お墓に名前を彫刻する時の依頼方法や費用について解説!
お墓に刻む名前とは?徹底解説
- お墓に名前を刻むのは故人を記憶に留めるため。
- 名前彫刻は石材店で3〜5万円で依頼可能。
- 彫る名前は俗名・戒名選べ、書体・デザイン自由。
- 彫刻は依頼後約1ヶ月、納骨式に合わせることも。
お墓には「○○家乃墓」「南無○○○」などと、その家の名前や宗派を示す文言を彫刻します。
それだけでなく、先祖の名前や命日、お墓を建立した人の名前も個別に彫刻します。
彫刻のタイミングに決まりはありませんが、納骨式に間に合うように石材店に依頼するのが一般的です。
この記事では、お墓に名前を彫刻するときの基本的な事柄、費用や流れ、依頼方法などを解説します。
石材店を選ぶときの注意点も紹介しているので、ぜひ、参考にしてください。
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この記事の目次
お墓には必ずしも名前を彫刻する必要はない
お墓には亡くなった人やお墓を建てた人の名前を刻むのが慣例です。
名前が彫刻されていることで、未来の子孫が先祖に思いをはせ、このお墓に誰の遺骨が納められているかが一目でわかります。
とはいえ、絶対に名前を彫刻しなければならないというものでもありません。
ごく少数ですが、故人や先祖や建立者などの個別の名前を刻まないお墓も存在します。
私たちは、死者に対しても名前を与えることでその個性を再確認して供養するのですが、中には死後の個性を拒む人もいます。
無宗教のお墓や自由なデザインのお墓では、個別の名前を刻まないものをよく見かけます。
墓石に名前を刻むべきかどうか、まずは家族や親族も含めて話し合ってみましょう。
お墓に名前を彫刻する目的
お墓の表面には当たり前のように名前を彫刻しますが、「一体どうしてだろう?」と考えたことはありますか?
実は名前の彫刻にこそ、お墓の本質が込められているように筆者は考えています。
詳しく掘り下げてみましょう。
お墓や墓誌に故人やご先祖様の名前を彫刻する目的
最近の霊園によく見る名前に「〇〇メモリアルパーク」というのがあります。
この「メモリアル」には2つの意味があります。
1つは「記念」。もう1つは「追悼」という意味です。
そしてこの「メモリアル(memorial)」は「メモリー(memory)」から派生した言葉で、「メモリー」とは、「思い出」や「記憶」という意味です。
つまり覚えておくこと、記憶することが、追悼へとつながるわけです。
私たちは、自分たちの先祖の名前が何だったか、いつ亡くなったかなど正確に覚えておくことなんてできません。
さらに、自分の親や祖父母であればまだしも、そこから先の古いご先祖様だとどんな人だったか、どんな顔だったかも直接知る由はありません。
しかし、そんなご先祖様がいたからこそ、今自分がここに生きているということは、誰もが否定できない絶対的な事実です。
死者の情報を墓石に刻んでおくことで、ご先祖様の存在を確かなものにします。
石はこの地球上で最も耐久性に優れる自然物です。世代を超えるもの同士のつながりを確認させてくれるものとして、墓石ほど適しているものはありません。
いつまでもずっとそこにい続け、後世に先祖の存在を知らせてくれる。
過去と現在をつなぐために私たちはお墓に石を用い、名前を刻むのではないでしょうか。
墓石に名前が彫刻されていなくても供養に問題はない
墓石に名前が彫刻されていなくても供養をする上で問題はありません。
なぜなら、供養とは亡き人を想う残された人たちの心の働きだからです。
文字を彫刻しているから供養できる、していないから供養できないという類のものではないのです。
最近では、従来の形のお墓だけではなく、さまざまなデザインのお墓が建てられています。
家族にとってのモニュメントの役割を果たしているのであれば、必ずしも慣例にあわせて文字彫刻をする必要はありません。
ただし、お墓は世代を超えた先祖のつながりを感じさせてくれる場所です。
もしもそのお墓で3世代を超えた先祖を祀るようなことがあれば、名前を彫刻することをおすすめします。
なぜならば、直接会ったこともない先祖の存在を実感するには名前しかないからです。
このお墓に誰が入っているのか。名前を彫刻することでその「誰が」が、より現実感を持ってくれるのです。
墓石への彫刻は石材店へ依頼する
墓石への文字彫刻をするときは石材店に相談します。
ここでは、石材店に依頼する際の注意点、さらにはどのような流れで工事が進んでいくのか、細かくご説明いたします。
まず指定石材店を確認!名前彫刻するときの依頼先
霊園によっては指定石材店制度を設けているところがあります。
霊園内の墓石工事は、決められた業者でなければ行えないというもので、主に民間霊園や寺院墓地が石材店を指定しています。
ですからまずは、墓地の管理者(民営霊園であれば管理事務所、寺院墓地であればお寺の住職)に墓石の彫刻工事をしたい旨を伝え、石材店が決められているかどうかを確認しましょう。
なお、公営霊園の場合、石材店指定はありません。
指定石材店がなければ複数の石材店を相見積もり
指定石材店がない霊園であれば、自分の望む石材店に工事を依頼できます。
彫刻工事は、作業内容に大きな差はないものの、費用は石材店によって異なります。
相見積もりをとって石材店を決めるのをおすすめします。
なお、墓石の彫刻工事の一般的な相場は3万円~5万円でしょう。
石材店に伝えなければならない情報
石材店には次の情報を伝えます。
お墓の場所
まずはお墓の場所を伝えましょう。
- どの霊園にお墓があるのか
- 霊園内のどのあたりにお墓があるのか
- お墓の正面や裏面にどのような文字が彫刻されているか
これらの情報があれば石材店がお墓を特定できるでしょう。
お墓の写真があればなおよいですし、さらに言えば石材店と一緒にお墓まで同行するのが望ましいでしょう。
お墓の特定に間違いがありませんし、お墓全体のメンテナンスにも対応してくれるでしょう。
彫刻の文字内容
亡くなった方の情報を石材店に伝えます。お墓に彫る内容は、戒名、俗名(生前の名前)、命日、年齢(数え年であることが多い)です。
これらのメモを、あるいは位牌の表と裏を撮った画像を渡せば、文字の間違いの心配がありません。
納骨や法要の日程(彫刻の期限)
納骨や法要の日取りを伝えましょう。通常、墓石の文字彫刻はその人の納骨式に合わせて済ませておくものだからです。
納骨式を終えたあとに彫刻することもありますが、事前に日程が決まっているのであれば、その日に間に合うように依頼します。
なお依頼から工事の完了まで2週間から1か月程度の日数がかかります。余裕をもって依頼しましょう。
彫刻工事の流れ
彫刻工事はどのように行われるのか。時系列に沿って流れをまとめました。
1.墓地や霊園に指定石材店を確認
まずは霊園や墓地の管理者に彫刻工事をしたい旨を伝えます。指定石材店がある場合はその業者を紹介してもらえるでしょうし、霊園によっては工事届などを申請しなければならないこともあります。
2.石材店に工事の依頼
石材店が決まりましたら工事を依頼します。依頼の際は、墓地の場所、彫刻してほしい文字の内容などを業者に伝えます。
3.文字確認してもらう
すでにお墓がある場合、ご先祖様の彫刻文字にあわせて原稿を作ります。書体、文字の配置や大きさなどを確認してもらいます。
4.文字原稿起こし
いきなり彫刻工事に入るのではなく、まずは文字原稿を起こします。原稿が出来上がったら、文字の内容に間違いがないか一字一句確認しましょう。
5.魂抜き
彫刻の場所は、竿石の側面か墓誌(霊標などとも呼ばれる板石)のいずれかです。竿石の場合は、墓石の中に魂が込められていると考えられているため、工事に入る前には魂抜きをしてもらいましょう。
施主の希望から魂抜きをしないという選択肢もありますが、石材店によっては魂抜きのされていない墓石への彫刻を拒むところもあるでしょう。
6.施工
最近では石材店による彫刻工事は現場で行われることが増えています。ひと昔前は墓石を引き取って工場で彫刻したものですが、機械工学の進化に伴い、高圧の機械を持ち運びできるようになったため、現在では現場彫刻が一般的です。1名分の彫刻であれば、作業時間は2時間程度でしょう。
7.完了確認、支払い
彫刻工事が終わると石材店立ち合いのもと、現場で工事の完了を確認を行います。文字の間違いや不備がないかを確認し、なければ工事費用を支払います。お墓から自宅までが遠方などの場合は、写真で完了確認を行うこともあります。
8.魂入れ、納骨式
納骨式は寺院立ち会いのもとで行われるのが一般的です。寺院との付き合いがない場合は家族だけで行っても構いません。もしも棹石に文字を彫るために魂抜きをしたのであれば、納骨式と合わせて魂入れの供養もしていただけます。
お墓に彫刻する名前は俗名・戒名のどちらでもよい
お墓に彫刻する名前は俗名でも戒名でもどちらでも構いません。
しかし、寺院から戒名を授かっているのであれば、なるべく戒名を彫刻するべきでしょう。
俗名か戒名か。このあたりの考え方を深掘りしてみたいと思います。
寺院から戒名を授かっている場合
葬儀の時に寺院から戒名を授かっているのであれば、墓石にも戒名を彫刻することをおすすめします。
故人の供養を自分たちだけでできないからこそ、供養の専門家として寺院を招くわけです。
その宗派や寺院の作法に則って進めるのが筋というものでしょう。その上で、どうしても戒名を彫刻したくないという強い思いやこだわりがある場合は寺院に相談しましょう。
すでにご先祖様の名前が彫ってある場合
いまあるお墓にご先祖様の名前が彫ってあるのであれば、文字の大きさや書体は配列など、それに倣って彫刻することで見栄えもきれいになるでしょう。
これまでは戒名を彫っていたけれど、これからは俗名だけを彫るという時も、石材店に相談することでバランスのよい方法を提案してくれることでしょう。
お墓に彫刻する文字書体・デザインは自由
お墓に彫刻する文字は実に多彩です。書体やデザインは自由で、こうしなければならないという決まりもありません。
新たにお墓を建立するのであれば、墓石のデザインだけではなく、文字の書体や大きさなどを決めていく楽しさもあるでしょう。
ただし、もしもすでにお墓があり、これまでのご先祖様の続きで名前を彫刻するのであれば、従来の文字にあわせるのが無難です。
文字書体は漢字だけでなくローマ字も可能
従来の和型のお墓では、家名や戒名などを漢字で縦書きに彫刻するのが一般的でした。
しかし、最近ではモダンでオシャレな洋風のデザイン墓を選ぶ人が増えています。
こうしたお墓では、そこに刻まれる文字は自由で多彩です。漢字である必要はなく、ローマ字表記の文字もたくさん見かけます。
また、刻まれる言葉も家や故人の名前ばかりではありません。
その家や故人の人柄やつながりを象徴する一字やメッセージなどが選ばれます。
たとえば「絆」「愛」「心」「感謝」「希望」など。さらには「ありがとう」や「安らかに」などのメッセージ性を帯びたもの。「Thank you」「Forever」「Suzuki Family」などのようにアルファベット表記にすることもできます。
文字色は生前・死後で色が異なる
墓石にはさまざまな人の名前を彫刻しますが、亡くなった人の名前には白や黒を、健在な人の名前には朱色を入れます。
白や黒を入れるのは、彫刻文字がはっきりと見えるためであり、どちらの色を選ぶかは施主の自由です。墓石の目合いとのバランスや地域性などから色を決めれば良いですし、色を入れなくても構いません。
一方、朱色を入れるのには由来があります。
朱色は、いまだこの世に健在な人の名前に入れますが、生前墓で事前に生前戒名を授かっている人、あるいは墓石の建立者がこれに該当します。
朱色を入れるのは、長寿や健康を願うためで、起源は秦の始皇帝にあると言われています。
不老長寿を求めた始皇帝は、「金丹」と呼ばれる薬の力を信じたのですが、この金丹の原料に用いられる辰砂(しんしゃ)が赤い鉱物だったのです。
お墓は亡き人のためだけでなく、この世を生きる人のためのものでもあります。
墓石に刻印された自分自身の名前に朱を入れることで人々は健康や長寿を願ったのです。
文字色の塗り替えは必須ではない
元気なうちは朱色を、亡くなった人には白や黒などに色を入れ直します。
しかし、文字色の塗り替えは絶対にしなければならないというものではありません。
そもそも健在な人でも朱を入れないという地域もあります。
朱が入っていた人が亡くなったあともずっとそのままだったというケースもよくあることです。
それ自体が罰当たり、なんていうことはありません。
ただし、一般的には亡き人に朱の色は与えないので気になる人は早めに石材店に相談しましょう。
お墓に名前を彫刻する場所
お墓に名前を彫刻する際、場所は主に竿石と墓誌とに分かれます。
- 竿石・・・「◯◯家之墓」「南無阿弥陀仏」などと彫刻された墓石の一番上にあり、お墓の最も中心となる石です。
- 墓誌・・・墓石の脇に据え置かれた、故人や先祖の名前を刻むための板石です。
いまでは霊園に行くと当たり前のように見かける墓誌ですが、実はその歴史はまだ浅く、一般化しだして30年から40年程度です。時代が下るに従って、名前を彫刻する場所は変わっていったのです。その変遷を見ていきましょう。
竿石(さおいし)への彫刻
竿石へは左右側面に名前を彫刻します。
正面には家名(◯◯家之墓)や宗派の言葉(南無阿弥陀仏や南無妙法蓮華経など)などを彫刻します。また裏面には建立者の名前や建立年月を刻みます。
そして、これまで彫られることのなかった左右に故人や先祖の名前を刻みます。
文字の大きさによってコントロールできますが、通常は片面4名、左右両方で8名までの彫刻が可能です。
墓誌への彫刻
墓誌には必ず「表題」と呼ばれる箇所があります。「墓誌」「霊標」「戒名板」などと彫刻されている箇所のことです。
この表題の続きに故人や先祖の名前を刻んでいきます。
墓誌や文字の大きさにもよりますが、片面で8〜10名程度は彫刻可能です。
表面がいっぱいになると裏面に続きを彫刻するので、一般的な墓誌の大きさでは両面で15〜20名程度の名前が彫刻可能です。
彫刻スペースがないときの対処法
墓石や墓誌に新たに名前を追加できる空きスペースがない場合はどうすればいいのでしょうか。
竿石の両面に彫刻のスペースがない場合は墓誌を新たに新設しましょう。
もしも墓誌の表と裏の両面にも彫刻する場所がなければ、もうひとつ霊標を新調してはいかがでしょうか。
墓石を中心に向かって右側に古いご先祖様の墓誌、左側に新しい墓誌を据え付けます。
個人墓から霊標へ 時代によって変わってきた名前を彫る場所
いまでは当たり前のように竿石や墓誌に名前が彫られていますが、名前の彫り方や場所は、時代によって変わってきたことをご存知ですか?どうして現在のように墓誌が用いられているのか、その変遷をたどります。
大昔は1人にひとつのお墓
大昔は、1人の埋葬地にひとつの石を据えていました。そのため、この場所に誰が埋葬しているかを知らせるために、その故人の名前を墓石の表面に彫刻しました。
江戸明治期に見られる夫婦墓
江戸時代になると人々がお墓を持ち出し、明治時代になると家父長制によるイエ制度が敷かれたこともあり、夫婦墓が増え始めます。夫婦墓では、竿石の表面にそれぞれの俗名や戒名を並べて彫ります。
墓埋法の制定によって家墓が一般化する
戦後まもなく制定された「墓地、埋葬等に関する法律」では、お墓を建てる場所を明確に規定し、墓域の区画整理がされるようになりました。
前近代のように村の墓地の好きな場所に埋葬し、お墓を建てる、というようなことができなくなったため、ひとつの石塔で先祖代々を祀る「家墓」が主流となったのです。
家墓では表面に家名を彫刻するので、故人の名前は側面に彫刻します。
竿石の側面だけでは納まりきらない 霊標の登場
竿石の側面ではスペースに限りがあります。せいぜい片面が4名で、左右で8名分の名前を彫刻するといっぱいになってしまいます。こうして作られたのが霊標です。一般的な大きさのもので表面と裏面で15−20名程度の名前を彫刻できます。
墓石づくりについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
お墓・墓誌への名前彫刻にかかる費用は約5万円
お墓・墓誌への名前彫刻するにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。費用相場を解説いたします。
名前の彫刻にかかる費用の内訳
名前の彫刻にかかる費用について、今あるお墓に追加で名前を彫刻する場合、新たに墓誌を新設する場合、新しくお墓を建てる中での彫刻する場合、とケース別に分けてご説明します。
いまあるお墓に追加で名前を彫刻する場合
いまあるお墓の竿石や墓誌に追加で名前を彫刻する場合の費用は次のようになります。
- 彫刻費:約3万円~5万円(1名分の費用、二人目以降は追加料金が発生します)
- 運搬費:約1万円~3万円(現場彫刻ではなく工場に持ち帰る場合)
新たに墓誌を新設する場合
竿石に名前が入りきらずに新たに墓誌を新設する場合は次のような費用がかかります。
- 墓誌代:8万円~20万円(石の種類や大きさによって費用が異なります)
- 彫刻費:3万円~5万円(名前だけではなく標題も彫刻します)
- 据付費:1万円~2万円
- お布施:1万円~3万円(納骨法要を行う場合)
新たにお墓を建てる場合の彫刻費の内訳
新たにお墓を建てる時には、竿石の表面に家名(○○家之墓)や宗派の言葉(南無阿弥陀仏など)、裏面に建立者と建立年月、家紋、そして故人や先祖の名前を彫刻します。
彫刻費用の内訳をきちんと明示する石材店もあれば、「彫刻費用も含めて〇〇万円!」とセット価格で謳うところもあります。
通常、これらの彫刻には10万円前後の費用がかかると見ておけばよいでしょう。
墓石メンテナンスもするなら追加料金が発生する
墓石の追加彫刻と合わせてメンテナンスを依頼すると追加料金が発生します。
普段なかなかお墓のメンテナンスやリフォームは行わないものですが、この機会を利用してお墓をよりよくしておくというのも考え方のひとつです。
1回の手間で職人がまとめて作業してくれるので、費用がかかるとはいえ、通常よりは割安になるでしょう。
墓石のメンテナンスには次のようなものがあります。
- 文字の色入れ:5千円~1万円
- 墓石の目地入れ:5千円~1万円
- 防草施行:1万円~3万円(1㎡あたり)
- 玉砂利入れ替え:3千円~5千円(1㎡あたり)
お墓への彫刻には依頼から1カ月ほどかかる
お墓に名前を彫刻するには、早くても2週間、通常1か月はかかるものと見ておきましょう。
追加彫刻の場合は、墓地の確認、戒名などの彫刻文字の確認、原稿の作成、文字をくりぬいた文字板の作成、そして現場工事という行程を踏みます。
また、墓誌を新調する場合も早くて1か月程度は期間がかかります。
石材加工、文字彫刻、現場での据付工事が伴うからです。
また彫刻する空きスペースがなく、区画内に墓誌を建てるのも困難な場合は、新しい墓地に移すなどでさらに時間がかかります。
お墓への彫刻タイミングに決まりはない
お墓への名前の彫刻は、通常納骨式に合わせて行いますが、絶対にそうでなければならないという決まりはありません。納骨や法事に間に合わなかったからといって、気にすることはないでしょう。
納骨日に合わせて彫刻する人が多い
故人の納骨日に合わせてお墓に名前を刻むのが一般的です。
なぜならば、お墓の彫刻は、その中に誰の遺骨が埋葬されているかを示すものだからです。
お墓への彫刻は早くても2週間、通常は1か月近くかかるものと見ておいた方がよいでしょう。余裕を持って手配しましょう。
気持ちが落ち着いてからの彫刻でも問題ない
葬儀のあとは、さまざまな対応に追われてしまいますし、なにより大切な家族が亡くなったことによる悲しみや環境の変化で気持ちがなかなか落ち着きません。
納骨の日までに彫刻の手配をできずにいたという人もたくさんいます。
また、中にはなかなか遺骨をお墓の中に入れられないという人もいるでしょう。
だからといって焦ることはありません。
納骨はいつしなければならないというものでもありませんし、名前の彫刻も同様です。
先に納骨してしまったとしても、気持ちが落ち着いたとき、あとから納骨しても構わないのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
では最後にこの記事のポイントを箇条書きでまとめます。
- お墓には亡くなった人やお墓を建てた人の名前を刻むのが慣例
- 絶対に名前を彫刻しなければならないというものではない
- 名前を彫刻する目的は、故人を忘れずに追悼できるようにするため
- 彫刻工事は石材店に依頼する
- 霊園によっては業者が指定されていることがある
- 石材店には、お墓の場所、彫刻文字の内容(戒名、俗名、命日、年齢)、希望納期を伝える
- 彫刻工事までの流れは次のように行われる
- 墓地や霊園に指定石材店の確認
- 石材店に工事の依頼
- 墓石の文字確認
- 文字原稿起こし
- 魂抜き
- 施工
- 完了確認、支払い
- 魂入れ、納骨式
- 彫刻は戒名と俗名のどちらでもよい
- ローマ字の使用も可能
- 彫刻した名前には生前は朱、死後は白や黒の色を入れるのが慣例
- 竿石への彫刻の場合は左右側面に彫刻する。最大約8名分。
- 霊標への彫刻の場合は表裏それぞれに彫刻する。最大約20名分。
- 名前の追加彫刻にかかる費用は約5万円
- 霊標の新設にかかる費用は約20万円
- 追加彫刻には1か月程度の日数がかかる
- 納骨日までに彫刻をすますことが多いが、決まりではない
お墓を建てる場所はお決まりですか?
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監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
墓に没年月日や名前が刻まれるようになったのはいつからか、特定できる文献はみあたりませんが、石や塚、木が一定期間死者の存在を表示するものとして使われるようになってから、個人を特定する目印として刻むことがあったようです。
墓制は、屋敷墓、村墓、郷墓、個人墓等、時代や地域によって異なりますが、○○家の墓として、家単位で墓を持つことが一般的になったのは、明治以降だと言われています。明治になって火葬率が上昇し、それに伴い焼骨を入れた骨壺を複数納めるカロートができるようになり、その上にシンボルとなる墓石が建てられるようになりました。そこには家のシンボルである家紋や「○○家先祖代々の墓」等の家名が刻まれるようになり、それが現代の和型の墓のベースとなっています。