墓地とは?種類や選ぶポイントを紹介
墓地とは?徹底解説
- 墓地は遺体や遺骨を埋める法的に定義された土地。
- 寺院、公営、民間が墓地の主な運営者。
- 墓選びはアクセス、環境、予算を重視。
- 購入後は建立期限や石材店、宗派の確認が大切。
終活として生前にお墓を建てる人が増えている昨今、自分の墓地選びをすることは珍しくなくなってきました。
ただ、墓石についてのまとまった情報は見かける一方で、墓地についてのまとまった情報はなかなかありません。
この記事では、お墓を建てる場所「墓地」についての情報をまとめています。
墓地の種類や費用相場、購入する時に確認した方が良いポイントなどを紹介していきますので、 墓地を探している人や購入を検討している人の疑問を解消し、役立つ情報が満載です。
この記事の目次
墓地とは
墓地とは、遺体や遺骨を埋葬したり、お墓を設けたりする場所のことを指します。
土地の登記記録の地目にも「墓地」と書かれます。
ちなみに法律上では墓地は「人の遺体または遺骨を埋葬する土地」として定められています。(不動産登記事務取扱手続準則 第68条12号)
現在は、地目が「墓地」と「境内地」(お寺などの宗教法人の敷地内)以外ではお墓の建立や埋葬は禁じられています。
しかし、法律で墓地について定める以前から、人々は墓地に遺体や遺骨を埋葬してきた経緯があるために、地方部に行けば、 「墓地」以外にお墓を設けているのを目にすることもあることでしょう(田、畑、宅地、山林など)。
「墓地」と「霊園」は何が違う?
ちなみに、「墓地」は「霊園」と呼ばれることもあります。
この違いは一体何でしょうか?
「墓地、埋葬等に関する法律」では、「墓地」しか定義されていませんが、一般的には明確な区別なしに使用されています。ともに、遺体や遺骨を埋葬し、お墓を建てる場所に違いはないのです。
ただし「霊園」となると全体を指す場合のみに使用されるのに対して、「墓地」は全体だけでなく一区画のみを指して使用されることもあります。
墓地の種類(運営団体別)
『墓埋法』には、墓地を経営することができるものとして、次の3つの団体が定められています。
- 地方自治体
- 宗教法人
- 公益法人
運営団体が異なることで墓地の性格も大きく異なってきます。
ひとつずつひも解いてみましょう。
お寺の敷地内にある寺院墓地
寺院墓地は、原則的にそのお寺の向けの墓地です。
先祖代々のお墓がお寺にあるという人は、いざお葬式ができて埋葬の必要が生じましたらそのお墓に納骨すればよいしょう。
新たに墓地を購入しようと思う人は、お寺の檀家や信徒になることを求められるので事前に確認しておきましょう。
檀家や信徒になると、葬儀や法事などの供養はそのお寺にお願いすることになりますし、お寺の法要への参加や寄付などを求められることもあるでしょう。
自治体が管理する公営墓地
都営墓地や市営墓地など、地方自治体が管理する墓地が公営墓地です。
公営墓地は大変人気が高く、なかなか入手することが難しいようです。
人気の理由はいくつかあります。
- 行政が管理という安心感
- 墓地内がきれいに造成されている
- 宗教や石材業者の指定や制限がない
公営墓地は、市民や住民に対する行政サービスであるために、営利性がなく、管理運営も安定していて、利用条件なども 平等であるように徹底しています。
宗教フリーが多い民間墓地
民間墓地とは、一般の人向けに販売されている墓地のことです。
しかし、民間企業が墓地の経営をしているわけではなく、事業主体は「墓埋法」に基づき許可を受けた寺院か公益法人です。
よく大規模な「○○霊園」や「○○メモリアルパーク」などの宗教色のない霊園を見ますが、これらもお寺が経営主体なのです。
とはいえ、開発や管理運営の面で、開発業者や石材店と提携していることが多く、そのため石材店が指定されていることがほとんどでしょう。
中にはお寺の境内地を造成し、一般向けに販売している「寺院墓地」もあります。
この場合は、お寺の檀家や信徒になる必要はありません。
また、業者との提携をしていないお寺も多いため、自由に石材店を選ぶこともできるでしょう。
ただし、墓地内に他のお寺が入って供養してはならないなど、いくつか制限を設けていることもありますので気をつけましょう。
特徴づけられた墓地の種類
ひと昔前の墓地は村はずれに設けられていました。
山裾や藪の中や川原や海辺など、人々が生活する空間よりも少し離れた場所が選ばれました。
これは、死は穢れとして考えられたためであり、村と墓地の間に距離を置いたのです。
しかし、昨今の墓地は、人々がお墓参りにいきたくなるようなさまざまな工夫が凝らしてあります。
公園墓地
公園墓地とは、お墓としての機能だけではなく、公園としても利用できるように作られた墓地のことです。
お墓に参拝するだけでなく、園内を散策できるように緑や広場が整備されていたり、遊歩道やあずま屋などが設けられていたりします。
多くの公営霊園はこの「公園墓地」のように園内を整備しており、墓地と園地の割合として、3分の2以上を園地とすることを定められています。
ガーデニング墓地
ガーデニング墓地とは、墓石の周りを花や植木で飾ることのできるタイプの墓地です。また、墓地内全体の雰囲気も明るくきれいな西洋風のガーデンを思わせるものが多くあります。
故人様をお花で囲んであげたい、明るい雰囲気の中でお墓参りしたい、従来のお墓には少し抵抗感がある、などの人々に選ばれています。
樹木葬専用墓地
樹木葬専用墓地とは、墓標を石碑ではなく樹木にした墓地です。
樹木葬の先駆けは、岩手県一関市の祥雲寺で、自然の中の里山全体を墓地としたものです。
これに対して市街地などでよくみられるのは、寺院や霊園などの敷地内に墓標となる大きなシンボリックな樹木を植えて、その周りに石碑などのプレートでふたをするカロートを設けて納骨するタイプです。
墓地の費用相場は地域で異なる
墓地の費用は地域によって異なります。
たとえば、同じ都内でも都心部の青山霊園と小平霊園では、同じ面積に換算しなおして3倍もの開きがあります。
墓地の費用は地価と、その地域の墓地の状況が反映されていると言えるでしょう。
墓地の平均費用を知る方法
墓地の平均費用を知るには、平米単価を算出することです。
というのも、墓地は面積によっても費用が異なります。
ですから、すべての墓地を1㎡(1m×1m)に計算しなおすことで、その墓地に対してどれくらいの値段をつけているかを知ることができます。
たとえば、
A区画50万円(1㎡) = 平米単価50万円
B区画80万円(2㎡) = 平米単価40万円
という計算になります。
一見「A区画の方が安い!」と思いがちですが、墓地を購入するには面積も考えなければなりません。
自分たちがどんなお墓を建てたいのかを、そのためにはどれくらいの面積が必要なのかを考慮しながら墓地を選んでいきましょう。
墓地情報の収集方法
墓地情報は、公営墓地であれば市の広報やホームページで掲載されます。
その他、民営墓地などのさまざまな情報は地域の石材店に訊ねるとよいでしょう。
墓地を購入する流れ
墓地を購入するには、実際に現地に出向いて、気に入った場所に空きがあれば、即購入できます。
公営墓地で空きがない場合は、年に一度、返還墓地の抽選会をすることがあります。
その場合は、抽選で当選してはじめて墓地購入の権利を手に入れることになります。
墓地を探すときにチェックすると良いこと
墓地を探すときのチェックポイントをまとめました。
アクセスしやすいか
いざお墓参りするときに行きやすい場所ですか?交通機関や駐車場などを確認しておきましょう。
お墓参りのしやすさは、とても大切な要件です。
立地や環境は満足できるか
静かで心を落ち着けてお参りすることができますか?また、墓地内はきれいに清掃されていますか?
気持ちのいい環境で手を合わすことができるからこそ、お墓参りがすがすがしいものになるはずです。
墓地の費用は予算の範囲内か
くまでも無理のない予算で墓地を購入しましょう。
できるかぎりのことをしてあげる、でも無理はしない。無理をされる姿を見ていると、きっとお墓の中のご先祖様か心苦しいでしょう。
墓地を購入するときに気をつけるポイント
宗旨宗派の制限
寺院墓地などの場合は、宗旨宗派の制限がある場合も。事前に確認しておきましょう。
他の寺院が境内の中で供養をすることは、原則的に認められないことでしょう。
石材店の指定
墓地によっては施工の石材店が指定の場合もあります。この場合複数の業者との比較検討ができません。
民営墓地や寺院墓地ではこのケースが多いので、事前に確認しておきましょう。
お墓の建立期限
墓地を購入後、〇年以内にお墓を建てなければならないという期限が設けられている場合もあります。
また、「巻石だけ設置していればいい」「墓標だけ建てていればいい」というところもあるので、具体的に何年以内にどんな形の石造物であればいいのかをきちんと確認しておきましょう。
墓地を購入したらやるべきこと
墓地を購入したら、すみやかにお墓を建てましょう。
中には墓地だけ確保しておいて、お墓の建立は必要に応じてからという人もいますが、お墓は死者の埋葬だけでなく私たちの幸せを祈る場でもあります。
お墓の建立をおすすめします。
墓地購入後に起こりうる問題
お墓を建てたあとにさまざまな問題が出てきて、「結局お墓を建てなければよかった」という声もちらほら耳にします。
墓地を購入する前に、まずは本当にお墓を建てていいのかを、じっくり考えてみましょう。
引っ越しでお墓との距離が変わる
いまは、生まれてからずっと同じ場所で生活し続ける時代ではありません。
進学や就職や転勤や結婚など、さまざまな理由で住む場所を変える人が増えている時代です。
お墓参りするにも距離が遠く、お墓が疎遠になる可能性があります。
お墓の掃除は友人や知人にお願いしたり、代行業者を利用することもできます。
また、「改葬」といってお墓の引っ越しをする人も増えています。
民間霊園の場合は倒産する可能性がある
民間霊園の場合は、管理会社が倒産する可能性があります。実際にそのような事例も発生しています。
万が一経営破綻を起こした場合にどのような対応をしてくれるのか事前に訊ねておきましょう。
お墓の工事業者を指定されている
寺院墓地や民営墓地などでは、施工業者が指定の場合があります。
その業者以外では工事をすることができないために、相見積もりを取ることもできません。
墓地購入時には必ず条件や制約などを確認しておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ひとことに墓地と言っても、さまざまなタイプのものがあります。
みなさまにとって少しでも希望の叶う墓地を見つけるために、焦らずに時間をかけて検討することをお薦めします。