分骨は法律的に問題ない!注意点・必要手順など分骨の基礎情報まとめ
分骨とは?徹底解説
- 分骨は遺骨を分ける合法的な行為。親族や複数のお墓への供養のために行われる。
- 手続きには火葬時と納骨後のパターンがあり、それぞれ異なる書類が必要。
- 分骨には遺骨所有者の許可が必須。合祀遺骨は分けられず、家族との相談も大切。
記事監修
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
「分骨(ぶんこつ)」という言葉を、一度くらいは耳にしたことがありませんか?
分骨とは、亡くなった方の焼骨を複数に分けることを言います。
通常の火葬・埋葬では分骨を行いません。供養方法やご家庭事情など、何か分骨をしたい理由がある場合に分骨は行われます。
あなたがもし大切な人の遺骨を分骨しようか悩んでいたとしても、身近に相談できる人はそうそういないでしょう。
この記事では、分骨についての基礎知識や、気を付けるべきポイントについて詳しく解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。読めば、スムーズに遺骨を分骨できるようになります。
分骨は思ったほど難しい手続きではありません。
そもそも、「分骨は先祖に罰当たりなのでは?」「仏教的に分骨は邪道では?」「親族間のトラブルは起こらないの?」など、不安に感じている人もいるかもしれませんね。
まずは、分骨とは何をするものなのか、問題はないのか、といった点から詳しく解説していきたいと思います。
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この記事の目次
分骨とは、骨壺に収めた遺骨の一部を取り出して分けること
分骨(ぶんこつ)とは、焼骨したご遺骨を複数に分けること。文字通り、「骨を分ける」という意味です。すでにお墓に納骨されている骨壺から、遺骨の一部を取り出して分けることもあります。
分骨をすることは、法律上認められていることなのでしょうか?
仏教的に問題ない行為なのでしょうか?気になるポイントについて確認していきましょう。
分骨は法律的に問題ない
分骨を行うことは、法律上まったく問題ありません。
法律上では、「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第5条でによって分骨に関する内容が定められています。簡単に内容を確認してみましょう。
墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。
焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者は、墓地等の管理者に、前項に規定する書類を提出しなければならない。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則埋葬 第5条(厚生労働省) から引用
簡単に言うと、すでに埋葬されているご遺骨を分骨したい場合には、墓地管理者へ書類を提出しなければいけませんよ、ということです。
また、墓地の管理者はその申し出を拒否せずに分骨に必要な書類を渡しましょう、という内容が法律で定められています。
このように、分骨することはしっかりと法律でも認められている問題ない行為なのです。
具体的な事務手続きは後ほど詳しく解説いたしますが、しっかりと手順を押さえて行うことで簡単に分骨することができます。
分骨は仏教的に問題ない
仏教的にも分骨をすることはまったく問題ありません。分骨したからといって成仏できなかったり、罰当たりであったりするということはありません。
そもそも、仏教でいうお釈迦様の遺骨は、世界各地に分骨されているのです。お釈迦様の遺骨は仏舎利(ぶっしゃり)と呼ばれ、その遺骨は8分されたともいわれています。最終的には8万あまりの寺院に再配布されたという言い伝えもあるぐらいです。むしろ、分骨をすることはたくさんの人々に供養してもらえるため良い行いと考えているお寺もあるくらいです。
では次に、なぜ分骨は行われるのか、その理由について代表的なものをご紹介いたします。
分骨を行う人に多い3つの理由
分骨は、なぜ行われるのでしょうか。その理由はご家庭事情によって様々ですが、下記の3つの理由によって分骨が行われるケースが多いようです。
- お墓への埋葬とは別の供養をしたい
- 親族間で遺骨を分けたい
- 故郷と家族のお墓に分けて納骨したい
お墓への埋葬とは別の供養をしたい
お墓へ納骨する分とは別に、故人やご家族の意向に沿った供養を行いたいという場合は分骨を行います。手元供養をしたい
手元供養とは、遺骨をお墓ではなく身に着けるアクセサリーや、部屋に置けるオブジェとして故人を供養する方法です。 手元供養するために分骨を希望する人は増加傾向にあります。
手元供養は、いつでも故人を身近に感じて供養できるということが大きなメリットです。手元供養について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
海洋散骨したい
「海や自然に骨を撒いて欲しい」と、故人やご家族が希望されることがあります。一度散骨をしてしまうと後で供養のやり直しがきかないため、一部の遺骨だけを散骨するという方法を取る場合は分骨を行います。
海洋散骨について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
親族間で遺骨を分けたい
故人に思い入れが強い親族から、遺骨を分けて欲しいと申し出がある場合があります。分骨の手続きをよく把握していれば、比較的スムーズに親族の要望にもこたえてあげられるでしょう。
故郷のお墓に分けて納骨したい
家族や親族の中には、故人が生まれ育った故郷に遺骨を納骨したいという願望を持っている人も少なからずいます。
分骨についてよく知らない人からみると「遺骨を分けるなんてとんでもない!」と感じるかもれませんね。しかし分骨は、故人を大切に弔いたいと想う気持ちから行われるものなのです。
このように、分骨を行う理由は様々あります。では次に、分骨をしたいと思った時に実際に行う手続きの手順について詳しく解説いたします。
【分骨方法は2パターン】流れと必要手続きを解説
実際に分骨を行う方法は2パターン。分骨を行うタイミングによって、必要書類や段取りが異なります。具体的には火葬時に分骨をする場合と、お墓に納骨した後に分骨をする場合の2パターンになります。
それぞれどのように分骨を行うのか、詳しく解説いたします。
1. 火葬時に分骨を行う場合の流れ
まずは、大切な人が亡くなって火葬を行う際に分骨をする方法を解説いたします。焼骨する際に分骨したい場合は、どのような流れで手続きを進めればよいのでしょうか。
葬儀業者または火葬場へ分骨する旨を伝える
火葬場の担当者に、分骨をしたいという意向を伝えましょう。
家族や親族が亡くなったときは、一般的に葬儀業者経由で火葬場の予約や手配などを行う人が多い傾向です。 その場合は、担当する葬儀業者へ分骨したい旨を伝えればスムーズに手続きを進めてくれるでしょう。
ご遺族自身で火葬場を手配された場合は、火葬場の担当者へ分骨する旨を直接伝えてください。
「分骨証明書」または「火葬証明書(分骨用)」が必要になるかチェック!
分骨する遺骨をどのように供養するつもりかによって、必要手順が変わってきます。
分骨した遺骨をお墓に納骨するつもりの場合は、埋葬時に「分骨証明書」などの書類が必要になってきます。この分骨証明書は、分骨を行った際に発行してもらう書類です。
分骨した遺骨をお墓に納骨せず手元供養するつもりであれば、分骨証明書は不要になります。
分骨した後の供養方法がまだ決まっていない場合は、証明書を一応発行してもらっておくとよいでしょう。
また、今は手元供養をと考えていても、将来「やっぱりお墓に納骨したい」と考えが変わるかもしれません。念のため分骨証明書を発行しておいたほうが無難です。
焼骨後、火葬場で「火葬証明書(分骨用)」を受け取る
ご遺体の火葬後に「火葬証明書(分骨用)」が火葬場から交付されます。火葬場によっても異なりますが、分骨証明書を交付するための申請書を火葬場で記入するケースもあります。
分骨した遺骨を供養する
分骨した遺骨を、思い思いのかたちで供養します。
お墓に納骨をする場合は、火葬場で発行してもらった「火葬証明書(分骨用)」を墓地へ提出する必要があります。また、分骨された遺骨でも埋葬できるのかどうか事前に墓地へ確認してください。公営霊園などの一部霊園では、分骨された遺骨ではお墓の申し込みを受け付けていない場合もあります。
新しくお墓で供養をする場合、合祀墓、納骨堂、散骨、永代供養など、供養方法はさまざまです。故人をしっかり弔うことができる方法を選んでおきましょう。分骨した遺骨の埋葬先をお探しの場合は、「ライフドットのお墓探し」からお住まいの地域にあるお墓を探すことができます。
2. すでに納骨されている遺骨を分骨する場合の流れ
すでにお墓などに納骨されている遺骨を分骨する場合について流れを解説していきます。納骨されている遺骨を分骨する場合は、遺骨の管理者および墓地管理者とのやり取りが必要になります。そのため、火葬時に分骨するよりも手間がかかります。
遺骨の管理者(祭祀者)に許可を取る
まずは、遺骨の管理者(祭祀者)、いわゆる墓守をしている人へ連絡をしましょう。
分骨したい場合は、遺骨の管理者(祭祀者)へ許可を取っておく必要があります。無断で分骨を行うと、あとあと親族間で取り返しがつかないトラブルに発展する可能性がありますので必ず連絡を怠らないようにしましょう。
墓地管理者から「分骨証明書」を発行してもらう
納骨されている墓地の管理者に連絡をして「分骨証明書」を発行してもらいます。墓地の種類によって必要な書類や様式などは異なる場合があります。公営墓地、民営墓地、寺院墓地という3種類の墓地での手順について確認していきましょう。
公営墓地の場合
公営墓地の場合は、自治体の窓口や墓地の管理事務所で分骨証明書を発行してもらいます。まずは市役所などで申請書を記入して提出をしてください。自治体によっては1通300円程度の発行手数料がかかる場合もあります。
民営墓地の場合
民営墓地の場合は、墓地の管理事務所に連絡しましょう。遠方の場合は、郵送などで申請書を送ってもらう方法も選択できます。自治体に別途分骨に関する手続きや書類提出をする必要はありません。
寺院墓地の場合
寺院墓地の場合は、寺院の住職へ連絡をします。分骨したい旨を伝えて、分骨証明になる書類をもらいましょう。もし寺院に用紙がない場合は、自治体などで使用しているフォーマットを持参しておくとよいでしょう。
分骨証明書を受け取ったら分骨を行う
分骨証明書を受け取ったら、お墓から骨壺を取り出して分骨を行います。
墓石から骨壺を取り出すには、接着された重い石材をどかして納骨室(カロート)を開けることになります。石材店や業者での作業が必要になりますので、事前に分骨する日取りを決めて墓地管理者に連絡をした上で分骨を行いましょう。
分骨した遺骨を供養する
分骨した遺骨と、分骨証明書を持参して新しい納骨先へ行きます。分骨証明書を提出して納骨手続きを進めましょう。
ただし、なかには「分骨による納骨ができない」という霊園墓地もあります。例えば、自治体が運営している公営墓地では、分骨した遺骨では申し込みができないこともあります。 あとで分骨したのに納骨できないということがないよう、事前に分骨した遺骨を納骨できるかは確認しておきましょう。
新しい埋葬先がまだお決まりでない場合は、「ライフドットのお墓探し」から納骨堂、樹木葬、永代供養墓などのお墓を探すことができます。
分骨を行う時の流れや手続きは把握できましたか?分骨にはそれほど煩雑な手続きはありません。ただ、事前に準備しておいたほうがいい物がありますので、次の章で詳しくご紹介いたします。
分骨を行う際に用意する物
分骨を行う際には、用意しておかなくてはいけない物もあります。
分骨した遺骨を入れる骨壺
分骨する際に忘れてはいけないのは、遺骨を入れる入れ物として骨壺を用意しておくということです。
火葬時に分骨する場合は、多くの人が葬儀業者経由で行うため、分骨したい旨だけ伝わっていれば、業者が分骨用の骨壺も用意してくれるでしょう。しかし、すでにお墓に納骨されている遺骨から分骨をする場合は、自分で骨壺を用意しておく必要があります。
お布施(分骨時に読経を行う場合)
お墓に埋葬された遺骨から分骨を行う際に、読経などを行う場合はお寺へのお布施が必要になります。
では次に、分骨を行う際にぜひ気を付けていただきたいポイントについても解説いたします。
分骨をするときの3つの注意点
分骨を行う場合は、主に3つのポイントに注意して行う必要があります。分骨はそこまで煩雑な手続きではないということを解説いたしました。
しかし、いくつか注意しておかなくてはいけないこともありますので、事前にチェックしておきましょう。
遺骨の所有者(祭祀者)の許可が必要
遺骨の所有者(祭祀者)の許可は必ず取っておきましょう。遺骨を管理している墓守の人が遺骨の所有者になっていることがほとんどです。 無断で分骨を進めようとするとトラブルのもとになりかねません。
火葬後に分骨してもらいたい場合は、葬儀の喪主に話をしてみましょう。
合祀されると遺骨を取り出せなくなる
合祀(合葬とも言う)とは、大きな共同のお墓の中に不特定多数のたくさんの遺骨を一緒に埋葬するお墓です。
合祀されたお墓からは、分骨をすることはできません。また、分骨した遺骨を合祀という形で供養してしまうと、再度遺骨を取り出すことができなくなります。 永代供養墓など、合祀される埋葬方法のお墓では注意が必要です。
あらかじめ家族や親族に話を通しておく
遺骨の所有者(祭祀者)以外の家族や親族にも分骨について話を通しておきましょう。連絡義務はありませんが、分骨はナイーブなことなので、できるかぎり事前に分骨したい意向を伝えておくほうがスムーズです。
分骨についての基礎知識は以上になります。では最後に、分骨についての大事なポイントをおさらいしましょう。
まとめ
分骨の手続きや流れは、思いのほか手続きが簡単だということが分かったのではないでしょうか。
法律的にも仏教的にも、分骨を行うことは何ら問題ありません。根拠のない不安で分骨をためらっていた人は、まず家族に相談をもちかけてみましょう。
- 分骨とは、遺骨から一部遺骨を取り分けること
- 分骨は法律上も、仏教的にも問題ない行為
- 分骨は「火葬時」と「すでに納骨されているお墓から」の2パターン
- 分骨を行うタイミングによって必要な段取りが異なる
- 分骨をする前に、家族や親族への事前相談が重要
内容 | 火葬時に分骨をする場合 | すでに納骨されている場合 |
---|---|---|
連絡する先 | 葬儀業者や火葬場の担当者 | 遺骨の所有者と墓地管理者 |
分骨証明書の申請先 | 火葬場(自治体など) |
|
分骨証明書の手数料 | 自治体によっては1通300円程度かかる場合がある | |
分骨に必要な物 |
| |
分骨のとき注意すること |
|
今まで、よくわからずに「分骨なんてもってのほか」と感じていた人も印象が変わったのではないでしょうか?
分骨について正しい方法を把握しておけば、自分が分骨を希望するときはもとより、親族で分骨を希望している人がいる場合も適切なアドバイスができます。注意するポイントを押さえて分骨を進めていきましょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
お釈迦様は死後火葬され分骨されていますので、仏教では分骨について否定的な意見はありません。
そもそも関西では遺骨の一部しか火葬場で収骨しませんし、浄土真宗では遺骨の一部を本山に納めるという慣習はいち早く広く行われています。
遺骨を分骨することに対して否定的なのは、仏教の教えというよりも、地域や家庭の事情によるところが大きいようです。
火葬率が上昇したのは戦後ですから、それまで土葬で葬られていました。当然遺骨がそのまま残りますから、分骨という考えにはならなかったわけです。
近年は、手元供養として遺骨の一部を自宅に置いておく人が増えています。
置いておく、手元に身に着けるというだけなら分骨の証明書は必要ありませんが、その遺骨もいずれどこかに納骨することを考えたら、分骨の段階で証明書を取得しておいたほうが良いでしょう。