お墓を建てる場所の決め方 ルールやポイントを分かりやすく解説
お墓を建てる場所とは?徹底解説
- お墓は法律に基づき「墓地」「境内地」に建てる
- 墓所探しはネット、石材店、寺院が役立つ
- 墓地には公営、民営、寺院、共同の4種類がある
- 場所選びはアクセス、環境、宗派、石材店制度を考慮
- 後継者を想定し家族で場所を決めることが大切
よいお墓の条件に、お墓の場所があります。
自宅からのアクセス、周囲の環境など、気持ちよくお墓参りをするためには、お墓を建てる場所で納得したいものです。
この記事ではお墓を建てるためのルールや選び方、そのポイントについてご説明いたします。
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お墓を建てる場所は法律で決められている
お墓はどこにでも建てられるものではありません。
法律で決められた場所にしか建てられないのです。
まずは、お墓を建てる場所について詳しくご説明いたします。
法律は墓地をどのように定義している?
お墓や埋葬については「墓地、埋葬などに関する法律」(以下「墓埋法」)に則って考えられます。
この法律の中で、お墓は「墳墓」とされ、この「墳墓」と「墓地」は次のように定められています。
墓埋法第2条-4
この法律で「墳墓」とは死体を埋葬し、または焼骨を埋蔵する施設をいう。
墓埋法第2条-5
この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域を言う。
都道府県知事から許可を受けると、その土地の地目は「墓地」とされます。
ちなみに地目とは、いわゆる土地の種類のことです。
土地の登記事項に記されているもので、土地の用途によってさまざまな地目があります。
(田、畑、宅地、山林、境内地など)
お墓は地目で「墓地」と認められた場所にしか建てられない
お墓は、地目で「墓地」と認められた場所にしか建てられません。
筆者の本当にあった経験で、住宅地のど真ん中の自身の土地にお墓を立てている人がいました。
周囲の人たちから何も言われなかったのか20年近くそのままにされていたそうなのですが、ある時に市がそれを把握し、撤去を余儀なくされたのです。
また、地方に行けば「墓埋法」が制定される以前の風習で山裾や自宅の庭にお墓が建っているのを見かけますが、地目上「宅地」や「山林」とされている場所への建立はできません。
「境内地」にもお墓は建てられる
もう1つ、お墓を建てられる場所がお寺です。
みなさんも「お寺=お墓」というイメージがあるのではないでしょうか。
地目の中には「境内地」と呼ばれるものがあり、これもお墓を建てる場所として認められています。
境内地を墓地として認める根拠となる法律は『宗教法人法』であり、多くの都道府県知事は、この法律の第2条「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする」という条文を根拠に墓地の経営を認めています。
法整備される以前から存在する「みなし墓地」
「みなし墓地」とは、墓埋法が制定される前から存在した墓地のことです。
古くからあるお墓を法整備ともに許可を与え直すというのは膨大な労力を費やし、混乱を引き起こしかねないために許可を受けたものとみなすため「みなし墓地」と呼ばれています。
新たに墓地を経営したい人は、墓埋法第10条にあるように都道府県知事の許可を受けなければいけません。
(墓埋法第10条)
墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
ところが、墓埋法が制定される昭和23年より前から存在した墓地に関しては、新たに許可を取り直すことはとても困難なため、第26条で次のように規定されています。
(墓埋法第26条)
この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地、納骨堂又は火葬場を経営している者は、この法律の規定により、それぞれ、その許可をうけたものとみなす。
古くからある墓地やお墓のすべてが都道府県知事の許可を受けているわけではありません。
厳密には「みなし墓地」にすら含まれない墓地やお墓もあるでしょう。
しかし、お墓の文化は近代に入って法整備される以前から存在したものです。
許可を受けていないからといって強制撤去されるようなことは現実的にはありえないでしょう。
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お墓を建てる場所の探し方
お墓をどこに建てるべきか、場所探しはいいお墓を建てる上でとても大切なことです。
墓地や霊園の探し方についてご説明します。
インターネットで探す
まずはインターネットを利用しましょう。
インターネットにはさまざまな墓地や霊園の情報が掲載されています。
自分のお住まいの地域、あるいは自分がお墓を建てたいと考えている場所でエリアを絞って検索してみましょう。
地元の石材店に相談する
筆者がおすすめするのがこの方法です。
地元の石材店に相談するのです。
石材店はその地域のあらゆる墓地の情報を持っています。
公営霊園、民営霊園だけでなく、みなし墓地も含めて寺院墓地や共同墓地についても熟知しているでしょう。
あまり公にはしていない墓地の情報が手に入るかもしれないので、複数の石材店をまわることをおすすめします。
ただし、自社で墓地や霊園を保有している場合、あるいは懇意にしている寺院がある場合、積極的にそれらを勧めてくる可能性があるため、口車には乗せられないように自身の判断で墓地を決めていきましょう。
寺院に相談する
もしもあなたに菩提寺(先祖の供養をすでにしてもらっているお寺)があるならば、そのお寺に相談してみてはいかがでしょうか?
墓地を持っている寺院であれば区画を提供してもらえるかもしれません。
ただし、境内墓地の価格は地域や住職の考えによって大きく差が開きます。
都市部では比較的高い傾向にありますが、逆を言うならば都市部で新たにお墓を持つのは寺院墓地以外では困難でしょう。
また、中には石材店や霊園とのパイプを持っている住職もいるかもしれません。
最終的にお墓に魂を入れて供養をしてくれるのは菩提寺です。
まずは思い切って相談してみてもいいかもしれません。
墓地の利用手続きの流れ
気に入った墓地が見つかってから墓地を取得するまでにはどのような流れで行われるのでしょうか?
民営霊園や寺院墓地の場合
気に入った墓地があればすぐに申し込みをしましょう。
民営霊園の場合は管理事務所へ、寺院墓地の場合は住職に連絡をしましょう。
空きがあり、問題がなければすぐにその墓地を押さえてくれるでしょう。
お金を払えば基本的には永代使用権を取得できるはずです。
公営霊園は定期的な申し込み
公営霊園の場合は、年に1度など定期的に公募があります。
申込期間が設けられているために、気に入った場所があるからと言ってすぐに申し込めるわけではありません。
一般的には次のような流れで行われます。
- 申込
指定された期間内に申込をします。
申込の際には、戸籍関連の必要書類を揃えなければならないので早めに動くのがよいでしょう。
また、市民であることや故人がいることなど、いくつかの申込条件があるため各自治体に確認しておきましょう。
- 抽選
同一区画への申込が1人であれば墓地を取得できるのですが、2人以上の申込が合った場合には抽選になります。
- 永代使用料の支払い
抽選にも当選したら速やかに永代使用料を支払いましょう。管理者から墓地の使用許可証が送られて来たら墓地の取得となります。
お墓の場所選びで気をつけるべきポイント
お墓の場所選びで気をつけるべき点をまとめました。
墓地の運営元による特徴の違い
お墓を建てる場所を考える上で、まず大事なのは墓地の運営元の違いです。
運営元によって特徴が大きく異なるのです。
墓埋法では、墓地の経営は地方自治体、宗教法人、公益法人に限られています。
これらの経営元によって、墓地は【公営霊園】【民営霊園】【寺院墓地】【共同墓地】の4つの種類に分けられます。
それぞれにどのような特徴があるのかまとめました。
公営霊園
公営霊園とは地方自治体が管理運営する墓地のことです。
よく◯◯市営霊園などとありますが、これらは公営霊園です。
自治体が管理するということで利用者には安心感があります。
共益部分の管理清掃も定期的に行われますし、墓地全体の設計もきちんとされています。
また、あくまでも公共施設なので利用者にはあらゆる面で平等です。
利用者に宗教宗派のによる制限もありませんし、石材店の指定もありません。
そのため人気が高く、なかなか取得しづらいという側面もあるでしょう。
民営霊園
民営霊園とは、寺院や業者が事業型の墓地として運営しているものです。
実質的に営利目的の一民間企業が墓地の経営には乗り出せません。
ですから、経営者を宗教法人、管理者を石材店という構図を多くみかけます。
あるいは、厳しい審査を通して公益法人を作り上げるということもあるでしょう。
民営霊園には「◯◯メモリアルパーク」のような宗教色を排したものと、「◯◯寺墓苑」のように非檀家にも売り出している寺院墓地との2つがあります。
利用者目線で作られた墓地、和風や洋風などニーズに合わせたさまざまなお墓が建てられるなどの特徴があります。
ただし、石材店が指定されているために他社との比較検討ができないため費用は少し高めの傾向にあります。
寺院墓地
寺院墓地とは、寺院の檀家向けの墓地です。
お寺が所有する墓地で空きがあれば取得できるかもしれません。
あくまで檀家向けの墓地なので費用に相場がないのが実態です。
安く設定しているところもあれば、周囲の公営霊園や民営霊園にあわせて設定している寺院もあります。
お寺の境内という神聖な場所にお墓があるというのは、なにものにも代えられないでしょう。
一方、寺院墓地を新たに取得するということはそのお寺の檀家になることを意味します。
お寺との付き合いが負担に感じられる人は、慎重に考えた方がよいかもしれません。
共同墓地
共同墓地とは、村や自治会で住民が管理運営する墓地のことです。
その地域の住民向けの墓地なので費用が安く、何よりも家から近いという利点があります。
古い昔からその村の火葬場や埋葬地だった場所を墓地として整備し直しているところが多いため、場所によっては整備が行き届いていないところもあるでしょう。
空きがないこともしばしばです。
最近では、墓じまいをする人が多いので、自治会以外の他の地域の住民にも墓地を売り出しているケースもあります。
窓口は自治会長や墓地の管理員会です。
「自分の住む地域はどうだろうか?」と興味のある人はまずはここから訊ねてみましょう。
お墓を建てたあとのお参りや供養のことも検討
お墓を建てる場所を考える上で大切なのは、その後のお墓参りや供養についてです。
新しく墓地を購入したり、お墓を建てる時は気分が盛り上がっているのですが、お墓が建ち、お墓参りをしてみて気づいた
いい面や悪い面というのもきっとたくさんあることでしょう。
新しくお墓を建てる時、場所を決める時は、実際に自分たちがお墓参りする姿をしっかりイメージしましょう。
自宅からのアクセス
墓地や霊園を決める上で重要なポイントなのがお墓参りのしやすさです。
家から近いか、車で行きやすいか、公共交通機関を利用しやすいか。
もちろん、個別の状況は人それぞれ違いますので自分がお墓参りしてみた時のことをしっかりとイメージしてみましょう。
たとえば、いまは問題なく車の運転ができるけれど、年を重ねることで不自由になることもあるでしょう。
そのように、未来をシミュレーションしておくことも大切です。
車を停めてから墓地までの距離・バリアフリー対応
家から霊園の距離は多くの人が考えるのですが、車を停めてから墓地までの距離を考える人はあまり多くないようです。
墓地や霊園によっては階段をたくさん上らなければならない、駐車場から距離がある、足下が砂利なために車椅子が使えないなど、お参りが負担になる条件は散見します。
こちらも自分たちが年を重ねた時のことを考えて検討しましょう。
霊園の雰囲気
取得したいと思う墓地に立って周りを見渡してみましょう。
雰囲気は気に入りましたか?
墓地に立った時に直感で感じるものを筆者はとても大切に考えています。
「なんだかこの場所がいい」
「なんだかこの場所は違和感がある」
こうした直感には正直になっておきましょう。
なぜならお墓は、目に見えないものを「感じる」場所だからです。
そして感じたものに手を合わす場所だからです。
自分が納得した場所であれば、余計なものに邪魔されることなく手を合わすことができるでしょう。
周囲の環境や調和
もしもお墓の近くに大樹があれば落ち葉の掃除が大変です。
また、時間が経過することで土の中から根が盛り上がるかもしれません。
隣や周囲のお墓が立派すぎるとそれらとの調和も考えなければならないでしょう。
安く抑えようとして自分の家だけ小さいお墓だと寂しく感じられるものです。
まわりが和風のお墓の中、自分だけが奇抜なデザイン墓だと浮いてしまうかもしれません。
もちろんこうしたことを気にしないのであればいいのですが、周囲の環境や調和についても考えておきましょう。
宗教
公営霊園や民営霊園で宗教宗派を問われることはありません。
しかし、寺院墓地では基本的に檀家にならなければなりません。
寺院墓地は、寺院の境内に設置されている場合と寺院の境内からは離れた場所にある場合があります。
筆者の経験でも前者の場合は檀家でなければならないけれど、後者であれば非檀家でも構わないとして墓地を売り出しているお寺があります。
非檀家でも受け入れてくれるのか、またその場合はどの宗派でもいいのか、その寺院が墓前まで来てお参りをしてもいいのかなど事前に確認しておきましょう。
指定石材店制度
指定石材店制度とは、墓石建立の工事をする石材店が決められていることです。
主に民営霊園や寺院墓地では石材店を指定しています。
これにはいくつか理由があるのですが、石材店が墓地の造成に先行投資しているか寺院が慣れた石材店に任せたいからなどが主な理由でしょう。
墓地取得の際、契約書に記載されているので契約の際には必ず目を通しておきましょう。
複数の石材店と比較検討したい、石材店を決めている人たちにとってはそれが適わないことも起こりえます。
必ず事前に確認しましょう。
後継者のことも考えた場所選びを意識する
お墓は自分一代のものではなく、世代を超えて受け継がれていくものです。
だからこそ後継者のことも考えて場所選びをしましょう。
親子で離れて暮らしている場合、子の家族が生活している地域にお墓を建てるという人はとても増えています。
また一方で自分たちのルーツを確認するという意味でも先祖が住んだ土地のお墓を大切にしている人もいます。
考え方は家族それぞれ。
場所選びは自分たち一人で考えるのではなく、親子、あるいは孫も含めた3世代で話し合ってもよいものです。
みんなが納得できる場所選び、お墓づくりが望ましいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここまで読み進んでいただいたあなたにとって素敵な場所が見つかることをお祈りいたします。
では最後に、この記事のポイントを箇条書きでまとめます。
この記事のまとめ
- お墓を建てる場所は法律(「墓地、埋葬などに関する法律」)で決められている。
- 地目が「墓地」と「境内地」であればお墓が建てられる。
- 「みなし墓地」とは、墓埋法が制定される前から存在した墓地のこと。墓地経営の許可を受けたとみなすことからこの名前で呼ばれている。
- お墓を建てる場所の探し方は、インターネット検索、地元の石材店、寺院に相談などがおすすめ。
- 墓地は、空きがあれば、支払いを済ますとすぐに取得できる。
- 公営霊園で定員がオーバーしている場合は、申込、抽選、支払いという流れを踏まないといけない。
- 経営元によって、墓地は【公営霊園】【民営霊園】【寺院墓地】【共同墓地】の4つの種類に分けられる。それぞれに特徴が違う。
- 自分がお墓参りする時のことを考えて墓地を検討すべき(アクセス、立地、雰囲気、環境、周囲との調和など)
- 後継者のことも考えた墓地選びが望ましい。
実際に希望エリアのお墓を建てたい方は、こちらから検索できます
エリアから探す
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
「自宅にお墓をつくることはできますか」と聞かれることがありますが、答はノーです。お墓は墓地として認められた場所でしかつくることができません。正確にいううと、焼骨を埋蔵することができないのです。
しかし、「自宅にずっと保管することはできますか」という問いに対しての答えは、イエスで可能です。埋める場所は指定されたところでないといけませんが、自宅に置いてはいけないという法律がないからです。
近年は自宅供養として、遺骨を自宅に保管できるような納骨壇に注目が集まっています。段ボールでお墓をかたどった納骨壇、題して「段ボール墓」なる商品も登場しています。このように自宅に置いておくことに法的な決まりはありませんが、いつの日か遺骨を納骨するタイミングがくるでしょう。その時にどうしたいのか、家族間で話し合っておく必要があると感じています。