墓石のデザインで価格が決まる?デザイン墓石・洋型・和型を徹底比較
デザイン墓石の価格とは?徹底解説
- お墓の形は和洋デザイン型があり、デザイン差で価格は変わらず。
- 価格は石の量と種類で決まり、特殊加工で高くなることも。
- お墓の平均は約166万円、墓地込みで200〜300万円が目安。
- デザイン墓石は個性的だが、飽きや予算の増加に要注意。
お墓でこだわりを表現しようとする人が増えています。
従来の和型のお墓だけではなく、モダンなイメージの洋型墓石や、さらに個性的で斬新なデザイン墓石も見かけるようになりました。
しかし、デザインをこだわればこだわるほど価格が高くなるのではと不安に思われている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、デザイン墓石の価格を中心に、洋型墓石や和型墓石との比較をしてみたいと思います。
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「お墓」は一生に一度あるかないかの大きな買い物。
後悔のないお墓を建てるためには、パートナーとなる石材店選びがとても重要です。
- お墓を建てるのにかかる費用・相場が知りたい
- 自分の希望するお墓を建てられるかどうか知りたい
- お墓を建てるまでの流れを知りたい
など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
お墓について詳しく知るには実際に複数の石材店の話を聞き、しっかりと情報収集することをオススメします。
まずは気になる墓石の資料を請求してみましょう。
この記事の目次
デザイン墓石の平均価格は166万円
デザイン墓石の平均価格は166万円だそうです。
これは、石材業界の中でも小売店を中心に構成されている業界団体の最大手・全国優良石材店(全優石)が2018年に行ったアンケート調査(「2018年お墓アンケート調査」)によるものです。
これを高いと受け取るか、妥当と受け取るか、安いと受け取るかは人それぞれの価値基準によります。
166万円という金額はあくまでも墓石のみの価格です。墓地の取得費用は含まれていません。
和型でも洋型でもデザイン墓石でも平均相場は変わらない
「デザイン墓石」と聞くと、ついつい一般的なお墓よりも高くなってしまうと思いませんか?
実は和型でも、洋型でも、デザイン墓石でも、価格はほとんど変わらないという調査結果が出ています。
全優石のアンケート調査では、デザイン墓石の平均価格が166万円なのに対して、和型の墓石は165,2万円、洋型墓石の場合も160.5万円だそうです。
お墓のスタイルがダイレクトに価格に反映されるのかというとそうではないことが見て分かります。
お墓を建てるには墓石だけでなく墓地の費用も必要
全優石のアンケート調査が示す金額は、あくまでも墓石のみの価格です。
お墓を建てるには墓石の建立費とあわせて、墓地の取得費用(永代使用料)も必要です。
それらも合計すると200万円~300万円近くの出費が伴うでしょう。
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和型・洋型・デザイン墓石 費用がさほど変わらない理由
デザイン墓石も、和型墓石も、洋型墓石も、それぞれにかかる費用にさほど変わりがありません。
全優石のアンケート調査の結果は大変興味深く思われますが、どうしてそのようなことになるのでしょうか。
墓石の形状が違う。
石材も高いものもあれば安いものもある。
それなのに平均相場に大差がない理由に迫ってみましょう。
墓石の価格は「使用する石の量×石の種類」で決まる
まずはじめに抑えておきたいのは、墓石の価格がどのように決まるのかということ。
地盤工事や付属品など、さまざまな要素が重なって価格は決まるのですが、ここでは余計な要素は一旦外しておいて、墓石だけに注目してご説明します。
墓石の価格は、使用する石の量と種類によって決まります。
- 石の量
墓石業界でよく用いられる単位に「才(さい)」というものがあります。
才は尺貫法の体積の基本単位で、1才は1尺角(一辺が1尺=約30.3cm)の立方体の体積を差します。
当然、才数が多ければ多いほど価格は高騰していくわけです。
- 石の種類
墓石に使われる石材は、国内外を問わなければ約100〜200種類もあると言われています。
その中には、価格の安いものあれば高いものもあります。
つまり、どの石をどれだけ使うかで墓石の価格は大きく変わるのです。
たとえば1才30,000円の石材と、1才50,000円の石材があるとして同じ10才の石塔を建てたとしましょう。
すると、片方は300,000万円で済みますが、片方は500,000円もしてしまうわけです。
同じ形のお墓なのに、ここに20万円もの差が開くのです。
お墓の「型」で使用する石の量が変わるわけではない
和型だから石の量が少ない。洋型だから石の量が多い。
そんな方程式はありません。
和型でもボリュームを大きくしたり加工や付属品にこだわることで石を使う量は膨れ上がります。
一方、シンプルでこじんまりとした洋型やデザイン型にして量を抑えることもできます。
どんなデザインの墓石でも使用する石は自由に選べる
墓石の費用に大きな影響を及ぼすのが使用する石の種類です。
墓石に使用される石材は100種類や200種類を超えるとも言われています。
お墓がどのようなデザインであれ、選ぶ石は自由です。
ものすごくこだわりぬいてデザイン墓石を作ったとします。
ピンク系の石がいいなと思った時に、神戸産の「本御影石」と中国産の「G663」だと、10倍近くも価格に開きが出るでしょう。
これは和型でも同じで、同じ形の石塔で西日本の銘石と呼ばれている「大島石」と、大島石に似た中国産の「AG98」では、やはり数倍の開きが出ます。
石材を自由に選べるということは、選ぶ石によって希望の価格帯に合わせられるということです。
どんなデザインの墓石でも石工の手間は変わらない
多くの人は勘違いしているのですが、「和型の墓石は加工が簡単でデザインされた墓石は加工が難しい」というのは間違いです。
和型の墓石もデザイン墓石も、ただそれだけでは加工の難易度は測れません。
これはすなわち、「和型」「洋型」「デザイン墓石」の区別だけで価格が変わることはないということを意味します。
お墓はオートメーションの工場でロットで作るものではありません。
機械を手に持つ職人たちがひとつひとつ手作業で作っていくのです。
仮に同じ形のお墓が10基並んでいるとしても、それらはひとつひとつ、岩石を割り、切断し、研磨し、彫刻し、据え付けしていってできあがるのです。
和型墓石であろうとデザイン墓石であろうと、石工の手間は変わらないのです。
特殊な加工によって、はじめて価格は上乗せされる
施主の希望により、プラスαになるような難易度の高い加工技術が求められると、価格が上昇することは充分に考えられます。
湾曲や球体を作り出すには、通常以上の手間と時間と技術が求められます。
面取り加工や蓮花加工なども同様です。
しかし、それはあくまでも施主が希望する意匠を表現する場合であり、和型だから、デザイン墓だからという基準で価格が大幅に変わることはありません。
お墓がどうしても高くなる理由 石材加工への設備投資と石工の手間暇
お墓と聞くと「高い!」というイメージがついてしまいますよね。
そもそもお墓に使う石は山の中、地中深くに眠っています。
これを引っ張り出して切り出すわけですから、大変な労力を要します。
また、あれほど頑丈で固い花崗岩を切ったり磨いたりするのですから、機械や職人の技術は必要不可欠です。
お墓を作るにはそれだけの手間暇がかかってしまうのです。
(ちなみに筆者は、それだけ労力をかけるからこそお墓にはありがたみがあると感じています。)
石というとても固い自然物はどのように採掘、そして加工されるのか。
設備投資や石工の手間暇という観点からご説明いたします。
採掘
採掘とは岩山から岩石を切り出すことです。
重機で土を掘り返しながら地中数十メートルもの深い場所まで降りていくので、その労力たるや想像を絶します。
さらにそこから頑丈な岩石を取り出すのですが、採掘には3つの方法があります。
- ジェットバーナーで焼き切る
- ダイナマイトを用いて発破する
- スロットドリルという機械で石に穴をあけていく
割り
岩山から切り離された岩石は、そのままでは運び出しができません。
まずは乱尺に割っていきます。
石を割る時にはセリヤと呼ばれるくさびのようなものを打ち込みます。
石には目や筋があるのですが、割れやすい箇所を見抜き、そこにセリヤを打ち込むことで石はきれいに分割されます。
熟練の職人だからこそできる技です。
切削・研磨
分割された石材は、いよいよ図面に基づいて切削、研磨されていきます。
切削とは石材を切断することですが、円盤状のダイヤモンドカッターブレードを用います。
ダイヤモンドのチップが埋め込まれた刃でないと、石が切れないのです。
切削機は長いもので3メートルもあるますし、石を吊り上げるクレーンも必要ですし、加工工場の設備にもかなりの費用を投じます。
また、研磨とは石の表面を磨き上げることですが、グラインダーという機械を使います。
先端に砥石を取り付けて、その回転運動で石材の表面を磨きあげます。
機械を用いるとはいえ、それを手に持つのは職人の技術があってこその作業です。
彫刻
文字彫刻ではサンドブラスターが用いられます。
研磨剤を混ぜた砂を高圧で墓石の表面に叩きつけて、文字を彫りこんでいきます。
墓石の正面には彫刻文字を切り抜いたゴム版を貼り付け、切り抜いた箇所だけ文字が彫刻できる仕組みになっています。
墓石加工の難易度で価格は大きく変動
特殊なデザインや加工の場合、職人の卓越した技術が求められます。
手間や時間を要することもあり、価格はどうしても高くなってしまいます。
その理由をまとめました。
円形や湾曲に手間がかかる理由
石材加工によく用いられる工具は、切断用のカッターブレードと研磨用のグラインダーです。
お気づきかもしれませんが、カッターは垂直方向に切断しますし、グランインダーは水平方向に研磨します。
つまり、斜めに、あるいは丸く加工するというのはとても難しく、技術を要します。
角ばったお墓よりも丸みを帯びたデザインはお墓の印象を柔らかくしてくれますが、加工にはそれなりの手間ひまがかかるのです。
加工のためにそぎ落とされたロス分も費用に含まれる
なかなかイメージしづらいかもしれませんが、丸い形のものを作る場合、そぎ落とされたロス部分も当然費用に加算されます。
というのも石材加工の機械は、原則的に、垂直方向に切るか、水平方向に磨くか、このふたつしかできません。
その条件下で丸い石を作るにはどうしたらよいのでしょうか。
まずは石材を四角に加工します。そこから角を取っていき、最後は丸く削っていきます。
実際に完成された丸い石の体積は、四角の石の体積よりも少ないはずですが、きれいな丸を作るためにはそぎ落とされたロス分は必要なのです。
石材店が提案する価格は、こうしたロス分も見越した見積もりになるでしょう。
特殊な加工は手間と時間と石工の卓越した技術を必要とする
特殊な加工には、石工の熟練した技術が必要です。
また、その分だけ手間と時間を要します。
筆者の担当したケースですが、普通の和墓の面(角のこと)をすべて銀杏面(ぎんなんめん:丸みを帯びる面取り加工)加工にすることで納期が1か月も延び、費用も数十万円の上乗せになりました。
丸みを帯びるということは、それだけ大変な作業を要するのです。
国内加工と海外加工
国内加工と海外加工では、人件費の高い国内加工の方が割高です。
日本の石は日本で、外国の石は中国で加工していると思われていませんか?
もちろんそれは間違いではないのですが、実は、日本の石を中国で加工することもあります。
これは、日本で採掘された石材をあらかじめ中国の加工業者に卸しておき、オーダーによって加工を始めるというものです。
中国加工のものでも充分立派なお墓はできあがるのですが、やはりミクロな部分で差が出てしまいます。
国内加工の方が、磨きなどの精度が高いのは、多くの石材関係者が語る所です。
オーダーした石材がどこで加工されているか気になる人は石材店に訊ねましょう。
さまざまな墓石のデザイン 和型・洋型・デザイン墓石それぞれの特徴
墓石の形もさまざまです。
従来からの和風のお墓もあれば西洋風を意識した洋型、さらには突出した個性を表現したデザイン型まで、いろいろなお墓を見ることができます。
それぞれの特徴を比較してみましょう。
和型のお墓は奥が深い さまざまなデザイン
従来の和型の墓石は、一見どれも同じようですが、よく見てみるとさまざまな個性があります。
さまざまな竿石
私たちが一番よく目にするのは、竿石が角柱の「角柱型」と呼ばれます。
「神道墓」は竿石の上部先端がとがっていますし、寺院に建てられる歴代の住職のお墓は「卵塔墓」と呼ばれ、丸みを帯びています。
その他、厚みの薄い「板碑型」や竿石の上に笠のついた「笠付き型」などもあります。
竿石を支える台座
竿石を支える台座を設えることもあります。
蓮華型、スリン型などがあり、台座を差し込むことでお墓は一気に高さを増し、立派に見えます。
特に仏様を乗せる花として知られる蓮華の台座は、上下蓮華や筋蓮華などがあり、石工の腕の見せ所です。
地域性
地域によっても墓石の組み方には若干の違いがあります
台石の組み方や水鉢の場所など、細かく見ていると地域によって微妙な差があります。
また九州や沖縄などに行くと納骨室そのものが巨大で、地上納骨が当たり前です。
こうした形状は他の地域では見られません。
従来のお墓のイメージを一新した洋型墓石
ここ10年で都心部を中心に見かけるようになったのが洋型墓石です。
従来のお墓のイメージを一新した新しいタイプのデザインです。
従来のものが縦長であるのに対し、洋型墓石は横長なのが特徴です(そればかりとは限りません)。
また、従来の和型に比べて重心が低いことから耐震や免震の面でも安心だと言われています。
中には縦長の竿石を用いた洋型墓石もありますが、やはり大多数はワイドなものばかりです。
また、大きな特徴として、彫刻する文字の自由度が高い点です。
たとえば、これまで「〇〇家之墓」「〇〇家先祖代々之墓」と彫刻していたものを「〇〇家」だけにする。
あるいは「愛」や「絆」や「ありがとう」など、家の名前ではなくシンボル的な言葉を彫刻するケースも多く見られます。
斬新で個性的なデザイン墓石 さまざまなデザイン
洋型墓石をさらに個性的にしたのがデザイン墓石と呼ばれるものです。
洋型墓石も台石と竿石の組み合わせという点では和型墓石と同じです。
ところが、デザイン墓石では施主の希望や個性が存分に表現されます。
球体や三角錐の奇抜な竿石。
ログハウス型、オートバイ型、ピアノ型、サッカーボール型など、デザインに決まりもルールもありません。
石工が加工できる限り、どのようなデザインでも実現可能でしょう。
デザイン墓石の注意点
故人の遺志や施主の希望を形にできるのがデザイン墓石。
しかし、デザイン墓石にも注意点があるのでまとめてました。参考にしてみて下さい。
飽きが来ないか
お墓は世代を超えて手を合わす場所です。
施主は自分の好みのお墓を建てますが、子や孫へと世代が下るにつれて、その子孫たちもがそのデザインを好むかどうかは分かりません。
しかもお墓は家族や親族の共通の埋葬地であり、お墓参りの場所です。
自分個人の好みや考えだけでなく、家族みんなが納得できる、飽きのこないお墓つくりを目指しましょう。
予算が高騰しないか
デザイン墓石は価格が高騰しがちです。
デザインにこだわることはよいことなのですが、それが高じると、石工の手間暇が余計にかかり、石材のロス分も増えてしまい、あれよあれよと価格が高騰するので充分に気をつけましょう。
また、デザインにこだわる人は石の目や風合いにも個性を出したくなるものです。
品質のいいもの、希少性の高いものなど、石の種類も吟味しだすとさらに費用が膨らんでいきます。
墓石加工の費用を抑えるためのコツ
墓石の加工そのものから費用を抑えるのは、なかなか難しいことです。
なぜなら「切る」や「磨く」といった加工は和型だろうとデザイン墓石だろうと必要不可欠な工程だからです。
ですから、こだわりぬいたデザインなどではなく、シンプルなデザインであれば価格が余計に高騰することはないでしょう。
墓石の費用は、加工賃よりも「石の量×石の種類」の方が高いウェイトを占めています。
このあたりを上手く意識していけば費用を抑えた納得のお墓つくりができるでしょう。
まとめ
これまでの重要ポイントをおさらい
いかがでしたか?
では最後にこの記事のポイントを箇条書きでまとめます。
この記事のまとめ
- デザイン墓石の相場は166万円
- 和型も洋型もデザイン墓石も価格相場はほとんど大差がない
- 墓地と墓石の費用を合算すると200-300万円の費用がかかる
- 墓石の価格は「石の量×石の種類」で決まることが多く、加工賃に差はあまりない
- 特殊な加工を依頼すると費用が上乗せされる
- 石材の採掘や加工には、大規模な設備投資と卓越した職人の技術が必要
- 円形や湾曲の加工に手間がかかる
- そぎ落とされたロス分の費用も計算される
- 国内加工と海外加工でも費用が変わる
- すべて同じように見える和型墓石も細かく見るとさまざまなデザインがある。
- 洋型墓石は、和型墓石のイメージを払拭させたもので、ワイドで重心が低いものが多い
- デザイン墓石は洋型をさらに個性的にしたもの
- デザイン墓石は、飽きが来ないか、こだわりすぎて価格が高騰しすぎないかに気を付ける
墓石全般の基礎知識ついて詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
郊外にある某大型霊園では、販売時期によって当時の流行を垣間見ることができます。1990年代に開発されたその霊園は、事務所に近い場所は、グレー墓石を使った和型が中心。区画も大きく広々ととっているのが特徴です。そこから少し離れると、横長のオルガン型が少し増えてきます。さらに別のエリアでは、ピンクや黒系統の墓石が多くみられるようになりました。聞けばこのあたりは2000年前後から開発・販売された区画だとか。2005年くらいからは、区画が小さくなって買い求めやすい値段設定のが増えたり、デザイン墓が増えるなど多様化の兆しが。ペットと一緒に入れる区画を造成したのもこの頃だと言います。
このように墓石も時代とともに色や形に少しずつですが変化がみられ、流行もあります。そうはいっても、次世代へ引き継いでいくことを目的とするなら、個性はほどほどに、飽きの来ないデザインという視点で考えてみてはいかがでしょうか。