浄土真宗本願寺派のお墓の特徴とは?お墓参りや法要作法も徹底解説!

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浄土真宗本願寺派のお墓とは?徹底解説

  • 浄土真宗本願寺派のお墓は形式自由で五輪塔等は用いない
  • 墓石正面に「南無阿弥陀仏」、側面に法名が彫られる
  • 本願寺派は卒塔婆供養せず、塔婆立てもない
  • お墓参りでは「南無阿弥陀仏」を唱え、焼香は1回する

浄土真宗本願寺派のお墓の特徴を知っていますか?
ひとくちにお墓といっても、墓地を見渡せばさまざまな形のお墓が建っていて、墓石の正面に刻まれている文字もそれぞれ違います。
宗派によって、お墓の形や墓石正面に刻む文字に、何か特別な決まりはあるのでしょうか?

この記事では「浄土真宗本願寺派」のお墓の特徴、お墓参りや法要の作法まで詳しく解説しています。
最後まで読めば、浄土真宗本願寺派の、お墓の特徴だけでなく、お墓参りや法要の作法まで知ることができます。

ほかにも、浄土真宗本願寺派の教えなども分かりやすく紹介していますので、浄土真宗本願寺派の考え方がきちんと理解でき、正しい作法でお墓参りや法要を行えるようになりますよ。

まずは、浄土真宗本願寺派について簡単に解説していきます。

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この記事の目次

  1. 浄土真宗本願寺派(お西さん)の概要
  2. 浄土真宗本願寺派のお墓の特徴
  3. 浄土真宗本願寺派の開祖や本山を知る
  4. 浄土真宗本願寺派の法要と経典について
  5. 浄土真宗本願寺派のお墓参りの作法
  6. お墓参りの持ち物リスト
  7. 筆者ピックアップ!浄土真宗本願寺派のお寺
  8. 本山の「大谷本廟」に分骨する方法
  9. まとめ
  10. 監修者コメント

浄土真宗本願寺派(お西さん)の概要

浄土真宗本願寺派とは、浄土真宗の宗派の一つで、通称「お西さん」とも呼ばれています。
現在、浄土真宗の各宗派のなかで最も門徒(信者)が多いのが、浄土真宗本願寺派です。
そして、二番目に門徒が多いのが、真宗大谷派です。

真宗大谷派との違い

浄土真宗はさまざまな宗派に分かれていますが、浄土真宗本願寺派と真宗大谷派は、同じ流れをくむ宗派です。
しかし、浄土真宗本願寺派と真宗大谷派では、焼香の回数、節回しというお経の読み方、仏壇に置く仏具やかざり、僧侶の衣の色など、数々の違いがあります。

例えば、仏壇のろうそく台の形ですが、浄土真宗本願寺派は着色の過程で漆を使用した宣徳製のろうそく立てを使い、真宗大谷派では亀の背に鶴が乗った形のものを使います。

また、同じ浄土真宗でも、浄土真宗本願寺派だけが宗派名の頭に「浄土真宗」とつけ、浄土真宗本願寺派以外の宗派では「真宗〇〇派」としています。

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浄土真宗本願寺派のお墓の特徴

先祖代々のお墓

浄土真宗本願寺派のお墓の特徴を見ていきましょう。
お墓にはさまざまな形があり、墓石に刻まれる文字もお墓によって違います。
まずは、浄土真宗本願寺派のお墓の形から解説していきます。

お墓の形に決まりはない

浄土真宗本願寺派では、お墓の形にこれといった決まりはありません。
現在、一番多く見られるのは縦長の石を上に置いた、和型墓石です。
他にも、横長の石を使った洋型墓石や、オリジナルデザインの墓石も増えてきています。

しかし、五輪塔(ごりんとう)や宝篋印塔(ほうきょういんとう)といった、塔をかたどった形の墓石は、浄土真宗本願寺派の一般的な風習として使用しません。

次は、浄土真宗本願寺派の墓石の正面に刻まれる文字を紹介していきます。

墓石の正面によく刻まれる言葉

墓石の形と同じく、墓石の正面に刻む文字についても、浄土真宗本願寺派では決まりはありません。
一般的には「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」や、「俱会一処(くえいっしょ)」という言葉が刻まれます。
また、「○○家先祖代々之墓」や「○○家累代(るいだい)」というふうに、家名を刻むこともあります。

「南無阿弥陀仏」の意味

浄土真宗本願寺派では、「南無阿弥陀仏」を「なもあみだぶつ」と読みます。
この「南無阿弥陀仏」という言葉は、浄土真宗本願寺派で唱えられる念仏です。
他の宗派などでは「南無阿弥陀仏」を「なむあみだぶつ」と発音しますが、浄土真宗本願寺派では「なもあみだぶつ」と発音します。
「南無阿弥陀仏」には、「無限の命と光明をそなえた仏さまを信じ、頼りにします」という意味があります。

「俱会一処」の意味

俱会一処と刻まれた墓石

「俱会一処(くえいっしょ)」とは、「ともに一つのところに会う」という意味の言葉です。
簡単に言えば、縁のあった人々とともに浄土につどう、ということです。
浄土とは、仏や菩薩(ぼさつ)が住む場所のことを指します。

墓石の側面や裏側に刻む言葉

墓石の側面や裏面には、故人の法名(僧侶につけてもらう名前)や没年月日、享年(数え年)などが刻まれます。
また、墓石の建立年月日を刻むこともあります。

浄土真宗本願寺派では戒名ではなく「法名(ほうみょう)」という

死後、もしくは生前に僧侶につけてもらう名前のことを、浄土真宗本願寺派では「法名(ほうみょう)」と言います。
浄土真宗以外の多くの宗派では「戒名(かいみょう)」と呼ばれ、戒律(規律)を守り修行する人へ与えられる名前です。

浄土真宗本願寺派では「戒律を守ることができない人でも、必ず救って浄土へ迎えるという、仏さまのはたらき」を「法」と言います。
人々はその「法」のなかで生かされているという考えから、浄土真宗本願寺派の信徒の名前は「法名」と呼ぶのです。

浄土真宗本願寺派の法名は3文字か6文字

法名は、浄土ではすべての人が平等であるという意味から、浄土真宗本願寺派の場合、2文字とされています。
そして、法名の頭に「釋(しゃく)」を付け、性別に関わらず「釋〇〇」の合計3文字とします。
この「釋」とは、お釈迦様の弟子、すなわち仏教徒であるということを示しています。

また、お寺や社会に貢献した人などには「院号(いんごう)」という3文字が、法名の頭にプラスされることもあります。
この場合「〇〇院釋〇〇」となり、合計6文字となります。

浄土真宗本願寺派では、他の宗派のように「居士・大姉・信士・信女」などを付けないのが本来とされています。

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浄土真宗本願寺派のお墓には塔婆(とうば)立てがない

並べられている卒塔婆

浄土真宗以外の宗派では多くの場合、法要の時などに「卒塔婆供養(そとばくよう)」という供養をします。
「卒塔婆供養」とは、念仏や供養の言葉などを書いた細長い板を、墓石の裏に設置された「塔婆(とうば)立て」に立てるという供養方法です。
しかし、浄土真宗では卒塔婆供養は行いません。
したがって、浄土真宗本願寺派のお墓には「塔婆立て」はありません。

おさらい!浄土真宗本願寺派のお墓を見分ける4つのポイント

この章の最後に、浄土真宗本願寺派のお墓を見分けるポイントをおさらいしましょう。

  • 墓石が塔をかたどった形のものではない
    浄土真宗の一般的な風習として、五輪塔や宝篋印塔などの塔をかたどった墓石は使用しません。

  • 墓石の正面に「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」や「俱会一処(くえいっしょ)」と刻まれている
    浄土真宗本願寺派で唱えられる念仏の「南無阿弥陀仏」や、「俱会一処」という言葉が刻まれます。

  • 墓石の側面などに「釋〇〇」または「〇〇院釋〇〇」という法名が刻まれている
    浄土真宗本願寺派では、釋の文字と2文字の法名「釋〇〇」が墓石などに刻まれます。
    ほかにも、法名の頭に「〇〇院」という院号がついている場合もあります。

  • 墓石の後ろに塔婆(とば)立てがない
    浄土真宗では卒塔婆供養(そとばくよう)を行わないため、板塔婆を立てるための塔婆立てがありません。

この4つのポイントを覚えれば、浄土真宗本願寺派のお墓を見分けられるようになりますよ。

次は、浄土真宗本願寺派とはどのような宗派なのかを紹介していきます。

浄土真宗本願寺派の開祖や本山を知る

浄土真宗本願寺派を開いた人物は誰なのか、「本山(ほんざん)」という全国にある浄土真宗本願寺派のお寺を統轄しているお寺はどこなのか、を見ていきましょう。

この章では、開祖や本山以外にも、浄土真宗本願寺派の教えやお経などについても、詳しく解説していきます。

浄土真宗の開祖は親鸞(しんらん)

浄土真宗は鎌倉時代の1224年に、親鸞(しんらん)によって開かれました。
親鸞は「仏さまを信じて念仏を唱えれば、誰であっても救われる」という教えを説きました。

浄土真宗は10の宗派に分かれている

現在、浄土真宗は本願寺派をはじめ、10の宗派に分かれています。
この浄土真宗の10の宗派は「真宗10派」と呼ばれ、それぞれ違う本山を持ちますが、開祖は同じ親鸞で、教えも同じです。

真宗10派はおおまかに言うと、「親鸞の血縁で本願寺ゆかりの派」と「親鸞の弟子の流れをくむ派」に分けられます。
そして、浄土真宗本願寺派は「親鸞の血縁で本願寺ゆかりの派」にあたり、親鸞の墓所である「大谷廟堂(おおたにびょうどう)」を発祥とする宗派なのです。

浄土真宗本願寺派の本尊は阿弥陀如来(あみだにょらい)

浄土真宗本願寺派のお寺の中心に置かれる、「本尊(ほんぞん)」と呼ばれる仏さまは「阿弥陀如来(あみだにょらい)」です。
「阿弥陀如来」には、木像・絵像・名号(みょうごう)の、3つの形態があります。

木像とは木で作られた阿弥陀如来像、絵像とは阿弥陀如来が描かれたもの、そして名号とは阿弥陀如来をあらわす文字のことです。
一般的に、お寺は木像で、家庭の仏壇は絵像か名号を本尊としていることが多いです。

本尊としての名号

本尊としての主な名号を3つ紹介します。
それぞれの名号と、その名号の呼び名を一覧にしました。

名号呼び名
「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」六字名号(ろくじみょうごう)
「南無不可思議光如来(なもふかしぎこうにょらい)」九字名号(くじみょうごう)
「帰名尽十方無碍光如来(じっぽうむげこうにょらい)」十字名号(じゅうじみょうごう)

浄土真宗本願寺派の教え

浄土真宗本願寺派は「他力本願(たりきほんがん)」という教えを説いています。
この「他力本願」とは、俗に言う、何もしないで他人の力をあてにするという意味ではありません。
浄土真宗本願寺派の「他力」とは、「阿弥陀如来の、人々を救おうとする大きな力」のことをいいます。
そして、「他力本願」とは「阿弥陀如来の大きな力に頼って救われる」という意味なのです。

浄土真宗本願寺派の根本経典

基本となる教えが書かれているお経のことを「根本経典」と言います。
浄土真宗本願寺派の根本経典は「浄土三部経(じょうどさんぶきょう)」というもので、3つの経典から成り立っています。

浄土三部経の3つの経典

「仏説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)」
「仏説観無量寿経(ぶっせつかんむりょうじゅきょう)」
「仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)」

さらに、浄土三部経の中でも「仏説無量寿経」は、親鸞が「真実の教えはこの経典である」と位置づけたため、浄土真宗本願寺派では最も重要なものとされています。

浄土真宗本願寺派の本山は龍谷山本願寺(京都市下京区)

全国にあるお寺を統轄しているお寺のことを、本山(ほんざん)と言います。
浄土真宗本願寺派の本山は、京都市下京区にある龍谷山本願寺(りゅうこくざんほんがんじ)で、通称「西本願寺(にしほんがんじ)」と呼ばれています。

龍谷山本願寺は、親鸞の墓所である「大谷本廟(おおたにほんびょう)」を発祥とするお寺です。
現在、大谷本廟は西本願寺の敷地から離れたところにありますが、龍谷山本願寺の所有となっています。

浄土真宗本願寺派の法要と経典について

お墓の前で読経する僧侶

浄土真宗本願寺派の法要や、法要で読まれる経典(お経)について見ていきましょう。
まずは、法要の回数や種類から解説していきます。

法要の回数や種類は他の宗派と変わらない

浄土真宗本願寺派の法要は、他の宗派と回数や種類は同じです。
一般的に葬儀後の法要は、死後7日目から始まり、以後7日ごとに営まれます。
そして通常は、四十九日で喪に服する期間が終わる「忌明け(きあけ)」となります。

一周忌からの法要は「年忌法要(ねんきほうよう)」と呼びます。
年忌法要は、多くの場合、三十三回忌までの合計8回行われますが、五十回忌以降も行われることもあります。
この年忌法要は、故人が死亡した日と同月同日の祥月命日(しょうつきめいにち)に行います。
もし祥月命日が平日の場合は、命日の前の土日などに行うのが一般的です。

浄土真宗本願寺派における法要の意味

浄土真宗本願寺派は、「法要とは、故人の供養のために行われるものではない」とされています。
そもそも浄土真宗本願寺派では、お経や念仏を唱えることで故人が救われる、という考えはありません。

実際に親鸞自身も、亡き父母のために念仏を唱えたことは一度もない、と弟子に述べたそうです。
浄土真宗本願寺派の法要は、故人をしのぶと共に、いま生きている者たちが仏さまの教えを聞き、仏さまの恵みに感謝する行事として行われます。
すなわち、生きている人々のための行事なのです。

年忌法要一覧

一周忌から三十三回忌までの法要の時期と、概要をまとめました。
三十三回忌の後は五十回忌などもありますが、現在では三十三回忌をもって弔い上げ(といあげorとむらいあげ)とし、その後の年忌法要を行わないことが多くなってきています。

法要時期概要
一周忌亡くなった翌年の命日遺族・親族・友人・知人も列席し、読経と焼香、その後に会食をします。
三回忌死後2年目
七回忌死後6年目
十三回忌死後12年目遺族・親族で読経と焼香、その後に会食をします。
十三回忌以降は列席者を減らしていくことが多いです。
親族も列席せず、遺族のみで法要を行うという家もあります。
十七回忌死後16年目
二十三回忌死後22年目
二十七回忌死後26年目
三十三回忌死後32年目遺族・親族・友人・知人も列席し、読経と焼香、その後に会食をします。

法要の時期の数え方は、三回忌以降からは亡くなった年を1年目として数えますので、間違えないように注意してください。
他にも、地域によっては二十三回忌・二十七回忌・三十七回忌などを行うところもあります。

【4つの手順】浄土真宗本願寺派の焼香の作法

法要の際、住職から合図があったら、列席者一人ひとりが順番に焼香を行います。
ここでは、浄土真宗本願寺派の焼香の作法を4つの手順に分け、解説していきます。

  1. 本尊に向かって礼拝(一礼)する
  2. 香を右手でつまみ、香炉に入れる
  3. 数珠を手にかけて合掌し、南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)と唱える
  4. 礼拝(一礼)する

浄土真宗本願寺派の焼香では、香をたく前に合掌はせず、香を額におしいただくこともしません。
また、焼香の回数も1回とされていますので、間違えないように注意してください。

葬儀や法要で読まれる経典は仏説無量寿経がメイン

経典とはお経のことを言います。
浄土真宗本願寺派の葬儀や法要では、主に「仏説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)」が読まれます。
この「仏説無量寿経」には、人々を救わずにはおかないという阿弥陀如来の48の誓いなどが説かれていて、浄土真宗では最も重要な経典とされています。
この「仏説無量寿経」は、「大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)」や「大経(だいきょう)」とも呼ばれています。

ここまで、浄土真宗本願寺派の法要について解説してきました。
次は、お墓参りの作法について見ていきましょう。

浄土真宗本願寺派のお墓参りの作法

供花が供えられた墓前で合わせている両手

浄土真宗本願寺派では「お墓参りとは、故人を縁として阿弥陀如来を拝むこと」とされています。
これは、阿弥陀如来に拝むことによって、生かされていることに気づかせてもらう、という意味が込められています。

なので、お寺の墓地にお墓がある場合、お墓参りの前にまず、お寺の本堂にある本尊「阿弥陀如来」にお参りするようにしましょう。
また、本尊にお参りする際には住職へ挨拶をしましょう。

浄土真宗本願寺派にとってお墓とはどのような場所?

浄土真宗本願寺派では、お墓とは「あくまでも遺骨を納めている場所であり、生きている者が故人とのつながりを確かめ合い、今の自分があることに感謝の気持ちをあらわす場所」だとされています。
これは「故人はすでに仏となり浄土にいるので、お墓に故人の魂は宿っていない」という教えが基本となっています。
したがって、お墓参りのお供えも故人へ向けてではなく、阿弥陀如来へのお供えとされています。

浄土真宗本願寺派ではお墓に水をかける必要はない

墓石の掃除以外で、お墓参りの時に墓石に水をかけるのは、故人の魂を浄化するため、故人ののどをうるおすため、という意味で行われてきた習慣だと言われています。
しかし浄土真宗では、さきほど解説したとおり「故人はすでに仏になり浄土にいる」ので、故人の魂を浄化したり、のどをうるおしたりする習慣はないのです。
したがって、浄土真宗本願寺派では、お供えとしてお墓に水をかける必要はありません。

浄土真宗本願寺派の数珠と持ち方

数珠は念珠(ねんじゅ)とも言い、浄土真宗本願寺派では単輪念珠(ひとわねんじゅ)が一般的です。
浄土真宗本願寺派で用いられる単輪念珠には、玉の数や結び方の決まりはありません。

浄土真宗本願寺派では、念珠を用いて合掌する際、念珠を両手にかけて、房を下にたらします。
そして、親指で念珠を軽く押さえるようにします。
また、合掌する時以外は、必ず左手で持つようにしましょう。

【4つの手順】浄土真宗本願寺派の合掌礼拝の作法

浄土真宗本願寺派の合掌礼拝(がっしょうらいはい)の作法を4つの手順に分けて解説します。

  1. 胸の前で、念珠をかけた手を合わせ、両手の指先を少し前方へかたむける
  2. そのままの体勢で「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」と声に出して何度か念仏する
  3. ゆっくりと体を45度ほどかたむけて一礼する
  4. 上体を起こしてから合掌をとく

【6つの手順】お墓参りの流れ

では、お参りの流れを順番に見ていきましょう。
6つの手順に分けましたので、お墓参りに行く際には確認しておきましょう。

1.住職や管理事務所に挨拶をする

お墓に行く前に、まずお寺の住職や本尊に挨拶をしましょう。
墓地に管理事務所がある場合は、挨拶の際に、柄杓や桶などの必要な物を借りておきます。

2.お墓に着いたら合掌礼拝をする

お墓に着いたら、まずは全員で合掌礼拝をしましょう。

3.お墓の掃除をする

お墓の周りの落ち葉や雑草を取り除き、墓石の汚れなどを雑巾などできれいに落とします。
墓石に苔などがこびりついている場合は、歯ブラシやタワシでこするときれいになりますが、強くこすりすぎると墓石を痛めますので注意が必要です。
仕上げに乾いたタオルなどを使い、墓石に水気が残らないように拭き清めましょう。

4.お供え物をする

お墓に花を飾り、お菓子や飲み物などをお供えします。

5.お参りをする

一人ずつ、順番にお参りをして線香をあげます。
お参りの時は、立ったままではなく、しゃがむなどして低い位置から、合掌礼拝をします。

6.後片づけをする

お供え物は置いたままにせず、持ち帰ります。
地域によっては、お供え物をその場で食べるという習慣もあります。
ゴミが出た場合は、必ず持ち帰りましょう。

お墓参りの持ち物リスト

お墓参りで必要となる持ち物を一覧にしました。
使い方などの解説もありますので、お墓参りに行く際にはぜひ参考にしてください。

お供え物の花花立ての数に合わせて用意しましょう。
植木ハサミ花立ての大きさに合わせて、花の茎の部分を切り揃えます
お供え物のお菓子や果物など阿弥陀如来へのお供えとして、自由にお供えしてください
半紙お供え物は直接石に置かず、二つ折りにした半紙の上に置きましょう
線香ひとつの墓石につき1束ほどと、墓石の数に合わせて用意しましょう
ロウソクロウソクで線香に火をつけるのが正式な作法です
ライターまたはマッチロウソクに火をつけます
数珠浄土真宗本願寺派では単輪念珠(ひとわねんじゅ)を使います
ほうきお墓周りの枯葉などを掃除します
シャベルお墓周りの草を抜く際にあると便利です
タワシ墓石に付いた苔や、拭いても取れない汚れを落とします
雑巾墓石に付いた汚れを落とします
タオル掃除し終わった墓石を、水気が残らないよう拭き清めます
バケツタワシや雑巾をゆすぎます
ゴミ袋枯れた花や抜いた草など、ゴミはきちんと始末しましょう

筆者ピックアップ!浄土真宗本願寺派のお寺

本願寺神戸別院

ここからは、筆者オススメの浄土真宗本願寺派のお寺を3つご紹介します。
お寺の見どころなど解説していますので、旅行などで近くに立ち寄った際には、ぜひ足を運んでみてください。

龍谷山本願寺(りゅうこくざんほんがんじ)京都市下京区

浄土真宗本願寺派の本山として紹介した龍谷山本願寺は、通称「西本願寺」や「お西さん」と呼ばれています。
世界文化遺産にも登録されている西本願寺は、京都駅の近くに位置しており、毎日多くの参拝者でにぎわっています。

西本願寺にある御影堂(ごえいどう)は、一度に1000人以上を収容できる、とても大きな木造の建物で、堂内には親鸞の木像が安置されています。
御影堂の前には「逆さ銀杏(いちょう)」と呼ばれる大きな銀杏の木があり、1788年の本願寺の火災のときに、この銀杏が水を噴き出し、御影堂を守ったという伝説があります。

西本願寺は不定期で特別拝観やライトアップなどのイベントも行われていますので、参拝に行く前にイベント情報をチェックしておくことをオススメします。

本願寺築地別院(ほんがんじつきじべついん)東京都中央区築地

本願寺築地別院は通称「築地本願寺(つきじほんがんじ)」と呼ばれ、多くの人々に親しまれています。
築地本願寺は、本堂が古代インドの仏教建築を模して建てられており、ステンドグラスやシャンデリア、さらにはパイプオルガンもあるという、とても珍しいお寺です。

本堂の外や入口には、獅子や馬、象などの石像が置かれていて、浄土真宗本願寺派のお寺だということを忘れてしまいそうなほど、エキゾチックな雰囲気が漂っています。
また、パイプオルガンを使ったコンサートも毎月開かれていますので、参拝の際には公式ホームページで日程をチェックしてみてください。

本願寺神戸別院(ほんがんじこうべべついん)兵庫県神戸市中央区

本願寺神戸別院は通称「モダン寺」と呼ばれています。
その理由は、築地本願寺と同じように、インド仏教の建築様式を取り入れた斬新なデザインのお寺だからです。

神戸市は、中華街である南京町や異人館が市内各所に点在していて、異国情緒漂う街ですが、その中でもひときわ目を引くのがモダン寺です。
夜になるとライトアップされ、よりいっそう荘厳な雰囲気を放ちます。
モダン寺の近辺にはカフェやレストランなどもたくさんありますので、参拝の帰りなどに神戸グルメを存分に楽しむこともできますよ。

本山の「大谷本廟」に分骨する方法

真宗大谷派のお寺

浄土真宗本願寺派では、親鸞の墓所である「大谷本廟(おおたにほんびょう)」に遺骨の一部を納める、分骨(ぶんこつ)という風習があります。
浄土真宗本願寺派では一般的に、喉仏の骨を納めます。
ここからは、大谷本廟へ分骨する方法について見ていきましょう。

大谷本廟への分骨には2通りの方法がある

大谷本廟への分骨方法には大きく分けて2通りの方法があります。

祖壇納骨(そだんのうこつ)

祖壇納骨では、親鸞の遺骨が納められている祖壇に遺骨を納めます。
3万円以上から分骨することができますが、複数の遺骨とともに納骨されるため、遺骨の返却はできません。

無量寿堂納骨(むりょうじゅどうのうこつ)

無量寿堂納骨では、大谷本廟の境内にある納骨所「第一無量寿堂」または「第二無量寿堂」へ遺骨を納めます。
納骨所に並んだ各家専用の区画に納骨するので、遺骨の返却(出骨)も可能です。
80万円以上から分骨することができますが、毎年2,000円以上の維持費が必要となります。

参照元:大谷本廟「納骨」

まとめ

最後にもう一度、浄土真宗本願寺派のお墓の特徴や、お墓参り、法要の作法などを振り返ってみましょう。

  • 浄土真宗本願寺派では、お墓の形に決まりはない
  • 浄土真宗本願寺派では、五輪塔などの塔をかたどったお墓は一般的には使われない
  • 浄土真宗本願寺派のお墓には「南無阿弥陀仏」や「俱会一処」などが刻まれる
  • 浄土真宗本願寺派の法名は「釋〇〇」の3文字、または院号のついた「〇〇院釋〇〇」の6文字
  • 浄土真宗本願寺派では卒塔婆供養を行わないため、墓石の後ろに塔婆立てがない
  • 浄土真宗の開祖は親鸞
  • 浄土真宗本願寺派の本山は、通称「西本願寺」と呼ばれている龍谷山本願寺
  • 浄土真宗本願寺派の法要の回数は、他の宗派と同じ
  • 浄土真宗本願寺派の法要では主に「仏説無量寿経」が読まれる
  • 浄土真宗本願寺派では、焼香やお墓参りの際に「南無阿弥陀仏」と唱える
  • 浄土真宗本願寺派では、大谷本廟に分骨する風習がある

浄土真宗本願寺派のお墓の正面には「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」や「俱会一処(くえいっしょ)」という言葉が刻まれるという特徴があります。
他にも、お墓の側面などに「釋〇〇」の3文字、もしくは「〇〇院釋〇〇」の6文字の法名が刻まれます。

焼香やお墓にお参りする時には、焼香の回数や数珠の持ち方に気をつけて、正しい作法で「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」と唱えましょう。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

浄土真宗本願寺派は、親鸞聖人を開祖とする宗派で、かつては一向宗と呼ばれていました。焼香の回数、位牌不要等、さまざまな決まり事があり、厳格なイメージがありますが、「悟りきれない凡人でも、南無阿弥陀仏と唱えれば誰もが極楽浄土へ行ける」とわかりやすい教えです。そのため庶民に広く受け入れられ、歴史を振り返れば本願寺は織田信長さえも手こずった強大な教団にもなりました。

仏壇も、浄土真宗は金や漆を使ったきらびやかな仏壇で有名ですが、最近は、住宅事情に合ったモダンな洋型仏壇や、小型仏壇のニーズが高まっています。かつてのように、フルセット揃える家は少なくなりました。お盆やお彼岸の行事等、宗派としての考え方はありますが、民俗行事として地域による違いは尊重しているようです。

お墓・墓地・霊園の基礎知識を解説