お墓が古くなったらリフォームを検討しよう!リフォーム事例3選

お墓の下からのアングル

お墓のリフォームとは?徹底解説

  • 古いお墓はリフォームを検討し、石材店に相談。
  • リフォーム費用は作業内容によって変わり、相場はクリーニング1万円から研磨30万円まで。
  • 繁忙期を避けて元の石材店に相談し、石の破損リスクを考慮。
  • リフォーム後はプロの定期清掃でお墓を長持ちさせる。

近年は、お墓離れが深刻になっているといわれています。

しかし、一方で「今管理しているお墓を大切に継承していきたい」という人もいるかもしれません。
多額な費用がかかるため簡単に建て替えはできないお墓ですが、既存のお墓をリフォームすることはできるのでしょうか。

お墓の引っ越しの予定がない人にとっては、墓守しているお墓を大切に管理していきたいでしょう。
しかし、365日屋外で雨風にさらされている墓石は次第に経年劣化してくる面も否めません。

そこで、今回は、お墓が古くなってしまったときの対応策や、お墓のリフォームの方法について解説します。
また、実際にお墓のリフォームを行った事例を踏まえて、お墓の長持ちするためのメンテナンスについても紹介いたします。

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この記事の目次

  1. お墓のリフォームについて
  2. お墓のリフォームをする8つの流れ
  3. お墓のリフォームにかかる6つの費用相場
  4. お墓をリフォームするときの3つの注意点
  5. この場合はリフォームできる?よくあるリフォームの事例
  6. リフォーム前に業者へ掃除を依頼するのも手
  7. リフォーム後は手入れが肝心!墓石を長持ちさせるためのコツ
  8. お墓のリフォームは想像以上にお手軽!石材店をうまく活用しよう
  9. 監修者コメント

お墓のリフォームについて

お墓のリフォームとは、極力もとの墓石を残したうえできれいな状態へ復旧させることをいいます。お墓は石材で作られているため基本的に頑丈です。

しかし、何十年も経過するとどうしても石や木材などが経年劣化で汚れたり、腐食したりするところもでてきます。リフォームというと家がイメージしやすいですが、コンセプトは同様です。

どんなに立派な家を建築しても50年も経過すれば、どこかしら傷みや経年劣化がでてきます。ただし、定期的なメンテナンスをすることで劣化を防ぐことが可能です。

定的なメンテナンスが必要な点はお墓についても同様といえます。個人で墓石のリフォームをすることも可能ですが、石材店にお任せすることをおすすめします。

お墓のリフォームをする8つの流れ

お墓のリフォームを行う場合は8つの流れを押さえておきましょう。お墓の状態は差がありますので、予算や希望を把握したうえで相談するとスムーズです。

1.石材店へ相談・依頼

墓石のリフォームの際は、まず何件かの石材店に相談したり、見積りをもらったりしてみましょう。家のリフォームとは異なり、なかなかDIYで行える作業ではありません。

漠然とした内容であっても、意向を伝えることによって予算やイメージが固まってきます。具体的に複数の石材店に相見積りを取れば自分のお墓のリフォーム相場も把握できるでしょう。

2.石材店とリフォームについて打ち合わせ

予算および、信頼できる石材店が見つかった場合はリフォームの内容をより掘り下げていきましょう。「いつまでにリフォームが必要か」「予算はどのぐらいか」「墓石の場所はどこか」などをベースに話を進めていきます。

3.石材店が現地調査

より具体的な見積りが欲しい場合は、石材店へ現地調査を依頼してみましょう。口頭での打ち合わせでは気がつかなかったポイントや、できることやできないことなども的確なアドバイスをもらえることが期待できます。

4.石材店からの提案内容に納得したら契約

石材店から再度提案された内容や見積りに納得できた場合は契約書を交わします。契約の際には手付金や印鑑などが必要です。事前に必要なものは確認しておきましょう。予算をオーバーするなどの場合は、ローンを利用できる石材店もあります。

5.開眼戻しを行う

石碑の建て替えをする場合は、「開眼戻し」という儀式を行うのが一般的といえます。墓石は建立時に開眼供養を行って先祖の魂を入れるという儀式をしている傾向です。

墓石に宿った魂をリフォーム作業前に僧侶により墓石から抜くという内容になります。僧侶との日程調整も必要になりますので、石材店と寺院などの調整を行うようにしましょう。

6.お墓のリフォーム開始

開眼戻しが完了したら、お墓のリフォームを開始します。簡単なお墓のリフォームなら約1週間程度、手間のかかるリフォームなら約1ヵ月程度の期間を目安にしておくと良いでしょう。

7.完成および立ち会い確認

施工が完了した際には、石材店と墓地にてリフォームの状態を立ち会って確認します。注文した内容と異なる場合は、この段階でしっかり石材店へ確認することが必要です。

立ち会い確認をしているにもかかわらず、あとになって注文を付けてもトラブルの元になります。細かいことでもしっかり確認をしておきましょう。手付け金を支払っている場合は、このタイミングで残金を決済します。

8.開眼供養を行う

リニューアルされた墓石に再度開眼供養を行います。僧侶との日程を調整のうえ、新しい石碑に先祖の魂を戻しましょう。

お墓のリフォームの流れは公的な証明書などが不要ですので、お墓を建てるときよりもスムーズに進むことが予想されます。自分の理想的なリフォームを行えるよう8つのポイントを把握しておきましょう。

お墓のリフォームにかかる6つの費用相場

お墓のリフォームを検討する際に気になってくるのが費用の問題です。リフォームの内容にもよりますが、ここでは墓石のリフォームの費用相場はどの程度なのかについて見ていきます。

1.お墓のクリーニングに関するリフォーム費用

お墓のクリーニング費用の平均相場は5千~1万円程度です。墓石は経年劣化によってシミやカビ、苔、水垢・黒ずみなどさまざまな汚れが付着します。汚れや状態によって使用する洗剤や方法なども異なるので、プロに任せてしまった方が賢明でしょう。

2.墓石に研磨に関する費用

墓石の光沢を戻したい場合は、墓石を研磨する必要があります。墓石を研磨する平均相場は20万~30万円程度です。現地で研磨できる場合と、持ち出しが必要な場合で費用は大きく異なるでしょう。

3.墓石文字のペンキ塗り替え費用

墓石の文字のペンキを塗り替える費用の平均相場は1万~3万円程度です。墓石に刻まれている文字も経年劣化でペンキがはげたり、汚れが付いたりしてしまいます。墓石自体がきれいだったとしても、文字が汚れていると古びた印象になりがちです。

4.セメントや接着剤の補修の費用

石材間の接着剤の劣化を補修する費用の平均相場は3万~6万円程度です。墓石はいくつかの石材が組み合わさってできています。どうしても経年劣化しやすい部分ですので、約10年を目安に補修を行うことがおすすめです。

5.墓石の組み直し費用

墓石の組み直しを行う場合の平均相場は15万~30万円程度です。台風や地震などで墓石がずれてしまったり、倒れてしまったりすることがあります。戻すだけなので業者に依頼するほどではないと感じるかもしれませんが、プロに任せた方が基本的には安全です。

6.墓石の文字の変更

墓石の文字自体を変更したい場合の費用平均相場は15万円程度です。墓石の文字は表面の石を削っていますので、削ってある深さまで石を削り落として研磨が必要になります。

工程としては「墓石を取り外す」「彫刻部分を削り落とす」「研磨」「新しい文字の彫刻」が必要です。昔ながらの墓石に記載された「○○家之墓」を「絆」「ありがとう」など自分の希望する文字へ変更することができます。

お墓をリフォームするときの3つの注意点

お墓のリフォームをすることで見た目だけでなく、気持ちもすっきりすることでしょう。しかし、注意点もありますので3つのポイントを確認しておきましょう。

繁忙期は避ける

お墓のリフォームを行うときは石材店の繁忙期はできるだけ避けましょう。お墓業界の繁忙期は、お彼岸の前やお盆前といわれています。

プロに依頼するからどんな時期でもしっかり施工してもらいたいのは当然です。しかし、繁忙期はリフォームを断られることも少なくありません。そのため、できるだけ閑散期といわれる時期に依頼することが賢明です。墓石を建てた石材店に相談する

リフォームを行う場合は、できるだけ墓石を建てた石材店に相談してみましょう。墓石を頼んだ石材店でない場合は、割高な見積りをされる場合があるからです。

ただし、念のため他の石材店でも相見積りを取っておいた方が良いでしょう。依頼者側の無知さを察して相場よりも高く見積りしてくるケースもあります。

リフォーム時に石が破損する場合がある

お墓のリフォームは墓石を取り外して作業をするなどするため、石が破損する可能性があります。珍しい石の種類や、現在は発掘しにくくなっている石の場合だと同じものを調達できないこともあるでしょう。そのため、事前に破損時の保証や対応についてしっかりヒアリングしておくことがおすすめです。

この場合はリフォームできる?よくあるリフォームの事例

お墓リフォーム前後

一口にお墓のリフォームといっても、ケースはさまざまです。リフォームできるかどうかは、石材店の経験値の高さなどによっても異なります。ここでは、よくありがちなリフォームの事例を3つ取り上げてみていきましょう。

事例1.古い墓石を処分して草が生えないようコンクリートを塗る

古い墓石が複数墓地に敷き詰められた墓地。窮屈そうなお墓でしたが、古い墓石はしっかり供養後に処分して墓地内に草が生えないようコンクリートで塗った事例です。

リフォームしたことで見た目がすっきりしただけでなく、お墓参りもしやすくなりました。古い墓石が置かれていた場所にはコンクリートを敷き詰めたため草が生えず管理も簡単になった点もメリットです。 

事例2.墓石はそのままで外柵と花立てセットをリフォーム

墓石の外柵は経年劣化してくると墓地が広ければ広いほど、古びた感じのお墓の印象が強くなります。墓石自体はそのまま活かし外柵と花立てをきれいにリフォームするだけで、見違えるほど立派なお墓になりました。

外柵は石材の量をたくさんつかう傾向のためリフォーム価格はやや高くなりますが、近年は上質で安価な石材の種類もあります。

事例3.地方からお墓ごと引っ越してリフォーム

地方からお墓ごと引っ越しした事例です。先祖のお墓が遠方にあると、お墓参りができないだけでなく定期的なお墓のメンテナンスもできません。

愛着が強い墓石をできるだけ再利用したい人にとっては心強いリフォームでしょう。改葬となるので一般的なリフォームと異なり、自治体から改葬許可証などが必要になる点は注意が必要です。

リフォーム前に業者へ掃除を依頼するのも手

リフォームをする前に石材店などへクリーニングだけ依頼してみることも選択の一つです。お墓のリフォームは建立ほどではないにせよ、大きな費用がかかってしまいます。費用を抑えて、自分の手ではきれいにならない墓石をきれいにするためにはプロの墓石クリーニングを利用してみましょう。

リフォーム後は手入れが肝心!墓石を長持ちさせるためのコツ

リフォームやクリーニングのあとは、定期的なメンテナンスが肝心です。しかし、自宅を清掃する感覚で墓石のメンテナンスを行うと長持ちさせるどころか墓石を傷めたり、シミになってしまったりしてしまいかねません。ここでは、墓石を長持ちさせるためのコツについて解説します。

自分でお墓を掃除する場合は慎重に洗剤を選定する

先祖を偲ぶためにお墓を定期的に清掃して管理している人もいるでしょう。しかし、自分でお墓を掃除する際は家庭用の掃除用洗剤や食器用洗剤などを使用しないようにしましょう。

石材の種類や石目によってはシミや傷の元になりかねません。墓石用の洗剤というものも市販されていますが、基本的に自分で行う場合は水洗いだけにしておいた方が賢明です。

お墓全体の手入れはプロに任せる

墓石の石材は、吸水率の高いものなど種類がたくさんあるため、お墓全体を手入れしたい場合はプロに任せた方が良いでしょう。

掃除するつもりだったのに、何も調べず傷やシミの原因を作ってしまったのでは本末転倒です。墓石クリーニングのプロであれば汚れや石の種類など特徴をつかみながら、お墓にあった清掃を任せることができます。

お墓のリフォームは想像以上にお手軽!石材店をうまく活用しよう

お墓のリフォームは一生のうち何度も経験できることではありません。そのため、実際に行おうとすると費用面や分からない点など戸惑ってしまいがちです。

しかし、お墓を建立することに比べれば複雑な手続きや公的証明書なども不要なため手軽に取り組むことができます。

この記事のまとめ

  • お墓のリフォームをする際は、石材店に相談や見積りが先決
  • 正確な見積りが欲しい場合は石材店に現地調査を依頼する
  • 改葬などと異なり、お墓のリフォームを行うにあたって必要な公的書類はない
  • お墓のリフォームで高額になるケースは石材を運んだり、削ったりする必要があるとき
  • 墓石の文字を塗り替えする場合の平均相場は1万~3万円程度
  • 墓石の研磨を依頼する場合は20万~30万円程度
  • 石材間の接着剤の補修は3万~6万円程度
  • お墓のクリーニングは1万円程度
  • 墓石の名前変更は約15万円
  • お彼岸やお盆前の繁忙期にお墓のリフォームは依頼しない
  • お墓を自分でメンテナンスする場合は基本的に水洗い
  • 本格的にお墓を清掃したい場合はプロに委託するのが賢明

光沢がなくなり、汚れが蓄積したお墓はどんなに立派であっても哀愁が漂ってしまいます。

墓守をしている人は先祖のためにしっかり清掃をしたいところですが、個人ですべて行うことは限界があるでしょう。そんなときは、石材店や墓石クリーニングのプロに相談のうえ、リフォームや清掃を検討してみてください。

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

「先祖代々のお墓はあるが、墓石が欠けていたのが気になる」「墓石にシミがあるので、キレイにしておきたい」「倒壊が心配」等の場合、墓石のメンテナンスをすることで、さらに石の寿命が長くなります。

この20~30年の間に建てられたお墓は、メンテナンスしやすく、免震・耐震構造になっていますが、昔のお墓は崩れやすかったり、雑草処理を定期的にしなければいけない構造も多いと思います。中には、区画の中に植えていた樹木が育って根が張ってしまい、墓石が浮いてしまっているようなケースもあります。

お墓のリフォームは急を要するものではないため、なかなか着手しにくいものですが、災害時には石は凶器にもなりますから、倒壊等を防ぐ意味でも安全・安心の観点から、リフォームを考えてみてはいかがでしょうか。

お墓・墓地・霊園の基礎知識を解説