永代供養とは永遠に続くものではない!供養期間や埋葬法について解説

永代供養とは永遠に続くものではない!供養期間や埋葬法について解説

記事監修
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子


どのような供養法にしようか調べていくうちに、「永代供養」という言葉は何回も目にし、実際のところはどうなんだろうと思っていらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では以下のような疑問を解消

  • 「永代供養っていうけど、供養してくれる期間に制限はある?」
  • 「永代供養をしたら、お墓参りはしなくていい?」
  • 「永代供養にかかる費用ってどのくらい?」

ここでは、最近よく耳にするようになった「永代供養」についての正しい情報をまとめております。初めてお聞きになった方も、なんとなく知っているという方も、この記事を読んで正しい知識を身につけ、今後そういった場面になった時に選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。

この記事の目次

  1. 永代供養の基本まとめ
  2. 永代供養を選ぶときにすること
  3. 一般墓と比べたときの永代供養の良い点3つ
  4. 永代供養で気をつける点3つ
  5. 失敗しない永代供養選びのポイント
  6. 具体的なイメージをつかむ~実際に永代供養を選んだ方の声~
  7. まとめ

永代供養の基本まとめ

よく「永代供養」という言葉を聞いて、「永久に供養をしてもらうために遺骨を預けること」と勘違いされている方が多いようです。タイトルにも書いている通り、ある一定期間という制限があります。

永代供養については永代供養墓をわかりやすく解説!費用・注意点・メリット・デメリットとはを参考にしてみてください。

供養期間が決まっている永代供養

供養の期間はさまざまですが、一番多いのは33年でしょう。その他にも、13年や10年というところもあります。

そもそも死者供養は、33年が1つの目安です。死者の位牌も33回忌を過ぎると「先祖代々」の位牌にまとめます。この慣習は全国的に見られるものです。33年という年月は、世代交代のひとつのサイクルを意味します。

子が親を、子孫が先祖を祭祀する「先祖祭祀」は日本だけでなく東アジア一帯で見られる習俗ですが、親を供養する子が亡くなるのもまた、親の死後33年が1つの目安になるのです。

合祀墓だけではない!納骨先の選択ができる

「永代供養」と聞くと、合祀墓をイメージしがちですが、必ずしもそれだけではありません。「個人墓」や「夫婦墓」といった石塔を建てるスタイルを選択することもできます。

いきなり合祀にするのではなく、まずはお墓を建てて、その中に遺骨を埋蔵します。一定期間内はお墓で供養し、その期間を過ぎると、遺骨を取り出して合祀にする、という方法です。 代々続いて墓守をするわけではないので、建立するお墓は個人墓か夫婦墓になります。

お墓参りや改葬もできる

永代供養をしてしまうと、お墓参りができないと思われている方が多くいます。しかし、合祀されたとしても、集合墓の中に故人様の遺骨は眠るわけですから、お墓参りできる施設が整っています。

集合墓でない個別墓や夫婦墓であれば、当然個別の参拝も可能です。

また、集合墓を利用したからといって、いきなり土中へ合祀するだけではなく、一定期間骨壺の状態で保管してくれるケースもあります。遺骨を合祀する前であれば改葬、つまり遺骨を返却してもらって別の地に埋葬することもできます。

永代供養を選ぶときにすること

遺骨を永代供養にすると決めた場合に、何をしなければならないのか、何に気をつけたらよいのかを紹介します。

情報収集と現地見学から納骨先を選ぶ

【菩提寺がある場合は菩提寺に依頼するのがよい】

まずは永代供養をしてくれる寺院を探すのですが、いま現在、菩提寺との付き合いがあるのでしたら、その寺院に永代供養をお願いするのがよいでしょう。

そもそもこれまで先祖代々を供養してくれていた寺院ですから、そのお寺に永代に渡って供養をお願いするのがよいでしょう。よほど、なにかの理由があれば他の寺院にお願いしても構いませんが、その場合は事情をきちんと話して理解してもらうべきでしょう。

【菩提寺がない場合は、自ら寺院を探す】

菩提寺がない場合は、自ら寺院を探さなければなりません。寺院を探す方法はさまざまです。

  • 看板などで見つけた寺院を訊ねてみる
  • 電話で問い合わせてみる
  • インターネットで検索する
  • 仏壇店や石材店などに問い合わせてみる

これらの中で有用なものを、細かく見ていきましょう。

【インターネットを活用する】

膨大な数の寺院がある中で、インターネットを用いて寺院を探すのが一番効率がよいでしょう。検索キーワードは、「希望する地域 永代供養」などがよいでしょう。

また、それぞれの寺院がホームページなどで情報発信しているところもあれば、永代供養のポータルサイトもたくさん登場しています。これらを活用しない手はないでしょう。

【街の仏具店や石材店に尋ねてみる】

しかし寺院業界はまだネットの活用が遅れている面もあり、インターネット上に情報が流れていない寺院もたくさんあります。つまり、ネット上にも発信されていない「穴場」的な寺院もあるかもしれません。

だからといって、1件1件の寺院に電話をしてそのつど訪ねるのもよいのですが、まずはおススメの方法として、その街にある仏具店や石材店に尋ねてみる、という方法です。

というのも、仏具店や石材店の場合は、多くの寺院に出入りしているために、複数の寺院のさまざまな情報を持ち合わせているからです。ある程度まとまった、そして客観性のある情報を得ることができるでしょう。そのような情報収集した上で、気になる寺院を実際に訪れて、施設を見学し、住職と話をしてみましょう。

お布施と永代供養料を支払う

永代供養に関してのお布施や支払いは寺院によってさまざまです。費用も、供養の形態で異なります。

【合祀供養の場合】

合祀とは、他の人の遺骨と同じ場所に埋葬する方法ですが、個別の供養を必要とせずに、合祀でよい場合には、数万円で受け付けてくれるところもあります。

【個別供養の場合】

個別供養を希望する場合には、一定期間13年や33年、遺骨は集合墓の内部に個別に保管され、供養も個別にしていただけます。この場合は、20万円〜50万円程度の永代供養料が必要になります。なお、個別供養の場合でも一定期間をすぎると遺骨は合祀されます。

納骨日に法要を行う

遺骨を寺院に預けて納骨する日には、法要が執り行われます。法要は、墓前で行うケースもあれば、本堂で行ったあとに墓前に移動して納骨、というケースもあります。

当日は寺院から指示が会ったものを用意します。考えられるものは、供花、供物、塔婆などでしょうか。また、永代供養料やお布施もこの場で支払うことが多いでしょう。

家族での法要ができるかを確認する

永代供養では、遺骨を預ける時に法要をすれば、あとは親族が集まる法要はありません。寺院側では何に数回合同法要を執り行います。もしも家族が法要を望むのであれば執り行ってくれるでしょうから、希望の際は寺院に相談しましょう。

一般墓と比べたときの永代供養の良い点3つ

一般のお墓と比較し、永代供養の方が良いと挙げられる点を紹介します。

1.墓石や管理費が必要なく費用が安い

永代供養墓の費用には、墓石代が不要です。ここでいう「墓石代」とは、墓地代、石材費、もろもろの工事代など、一般的なお墓を建てるのに必要な費用のことです。

個別のお墓を建てるためには、まず土地を購入して、それから石材店に墓石の費用を支払わなければなりません。場所や面積にもよりますが、墓地も数十万円はしますし、墓石も100万円近くの費用がかかります。

また、お墓を建立すると毎年の年間管理料が求められます。永代供養墓の場合は、1つの集合墓を複数の人たちが使用するために、個別の墓地や石塔の必要がなく、費用も抑えることができます。

2.寺院や管理者が供養や管理をしてくれる

永代供養では、寺院や管理者が供養や管理をしてくれます。毎日の勤行や、年に数回の合同法要など、お寺が続く限り永代に渡って供養してもらえます。また、屋外の集合墓であれ、屋内の納骨堂であれ、清掃などの管理も寺院にしてもらえます。

3.通いやすい立地に多い

永代供養墓は寺院が運営していることが多いために、比較的交通の便がよいことが多いです。

お墓を建てるとなると、市街地の寺院墓地や郊外の霊園になってしまうのですが、寺院墓地は空きが少なく、郊外の霊園へは通うのに大変な労力がかかります。

寺院であれば市街地にあることも多く、郊外まで行く手間を考えると、より住まいから近い場所で永代供養してくれる寺院を見つけることができるでしょう。

永代供養で気をつける点3つ

永代供養は新しい供養の方法として脚光を浴びていますが、その反面、意外に知られていない制限や条件もあります。供養の期間について、合祀について、遺骨の返却について。これらについて触れてみます。

1. 期間の制限がある

永代供養では、預けた直後に合祀する方法と、一定期間遺骨を保管してもらい個別に供養してもらう方法とがあります。ただし、いずれにせよ供養、期間には制限があり、その後遺骨は合祀されます。

2.他人の遺骨とまとめられる

合祀とは、他人の遺骨とまとめて一カ所に埋葬することです。永代供養を利用する方のほとんどは、跡取りがいない、墓守する人がいないなどの事情を抱える人たちなので、個別の埋葬にはどうしても限界があります。

よって一定期間は個別に保管し、死者供養のサイクルの一区切りである33年などを目安に、遺骨は合祀されるのです。その頃には、お墓参りに来る人も少なくなるであろう、祖霊先祖が村の氏神になると考えられるのも理由です。

3.遺骨が二度と取り出せないこともある

合祀をすると遺骨は壺から出して土に還すために二度と取り出すことができなくなります。遺骨を取り出せないのがいやなひとは、合祀しないように気をつけましょう。

失敗しない永代供養選びのポイント

永代供養は、大事な遺骨を預けて寺院に供養を委ねることです。供養の方法や。遺骨の取り扱い、さらには信頼することができるお寺かどうかをきちんと見極めて、総合的に判断しましょう。

供養してくれる期間の長さ

個別の供養は一定期間してもらえます。10年、13年、33年など、寺院によりますので事前に確認しましょう。

供養の回数を比較する

供養の回数も寺院によります。毎朝夕の勤行で供養する寺院もあれば、決められた日に供養する寺院もあるでしょう。多くの寺院では、家族も参列できる合同法要を執り行います。あるいは寺院の毎年の法要の中に、永代供養の法要を盛り込むこともあるでしょう。

供養期間後の遺骨の取り扱い

一定期間の供養が終わると、遺骨は土に還す形で合祀されるのが一般的です。どのような形で合祀されるのかは事前に確認しましょう。

宗教・宗旨宗派の制限はあるのか

受け入れる側から宗教や宗派を制限することはないでしょう。ただし、授戒戒名を授かることにせよ、供養にせよ、その寺院の宗派の教義やしきたりに沿って執り行われます。

具体的なイメージをつかむ~実際に永代供養を選んだ方の声~

  • Aさんの場合(女性・60代)

    人が亡くなって3年になります。お墓を建てようか迷ったのですが、私たち夫婦には子供がいません。葬儀社が手配してくださったお寺様がとても素晴らしい方で、永代供養の施設もあるとのことで、遺骨を預けることにしました。私が亡くなった時もそのお寺様に預けるように親族には伝えてあります。

    お墓を建てるのに比べて費用も安く済みましたし、お掃除などの手間も省けますが、なにより私たちのように途絶えてしまう人間にとって頼れる寺院の本堂の中で供養してもらえるという安心感が、永代供養を選ぶ一番の動機となりました。

  • Bさんの場合(男性・30代)

    私の両親は50代で亡くなり、ともに一人っ子だったために、母方の家は途絶え、祖父母の供養を私が見ることになりましたが、住職と相談して永代供養することになりました。

    東京から広島まで帰省するのも大変ですし、お墓はどうしても荒れてしまう。ですからお寺の中で住職に供養してもらうことにしました。帰省の時には必ず立ち寄り、お参りしています。墓が荒れる心配がないので、ほっとしています。

  • Cさんの場合(男性・50代)

    先祖代々の墓が鹿児島にあるのですが、私たち家族は父の代からずっと東京で暮らしています。鹿児島のお寺も廃寺になり、ご先祖様だけが取り残された形になったので、意を決して、中の遺骨を取り出し、近くの寺院に預けることにしました。

    お墓を建立するべきかどうかも、これから先私たち家族がどのようになるのか分からないので、「とりあえず遺骨を永代供養として預けてください。あとから返却することももちろん可能です」と言われ、遺骨をお預かりしてもらってます。都内にきちんとお墓を建立して供養すべきかどうか、これからじっくり考えたいと思います。

まとめ

永代供養は、跡取りがいない、墓守がいないという人たちに利用されています。また、寺院に供養してもらえる安心感、お墓を建てることよりも安価であること、掃除などの手間がかからないというのも魅力のようです。

永代供養墓の基礎知識を解説