格安の墓地や墓石はある!?お墓の費用の仕組みを徹底公開
格安の墓地とは?徹底解説
- お墓は平均200万円だが、安い選択肢もある。
- お墓の価格は立地と面積で変わる。
- 墓地購入は利用権の取得で、所有権は変わらず。
- 永代供養や樹木葬で費用節約が可能。
お墓を建てるためには、墓地を取得して墓石を建立しなければなりません。
やはり、その際にかかる費用が気になるところですよね。
一体お墓の費用はどのような仕組みで決められているのでしょうか。
納得した金額でお墓が建立できるように、その費用を徹底解説いたします。
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この記事の目次
墓地にお墓を建てるとは
墓地にお墓を建てるには、まずは墓地を買わなければなりません。多くの人たちが勘違いをされているのですが、私たちは当たり前のように「墓地を買う」と表現します。
しかし、実際には墓地という土地を買うのではなく、その土地の利用権を買うのです。「永代使用権」とか「永代利用料」などと言われるのはそのためです。
たとえばあなたが”◯◯市営霊園”で墓地を取得したとします。この場合、墓地の所有権はあくまでも◯◯市にあり、使用権はあなたにあります。
ですからあなたは墓地に年間管理料こそ支払わなければなりませんが、登記する必要も、固定資産税を支払う必要もありません。
また逆に、その土地が不要になったからといって、勝手に誰かに譲渡や転売することも禁じられています。
不要になった墓地は、所有者に返還しなければなりません。
墓地購入に知っておくべき4つのポイント
墓地の費用は、平米単価(1㎡あたりの単価)と、墓地の面積のかけ算で決まります。都心や都市の中心部であるほど、平米単価は高く、1区画あたりの面積は狭い傾向にあります。
地方や郊外に行くほど、平米単価は安く、1区画あたりの面積は広い傾向にあります。
区画の費用に民営・公営は関係ない
区画の費用と墓地の運営主体は関係ありません。民営だから高い、公営だから安いというものではないようです。
墓地の価格には相場があります。しかし、寺院墓地の場合は、寺院の考えひとつで価格が設定されます。
また、石材店が運営あるいは提携している民営墓地の場合、墓石の依頼をする業者が指定されています。墓地の費用を安く設定しておいて、墓石の契約につなげるという手法を用いるところもあります。
墓地の単価は地価に比例する
墓地の平米単価は地価に比例します。たとえば、東京都営霊園の場合はいかがでしょうか。
都営霊園には、都心の青山霊園、郊外の小平霊園や千葉県松戸市の八柱霊園などが今でも墓地使用者を募集しています。
さまざまな形態の墓地がある中で、いわゆる一般的なお墓を建てるための”一般埋蔵施設”の場合、平米単価を次のように設定されています。(東京都発行の『令和2年度東京都立霊園使用者の募集』から抜粋)
- 青山霊園(港区) 1㎡あたり、2,839,000円
- 谷中霊園(台東区)1㎡あたり、1,810,000円
- 多摩霊園(府中市)1㎡あたり、922,000円
- 小平霊園(小平市)1㎡あたり、875,000円
- 八柱霊園(松戸市)1㎡あたり、201,000円
見ていただいて分かるように、同じ東京都内の墓地でも、多摩や小平などの武蔵野地区と、都心の一等地にある青山霊園では3倍以上の開きがあります。
また、都外にある八柱霊園の場合、14倍もの開きがあります。全国的に見ても、青山霊園や谷中霊園の㎡単価は突出していると言えるでしょう。
ちなみに、それでも青山霊園や谷中霊園の抽選倍率は10倍を超えています。墓地を取得する際に立地を重視している人がいかに多いかがわかります。
それは逆の見方をすると、格安の墓地は郊外にあるとも言えるのです。青山霊園と八柱霊園を見比べると、一目瞭然です。
区画の大きさで費用は変わる
そして、もうひとつ墓地の価格を決める大切な要素は、墓地の面積です。
面積、つまり平方メートルは、その土地の間口の寸法と奥行きの寸法をかけ算することで割り出せます。1㎡あたり500,000万円の墓地の場合、2㎡だと1,000,000円、3㎡だと1,500,000円といった具合です。
墓地の面積は広ければよいというものではなく、施主がどのようなお墓の形を希望しているかにもよります。手を合わす石塔があり、その地下部分に埋葬さえできればよいと考える人は、狭い墓地でも構わないでしょう。
しかし、墓地の周囲には玉垣を巡らせ、霊標や灯籠も据えて、ゆとりのあるお墓にしたいのであれば、どうしても面積が必要となり、費用も高騰します。
また、これは墓地を取得したあとのことですが、面積の広い墓地の方が石材店に支払う金額も増えてしまいます。
より広い墓地ではそれだけ多くの基礎工事をしなければなりませんし、周囲に巡らす外柵(巻石や玉垣)により多くの石材が必要となります。
ちなみに、石塔をひとつ建立するには、1㎡あれば充分です。格安な墓地で、外国産の格安の墓石を用いれば、数十万円でお墓を建てることも、不可能ではないでしょう。
年間管理料の費用もチェックしておこう
墓地を取得したら年間管理料の支払いが求められます。共益部分の管理や清掃や修繕にこの年間管理料が充てられます。
年間数千円から1万円くらいが相場だと思われますが、墓地を使用する限り永代に渡って支払うものですから、費用はきちんと確認しておきましょう。
管理費について詳しく知りたい人は、「お墓の管理費は年間1万円から10万円!何に使っていつまで払うの?」の記事を参考にしてください。
墓地にお墓を建てるための流れ
墓地にお墓が建つまでの流れをまとめました。
墓地の情報を集める
まずは墓地の情報を集めて、気になる墓地をピックアップしましょう。情報の集め方はさまざまです。
- 新聞折り込みや広告をチェックする
- インターネットで検索する
- 希望の地域の石材店を訪ねてみる
必ずした方がよいのは、3つ目の「石材店を訪ねる」ことです。
というのも、墓地はその地域に根ざしたものなので、新聞広告やインターネットなどの、広範な人々に訴えるマス広告よりも、ローカルな、そしてパーソナルな情報が望ましいのです。
特に石材店は、その地域の墓地の情報をよく知っています。
「あそこの墓地は指定石材店がいるから入れない」とか、「あそこの墓地は意外に穴場でおすすめだ」など、専門業者だからこその裏話が聞けるかもしれません。
ただし、気をつけてほしいのは、石材店は必ず自社に有利な墓地を勧めてきます。
民営墓地を運営している石材店は必ずそこを勧めるでしょうし、持ってない石材店は公営墓地や出入りのできる寺院墓地を勧めるはずです。
ですから必ず複数社、最低でも2~3社ほどに話を聞くと、ある程度偏りのない情報が入手でき、その地域の慣習や相場などについても学べるでしょう。
実際に墓地へ見学に行く
気になる墓地をピックアップしたら、実際に現地に出向いてみましょう。現場に立ってみないと分からないことがあります。
その時に受けた印象や直感を大切にしましょう。また次のようなポイントを重点的にチェックしましょう。
- 自宅からの距離やアクセス
自宅からお墓参りするのに行きやすい距離にあるか。あるいは車や交通機関を利用した上で行きやすいところにあるか。
- 駐車場
駐車場は車が停めやすいか。また、駐車場から墓地までの距離は遠くないか。
- バリアフリー
手すりやスロープなど、バリアフリーの配慮がなされているか。
- 環境・雰囲気
お墓参りしやすい静かな環境か。好ましい雰囲気か。周囲は騒がしくないか。
- 日当り・地盤・樹木
取得しようとする墓地の日当りはよいか。地盤はしっかりしているか。近くに大樹があるか。大樹があると、落ち葉が増え、また年月が経つと地面から根が墓石を押し上げることがあります。
- 管理・清掃
墓地内の設備などがきちんと整えられているか。ゴミ置き場や水道施設などきちんと清掃されているか。
墓地の利用申し込みを行う
取得したい墓地が決まったら、速やかに所有者に利用申込をしましょう。公営墓地や民営墓地の場合は管理事務所へ、寺院墓地の場合は住職に尋ねましょう。
また、公営墓地で空きがない場合は定期的に返還墓地の抽選会が行われますので、その開催まで待たなければなりません。
必要書類を準備、提出し、指定の方法で永代使用料を支払うと、墓地使用許可証が発行されるでしょう。
石材店と墓石の打ち合わせをする
墓地を取得したら、いよいよ石材店との打ち合わせです。墓石の費用は、どんなデザインで、どの石を、どれくらい使うか、によって決まります。
デザインと石の種類によって大きく増減します。石材店との打ち合わせは次のように進めます。
- 現地の確認
まずは一緒に墓地に出向いて、現地の確認をしてもらいましょう。周囲のお墓との調和、地盤、工事車両の導線など、さまざまな観点から墓地の確認を行います。
- 希望を伝える
施主の希望を伝えましょう。一番よいのは、希望のイメージを写真や現物などで伝えることです。現地に同行した時に周囲のお墓を参考に、お互いの頭の中でイメージを共有することが大切です。このイメージの共有こそが、納得のいくお墓作りのカギになります。
- デザインの決定
現地の確認をし、希望を聞いた上で、石材店がイメージ図をCGなどで作成します。分からないところはどんどん質問し、専門的なアドバイスを受けましょう。
- 石種の決定
デザインが決まると、使用する石材を決めます。墓石に用いる石種は国内外の産出のものをあわせると200〜300種類にのぼると言われています。国産なのか、外国産なのかよくあるグレーの石なのか、黒っぽい石なのか、ピンクの石なのか、好みの目合は施主によって個人差があります。
産地、目合、そして予算を総合的に考えて、石材を決めましょう。
墓石建立の施工をすすめる
希望のデザインと石材が決まり、契約を交わしましたら、すみやかに墓石建立へと施工します。墓地での工事は主に3回に分けられます。
1度目は基礎工事。住宅と同じで、墓地の地盤部分の基礎工事を行い、お墓が傾かないように、きちんと排水されるように工事をします。
2度目の工事は外柵工事です。墓地の周囲に巡らせる外柵を設置します。最後に石碑や霊標などの石材を据え付けし、足元に玉砂利を敷き詰めて完成です。
お墓が完成したら開眼供養・納骨を行う
お墓が完成したら、寺院と日取りを調整して開眼供養を行います。開眼式はその家にとっておめでたい法要です。親戚の人たちにも声をかけて参列してもらいましょう。
通常、1周忌や3回忌などの法要に合わすケースが多いようです。その他、彼岸やお盆などの仏事に執り行う場合もありますが、日取りに決まりはありません。
また、納骨をするためには石材の一部を動かさなければならないので、石材店に手伝いに来てもらうとよいでしょう。
納骨の方法は地域や寺院や施主の考え方によって異なります。焼骨を骨壺の中に納めたまま納骨するケースと、焼骨を壷から出して土に還すケースとがあります。
永代供養なら手間もお金の負担も軽減できる
お墓を建てない選択をする人もいます。費用を工面できない方や、跡取りがいない人は、お墓を建てずに永代供養にします。
永代供養とは、先祖や死者の供養を寺院に任せることです。費用もさまざまですが、遺骨をすぐに合祀(ごうし:他の人と同じ場所に埋葬すること)する場合は、数万円〜十万円程度で済みます。
33年などの一定期間を個別に供養する場合は、20万円〜50万円くらいが相場でしょう。永代供養にも、合祀塔や納骨堂などさまざまな種類があり、それによって費用も異なります。
詳しくは、個別で寺院に相談することをおすすめします。
費用は抑えめ!従来型のお墓以外の選択肢
お墓とは、遺骨を埋葬する場所のことで、必ずしも石塔ばかりがお墓とは限りません。ここでは、新しいお墓の形をご紹介いたします。いずれも、一般的なお墓よりは安い費用で抑えられます。
樹木葬
樹木葬とは、石塔ではなく、樹木を礼拝の対象にしたお墓です。里山型と霊園型があります。
里山型とは、山全体が墓地で、そのうちの一区画を割り当てられ、その区域内に樹木を植えて埋葬します。霊園型では、シンボルツリーの周囲に小型の石碑やカロートを設置して埋葬します。
大自然に還るという意味では、里山型の樹木葬が理想なのでしょうが、土地の取得や墓地としての登記の書き換えなど喪を抜く、霊園型が主流となっています。
納骨堂
納骨堂とは寺院の堂内に設けられた納骨施設のことです。納骨壇と呼ばれるものが並び、そこに遺骨を納めて礼拝します。天候に左右されることなくお参りできます。また、寺院の堂内で守られているという安心感があります。
合同墓
合同墓とは合祀や永代供養に用いられるための石塔です。複数の遺骨をひとつの石塔で埋葬するために、一般的なお墓よりは大きく作られています。
躯体の内部に遺骨を並べる棚が設けられていることが多く、また地下部分にはカロートが作られ、土中に埋葬できる仕組みになっています。
石塔の側面や、あるいは周囲に霊標を設置して、故人の名前などを彫刻します。1つの石塔で複数の遺骨を受け入れるために、お墓を建てるなどに比べると費用は格安です。
まとめ
いかがでしたか?
親や先祖の遺骨の取り扱いは大切にしなければなりません。自分たちの心や気持ちが納得できる形のお墓を選びましょう。
以下、この記事のポイントをまとめます。
この記事のポイント
- 墓地は、その土地を買うのではなく、永代使用権を買う。
- 墓地の費用は、1㎡あたりの単価と面積のかけ算で算出できる。
- 公営だから安い、民営だから高いとは言いきれない
- 墓地の単価は地価に比例する
- 面積が広いほど、費用は高くなる
- 墓地の情報収集には、地元の石材店に話を聞くのがおすすめ
- 実際に墓地に出向いた時の直感や雰囲気を大事にするべき
- 墓石の費用はデザインと石材で決まる
- 永代供養、樹木葬、納骨堂、共同墓など、費用を安く抑える選択肢もある
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
お墓を考えるとき、できるだけリーズナブルに建てたいと考えるのは当然のことです。住宅と同じで、都市部だと土地の使用料が高くなりますので、できるだけ使用料の安いところを選ぶことになるでしょう。
郊外の場合は、土地の使用料よりも、区画が広くなるため使用する石材の量が全体価格の決め手となります。郊外だからといって、周囲に外柵で囲み、、付属品を付け、敷石などを敷き詰めて石材の使用量が多くなってしまうと、予想外に高くなってしまうこともあります。
さらに角を丸くしたり、模様を施すなど石材を加工するとさらに価格は上がりますので、格安をうたっていても、合計金額は高額になってしまったというケースもありますので注意が必要です。