納骨とは遺骨をお墓に納めること~納骨の流れや時期を解説~

納骨とは遺骨をお墓に納めること~納骨の流れや時期を解説~

納骨とは?徹底解説

  • 納骨とは遺骨をお墓に入れること
  • 納骨式の準備には、場所選び、日程決め、書類準備、案内と手配が必要
  • 納骨の時期に決まりがないが、法要に合わせるのが一般的

この記事では「納骨とは何か」だけではなく、納骨に関する費用や手配の仕方などをまとめて紹介します。

故人とのお別れは非常に辛いものです。
しかしだからこそ、遺された遺族にとって故人を終のすみかに連れていく大切な節目となる「納骨」について、一緒に学んでいきましょう。

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この記事の目次

  1. 納骨とは「遺骨をお墓に納める」こと
  2. 納骨費用は平均25万円(一般墓の場合)
  3. 納骨の手順6ステップで紹介~納骨の準備をすすめる~
  4. 納骨の種類は「一般墓」だけじゃない!その他の選択肢も紹介
  5. 納骨する時期に決まりはない!一般的に多い時期を紹介
  6. 参列者の納骨式にまつわるマナー
  7. まとめ
  8. 監修者コメント

納骨とは「遺骨をお墓に納める」こと

骨箱

納骨とは、火葬した後の遺骨を、お墓や納骨堂の中に納めることをいいます。

しっかりと納骨をしたい場合には、納骨式を行います。 納骨式とは、新しくお墓に入る故人のために、お坊さんにお経をあげてもらう儀式のことです。

ただ最近では、納骨式を行わないシンプルな納骨を行う人もいます。また、樹木葬や散骨など、一般的なお墓以外へ納骨する選択をとる人も増えてきています。

この章では、「そもそも納骨とは何か?」を説明したうえで、 納骨式の流れや時期、納骨のさまざまな手段についてお伝えします。

遺された家族にとって大切な節目

納骨は、遺された家族にとって、故人を終の棲家に連れていく大切な節目です。

ただ、愛情の深かった夫婦や、子どもに先立たれたケースなどでは、 「ずっと手元に遺骨を置いておきたい」と切望する人も少なくありません。 家で遺骨を供養する方法も、もちろんあります。

しかし、いずれにしろ、最終的にはやはり納骨をしなければなりません。 遺灰を少しだけペンダントに込めるなど、分骨して遺骨の一部を手元に置いておく工夫をする人が増えています。

納骨式の流れ

納骨式の流れは、以下の通りです。

  1. 親族集合
    お墓の前に親族が集まります。
  2. 読経
    お坊さんに、お墓の前でお経をあげてもらいます。
  3. 納骨
    お墓を開け、納骨します
  4. 会食
    参加した親族らは、料亭などへ移動し、会食をします。
    会食後、親族らには引き物を持ち帰ってもらいます。

納骨式と同時に法要を営む場合は、納骨式の前に法要を終わらせます。

納骨費用は平均25万円(一般墓の場合)

お金と電卓

一般のお墓に納骨するときの費用相場は、25万円程度です。

内訳は、次のようになります。

  • 墓石や墓誌への彫刻料(5万円)
    墓石や墓誌に、故人の戒名を新たに刻んでもらうための費用です。
  • お布施(5万円)
    納骨式のお布施の相場は5万円程度です。
    僧侶が会食に参加しない場合は御膳料、お墓がお寺から遠い場合は御車代として、それぞれ5千円ほどを包みます。
  • 会食費(10万円)
    親族20名、1人あたり5千円の会食と考えると、会食費は10万円となります。
  • 引き物代(5万円)
    親族10家族、一軒あたり5千円とすると、引き物代は5万円となります。

「遺骨をお墓に納めるだけで、こんなに費用がかかるとは」と思われた人もいるでしょう。

しかし、親族をきちんと呼べば、香典で会食費や引き物代は相殺されます。 では次に、納骨の準備について解説しましょう。

納骨の手順6ステップで紹介~納骨の準備をすすめる~

供花が供えられた墓前で合わせている両手

納骨式をするために、しっかり親族を呼ぼうと思うならば、納骨式の40日ほど前から動きはじめる必要があります。

また納骨先がまだ決まっていない場合であれば、40日よりも前から動き出さなければ間に合いません。

もしもあなたがお葬式のときに喪主を務めたのであれば、 「とても小さなお葬式を営む」と思うと、スムーズに動きやすいかもしれません。

それでは、納骨式に向けて決めることや準備するものを説明していきましょう。

納骨式に向け決めること

納骨式に向けては、以下のような準備があります。

  1. 納骨先を検討する
  2. 納骨先の石材店、又は寺院の僧侶に相談する
  3. 納骨式の日程と場所を決める(40日前)
  4. 必要資料の準備をする
  5. 納骨式のお知らせを出し、出欠をとる(30日前)
  6. 料理や引き物の内容と数を確認する(7日前まで)

一つずつ詳しく見ていきましょう。

納骨先を検討する

はじめに納骨先を検討します。既に先祖代々引き継がれているお墓があれば、そこに納骨することが多いです。もし入るお墓がなければ、新たに納骨先を探す必要があります。

納骨先には「一般墓」の他にも「納骨堂」「樹木葬」などがあります。

納骨先の石材店・寺院の僧侶に相談

納骨先の検討がついたら、そこの石材店又は霊園管理者、寺院であれば僧侶に納骨したという旨を伝えましょう。

納骨式の日程と場所を決める(40日前)

僧侶と打ち合わせをし、日取りと場所を決めます。 法要と同時に行う際は、四十九日、百か日の手前の土日を選ぶことが多いでしょう。

法要は自宅やお寺、法要会館など、会食は近くの料亭か、家で仕出し料理を食べるといった選択肢があります。

書類の準備

骨式の日程が決まれば、その日程に間に合うように書類の準備をする必要があります。準備する書類は「遺骨埋葬許可証」です。この書類がないと納骨することができないので、必ず納骨の日程までに準備をしましょう。

納骨式のお知らせを出し、出欠をとる(30日前)

日時と場所が決まったら、親族にお知らせ状を出して出欠をとります。 出欠の〆切は、およそ2週間前までとすると、後の段取りがスムーズです。

料理や引き物の内容と数を確定する(7日前まで)

人数が揃ったら、会食と引き物の内容と数を正式に決定します。 法要の会場からお墓、お墓から会食会場までが遠い場合は、どうやって移動するかも決めておきましょう。

タクシーや自家用車への乗り合わせなどで間に合わないくらい数が多いなら、 貸し切りバスなどを利用する必要があります。

このように、納骨式の1週間前までには、会場や料理の手配を済ませられるようにしましょう。

納骨式までに用意するもの

全体的な手配を済ませたら、今度は自分が持参するものや服装についての用意をしなければなりません。 基本的な服装は葬儀のときと同じ、持ち物はお墓参りと同じと覚えておくといいでしょう。

納骨式を行う側である施主の服装と持ち物は次の通りです。

喪服

49日までは、葬儀のときと同じ礼服を着用します。 男性であれば黒スーツに黒ネクタイ、女性は黒いワンピースに黒ジャケット、黒いストッキングが基本です。

なかには、「葬儀のときは着物を着た」という人もいるでしょう。 そのような人は、無理に着物を着ず、お墓参りで快適に行動できる洋装を選んでもかまいません。

49日以降の納骨は、地味な平服で構いません。 ただ、地域の慣習などにより喪服を着用する場合もありますから、年輩の親族などにきちんと確認しましょう。

お布施

施主はお布施を用意します。白黒の水引がかかった香典袋に、表書きを「御布施」とします。 お布施はふくさに包んで持参し、納骨式が終わったタイミングで僧侶に手渡しましょう。

【墓じまいーお布施】アイキャッチ画像

納骨式のお布施の相場は5万円程度です。

数珠

仏式であれば、納骨式に限らず法要の際には必ず数珠を持参します。

埋葬許可証

火葬後に渡された埋葬許可証を持参し、お墓の管理者に手渡します。 「どこに置いたのかを忘れてしまった」という人は、遺骨を納めている箱を開けてみてください。

骨壺と一緒に骨箱へ埋葬許可証を入れてくれる火葬場が多いです。

花一対、お供え物、マッチ、ろうそく、線香、清掃用品、位牌、遺影

お盆やお彼岸に、お墓参りをするための準備品と同じように用意をします。 お花やお供え物は、いつもより少しだけ豪華にしましょう。

また、納骨式までにお墓の清掃を終えておくのが理想的ですが、 できない場合は清掃用品を持参し、早い時間に掃除を済ませておきます。

なお、納骨式には、位牌と遺影も持って行きます。 式の前日、骨壺の周りに全ての持ち物を集めておくと忘れ物を防止できます。

以上、ここまで、納骨式を行う施主の立場で準備についてお伝えしてきました。 「納骨式に呼ばれた場合は、どう振る舞えばいいの?」という人もいることでしょう。

次章では、納骨式の参列者のマナーについて解説します。

納骨の種類は「一般墓」だけじゃない!その他の選択肢も紹介

墓前で手を合わせる人

納骨には、一般的なお墓への納骨の他にも種類があります。 納骨堂樹木葬での納骨、散骨が、その主なものです。 一般的なお墓への納骨も含め、それぞれどのようなものか解説していきます。

お墓への納骨

一般的なお墓への納骨は、お墓の下部分にある「カロート」と呼ばれる部分を開け、空洞になっているスペースに骨壺を入れます。

お墓の内部構造

「カロート」は、家族が簡単に開けられる場合と、石材業者を呼んで開けてもらう場合とがあります。

また、骨壺ごとカロートに納める地域と、骨壺から遺骨の入った袋を取り出して納める地域とがあります。

納骨を行う墓石について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。

納骨堂への納骨

ロッカー式の納骨堂

納骨堂とは、ロッカーや小型仏壇など、小さな納骨スペースがたくさん設けられた建物のことです。 納骨堂への納骨は、割り当てられたスペースに骨壺を納めます。

ロッカー式であれば鍵付きロッカーの中へ、仏壇型であれば仏壇の下部へなど、納骨堂の種類によって骨壺を納めるスペースの形状は異なっています。

樹木葬や散骨

樹木葬

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標とするお墓のことです。 樹木葬のコンセプトとして、「冷たい墓石の中ではなく、自然の中で眠りたい」というものがあります。

よって、骨壺から遺骨を取り出して、樹木の下に埋葬するケースがほとんどです。 ただ、まれに、一般的なお墓のようにカロートを設けたものも存在します。散骨は、お墓を作らない供養方法です。 地中への納骨ではなく、海や山に遺骨をまきます。

以上、納骨の意味や歴史、種類についてお伝えしました。

「納骨の種類はわかったけれど、いつ納骨するべきなの?」という疑問がわいた人もいることでしょう。 続いて、納骨にふさわしい時期について説明します。

納骨する時期に決まりはない!一般的に多い時期を紹介

時計とカレンダー

納骨をする時期に、厳密な決まりはありません。

しかし、多くの人が納骨を行うタイミングはあります。 そのタイミングは、宗教宗派によって違います。

納骨は 四十九日の法要のタイミングが多い

多くの人が納骨を行うタイミングが、四十九日法要と同じ日です。 法要と同じ日なら親族が集まりやすいためというのもありますが、 四十九日は人の魂が浄土に着く日だとされているため、納骨にふさわしいとされています。

納骨のタイミングとして、次に多いのが、百か日や一周忌です。四十九日ではお墓の完成が間に合わない場合などには、百か日や一周忌とされます。以下の表に納骨の主要なタイミングと、向いている人を表としてまとめます。

 概要向いている人
四十九日人の死後「四十九日目」を指す・既に遺骨の納骨先が決まっている人
・早く納骨を済ませたいという人
百か日人の死後「百日目」を指す・既に遺骨の納骨先が決まっている人
・新しい納骨先だがすぐに納骨できる人
・身内だけで納骨したい人
一周忌人の死後「満一年目」のことを指す・納骨先が決まっておらずしっかり検討したい人
三回忌一周忌の翌年で死後「二年目」(満二年目)を指す
三回忌法要は、一周忌の翌年(二年目)に行う
・納骨先が決まっておらずしっかり検討したい人
・遺骨をしばらく家に置いておきたい人

宗教による納骨する時期の違い

宗教によっても、納骨する時期は若干違います。 先に触れたように、仏式の場合は四十九日、百か日、一周忌といった法要と同時に行いますが、神式では葬儀当日に納骨まで済ますのが一般的です。

なお、キリスト教においては、一か月目の命日に行うケースが大部分を占めます。ただ、明確な決まりはありません。

納骨をする時期について知ると、次は、納骨の費用についても知りたくなりますね。 次章では、納骨費用について解説します。

参列者の納骨式にまつわるマナー

お墓参りをする女性

納骨式に参列する人の持ち物や服装は、一般的な葬儀に参列するときとほぼ同じです。 詳しく解説しましょう。

納骨式に参列時の服装

納骨式に参列する際の服装は、以下のようにしましょう。

案内状に特別な記載がなければ、四十九日までは喪服、四十九日を過ぎたら平服で問題ない

四十九日までは、納骨式の基本的な服装は喪服です。

男性なら黒スーツに黒ネクタイ、女性なら黒いワンピースにジャケット、黒いストッキングとします。 四十九日を過ぎたら、服装は平服でも構いません。

ただ、自分だけが平服では浮いてしまうため、地域や家の風習に従うようにしましょう。

案内状に「平服で」とあれば喪服は避ける

ただし、案内状に「平服にてお願いします」と書かれていることがあります。

そんなときには、男性はダークスーツに黒ではないネクタイ、女性は紺やグレーなど地味な服装にしましょう。

「動きやすい服装で」と指示されたときは足元をスニーカーなどにする

法要と同時に納骨を行わない場合、施主から「当日は動きやすい服装で」と指示されるケースがあります。

整備されていない墓地に分け入っていかなければならないなどの事情があるためです。 男性はワイシャツにチノパン、女性はパンツスタイルにし、足元は多少汚れても差し支えない靴を選びましょう。

施主に気を遣わせず、かつ、くだけすぎない適度なカジュアルスタイルが理想です。

香典の準備

納骨式の参列者は、香典を持参します。

納骨式の香典の相場は、会食付きなら1万円、会食なしでは5千円程度です。

香典袋は白黒の水引がついた香典袋を選びましょう。地域によっては黄白の水引とするところもあります。 表書きは、四十九日までなら、浄土真宗以外は「御霊前」、それ以外は「御仏前」とします。

迷う場合は「御香典」とすれば、どんな場合でも失礼にあたりません。 香典袋は、ふくさに入れて持参します。

まとめ

以上、納骨についてまとめました。 納骨式をするとき、または納骨式に参加するときの助けになれば幸いです。

供養のための儀式にはたくさんの準備がともないますし、気をつけるべきことも多いものです。

しかし、マナーを知っておけば、心にゆとりを持つことができます。 心にゆとりがあれば、より故人を供養することに集中できるでしょう。 準備を万端にして、穏やかな気持ちで納骨式に臨みましょう。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

日本では火葬の際に遺骨を拾う文化がありますが、欧米諸国の火葬事情は少し異なります。火葬場へ行くことはあっても、火葬炉の前まで遺族が行って棺を納めるところまで見届ける構造になっている火葬場はそう多くありません。また基本的に収骨はせず、後日引き取るか、宅配で送ってもらうところもあります。その場で隣接する墓地への納骨をすることが義務とされている国もあります。

現在、日本では異なる文化、信仰を持つ人が増えています。葬送文化も多様化することが予想されます。

お墓・墓地・霊園の基礎知識を解説