キリスト教でも納骨堂を使える?申込めるタイプや注意点を紹介
キリスト教の納骨堂とは?徹底解説
- キリスト教徒向け納骨堂あり。条件確認が必要。
- 納骨堂は費用安く管理楽。
- 納骨堂の問題点は合祀時の取り出し困難や参拝制限。
- 永代供養墓や樹木葬は宗教問わず選べる代替案。
家が代々キリスト教だという人の中には、これからお墓をどう守っていくか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
特にお墓のあるところから離れて暮らしていると、お墓の管理や費用を負担に感じがちです。
そこでこの記事では、キリスト教の人が使える納骨堂についてお伝えします。
費用面も併せてお伝えするので、納骨堂をお墓を選ぶときの1つの選択肢としてこの記事を読んでみてください。
また、「キリスト教の人が使うのが難しい納骨堂」についてもご紹介しますので、
どんな納骨堂ならキリスト教信者が使えるか、きちんと理解できるようになりますよ。
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この記事の目次
納骨堂とは屋内に遺骨を多数収蔵する施設のこと
納骨堂とは屋内に遺骨を収蔵している施設のことです。
なかには1000個単位で遺骨を収蔵できる納骨堂もあります。
納骨堂には2つの埋葬方法と2つの契約方法があります。
それぞれ詳しく説明します。
埋蔵方法は個別型と合祀型の2つ
納骨堂の埋葬方法は、個別型と合祀型の2つです。
個別型
専用のスペースがあり、骨壷をスペース内に置き、管理・供養します。
ロッカー型や仏壇型、位牌型など、形は様々です。
合祀型
大きな納骨スペースの中に、骨壺から遺骨を取り出し、他の人の遺骨と一緒に埋蔵します。
埋蔵した後は、個別に遺骨を取り出すことができません。
契約期間によっては、個別形をとった後、合祀型へ移行する形もあります。
契約方法は継承型と永代供養型の2つ
納骨堂の契約方法は、継承型と永代供養型の2つです。
継承型
一般的なお墓と同じように、埋葬後も年間の管理料が発生するのが継承型です。
家族用など余裕があれば、個別スペースへ新たに納骨することができます。
永代供養型
納骨後の管理や供養を、霊園管理者側が行うのが永代供養型です。
初めから合葬型の形をとるもタイプもあれば、
10~30年の契約期間を定め、契約期間中は個別スペースを使え、期間が過ぎたら合祀となるタイプもあります。
納骨堂の基本的なところを押さえたうえで、次はキリスト教の人が申し込める納骨堂についてご案内します。
キリスト教の人が申し込める納骨堂4タイプ
キリスト教の人が申し込める納骨堂は、次の4タイプです。
- 日ごろから利用している所属教会の納骨堂
- 教会員であれば利用可とする教会の納骨堂
- 公営霊園内にある納骨堂
- 宗教不問の民間(営)霊園にある納骨堂
それぞれ説明します。
日ごろから利用している所属教会の納骨堂
日ごろから利用している所属教会があれば、教会内の納骨堂を使うことができます。
自分が日曜ごとに通っている、もしくは親族が通っている教会に相談してみましょう。
教会の地下や、敷地内に納骨堂を有している教会があります。
キリスト教徒であれば利用可とする教会の納骨堂
所属教会がない、もしくは所属教会が納骨堂を持っていない場合には、
所属していなくても、キリスト教徒であれば利用可とする教会の納骨堂を探してみましょう。
宗派ごとに利用できる教会が違う場合があるので、よく確認する必要があります。
キリスト教徒であれば、または教会員であれば利用可とする納骨堂を有した教会を紹介します。参考にしてください。
クリプト高輪
一人でも、カトリック信徒でなくても利用可能(紹介状が必要)。
個別式(2柱用・4柱用・6柱用)と集合式がある。
【所在地】東京都港区高輪4-7-1 カトリック高輪教会内
クリプト高輪 http://www.crypttakanawa.com/
セブンスデー・アドベンチスト教会
墓地使用者の資格は次の通りです。
① セブンスデー・アドベンチスト教会員
② セブンスデー・アドベンチスト教会員の配偶者・親・子・兄弟姉妹
③ その他事情があって管理者が使用を認めた者。但し、セブンスデー・アドベンチスト教会牧師の推薦が必要。
【所在地】神奈川県横浜市旭区上川井町846
セブンスデー・アドベンチスト教会 http://adventist.jp/
公営霊園内にある納骨堂
公営霊園は、全て宗教不問ですから、もちろんキリスト教徒の人も使用することができます。
自身、もしくは親族が住んでいる地域の公営霊園が納骨堂を有している場合は、資料を取り寄せてみましょう。
しかし公営霊園は管轄する自治体に住んでいる人のための物なので、居住年数などに縛りがありますから、注意が必要です。
また、多くが公募抽選方式を取っていて、とくに都市部の場合は倍率が高めなので、しっかりリサーチしてみましょう。
宗教不問の民間(営)霊園内にある納骨堂
宗教不問とする民間(営)霊園内にある納骨堂も、キリスト教徒の人が使用できます。
ただ、民間(営)霊園の納骨堂は、多数派である仏教徒が使いやすいデザインを採用していることが多いので、気をつけなければなりません。
例えば、納骨堂内の目立つところに観音様などの仏像が設置されていたり、
個別スペースのロッカーが仏壇を思わせるような漆塗りだったりします。
必ず見学し、自身のみならず親族らが気にならないデザインかどうか、検討する必要があるでしょう。
また、民間(営)霊園内の納骨堂はお盆やお彼岸に合同で供養祭が行われるのが一般的です。
「他の宗教の形式で供養をしてほしくない」と願うなら、避けたほうがいいでしょう。
以上のように、キリスト教徒の人が申し込める納骨堂はけっこうあります。
しかし、やはりキリスト教の人が申し込みづらい納骨堂もありますから、事前に確認しておくのがいいでしょう。
次章でご案内します。
キリスト教の人が申し込むのが難しい納骨堂3タイプ
キリスト教の人が申し込むのが難しい納骨堂は、次の3タイプです。
- 寺院墓地内にある納骨堂
- 所属者以外は受け入れていない教会の納骨堂
- 宗教不問だが在来仏教のみを対象としている納骨堂
順に説明します。
寺院墓地内にある納骨堂
寺院墓地内にある納骨堂は、基本的には檀家さんのための者である可能性が高いので、
キリスト教の人が申し込むのは難しいでしょう。
寺院の納骨堂のなかには、「宗教不問」「檀家になる必要はなく、永代供養で入れる」としているところもあります。
しかし、宗教不問ではあっても実際は「宗派不問」で、在来仏教の仏教徒だけを対象としていたり、
「これまでの宗教は不問だが、納骨堂を利用するなら自寺の宗派に宗旨替えをお願いする」という意味だったりします。
いずれにせよ、寺院墓地内の納骨堂はお盆やお彼岸に合同で供養祭が行われるのが一般的なので
「他の宗教の形式で供養をしてほしくない」と願うなら、キリスト教の人にはお勧めできません。
所属者以外は受け入れていない教会の納骨堂
キリスト教の教会の納骨堂であっても、所属者以外は納骨堂の利用を受け入れていないところが多々あります。
「所属者だけを受け入れる」「同じ宗派なら受け入れる」「キリスト教であれば可」など、
教会によって考え方が違うので、納骨堂を持っている教会を見つけたら、その都度確認が必要です。
宗教不問だが在来仏教のみを対象としている納骨堂
「寺院墓地内にある納骨堂」でも触れた通り、「宗教不問」でも、
実際は「宗派不問」で、在来仏教の仏教徒だけを対象としている納骨堂があります。
これは寺院墓地内の納骨堂のみならず、民間(営)霊園でもありえます。
「宗教不問」の意味には、気をつけなければなりません。
キリスト教の人がどんな納骨堂に申し込めるか、つかむことができたでしょうか。
次章からは、「そもそも、納骨堂を選んでよいものか?」と迷っている人のために
納骨堂のメリットとデメリットについてお伝えします。
納骨堂のメリット3つ
納骨堂のメリットは、以下の3つです。
- 一般的なお墓よりも費用が安め
- 永代供養型を選べば承継や管理の必要がない
- お墓参りに行きやすい
それぞれ説明します。
一般的なお墓よりも費用が安め
納骨堂のメリットとして真っ先に挙げられるのが、一般的なお墓よりも費用が安めということです。
一般的なお墓の価格は、永代使用料と墓石代を含めて150万円から250万円ほどが相場です。
一方で、納骨堂は簡素なものであれば1人当たり20万円ほどから見つかり、平均費用は50万円程度です。
都心で新型、家族用の納骨堂であったとしても、200万円を超えることはまずありません。
永代供養型を選べば承継や管理の必要がない
永代供養での契約を選べば、継承や管理を行う必要はありません。
契約料の中に、一定期間の管理料が含まれているためです。
契約期間が過ぎれば、供養塔などへ他の人の遺骨と一緒に合祀されるため、継承の必要もないのです。
もちろん、毎年支払うような管理料も発生しません。
お墓参りに行きやすい
納骨堂は、アクセスのよい場所に作られている場合が多いので、お墓参りに行きやすいといえます。
また、屋内施設なので、雨が降っていても傘を差さずにお参りできます。
草むしりなどの必要がないため、お墓掃除の用具を持っていく必要がなく、荷物が少ないのもいい点です。
納骨堂のデメリット3つ
納骨堂のデメリットは、以下の3つです。
- 合祀の場合は後で個別に取り出せない
- 「火気厳禁」などお参りの方法に制限がある
- 施設が老朽化したときの管理方法が不明確
順に説明しましょう。
合祀の場合は後で個別に取り出せない
他の人の遺骨と一緒に合祀をする形をとると、後で個別に遺骨を取り出すことはできません。
骨壺から遺骨をあけて埋蔵するため、他の遺骨と混じってしまうからです。
「一般的なお墓に遺骨を戻したい」と考えても、それは不可能です。
また、契約期間を定めて永代供養とした場合は、契約期間を過ぎると合祀となりますから、
やはりその後は個別に遺骨を取り出すことはできません。
「火気厳禁」などお参りの方法に制限がある
納骨堂は屋内施設なので、施設によっては「火気厳禁」など、お参りの方法に制限があります。
火気厳禁だとしたら、キリスト教の祈りにとって不可欠なろうそくの灯をともせないことになります。
電子ろうそくに明かりをともすなどといった対処法もありますが
自身も親族も、そのようなお参り方法でよいかどうか、確認しなければなりません。
施設が老朽化したときの管理方法が不明確
納骨堂はいずれ老朽化しますが、大掛かりな修繕や建て直しが必要になったときの管理方法が不明確な傾向があります。
「建て直しとなったとき、施設が完成するまで遺骨はどこに置かれ、管理されるのか?」
「修繕費用は、誰が出すのか?」
契約書を詳しく確認したり、具体的に質問したりして、納得のいく回答を得られる納骨堂と契約したいものです。
以上、納骨堂のメリットとデメリットについてお伝えしました。
納骨堂についてイメージが湧いたけれど、他にも似たような供養方法があれば検討してみたいと感じている人もいることでしょう。
次章では、納骨堂と似た選択肢についてご紹介します。
納骨堂を探す
納骨堂に似た選択肢2つ
納骨堂と似ている選択肢は、以下の2つです。
- 永代供養墓
- 樹木葬
この2つは契約形態として永代供養をとる場合が多く、また「個別」と「合祀」2タイプがあるところも、納骨堂と似ています。
宗教不問であることが多いのも、似ている点の一つです。
2つについて、それぞれ詳しくご案内します。
永代供養墓
永代供養墓は、永代供養の契約形態をとるお墓全般を指します。
形としては、初めから大きな供養塔に合祀されるものと、
一定期間は個別墓の形をとり、契約期間が切れたら合祀となるものとがあります。
納骨堂のように屋内施設ではなく、とくに個別墓の形をとる場合、見た目は一般的なお墓と変わりありません。
最初から合祀となるタイプは5万円ほどからあるため、納骨堂と比べると費用は安めです。
個別墓の形をとるタイプは、契約期間にもよりますが、100万円を超えることもあり、
納骨堂と比べるとやや高めといえるでしょう。
樹木葬
樹木葬は、墓石の代わりに樹木を目印とするお墓のことです。
樹木葬の多くは永代供養、宗教不問の形をとります。
また、墓石をあまり使わないので、お墓にかかる全体的な費用が一般的なお墓よりも少ないのも特徴です。
合祀を行う樹木葬は1人当たり10万円ほどから見つかるでしょう。
個別にスペースを取る場合は、50万円から100万円程度が相場となります。
納骨堂以外にも選択肢があると思えば、「お墓をどうにかしなければならない」という気持ちも、
ふっと楽になるのではないでしょうか。
自分と親族に合った埋葬方法を、さまざまな選択肢の中から見つけてください。
まとめ
この記事では、キリスト教の人が利用できる納骨堂について解説しました。
納骨堂そのものを使うメリットやデメリット、納骨堂以外の選択肢などについても紹介したので、理想にかなう埋蔵方法が見つけられたのではないでしょうか。
納骨堂はもちろんのこと、永代供養墓や樹木葬など、ピンと来たところへはぜひ一度見学に訪れてください。
想像通りの場所かどうか、きちんと見極めてから契約を行いましょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
結婚式、クリスマス、イースター等、キリスト教文化は日本人の生活の中に定着し、キリスト教系の教育機関も数多くありあすが、信者数となると統計上1%も満たない状況です。
クリスチャンが亡くなったらお墓はどうなるのでしょうか。公営墓地などに「○○家の墓」として購入したり、教会で区画を持っていることもあります。最近では教会で納骨堂を保有するところもでてきましたが、納骨堂導入には多額の資金が必要となることから、整備が追い付いていない印象があります。
さて、サザエさんの作者である「長谷川町子」さんも、実はクリスチャン。漫画の中には仏壇が描かれているシーンがあるので意外かもしれません。長谷川町子さんのお墓は、東京の多磨霊園にあります。横長の墓石には十字架が刻まれています。