霊園の管理費をタイプ別で分析!管理費を滞納した場合まずいことはある?
霊園の管理費とは?徹底解説
- 霊園の管理費は設備維持のためで、種類により異なる。
- 管理費は施設の保守や清掃に充てられる。
- 管理費未払いはお墓撤去のリスクを伴う。
- 支払いは引き落とし等で、滞納時は迅速に連絡を。
霊園は、亡くなった人が安らかに眠れる空間づくりだけでなく、お墓参りへ来た方にも過ごしやすいよう設備や清潔感を大事にしている霊園もあります。
このような環境を保つための費用として「管理費」が必要です。
これは、マンションなどで考えると同じ場所を使うために支払われる「共益費」や「管理費」と同じようなものといえるでしょう。
ただ、実際に霊園の管理費の内容をしっかりと把握している人は少ないかもしれません。
ここでは霊園の管理費について徹底解説いたします。
この記事を読むことで、「霊園の管理費のことを知りたい」「管理費が何に使われているか」などが分かりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
霊園の管理費とは設備や清潔な空間を維持するための費用
霊園の管理費とは、一言でいえば施設の共用部分を維持するための費用です。
霊園にある様々な設備や共用部分を管理費でまかなっています。
例えば、芝がある墓地の場合は定期的に芝刈りが必要になりますし、墓地の敷地が広い場合は共用部分が広いため掃除をするだけでも多大な人件費がかかるのです。
そのため、霊園の利用者に管理費として1年に1回だけ費用を負担してもらっています。
ただ、霊園のタイプによっても設備の充実度合いは異なってきますので、自分が利用するタイプの霊園の管理費をしっかりと把握しておくことが必要です。
霊園の運営先は3つ!管理費はお墓の運営先によって異なる
霊園の運営先は、以下の3つがあります。
- 「公営霊園」
- 「民営霊園」
- 「寺院墓地」
霊園のタイプによって、お墓の管理費は異なってきます。
ここでは、それぞれの霊園の特徴や費用の目安について見ていきましょう。
- 公営霊園
3つの霊園タイプで最も管理費が安い - 民営霊園
設備が充実しているため管理費は高め - 寺院墓地
管理費は護持会費(ごじかいひ)と呼ばれている
【公営霊園】3つの霊園タイプで最も管理費が安い
公営霊園は、都道府県や市区町村などの自治体が運営と管理をしている墓地のことです。
公営のため、宗旨や宗派が問われません。
管理費の目安は4,000円~1万円程度です。
3つの霊園の中でも最も管理費が安い傾向なのが特徴になります。
【民間霊園】設備が充実しているため管理費は高め
民間霊園は、運営が宗教法人などで管理は民間企業(石材店など)が行っている墓地のことです。
管理費の目安は、5,000円~1万5,000円程度です。
民間企業が参入していることから、バリアフリーや近代的な設備など独自のサービスに資金投下していることが多いため、年間管理費が高めといえます。
【寺院墓地】管理費は護持会費と呼ばれている
寺院墓地の管理費は、護持会費(ごじかいひ)とも呼ばれています。
公営霊園や民間霊園とは異なり、寺院墓地の場合は檀家(だんか)になる必要が多い傾向です。檀家とは、寺院を金銭的に支えていくサポーターのようなものになります。
年間管理費の目安は、1万円前後です。
お寺の年間管理費は、寺院の共用部の清掃や修繕費などに使われています。
霊園名称 | 運営 | 管理 | 宗旨・宗派 | 年間管理費の目安 |
---|---|---|---|---|
公営霊園 | 自治体 | 自治体 | なし | 4,000円~1万円程度 |
民間霊園 | 宗教法人など | 民間企業(石材店など) | なし(一部あり) | 5,000円~1万5,000円程度 |
寺院墓地 | 宗教法人 | 宗教法人 | あることが多い | 1万円前後 |
管理費はインフラ整備や清掃、設備のメンテナンスなどに使われる
霊園の管理費は、主にインフラ整備や清掃、設備のメンテナンスなどに使用されています。
管理費が何に使用されているか、具体的な内容をチェックしていきましょう。
- インフラ整備で利便性の高い霊園に
- 霊園内の共用部分を清掃して快適かつ清潔に
- 設備のメンテナンスでいつでも安心に
インフラ整備で利便性の高い霊園に
霊園利用者の利便性を高めるため、インフラ整備などに管理費は使われています。
インフラを整備することで
- 「墓地全体がバリアフリーになる」
- 「外灯がつく」
- 「墓地内にトイレが増える」
など、お墓参りした人が利用しやすいようにさまざまな工夫されているのです。
霊園内の共用部分を清掃して快適かつ清潔に
霊園の共用部分の清掃にも管理費が使われています。
霊園によっては、敷地が広いため共用部分の清掃は想像以上に大変です。
しかし、管理費を適切に使用することで、お墓参りに来た人がいつ訪れても清潔な環境が保てるよう清掃費としてあてがわれています。
設備のメンテナンスでいつでも安心に
霊園の設備のメンテナンスを行うことで、安心に利用できます。
- 「墓地内のベンチが傷んでいないか」
- 「火消し場所や、水道が壊れていないか」
など、定期的なメンテナンスを行うことで利用者の安心につながっているのです。
管理費のある霊園と管理費のない霊園の違い
霊園によって、管理費のある霊園と、管理費のない霊園があります。
管理費がある霊園とない霊園の違いは何なのでしょうか。
管理費のあるなしは、供養方法で変わってきます。
今回は供養方法の違いとして、下記2つのお墓の種類を取り上げて見ていきましょう。
- 「継承墓」
- 「永代供養墓」
また、管理費を滞納してしまったときはどうなってしまうのかについても解説します。
「継承墓」は管理費がかかる
継承墓は、管理費があるケースがほとんどです。
継承墓とは、先祖から未来の子孫まで自分たちでお墓を管理して継承していくお墓になります。
公営霊園や民間霊園の場合は、銀行口座引き落としの契約をして、1年に1度口座から引き落としされることが多いです。
寺院墓地の場合は、お盆やお彼岸のときなどにお寺へ持参したり、檀家の代表や住職が集金をしてくれたりすることもあります。
子孫へ継承不要の「永代供養墓」なら管理費は不要
子孫などに継承する必要がない永代供養墓なら霊園の管理費は不要です。
継承墓は、お墓の管理を自分で行わなければいけませんが、永代供養墓は霊園の管理者へ供養をお願いすることになるため管理費がいらないのです。
永代供養墓とは、お墓を継承する人がいなくても霊園が33回忌までなど一定期間供養を行ってもらえるお墓のことになります。
また永代供養墓は契約して一定期間を経過すると、別の場所で他の遺骨と共に合葬されるのが一般的です。
永代供養墓は、基本的に管理費が不要ですが、霊園によって料金体系は若干異なります。そのため、契約する前に必ず料金内容を確認しましょう。
知らない間に管理費を滞納!2つのデメリット
管理費を滞納し続けると、最終的に
- 「お墓が撤去される」
- 「無縁仏になる」
といったことになりかねません。
なかには、「意図的に撤去されることを知っていて放置する」という人もいるようですが、一方で「両親や親族などと疎遠になっておりお墓の管理費があることを知らない」ということもあるのです。
お墓の管理費などの状況を把握していないと、後で取り返しがつかないことになる可能性があるため、管理費を滞納することによるデメリットをしっかりと押さえておきましょう。
一定期間管理費を支払わないと、お墓が撤去されてしまう
管理費を一定期間支払わないと、お墓が撤去されてしまいます。
2000年12月に厚生労働省が自治体に発信した通達によると、
「管理費の支払いを履行しない場合は契約の解除ができる」
とあります。
管理費の不払い期間は一概には定められないが、その滞納期間については「1年間では短すぎる」というのが見解です。
例えば、東京都霊園条例の第21条3項では、
「管理費を5年間納付しないとき、使用許可を取り消し、原状回復など必要措置を命じることができる」
と定められています。
一般的には、3~5年程度を目安としている霊園が多い傾向です。
お墓を撤去されると、無縁仏になる
お墓が強制的に撤去されると、遺骨は改葬されて他の遺骨と一緒に合祀されてしまうため無縁仏になります。
1999年5月1日に一部改正、施行された『墓地、埋葬等に関する法律施行規則』の第3条によると、
「墓地の管理者は縁故者がいないお墓に対して、1年以内に申し出る旨を官報に掲載および、無縁墳墓等の見やすい位置に設置された立て札へ公告する」
となっています。
つまり、管理費を滞納して1年以内に連絡がなく霊園が定める年数が経過した場合、お墓が撤去され遺骨が強制的に改葬されるため、無縁仏になってしまいます。
改葬された後に気がついても後の祭りで、遺骨を取り出すことはできなくなるため注意が必要です。
では、霊園の管理費はどのようにして支払うのかについて、見ていきましょう。
管理費を払う方法は主に3つ
霊園の管理費を払う方法は主に以下の3つです。
- 「口座引き落とし」
- 「直接管理者へ支払う」
- 「集金」
霊園のタイプによって決済方法は異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
霊園と契約する際に管理費の決済方法について説明される
一般的に霊園と契約書を交わす際、管理費の決済方法が説明されます。
3つのタイプどれであっても支払方法など細かい点は契約書に謳ってありますので、自分でも書類の内容を確認するのが重要です。
支払方法でよく分からないことがあれば、墓地の管理者へ納得がいくまで質問しましょう。
書類を紛失した場合は、霊園の管理事務局などへ連絡すれば対応してもらえます。
どうしても内容を先に把握したい場合は、契約前に霊園へ契約内容の条項が記載されている紙をコピーなどしてもらい、じっくりと自宅で読んで把握し不明瞭な点を確認しておくこともおすすめです。
金融機関の届出印と通帳などがあると安心
霊園の管理費の手続きを行う際は、金融機関の届出印と通帳、キャッシュカードがあると安心でしょう。
なぜなら、年間管理費を口座引き落としとする場合は金融機関へ口座振替依頼書を提出する必要があるからです。
口座番号の記載や印鑑相違などがあると、口座引き落とし設定が行えず、書類不備として戻ってきてしまいます。
ただし、公的な書類など自分でわざわざ何か書類を準備する必要は特段ありません。
また、直接管理者へ支払ったり、集金したりする場合は、その内容が書面に記載されているかも確認しておくと安心です。
管理費を滞納したときの2つの対処方法
管理費の支払いを滞納してしまったときは、主に2つの対処方法があります。
霊園の管理費は、年に1回ですので
- 「うっかり忘れてしまい、管理費を滞納してしまった」
- 「口座に入金するのを忘れた」
という場合も少なくありません。
そういった場合は、霊園の管理者に連絡をすることはもちもんのことですが、連絡をする時に次のことを確認してみましょう。
- 霊園に滞納している金額や内容を再確認
- 家族や親族などに費用を負担してもらえないかを相談
霊園に滞納している金額や内容を再確認する
霊園に滞納している金額や内容など詳細を再確認することは重要です。
一般的に管理費を滞納している事実は、電話や請求書などが届くことで気がつくことが多いといえます。
滞納の事実に気がついた時点で、霊園の管理者へ直接金額や内容を再確認することで、支払い内容の相違を防げたり、管理者へ支払う意思を伝えられたりすることが可能です。
滞納の理由は人それぞれですが、管理者への連絡を行うことで支払方法だけでなく今後の対応などすりあわせることができるでしょう。
家族や親族などに費用を負担について相談してみる
家族や親族に管理費の負担について相談してみることも方法の一つです。
滞納の事実を知った段階で、家族や親族がいれば「どのように管理費を負担していくか」ということを共有することで、後でトラブルになることを防ぐことができます。
また、管理費を滞納するということは先祖の墓がすでに無縁仏のような状態になっていた可能性が高いです。
- 「お墓を継承していくのか」
- 「その場合の管理費を誰が負担するのか」
- 「改葬して永代供養にするのか」
など、今後の方針を家族や親族で話し合うことで解決につながることもあります。
お墓の管理費は、年間4,000円~1万5,000円程度ですからどうしても支払いできないという金額ではないでしょう。
しかし、滞納が数年となっている場合は、まとまった金額になりますので、気がついた家族が一人で内容を抱えて負担するよりも一度家族や親族に相談することが賢明です。
まとめ
霊園の管理費は、墓地を運営していくにあたり非常に大切なお金だということが良く理解できたのではないでしょうか。
- 「公営霊園」
- 「民間霊園」
- 「寺院墓地」
といった霊園のタイプによっても管理費は大きく異なる傾向です。
最後にこの記事の内容についておさらいをしてみましょう。
- 管理費は霊園の利便性の向上やメンテナンスのために使われている
- 費用の用途は、主に設備のメンテナンスや清掃など
霊園名称 | 運営 | 管理 | 宗旨・宗派 | 年間管理費の目安 |
---|---|---|---|---|
公営霊園 | 自治体 | 自治体 | なし | 4,000円~1万円程度 |
民間霊園 | 宗教法人など | 民間企業(石材店など) | なし(一部あり) | 5,000円~1万5,000円程度 |
寺院墓地 | 宗教法人 | 宗教法人 | あることが多い | 1万円前後 |
- 滞納した場合は、お墓を撤去されてしまう可能性がある
- 滞納の事実を知った時点で、できるだけはやく霊園の管理者へ連絡する
霊園の管理費を滞納し続けてしまうと、場所によっては3~5年程度を目安にお墓が撤去されてしまいます。
お墓が撤去されてから、「遺骨を戻して欲しい」「お墓を戻して欲しい」といっても後の祭りです。
大切なご先祖様の遺骨が供養されているお墓ですので、家族や親族がいる場合は放置せず、今後のお墓の管理方法を話しておきましょう。
お墓の話は、慣れなかったり、面倒であったりして気が引けるかもしれません。
しかし、先祖がいなければ今の自分も存在しないということも事実ですので、何も連絡せず無縁仏になるようなことだけは避けたいですね。
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監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
マンションなどと同じように、お墓を購入した後、維持していくために年間管理料を支払い続けます。寺院墓地の場合は護持会費として徴収する場合と、護持会費とは別に徴収する場合があります。
管理費を支払っていれば、各墓所の区画内の清掃もしてもらえるのでは、と勘違いしている人もいますが、基本的には区画内についてはノータッチ。もし定期的な清掃やメンテナンスが難しいようであれば、清掃だけ外部の業者に委託することはでできます。そうはいっても、防犯や衛生面で墓地全体に及ぼしかねない場合もあるでしょうから、その場合は墓所を整える程度の作業は行っているようです。