お墓のデザインも個性を出す時代!形や費用について詳しく解説
お墓のデザインとは?徹底解説
- お墓は和洋オリジナルのデザインが選べ、個性的な形や彫刻が可能。
- オーダーメイドのお墓は石材店との相談が必要で、予算に応じたデザインが実現。
- お墓づくりは費用がかかるため、信頼できる石材店選びと相談が大切。
- 後悔しないためには複数の石材店を比較し、慎重に選ぶことが推奨される。
墓石を購入しようかな、お墓を新しく建て直したいなと考えるなかで、自分らしい墓のデザインにしたいけど、どのような形にしようかと悩んでいらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
墓石の形は一般的な和型から、最近流行りのオリジナルデザイン型まで、じつにさまざまです。
しかも、一般的な墓石のデザインも、細かく見てみると、地域や時代や意味合いによってさまざまな形のものがあります。
この記事では、墓石のデザインについて、旧来から最先端のものまでを、幅広くご紹介いたします。
ぜひ、読み進めていただき、墓石のデザインを決める際の参考にしていただければと思います。
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後悔しないお墓のために今から準備してみませんか?
「お墓」は一生に一度あるかないかの大きな買い物。
後悔のないお墓を建てるためには、パートナーとなる石材店選びがとても重要です。
- お墓を建てるのにかかる費用・相場が知りたい
- 自分の希望するお墓を建てられるかどうか知りたい
- お墓を建てるまでの流れを知りたい
など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
お墓について詳しく知るには実際に複数の石材店の話を聞き、しっかりと情報収集することをオススメします。
まずは気になる墓石の資料を請求してみましょう。
この記事の目次
お墓のデザインは時代や地域によってさまざま
墓地に行くとさまざまな形のお墓があります。
竿石(さおいし)を二段や三段の台石で支える形が基本形ですが、これも地方によって異なります。
和型の墓石だけでも、デザインの違いは無数にあることが分かります。
竿石(さおいし)
竿石とは、お墓の中心に来る石のことです。正面に「◯◯家之墓」や「南無阿弥陀仏」などと彫刻します。軸石や仏石とも言う。
時代によるお墓デザインの移り変わり
それでは、時代の移り変わりとともに作られたさまざまなお墓のデザインをご紹介します。
自然石による墓標
もともとは埋葬して、土で埋めた上に自然石を置くことで墓標としました。
おそらく、野犬やオオカミ等の獣類が土を掘り起こさないようにという衛生面から、重くて硬い石が用いられたのでしょう。
それと同時に、石は地球上の自然物の中で最も耐久性があるために、永遠性の象徴とされてきました。
また、石と石を打つことで人は火を起こして文明を発展させて来たために、神秘的なものとしても扱われました。
石に魂が宿ると信じた日本人は、やがて獣をよけるために置かれた石をきちんと加工するようになり、これがお墓の誕生となったものだと思われます。
五輪塔
五輪塔とは、この世界を構成する5つの要素である空・風・火・水・地(”五大”と言います)を表した石塔です。
五輪塔は、日本特有の石塔の原点だと言われています。
はじまりは諸説ありますが、平安時代の真言宗の僧侶・覚鑁(かくばん)が創始者ではないかと言われています。
鎌倉時代は石塔文化の頂点だと言われていますが、日本中の至る所で五輪塔を見ることができました。
中世は、「末法思想」が広がり、人々は社会が荒廃することを憂いていました。
そうした時代の流れに比例する形で、五輪塔は各地に建立され、人々は死者供養に専念したものだと思われます。
また、五輪塔は大きな石塔で、武士や貴族や有力者しか持つことができませんでした。
そこで、聖(ひじり)と呼ばれる無名の遊行僧が諸国を遍歴し、「一石五輪塔」という手に持てるほどの小さな五輪塔を庶民に広め、死者供養に尽力しました。
五輪塔はいまでも建立され、古い先祖を集めて祀る石塔として認識されています。
宝篋印塔(ほうきょういんとう)
宝篋印塔とは、「宝篋印陀羅尼経(ほうきょういんだらにきょう)」というお経を納めるための石塔です。
鎌倉時代中期から、貴族に大変好まれ、五輪塔と並んで盛んに作られました。
上から、「相輪」「笠」「塔身」「反花座」「基礎」という構成で作られています。
笠の隅飾りが特徴です。
多宝塔
多宝塔とは、多宝如来を安置する塔で、こちらも平安時代から鎌倉時代にかけて貴族に好まれて建てられました。
現在ではあまり見かけません。
多宝如来の話は法華経のなかに出てきます。
釈迦が霊鷲山で法華経について教えを説いている時に、その前に高さ14,000km、幅7,000kmの七宝(金・銀・瑠璃・蝦蛄・瑪瑙・翡翠・水晶)で飾った宝塔が出現し、中から多宝如来が現れて、釈迦の説く法華経の教えは正しいと、証明したのでした。
和型墓石
現在見られる形のシンプルな和型墓石は江戸時代に入ってから普及しました。
それまで墓石は武士や貴族などの有力者に限られていましたが、江戸時代に入り、社会が安定し、経済が全体的に向上することで、庶民でもお墓を持てるようになりました。
和型墓石にも細かい仕様やデザインが異なり、いろいろなものがあります。
- 角柱型
軸石が角柱の、最もシンプルな形です。 - 神道型
頭巾型とも呼ばれます。竿石の先端が尖っています。 - 位牌型
位牌のように奥行きの薄い竿石です。 - 板碑型
位牌型の竿石をさらに薄くしたものです。 - 笠付型
竿石に笠をつけたものです。”大名墓”とも呼ばれます。 - 卵頭型
竿石が卵のような形をしています。僧侶の墓石として用いられています。
王道の和型墓石も地域によってはデザインが異なる
一見同じように見えるお墓の形ですが、地域によって違いがあります。
北海道地方
北海道では、竿石には「南無阿弥陀仏」や「先祖代々墓」と彫刻し、上台に横書きで「◯◯家」と彫刻します。
また、北海道はお墓のデザインに関しては先進的で、洋風のお墓やデザイン墓を多く見かけます。
彫刻される言葉も、「ありがとう」や「愛」や「絆」や、家族の想いを反映したものが彫刻されています。
東北地方
東北地方のお墓では、竿石を上台と下台(”中台”とも言う)で支えます。その前面に、花立てと香炉が並び、お花を供え、お線香を立てます。
東北地方では黒い石が好まれて使われます。
また、良質な石材産地が多く、特に福島県は全国でも有数の石の一大産地です。
福島県産の石材だけで20以上の銘柄があります。
関東地方
”関東型”と呼ばれる墓石は、竿石を上台、中台、芝台という3つの台石で支えるのが特徴です。
そして、芝台の上に香炉を乗せます。
関東地方でよく用いられる石材は茨城県産の真壁石や稲田石。
また、神奈川県の本小松石も高級石材として有名です。
地方部や郊外では、まだまだ和型のお墓が多く見られますが、都心に近づけば近づくほど、先進的なデザイン墓が目に留まります。
また、従来の寺院墓地も、都内の場合は土地が限られていますので、1平米を下回るような墓域の中で、ひしめきあうようにお墓が立ち並んでいるのも特徴かもしれません。
東海地方
東海地方には”名古屋型”と呼ばれる形があります。
名古屋型の特徴は中台の上に水鉢が乗り、芝台の上に香炉が乗るという点です。
また、愛知県の岡崎市は日本でも有数の石材加工の町です。
北陸地方
北陸地方のお墓は、関東型と名古屋型がミックスされたような形を多く見受けます。
また、石材の産地が少ない北陸地方では、東日本や西日本のさまざまな石材が使用されています。
東日本の石では茨城県の真壁石、西日本の石では愛媛県の大島石が人気なようです。
関西地方
明治時代まで1000年以上もの間、日本の都だった京都がある関西地方には、たくさんの寺院と、古いお墓が数多く遺されています。
関西のお墓は”京都型”と”神戸型”があります。
京都型では、水鉢を下台に置き、お線香を立てられる筒を埋め込みます。
神戸型では、下台の上に供物台を置き、その前面に水鉢を置きます。
東北や関東地方のものに比べるとスリムな寸法割りです。
また関西から西の地域は白っぽい石が好まれています。
中四国地方
”広島型”は、供物台の上に角香炉を置くのが特徴です。
瀬戸内海は日本屈指の石材産地で、良質な石が採れ、歴史ある石材加工の技術が息づいています。
世界最高峰と呼ばれる”庵治石”(香川県)、関西地方や中四国で古くから高級石材として愛されてきた”大島石”(愛媛県)、桜色が美しい”本御蔭石”(兵庫県)や”万成石”(岡山県)などは、日本全国へも出荷されるほどです。
九州地方
大陸に近い九州では、その影響が色濃く反映されています。
竿石の彫刻部分には金色を入れます。
また、地上納骨と言って、地下ではなく、地上に納骨室を設け、複数の骨壺を安置します。
そのため、他の地域と比べるとかなり大きなお墓が目立ちます。
沖縄地方
沖縄のお墓は、”亀甲墓”と呼ばれます。
家の大きさほどの大きなお墓を建て、本土に見られる塔式のお墓は沖縄ではほとんど見られません。
かつての沖縄では、亀甲墓で”風葬”(風に曝して遺体を白骨化させる)と”洗骨”(白骨化した遺骨をきれいに洗い清めて厨子甕に納める)が行われていました。
墓石全般の基礎知識ついて詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
お墓の形は大きく分けて3つ
ここ最近は墓石のデザインも多様化しており、その形は大きく3つに分けられます。
シンプルで王道な和型墓石の特徴
従来の和型墓石は相変わらず根強い人気があります。
標準型は、角柱の石材を積みあがたものです。竿石を、2ないし3つの台石で支えます。
上下蓮華型とは、竿石と上台の間に挟む石です。ほかにも布団型や亀腹型などもあります。
五輪塔はこの世界を構成する5つの要素(空・風・火・水・地)を石塔で表したものです。
北海道や関東で人気の洋型墓石の特徴
洋型墓石も人気です。
特に先進的な首都圏や北海道でよく見られますが、最近では全国的に洋型を選ぶ人が増えています。
和型を敬遠する人たちに好まれるために、縦長ではなく、横長のものを多く見受けらえます。
デザインは自由ですから、洋風の要素が強いものもあれば、和洋を折衷したもの、和風の雰囲気を残したものなど、さまざまです。
施主の想いを反映させるオリジナルなデザイン墓石の特徴
墓石はどのような形にでも加工できるため、施主の想いを反映させることができます。
礼拝の対象となるモニュメントを丸型や三角形にしたものもあります。
富士山が好きだった人は、富士山型の屏風を石碑のうしろに立てます。
海が好きだった人のために、外柵が波打っているデザイン。
ログハウス型のお墓など、筆者が見ただけでもオリジナルな墓石はたくさんあります。
石材店に相談すると、この世でひとつのオリジナルなデザイン墓石を提案してくれるでしょう。
最近のデザインお墓について詳しく知りたい人は、「デザイン墓石の種類や相場がわかる!お墓で個性が出せる時代」の記事を参考にしてください。
個性を出せる!デザイン性のあるお墓の特徴
個性的なお墓を希望している人は、ぜひとも石材店に相談してみましょう。
他にはどこでも見たことのない、この世に1つだけのお墓をつくることだってできます。
お墓の形や彫刻で個性が出せる
個性を出すためには、お墓の形や、彫刻デザインなど、無数の方法があります。
お墓は湾曲加工もできますし、自然石の風合いを残した割り肌にもできます。
また、彫刻加工も文字を彫り込むだけでなく図柄の転写、磨き仕上げとサンダー仕上げにおるツートーンの表現なども可能です。
希望するイメージをいかに石材店と共有するかが大事
満足いくデザイン墓石を完成させるためには、自分が希望するイメージをいかに石材店と共有するかが大事です。
オリジナルデザインは、施主の希望をヒアリングして石材店が提案します。
形に決まりがないものですから、石材店の提案力やデザイン力によって、仕上がりが変わってきます。
費用が一般的なものより高いことが多い
オリジナルデザインでは費用が高価になることが多いです。
デザインに手間と時間を割くこと、複数の石材を用いる、特殊な加工や彫刻をすることなどがその理由です。
石材の形をデザインする場合の注文方法
まずは、石材店に希望を伝えましょう。
伝え方は、墓地に同行して希望に近い石碑を探す、画像を用意するなどがあります。
施主の希望を聞きとると、次に石材店がCGや平面図に起こしてくれます。
気になる点があれば描き直してもらい、図面をブラッシュアップしていきます。
デザイン墓石には規格や形式がありません。石材店といっしょにお墓をつくりあげる、という意識が大切でしょう。
石の形だけではなく、色や種類にもこだわりたい人は「」の記事も参考墓石の種類は300種類以上!定番やおすすめの墓石をピックアップ紹介にしてください。
花や飾り腺など彫刻でお墓に個性を出す方法
個性的な墓石は、デザインだけでなく、彫刻でも表現できます。
家族のつながり表す言葉や、図柄など、好きな場所に好きなものを彫刻しましょう。
彫刻に向いている墓石
世間一般で墓石用石材として流通しているものは、どれもが彫刻に向いています。
墓石には、花崗岩と呼ばれる固い石が用いられているからです。
彫刻できるデザインの選び方
彫刻する内容は、石の色やデザインとのバランスを考えましょう。
花や動物や風景など、さまざまな素材を彫刻できます。
墓石への彫刻を発注する方法
石材店に連絡して、希望やイメージをきちんと伝えましょう。
原寸大の原稿を起こしてくれるはずです。
もしも既存の墓石に追加で図柄などを彫刻したい場合は、寺院による性根抜きが必要です。
彫刻を入れるときに注意すること
平面に描かれた2次元の絵は、文字彫刻すると奥行きが出て、いわば3次元になってしまいます。
このため、実際に石の彫り込むとイメージと異なるかもしれません。
このあたりは石材店からのプロのアドバイスも加味しながら決めていきましょう。
墓石に彫刻する文字について、意味などを知りたい人は「墓石に刻む文字は自由!彫刻する場所や言葉の意味について解説」の記事も参考にしてください。
まとめ
ここがポイント
- 一般的な和型墓石でも、時代や地域によってさまざまな形がある
- もともとは、自然石を埋葬地に置くのが墓石の始まりだった
- 墓石は、和型墓石、洋型墓石、デザイン墓石の3つに分けられる
- 和型墓石だけでもさまざまなデザインがある
- 洋型墓石は首都圏や北海道で多く見られる
- オリジナルのデザイン墓石は、いかに石材店とイメージを共有できるかが大事
- 形だけでなく、彫刻でも個性を出すことができる
自分たちにとって、気に入った、納得のいくお墓こそが”いいお墓”のはずです。
お墓参りに行きたくなるような墓石のデザインが望まれますし、そのためには信頼できる石材店と出会えるかどうかが大切です。
知識が豊富で、想いを込めて仕事をしてくれる石材店と出会えるまで、いろいろな業者を訪ねてみてもいいでしょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
墓石の形といえば、縦長の和型を思い浮かべる人が多いと思いますが、ここ数年は台形で背丈の低い洋型の墓石が増えています。しかし、和型や五輪塔の形には意味があり、それはそれで大切に次世代へ伝えていきたい形でもあります。最近は和型や五輪塔でもスタイリッシュなものや、曲線を生かした形のもの等、石材店も新デザインを開発しています。それに合わせて墓石の質感や色にもこだわり、墓石のデザインは進化していると感じています。