塔婆は必要?目的・建てる時期・準備の仕方をわかりやすく解説
塔婆とは?徹底解説
- 塔婆は供養のための木製板で、追善の目的
- 浄土真宗以外で塔婆を年忌やお盆に立てる
- 塔婆料は3,000円~1万円で、立てる数は施主が決める
初めての年忌法要の際に「塔婆(トウバ)は立てますか?」と住職に聞かれ、「塔婆(トウバ)って何だろう?」と考えてしまった人はいませんか。
塔婆は、お墓参りに行けば目にする機会は多いものの、その意味や由来を知っている人は多くありません。
この記事では、塔婆の意味や由来、立てる時期、立てるべき宗派や地域について解説します。
塔婆供養の準備や流れについてもご案内するので、塔婆供養をすると決めたときには、スムーズに準備を進めることができますよ。
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塔婆とは供養のためにお墓に立てる木の板のこと
塔婆とは、先祖供養のためにお墓の後ろや脇に立てる木の板のことです。
「卒塔婆(ソトバ)」と呼ばれることもあります。
木の板は細長い白木のもので、1.5メートルほどの高さが一般的ですが、2メートルを超えるものもあります。
この章では、塔婆を用いた供養の意味や由来、塔婆に書かれている文字などについて解説していきます。
塔婆供養とは故人の冥福を祈って塔婆をお墓に立てること
塔婆を立てることを塔婆供養といいます。塔婆供養とは、故人の冥福を祈って、塔婆をお墓に立てることです。
仏教では、塔婆をお墓に立てることによって、追善供養がなされるとされています。
追善供養とは、生きている人が、亡き人の代わりに善行を行い、その功徳を亡き人に振り向けることをいいます。
砕けた表現でいえば、追善供養とは「生きている人が行った良いことを、亡き人が行ったことにして、亡き人を浄土に行きやすくしたり、浄土で暮らしやすくする」ことです。
塔婆の起源はお釈迦様の遺骨を納めた塔
なぜ塔婆を立てることが「良いこと」になるかというと、塔婆の起源が、お釈迦様の遺骨を納めた塔にあるからです。
お釈迦様の遺骨を納めた塔は「仏舎利塔」(ストゥーパ)といわれ、これが日本で「トウバ(塔婆)」と音訳されました。
世界各地に立てられた仏舎利塔にはさまざまな形がありますが、とくに日本では五重塔・五輪塔の形をしているものが多いことから塔婆も五輪塔をかたどったものになっています。
ただの細長い木の板に見える塔婆ですが、よく見ると側面に複数の刻みがあることがわかるでしょう。
それぞれの刻みが、五輪塔の5つの要素である「空」「風」「火」「水」「地」を表しているのです。
塔婆に書かれている文字
塔婆には、さまざまな文字が書かれています。それぞれの文字に、どんな意味があるのかを解説しましょう。
梵字
塔婆の一番上に書かれている呪文のようなものは、梵字です。
梵字とはお釈迦様も用いていたサンスクリット語で、表側に書かれているのは五輪塔の5つの要素を意味する「空・風・火・水・地」を表す文字です。
裏側には、大日如来を示す文字が書かれています。
宗派やお寺によっては、梵字ではなく「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」などと経文が書かれる場合もあります。
種子
種子(しゅうじ、しゅじ)とは、仏教用語でさまざまな仏様を表す梵字です。
通常は、年忌法要に関わる十三仏のうちの一つを表す梵字が、表側に書かれます。
戒名・年忌
故人の戒名と、塔婆を立てたときの年忌が、表側に書かれます。
「●回忌追善」などと、追善供養であることが示されます。
のちに、「何回忌までやったか?」と迷うようなときに、塔婆を見れば参考になります。
塔婆を立てた年月日
塔婆を立てた年月日が、裏側に入ります。
「いつ法事をしたか?」と思い出せないようなときに、頼りになるでしょう。
施主名
塔婆を立てた施主の名前が記されます。
たいていはお墓の継承者ですが、塔婆を立てるのは誰でも構いません。
例えば、故人の兄が塔婆代を出して塔婆を立てたなら、施主名には故人の兄の名前が入ります。
塔婆とはなんなのか、具体的に解説したところで、次章では塔婆を立てるタイミングや塔婆代などについて解説します。
塔婆は浄土真宗以外の人が年忌法要などのタイミングで立てる
塔婆は、浄土真宗以外の人が、年忌法要などのタイミングで立てるものです。
なぜ浄土真宗であれば塔婆を立てないのか、具体的なタイミングはいつか、そして塔婆代はいくらかなどについてご案内します。
塔婆を立てる宗派は浄土真宗以外
塔婆を立てる宗派は、浄土真宗以外です。
なぜ浄土真宗では塔婆を立てないのかといえば、浄土真宗では、追善供養をする必要がないためです。
浄土真宗では、人は亡くなればすぐに阿弥陀仏に導かれ、浄土へ行けるとされています。
よって、生きている人が亡くなった人のために功徳を積む必要はないのです。
塔婆を立てるタイミング
塔婆を立てるタイミングは、追善供養をしたくなったときならいつでもよいとされています。
ただし、一般的には法事やお墓参りをするときです。
3つのタイミングをご紹介します。
年忌法要
一周忌、三回忌などの年忌法要を行うときは、塔婆を立てるタイミングとして最も一般的です。
住職と打ち合わせをする中で、「塔婆はどうしますか」といった話になるでしょう。
年忌法要を行う施主が塔婆を立てるのが一般的ですが、親戚などがお金を出して立てる場合もあります。
お盆
お盆に塔婆を立てる人もいます。
この場合、特定の故人に向けてというよりも、先祖代々の供養のために立てるケースが多いでしょう。
塔婆にもその旨が書かれます。
お彼岸
お彼岸に塔婆を立てる人もいます。
お盆と同じで、先祖代々の供養のために立てるケースが多く、塔婆にも「●●家先祖代々」などと書かれます。
塔婆代の相場は3,000円から1万円程度
塔婆代の相場は、3,000円から1万円程度です。
お寺によって違うため、率直に尋ねましょう。塔婆代を聴くことは、失礼に当たりません。
なお、薄くて細い塔婆は3,000円、厚くて幅広の塔婆は1万円などと決めているお寺もあります。
塔婆は何本立ててもいい
塔婆を立てるのは、一本だけとは限りません。
予算に応じて、何本立ててもよいものです。
また、子どもや兄弟など名義を変えて何本か立てるケースも見られます。
ここまで読んで、「次の法要では、塔婆を立てよう」と考えた人のために、
次章では、塔婆供養をするための準備についてお伝えします。
塔婆供養をするための準備
塔婆供養をするために、以下のような準備を行いましょう。
- お寺との打ち合わせ
- 同時に行う法要などの準備
- 塔婆料の準備
詳しく説明します。
お寺に塔婆供養をしたい旨の連絡を入れる
まずは、お寺に塔婆供養をしたい旨の連絡を入れましょう。
どのようなことを相談するのが良いか、詳しく解説します。
塔婆を立てる日時の相談
最初にしたいのが、塔婆を立てる日時の相談です。
塔婆には、建立年月日や施主を含め、文字を書き入れなければなりませんから
希望日よりも2週間ほど前までに依頼をしましょう。
とくにお盆やお彼岸は繁忙期にあたるため、なるべく早めの相談が望ましいです。
塔婆料の相談
希望する塔婆の本数を伝え、塔婆料の相談をします。
塔婆料はお寺によって決まっていることが多いため、率直に尋ねて構いません。
お墓参りに行けない人はその旨も相談する
塔婆供養をしたいけれど、お墓参りに行けないという人もいることでしょう。
そんなときでも、供養をしたいという気持ちは大切なものですから、きっとご住職は気持ちよく受け入れてくれます。
塔婆料の受け渡しをどのようにするか、きちんと決めておきましょう。
同時に行う法要などの準備をする
塔婆供養と同時に年忌法要を行うなら、法要の準備も欠かせません。
法要の準備についても、簡単にご案内します。
年忌法要の場合は親族との会食や引き物などの用意も行う
年忌法要を行う場合は、法要後に行う親族との会食や、最後に親戚に渡す引き物の用意も行います。
僧侶との打ち合わせによって法要の日時が決まったら、会食会場にざっくりとした人数を伝えて予約しましょう。
親族にお知らせを出し、出席者の人数をつかんだ後、会食と引き物の数をそれぞれ決めます。
お墓参りの準備をする
法要後にはお墓参りをするため、お墓参りの準備もしておきます。
線香やろうそくを用意し、供花やお供え物は通常のお墓参りよりもやや立派なものを用意します。
また、お墓掃除は、法要の前日までに終えておくのが理想的です。
服装の準備をする
当日に着る服装の準備をします。
喪服が一般的ですが、三回忌以降は平服としたり、お盆の暑い時期は軽装としたりなど
各家が方針によって決めて構いません。
喪服か平服かは、参列者へ事前に伝えておきましょう。
塔婆料の準備をする
塔婆料は裸のまま渡してよいわけではなく、包まなければなりません。
塔婆料の包み方について、詳しく解説します。
原則として塔婆料は法要のお布施と分けて準備する
塔婆料は、法要のお布施と分けて準備するのが一般的です。
法要のお布施袋とは別に、塔婆料を入れるための袋を用意しましょう。
ただし、お寺や地域によっては、法要のためのお布施と塔婆料を一つの袋に入れてよいとするところもあります。
ひとまとめにしたい場合は、お寺に尋ねてみましょう。
入れ物は白封筒を用意する
塔婆料を入れる袋は、白い封筒です。
地域によっては、白黒結び切りの水引を使うこともありますが、
地域の風習について情報が得られないときは、何の飾りもない白封筒が無難です。
表書きは「御塔婆料」とし、全員分まとめてお金を入れる
白い封筒の表面に「御塔婆料」と書き、裏面には施主の住所と氏名、金額を書きます。
別名義で塔婆を複数建てるときは、全員分のお金をまとめて一つの封筒に入れ、連名とします。
これで塔婆供養の準備はばっちりです。
次章では、塔婆供養当日の流れについてご案内します。
塔婆供養の流れ
塔婆供養の流れは、いたってシンプルです。
塔婆の処分方法まで含めてご案内します。
僧侶の案内に従って塔婆を立てる
塔婆は、お墓参りをする際に、お墓の後ろや脇の塔婆立てに立てます。
多くのケースでは僧侶が立ててくれますが、施主が立てるよう指示されることもあるでしょう。
僧侶の案内に従って塔婆を立てましょう。
塔婆を立てた後、お墓参りを行います。僧侶により、短いお経がある場合もあります。
僧侶に塔婆料を渡す
塔婆料は、お墓参りが終わった後に僧侶へ渡します。
「塔婆供養をありがとうございます。塔婆料をお納めください」と申し出ましょう。
他に法要などのお布施がある場合は、
「おかげさまで滞りなく●回忌法要を終えることができました。お布施をお納めください」と申し出ます。
塔婆をいつ処分するかは施主が決める
塔婆をいつ処分するかは、施主が決めることです。
塔婆は立てたその日に追善供養が終わったことになるため、本来であれば次の日には処分していいということになります。
しかし、多くの人が、「せっかく立てたのだから」と、しばらくは塔婆をそのまま立てています。
塔婆立てに余裕がなくなったら古いものから外していく、かなり古くなってしまったと感じたら外すなど、
考え方はさまざまです。
古い塔婆は、お寺に持参すれば供養してくれるでしょう。
まとめ
自分が塔婆を立てるべきかどうか、判断できたでしょうか。
塔婆について重要なのは、次の4点になります。
- 塔婆は故人の供養のためにお墓へ立てるもの
- 塔婆は年忌法要、お盆、お彼岸などのタイミングで立てる
- 塔婆料の相場は3,000円~1万円
- 塔婆は誰が、何本立ててもいい
故人のためにお釈迦様へ捧げる塔婆は、例えばお墓参りに訪れた記念として立てておくと
家族のお墓参りの記録としても活用できます。
何回も依頼すれば、そのつど準備がスムーズになっていきますよ。
大人のたしなみとして、次のお墓参りには塔婆供養を行ってみてはいかがでしょうか。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
お墓に立てられている木の板を卒塔婆(そとば・そとうば)、または塔婆と言います。語源はサンスクリット語のストゥーパで、仏塔のこと全般を表すのですが、日本では木製のものを表しています。
卒塔婆の上部には切れ目が入っていて、これは五輪塔をかたどっているため。よく見ると、上から「宝珠形」「半月形」「三角形」「円形」「方形」になっていることに気が付くでしょう。今でこそ仏教の要素が色濃く出ていますが、材質や機能を見てみると、日本人が古くから木を神籬(ひもろぎ)として、つまり依代として神や霊魂をお祀りしてきたことにも通じるとも言われています。
卒塔婆は基本的にいつまでも立てかけたままにする性格のものではありません。新しい卒塔婆を立てるときに、差し替えをするようにしましょう。処分方法は寺院や霊園など管理者に確認します。