れば、候補は数えられる程度になってくるでしょう。
ここで価格を検討します。
ここまでで、お墓の条件はかなり定まってくるため、候補となるお墓の価格帯も似通ったものになってくるでしょう。
極端に値段が高め、低めのお墓を見つけた場合には、お墓の大きさに注目してみてください。
見学して実際の雰囲気を確かめる
最後に、墓地や霊園を見学し、実際の雰囲気を確かめます。
ホームページやパンフレットを見て、どんなにいい霊園だと感じていても、実際には期待と違う場合があります。
必ず見学を行うことが大事です。
次章では、見学時にどのようなことをチェックすべきかを解説します。
墓地や霊園を見学するときの注意点
墓地や霊園を見学するときには、実際に訪れて感じる雰囲気を大事にしましょう。
チェックすべき点を解説します。
アクセス方法に無理はないか
まずは、墓地や霊園までのアクセスに注目しましょう。
パンフレットには「駅から徒歩5分」とあっても、高齢者の足では10分もかかってしまうような例があります。
坂道だったり、階段が多かったりするような道であれば、足が悪い人には大変です。
実際に歩いてみてこそわかる、アクセスの良し悪しを見極めましょう。
外観や設備にイメージとの相違はないか
墓地や霊園に到着したら、外観や設備がイメージ通りかを確認します。
ホームページの写真を見て、お墓からの眺めがよいことに感動したのに、契約予定のお墓からはその景観が望めない場合があります。
また、設備が整っていても、メンテナンスが悪く休憩所が汚れていることもあります。
思った通りの内容かどうか、墓地内をくまなく回って確認しましょう。
バリアフリーか
高齢化が進む現代では、墓地や霊園に限らず、バリアフリーかどうかは大きなポイントです。
子世代も、そのうち年老います。
車いすでも楽にお参りできる環境が理想的です。
係員の対応はいいか
係員の対応は、実際に見学することでしかわからない最重要ポイントです。
悲しみに沈んでお墓参りをしているときに、きわめて事務的に扱われたらちょっと切なくなりますよね。
人間的な温かみを感じる係員かどうかを見極めましょう。
さまざまな質問をして、きちんと対応してくれるかも確認します。
現場の写真を撮影しておき子世代に見せよう
最後のポイントは、現場の写真を子世代に見せることです。
実際にお墓参りをするのは子世代ですから、自分だけではなく、子世代が納得し気に入る墓地や霊園でなければなりません。
できれば子世代と一緒に見学へ行きたいところですが、そうもいかない人が多いと思われます。
子世代に写真を見せるとともに霊園の感想をレポートし、家族みんなが納得できるお墓選びを実践しましょう。
以上のように、実際に霊園へ行くときは、目で見てわかることを全て確認できるよう、あらかじめチェックリストを用意しておきましょう。
そして、自分のお墓を決めるにしろ、家族のお墓を決めるにしろ、家族全体の意向を確認することを忘れてはなりません。
まとめ
この記事では、墓地や霊園の種類、種類によるメリットやデメリット、お墓を選ぶときのポイントなどについて解説しました。
エリア、形式、設備や担当者の人柄など、すべてに納得できるお墓を選ぶには、見学が欠かせません。
候補となる墓地や霊園には、なるべく自分の足で出かけるようにしましょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
「お墓を探すとき、何から始めたら良いですか」という質問をよくいただきます。
ひと昔前だったら、石材店に足を運んだり、チラシや新聞広告などで目に留まった霊園へ直接見学に行ったりという感じでしたが、近年はインターネットで簡単に情報を得ることができるようになりました。
お墓探しの一番決めてとなるのは「立地」でしょう。
もちろん、予算や宗旨・宗派に沿ったことが前提ですが、一年に数回程度のお墓参りではなく、行きたいときにいつでも行ける距離にあるお墓を探す人が増えています。
そのため、以前は郊外型に人気がありましたが、居住地に近いお墓や、勤め先に近いお墓に注目が集まっています。