曹洞宗の納骨堂の特徴!気になる3つのメリット・デメリット
曹洞宗の納骨堂とは?徹底解説
- 納骨堂は屋内遺骨施設で、都道府県知事の許可が必須。
- 曹洞宗納骨堂は信仰供養があり、墓石より安く、天候影響を受けず。
- デメリットは檀家必要や離檀料、永代供養後の合葬の可能性。
- 大本山納骨は直接問い合わせが要。
近年、注目を浴びている供養方法の一つに「納骨堂」というものがあります。
一般的には、宗旨や宗派にとらわれず契約ができる納骨堂が多い傾向です。
しかし、特定の宗派の納骨堂というものはないのでしょうか。
そこで、今回はさまざまな宗派がある中から「曹洞宗の納骨堂」の特徴やメリット・デメリットについてご紹介いたします。
曹洞宗の本山に納骨したい人や、曹洞宗に興味がある人、すでに曹洞宗を信仰している人などが読むことで知識を深め、納得して納骨堂を探すことができるようになるでしょう。
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この記事の目次
納骨堂とは屋内で遺骨を納骨できる施設
納骨堂とは、屋内で遺骨を納骨できる施設のことです。法律的な定義としては「墓地、埋葬等に関する法律」第2条6項で謳われています。
「墓地、埋葬等に関する法律」第2条6項
“納骨堂とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう”
引用元:電子政府の総合窓口e-Gov
つまり、納骨堂は都道府県知事の許可を受けたところでないと運営できないということですね。遺骨は「墓地、埋葬等に関する法律」第4条で墓地以外に埋蔵できないと規定されています。納骨できる墓地の種類は主に「寺院墓地」「公営墓地」「民営墓地」の3種類です。ここで簡単に特徴を見てみましょう。
寺院墓地の納骨堂
寺院墓地の納骨堂は、住職が常駐しているため手厚い供養を受けられるのが特徴です。ただ、寺院のなかには特定の宗派宗旨以外は利用できない可能性もあります。
入檀の必要があると費用が高くなりがちです。入壇とは、寺院が進行している宗派の檀家になることで、檀家はお寺を支援する経済的なサポーターのような役割のことになります。
公営墓地の納骨堂
公営墓地の納骨堂は、自治体が管理運営しているため、施設の継続性が高いことが特徴です。寺院墓地や民営墓地に比べると費用が安いため人気です。ただし、利用条件を満たしていたり、公募抽選に当選したりしないと利用できない点は注意が必要です。
民間墓地の納骨堂
民間墓地の納骨堂は、石材店などの民間会社が開発や販売に携わっており、事業開発にお金を掛けているところも少なくありません。設備や施設もきれいに整っている半面、費用が公営よりも高くなりがちです。またケースとしては多くありませんが、倒産リスクがあります。
墓地の種類 | 経営・運営主体 | 開発・販売 | 費用感 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
寺院墓地の納骨堂 | 宗教法人 | 宗教法人 | 入檀の必要があると高くなる |
|
・入檀することが条件の場合もあり | ||||
公営墓地の納骨堂 | 自治体 | 自治体 | 3つの中で一番安価 | ・公募抽選に当選する必要がある |
・申し込み要件を満たさないと利用できない | ||||
民営墓地の納骨堂 | 宗教法人など | 石材店など民間会社 | 公営より高め | ・倒産リスクがある |
曹洞宗を信仰していたり、これから曹洞宗を信仰したかったりするなど、人によってもどのタイプが一番良いのかは異なります。
3つの種類の特徴や注意点を押さえたうえで慎重に選びたいですね。曹洞宗だけが利用している納骨堂を利用したいという人は次の段落で確認してみましょう。
納骨堂についてより詳しく知りたい方は、【納骨堂の基本情報】費用・種類・仕組みを分かりやすく解説の記事をご覧ください。
曹洞宗しか利用できない納骨堂もある
納骨堂の中には、曹洞宗でないと利用できないというところも少なからずあります。特に寺院墓地の納骨堂の場合は、檀家になることが条件という寺院もあるため、檀家になりたくない人は民営や公営の納骨堂を利用した方がよいでしょう。
ただし、昨今は寺院墓地でも永代供養タイプの納骨堂も増えてきており、宗旨宗派に関係なく納骨堂を利用できるところもあります。気になる寺院があれば直接住職へ確認してみることが賢明です。
費用相場
納骨堂のタイプ | 費用相場 | 特徴 |
---|---|---|
合葬型納骨堂 | 10万~30万円程度 | ・最初から合葬となるタイプ |
個別スペースがある永代供養型納骨堂 | 50万~100万円程度 | ・33回忌までなど、一定期間は個別スペースが利用できる |
・一定期間経過後は合葬される |
東京の曹洞宗の納骨堂2選
東京都内にある、曹洞宗の納骨堂を2つ紹介します。
曹洞宗の特徴
曹洞宗は、禅宗の一つでお釈迦様をご本尊とし、座禅を修行の基本としているのが特徴です。また、悟りを求めない修行により、悟りを得られるという考えがあります。なぜなら、もし悟りを求めて修行をしているのでは、「悟ったあとは修行しなくてもよい」という解釈になってしまうからです。
拝むときに「南無釈迦牟尼仏」と唱えるのが特徴で、全国に約1万5,000の寺院、1,200万人の檀徒・信徒がいるといわれています。檀徒とは、檀家のことでお寺を経済的にサポートする義務があります。一方、信徒は曹洞宗を信仰する人のことを指し経済的なサポートは義務づけられていません。
曹洞宗の納骨堂に入る場合は、檀家にならなくても大丈夫なケースもある
曹洞宗の納骨堂に入る場合は、檀家にならなくてもOKの場合もあります。檀家になる可能性があるのは寺院墓地の場合ですが、曹洞宗の寺院でも永代供養タイプの納骨堂の場合は宗旨宗派を問わず受け入れているところも少なくありません。
そのため、必ずしも檀家にならなくても大丈夫なケースもあります。各墓地によっても細かい規定は異なりますので、利用したい墓地の住職に電話でも良いので直接確認しておくことが重要です。
曹洞宗の納骨堂に遺骨を預けるときに得られる3つのメリット
曹洞宗の納骨堂を利用する場合のメリットは主に以下の3つです。内容について確認していきましょう。
- 曹洞宗の手厚い供養が受けられる
- 費用が墓石に比べると安価
- 屋内のため参拝する際、天候を気にしなくても良い
1.曹洞宗の手厚い供養が受けられる
自分が信仰する曹洞宗の教えのもと手厚い供養が受けられます。信仰をもっている人にとってこの上ないメリットといえるでしょう。
2.費用が墓石に比べると安価
納骨堂は、一般的な墓石を建てないケースがほとんどのため、費用が安価になります。予算に限りがあるけど、しっかりと供養をお願いしたいという人にとってはメリットです。
3.屋内のため参拝する際、天候を気にしなくても良い
納骨堂は屋内に施設があるため、屋外のように天候に左右されずに参拝ができます。丁寧に参拝したくても、暑すぎたり寒すぎたりしても困ってしまいますね。また、参拝中ゲリラ豪雨に遭遇してしまえば、じっくり拝むこともできません。しかし、屋内の納骨堂なら天候の心配がないため安心です。
曹洞宗の納骨堂に遺骨を預けるときの3つのデメリット
曹洞宗の納骨堂を利用する際には3つのデメリットも押さえたうえで契約するかを検討しましょう。
檀家や信徒にならないといけないケースがある
曹洞宗の寺院墓地などでは、なかには檀家や信徒にならないと納骨堂が利用できないケースもあります。お目当ての寺院墓地が見つかっても檀家にはなりたくない場合は、デメリットになる可能性があるでしょう。
ただ、信徒の場合は毎年の護持費などの経済的な支援は必要ありません。
そのため、経済的負担が心配の方でも信徒が条件の納骨堂は利用を検討できるでしょう。
檀家の場合は改葬する際、離檀料が発生する可能性がある
納骨堂を利用する際、檀家となって、その後別の墓地へ改葬する場合は、離檀料が発生する場合があります。離檀料は、檀家をやめるときに支払うお布施のようなものです。
近年では、離壇の際に高い料金を請求されてトラブルになったという話も少なくありません。確認を怠ったせいでトラブルに巻き込まれないよう、檀家になる際は離壇するときの金額や内容についても確認しておきましょう。
離檀料の相場やトラブルの対処法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
永代供養タイプの場合一定期間経過後に合葬されてしまう
永代供養タイプの納骨堂の場合は、一定期間経過後に合葬されてしまいます。合葬とは、骨壺の中から遺骨を取りだし布などに包んだうえ、他の遺骨とまとめて同じ場所に埋葬されることです。
一定期間の内容は、墓地によって異なり33回忌、50回忌など目安となる年数などが契約書に謳われています。「他の人の遺骨と合葬されるのは納得できない」という人は大きなデメリットになりますので、しっかりと契約内容について確認しておくのが賢明です。
曹洞宗の納骨堂を利用するメリット | ・曹洞宗の手厚い供養が受けられる |
---|---|
・費用が墓石に比べると安価 | |
・屋内のため参拝する際、天候を気にしなくても良い | |
曹洞宗の納骨堂を利用するデメリット | ・檀家にならないといけないケースがある |
・檀家の場合は改葬する際、離檀料が発生する可能性がある | |
・永代供養タイプの場合、一定期間経過後に合葬されてしまう |
曹洞宗の大本山は2寺院!納骨は問い合わせをしてみよう
曹洞宗の大本山は福井県の「永平寺」と、神奈川県の「總持寺」です。もし曹洞宗の大本山へ納骨したい場合は、希望する寺院へ電話連絡してみましょう。ここでは、簡単に納骨の手続きについて確認していきます。
永平寺(えいへいじ)
福井県にある永平寺は、曹洞宗の開祖である道元(どうげん)禅師が44歳のときに開いたお寺です。開いた当初は大仏寺という名称でしたが、翌年現在の永平寺に改称しました。永平寺で分骨したい場合は、分骨する遺骨を小さい骨壺に入れて持参しましょう。予約などは特にしなくても受付可能です。
必要な書類と費用
現地の受付で分骨申込書を記載し、分骨料3万円以上を支払います。分骨用の施設に安置されますが、永代供養ではありませんので分骨時の供養のみというのが特徴です。檀家になったり、年間管理費を支払ったりすることは必要ありません。
總持寺(そうじじ)
神奈川県横浜市にある曹洞宗の太祖大師と仰がれる瑩山(けいざん)禅師が58歳のときに開かれたお寺です。曹洞宗の大本山として分骨のみ納骨ができます。
必要な書類と費用
申込書は郵送もしくはFAXで送ってもらうことができます。必要事項を記入後再度郵送やFAX、直接持参のいずれかで申し込みしましょう。分骨料は5,000円かかり、1年間は分骨用の施設へ安置され(費用は5万円)、1年後は合葬されます。
あくまでも分骨になるため、永代供養をしてもらえるわけではなく分骨時の法要のみ行います。永平寺同様に、檀家になったり年間管理費を支払ったりすることは不要です。
曹洞宗総本山 | ||
---|---|---|
寺院名 | 大本山永平寺 | 大本山總持寺(そうじじ) |
住所 | 福井県吉田郡永平寺町志比5-15 | 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-1 |
電話番号 | 0776-63-3102 | 045-571-8221 |
分骨料 | 3万円以上 | 5,000円+5万円(1年の安置供養分) |
Webサイト | https://daihonzan-eiheiji.com/ | http://www.sojiji.jp/ |
まとめ
曹洞宗は禅宗の一つで、坐禅での修行を主としてお釈迦様をご本尊とする宗派です。曹洞宗を進行していて納骨堂を希望する人にとっては檀家になる必要があるかなど疑問点はたくさんあります。
しかし、永代供養タイプの納骨堂であれば宗旨宗派を問わない寺院墓地もでてきているため、あまり気にしすぎない方がよいかもしれません。どうしても檀家になりたくない場合は、気になる寺院へ直接電話で確認してみることが一番確実です。曹洞宗の納骨堂について、まとめポイントを再確認してみましょう。
- 納骨堂は屋内に遺骨を安置できるスペース
- 納骨堂は都道府県知事が認可した施設でないと利用できない
- 納骨堂の種類は主に以下の3種類
寺院の種類 | 管理主体 | 運営 | 費用感 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
寺院墓地の納骨堂 | 宗教法人 | 宗教法人 | 入檀の必要があると高くなる | ・宗旨宗派が問われる可能性あり |
・入檀することが条件の場合もあり | ||||
公営墓地の納骨堂 | 自治体 | 自治体 | 3つの中で一番安価 | ・公募抽選に当選する必要がある |
・申し込み要件を満たさないと利用できない | ||||
民営墓地の納骨堂 | 宗教法人など | 石材店など民間会社 | 公営より高め | ・倒産リスクがある |
- 曹洞宗しか利用できない納骨堂もなかにはある
納骨堂のタイプ | 費用相場 | 特徴 |
---|---|---|
合葬型納骨堂 | 10万~30万円程度 | ・最初から合葬となるタイプ |
個別スペースがある永代供養型納骨堂 | 50万~100万円程度 | ・33回忌までなど、一定期間は個別スペースが利用できる |
・一定期間経過後は合葬される |
- ただし、納骨堂は曹洞宗でも檀家にならなくても良いケースもある
曹洞宗の納骨堂を利用するメリット | ・曹洞宗の手厚い供養が受けられる |
---|---|
・費用が墓石に比べると安価 | |
・屋内のため参拝する際、天候を気にしなくても良い | |
曹洞宗の納骨堂を利用するデメリット | ・檀家にならないといけないケースがある |
・檀家の場合は改葬する際、離檀料が発生する可能性がある | |
永代供養タイプの場合、一定期間経過後に合葬されてしまう |
- 曹洞宗の大本山は2寺院
- 曹洞宗の大本山へ納骨したい場合は電話連絡してみる
曹洞宗総本山 | ||
---|---|---|
寺院名 | 大本山永平寺 | 大本山總持寺(そうじじ) |
住所 | 福井県吉田郡永平寺町志比5-15 | 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-1 |
電話番号 | 0776-63-3102 | 045-571-8221 |
分骨料 | 3万円以上 | 5,000円+5万円(1年の安置供養分) |
Webサイト | https://daihonzan-eiheiji.com/ | http://www.sojiji.jp/ |
曹洞宗を信仰しているからといって納骨堂の利用に大きな制限が掛かるということはあまりありません。納骨堂は墓石を建立しないタイプが多いため、費用もリーズナブルです。かつ、永代供養タイプの場合は、自分の子供や孫などにお墓の管理の問題で悩ませることも少なくなります。
お墓は一生のうちに何度も建てたり探したりするものではないため、わからないことが多くても当然です。自分の頭の中だけで悩んでいるのではなく、日々情報収集を欠かさず、積極的に墓地に問い合わせをしてみることで解消するでしょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
納骨堂の中には、檀信徒としての契約をともなう場合と、宗旨・宗派を問わず受け入れる納骨堂があります。開発・販売に石材店や販売業者が絡んでいる場合は、宗旨・宗派を問わず受け入れているところが多くなります。
そうはいっても、納骨堂には本堂が併設されており、日常の勤行が行われる空間で、れっきとした宗教施設です。そのため「宗教・宗派問わずという条件が合致したので契約した。だから信仰心は全くない」という人には不向きです。
曹洞宗は寺院数が多く、全国に多数あります。特に関東は曹洞宗寺院が多く、新規で開発される納骨堂も多数あります。寺院の納骨堂はなかなか情報が表に出にくいので、石材店に聞いてみるのも良いでしょう。