お墓ディレクターの資格について解説!お墓選びのプロが持つ資格
お墓ディレクターとは?徹底解説
- お墓ディレクターは、お墓選びの専門家で、日本石材産業協会の筆記試験に合格する資格
- 2級と1級のお墓ディレクター資格があり、専門知識を持つ
- 資格のある石材店は、宗派や地域の習慣に精通したアドバイスが期待できる
- お墓ディレクターは知識を証明するが、技術や石質の判断は含まず、石材店選びは複数の視点が必要
「生きているうちに自分のお墓を作っておきたい」「愛する故人のためになるべく早くお墓を作ってあげたい」と、お墓について調べている人であれば、「お墓ディレクター」という言葉を見かけたことがあるでしょう。
また、「お墓ディレクターのいるお店」というのぼりを見かけて、気になった経験のある人もいるのではないでしょうか。
この記事では、お墓ディレクターという資格の詳細を解説します。
そのうえで、お墓ディレクターのいるお店を選ぶべきかどうかを考えていきます。
最後まで読めば、石材店を選ぶときのポイントを確実に理解することができますよ。
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- お墓選びで注意するべきポイントを詳しく知りたい
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お墓ディレクターとは、試験で認められたお墓選びのプロ
お墓ディレクターとは、お墓に関する知識を問う筆記試験に合格することによって与えられる資格です。
この章では、誰がお墓ディレクターになれるのか、どのような試験があるのか。
また、合格するとどんなことが可能になるのかなどについて解説します。
お墓ディレクターとはどんな人なのか、具体的に知ることができます。
日本石材産業協会が認定するお墓ディレクター
お墓ディレクターの検定試験を行っているのは、一般社団法人日本石材産業協会です。
日本石材産業協会は、石材業界の統一団体として2001年に生まれました。
2017年5月現在、会員となる石材会社は1225社にのぼります。
日本石材産業協会がお墓ディレクターの検定試験を始めたのは、2004年のこと。
2017年末までに、13回の試験が行われました。
そして2016年までに、5092名のお墓ディレクターが全国に生まれました。
お墓ディレクターには、2級と1級がある
お墓ディレクターには2級と1級があり、それぞれ受験資格が違います。
2級の受験資格は、「実務経験は問わないが、お墓およびお墓の関連業に携わる者」。
つまり、石材店での経験がなくとも、2級の試験は受けることができます。
お墓の関連業として想定されているのは、仏壇業者や葬祭業者、墓地の管理者などです。
1級の受験資格は、「3年以上の実務経験があり、2級の資格を取得している」ことです。
1級を持っている人は、確実に経験を積んでいることになります。
問題の出題傾向
- 2級は○×問題と選択問題
2級の試験内容は、お墓や宗教に関する正誤判定50問と、多肢選択50問で、試験時間は90分です。
2016年のデータでは、2級取得者は4380名です。 - 1級は○×問題と選択問題、記述試験
1級の試験内容は、2つにわかれています。
1つめの筆記試験は、お墓や宗教に関する正誤判定30問と、多肢選択20問で、試験時間は45分です。
2つめの筆記試験は記述式で、5問の問題に100字から200字で回答します。試験時間は90分です。
2016年のデータでは、1級取得者は712名です。
いずれも、お墓の形状や種類、お墓の歴史、法律、供養についてなど、幅広い知識が求められる試験です。
2級に比べて1級取得者の数が少ないことが、試験の難しさを物語っているといえるでしょう。
合格すると認定証が発行され、広告宣伝にのぼりなどを使える
試験に合格すると、「お墓ディレクター認定証 2級」または「1級」と記された認定証が発行されます。
また、お墓ディレクターだけが使える販売促進材料を購入することができます。
販売促進のための材料は、「お墓ディレクター」のロゴが入ったポスターや、「お墓ディレクターのいる店」と書かれたのぼりです。
以上、お墓ディレクターとは何かについて解説しました。
石材業界向けの民間資格であり、筆記試験をもとに認定されることがおわかりいただけたかと思います。
では、お墓ディレクターのいる店は、他のお店と比べてどんなメリットがあるのでしょうか。
次章では、お墓ディレクターのいる石材店を選ぶメリットについて解説します。
お墓ディレクターのいる石材店を選ぶメリット
お墓ディレクターのいる石材店を選ぶメリットは、2つあります。
それぞれ詳しく説明します。
メリット1. 客観的な視点でプロと評価された人に相談できる
お墓ディレクターのいる石材店を選ぶメリットのひとつめは、全国標準の資格試験という客観的な基準で、プロと評価された人に相談できることです。
これは、どんな人がプロなのかを見分けづらい石材業者において、とても分かりやすい基準となります。
お墓ディレクターは、お墓に関わる全ての人に必須の資格ではありません。
よって、お墓ディレクターの資格を持っていなくても、しっかりとした技術を持つ、経験豊富な石材店員はたくさんいます。
しかし、見た目はもちろん、接客態度などからは、その人がどのくらい経験を積んだ人なのか、きちんとした知識を持っているのかは、なかなかわかりません。
そんななかで、お墓ディレクターという肩書は、少なくともある一定の知識があることの証明となります。
メリット2.宗派の違いやしきたりについてアドバイスをくれる
お墓ディレクターは、墓石やお墓のデザインについてだけではなく、宗派の違いや地域のしきたりについてもアドバイスをしてくれます。
お墓ディレクター試験では、仏教の基礎知識や、葬送にまつわる習俗についての問題が数多く出題されるためです。
自分の気に入った墓石、気に入ったデザインを選んでも、それが宗派にそぐわなかったり、地域のしきたりからずれてしまったりしていることがあります。
お墓ディレクターは、その危険性にいち早く気づき、修正を促してくれる存在なのです。
以上、お墓ディレクターのいる店を選ぶメリットについて解説しました。
正しく幅広い知識を持っていると太鼓判を押された人に相談できるということなので、安心ですね。
ただ、お墓ディレクターのいる石材店を選ぶときには、注意しておきたいポイントもあります。
次章で詳しく解説します。
お墓ディレクターのいる石材店を選ぶときの注意点
お墓ディレクターのいる石材店を選べば、安心できるところもありますが、注意すべきこともあります。
注意したいポイントは、次の3つです。
注意点1.知識はお墨付きだが、技術について評価を得たわけではない
注意したいポイントのひとつめは、お墓ディレクターは知識については豊富でも、技術への評価を得たわけではないということです。
検定試験は筆記試験だけですから、技術のレベルを問うことはしていません。
1級は実務経験が3年以上必要ですから、技術についても安心して任せられるでしょう。
しかし、2級は、経験がなくても受けられる試験です。
気になる石材店のお墓ディレクターが2級取得者であった場合には、本人の経験は豊富なのか、もしくは他に経験豊富な職人がきちんといてくれるのかを確認したほうがよさそうです。
注意点2.石の良し悪しや特性がわかるかどうかは別の話
注意したいポイントの2つめは、石の良し悪しや、特性がわかるかどうかはまた別の話だということです。
これも、お墓ディレクターの試験が、基本的に知識を問うものであるということからきています。
石の良し悪しや特性は、技術者として経験を積まなければ、つかめないものだからです。
「石の良し悪しって、そんなにわからないものなの?」と疑問に思った人もいることでしょう。
最高級の国産墓石は、外国産の10倍もの値段となることがありますが、 同じような色味を選べば、見た目にはそれほど大差がありません。
素人目にはほとんど区別がつかないのが、墓石なのです。
注意点3.資格にこだわると良いお店を見逃す可能性がある
注意したいポイントの3つめは、「絶対にお墓ディレクターのいるお店が安心」と資格にこだわってしまうと、 本当に良いお店を見逃す可能性があるということです。
もちろん、お墓ディレクターのいるお店は、ある一定の基準をクリアしているといえます。
しかしそれだけでは、地域のニーズを知り尽くしている老舗や、親身になって相談にのってくれるお店を逃してしまう可能性が出てきます。
石材店は、多角的な視点から複数のお店をピックアップし、比較して選ぶべきです。
以上、お墓ディレクターのいる店を選ぶときに注意したいポイントをお伝えしました。
「お墓ディレクターがいるだけでは安心できないなら、何を基準にしたらいいんだ?」と悩む人のために、 次章では、安心できる石材店の選び方をご案内します。
安心できる石材店の選び方
安心できる石材店を選ぶなら、次の4つを意識しましょう。
1.口コミを集める
近所や親族などに、「お墓はどこの石材店で建ててもらったのか」と聞いてみましょう。
対応は良かったか、思い通りのお墓に仕上がったか、耐久性は良かったかなど、満足度について口コミを集めます。
どんどん口コミを集めていけば、地域に根差し、墓石とともに代々を歩んできた老舗にゆきあたることでしょう。
安心を求めるなら、最高のお店です。
2.近所にある良いお墓の施工会社を調べる
近所の墓地へ出かけていき、「こんな墓石を建てたい」と思ったお墓があれば、管理者に「このお墓はどの石材店が建てたのか」と尋ねてみましょう。
自分のイメージ通りのお墓を作ってくれるお店として、候補に入れられます。
3.墓石の品質証明書や保証書を発行しているか調べる
墓石の品質証明書や保証書を発行してくれる石材店を選びましょう。
墓石は、素人目からは良し悪しがまるでわからないものだからです。
「れっきとした日本産です」という品質証明書や、 「10年の間に劣化したら、無償で修理します」と宣言する保証書を出してくれる石材店を選びましょう。
4. 墓地からのアクセスがよければなおよし
墓地から近い石材店であれば、さらに安心です。
修理が必要なときなどに対応が早いからです。
万が一、震災などで墓石が倒壊したときなどには、他の墓地所有者にも迷惑をかける恐れがあるため、速やかな対応が必要です。
墓地の近くの石材店を選べば、いざというとき、すぐに来てくれるという安心感を得ることができます。
以上、石材店を選ぶときのポイントをお伝えしました。
「老舗で安心」「デザインの良いお墓を作ってくれる」「墓地の近くにある」など、石材店選びのポイントはさまざまです。
「お墓ディレクターのいる店」と合わせて、判断材料にしましょう。
まとめ
以上、お墓ディレクターについて、そして石材店を選ぶときのポイントについて解説しました。
お墓ディレクターが、知識豊富な墓石のプロであることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
墓石の価値がわかりにくいなか、石材店を選ぶのはとても難しいですが、 「お墓ディレクターのいる店」は一つの基準となります。
他の判断材料と照らし合わせて、自分の希望を叶えてくれる、任せて安心な石材店を選びましょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
お墓ディレクターは日本石材産業協会が認定する民間資格です。お墓に関する一定の学習をしたとして発行されるものですが、お墓に関する業者といってもさまざまで、実際に施行する石材店だけではなく、墓地の販売会社、霊園管理会社、インターネットで墓地の仲介をする会社、備品・付属品の販売会社、石材卸会社などがあります。それぞれの業務内容によって習得する知識は異なり、ますが、お墓という装置が死者を葬り、先祖供養をする場所である以上、その歴史や背景等を知ることは必須です。石種や加工技術といった知識も必要ではありますが、なぜ有史以来人類は弔いの作業を絶え間なく続けてきたか、そういった視点で葬送儀礼を探求する姿勢が大切とされています。