お墓参りのお供え物にはマナーがある!避けたほうが良い2つのお供え物を紹介
お墓参りのお供え物とは?徹底解説
- 五供はお墓参りの基本で、香・花・灯・水・食物を供える。
- 故人の好物や旬の品が良く、五辛や肉魚は避ける。
- お墓参りは持ち物確認、参拝、清掃、供え物献上の順。
- 供え物は持ち帰り、墓石には直置きせず敷物を使う。
お盆や、お彼岸を迎えるとお墓参りをする人が増えます。
お墓離れが謳われている現代ですが、お墓参りの習慣はいまだに根強く残っているのが日本の特徴です。
その証拠に、日本の企業の多くはお盆時期に長期休暇をとります。
あなたは最近、いつお墓参りに行きましたか?
今の自分が現世に存在しているのは紛れもなく先祖がいてくれたおかげです。
なんとなく習慣でお墓参りしている人もいるかもしれません。
しかし、せっかくならしっかりとお墓参りの意味や、お供え物の知識を学んでみてはいかがでしょうか?
そこで、ここでは正しいお墓参りの流れや、お供え物について解説いたします。
今までのお墓参りよりも充実した先祖への供養ができるようになるでしょう。
希望にあったお墓を見てみる
実際にお墓を探したいという方は、「ぴったりお墓診断」を使って近隣のお墓をチェックしてみましょう。
4つの質問で見つかる!
Q. お墓は代々継いでいきたいですか?
この記事の目次
お供え物の本当の意味
お供え物は基本的に仏様や故人、ご先祖様へ感謝の意を示すための一つの方法です。
実際に仏様や故人が食べるわけではありませんが、自分が現世で生きていることへの感謝を伝えるアイテムともいえます。
自宅で仏壇にお供え物をあげる場合
仏壇へ供えるお供え物は、故人に対してというより仏様への献上の意味合いが強くなります。
私たち人間は、「自分の力で毎日を生きている」という傲慢な気持ちが、ついついでてきてしまいがちです。
しかし、自分が「現世に生かされている」という意味に気がつくとお供え物の本質にも近づけるのではないでしょうか。
お墓参りをする場合
お墓参りをする際は、先祖や故人に対する供養としてあげられる傾向です。
宗派などによって細かい意味は異なりますが、本質は自分の命への感謝になります。
ご先祖様のひとりでも欠けていたら自分が存在していないわけですから、先祖の存在の尊さが伝わってくるでしょう。
そういった気持ちを表すため、故人が好きだった物などをお供え物としてお供えします。
お供え物については「お供え物に想いを込めて 故人様や家族が喜ぶ方法をお教えします!」でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
仏教におけるお供え物の基本は「五供(ごく・ごくう)」
仏教でお供え物といった場合は、五供(ごく・ごくう)がお墓参りの基本となるお供え物です。
「香」「花」「灯燭」の定番となる3種類に、「浄水」および「飲食」を加えた5種類がマナーとされています。
ここでは、五供についてみていきましょう。
香
香とは、香りがする物で、主にお線香を指します。だれでもお線香を仏壇などにあげたことはあるのではないでしょうか。これは故人にとっては食べ物や場を清めるという意味合いもあります。手軽に供養できるという面では認知度が高いでしょう。
花
花は、その名の通り献花のことです。花は香りだけでなく、故人が宿るともいわれています。
仏教ではシキミという植物をお供え物として献上していました。
なぜなら、シキミには毒が含まれているからです。
昔の埋葬方法は現代の火葬ではなく、土葬だったため動物が掘り返してあらすというリスクもあったといわれています。
灯燭(とうしょく)
灯燭とは、ろうそくのことです。故人の道を照らしたり、慈悲を表したりするお供え物になります。
自宅の仏壇ではお線香をあげる際に、ろうそくを利用することは多いでしょう。
しかし、お墓参りでは忘れられがちです。
昔からの風習では、お墓の前に灯籠があったためそれがお供え物の代わりとなりました。
浄水
浄水は場を清めるためのお水です。昔の人であれば、仏壇に毎日お水をあげているという光景をみたことがあるでしょう。
お墓参りにおいても、水は重要なお供え物といえます。
墓地にも水道があるため、持参しなくてもお供えできる物ですが、掃除をするときの水桶とは分けて、できるだけきれいな水を献上しましょう。
飲食(おんじき)
飲食という文字通り、飲んだり食べたりする物です。お墓参りにおいては、お菓子やくだもの、ジュース、お酒などがポピュラーといえるでしょう。
お墓にお供えする際は、そのまま置かず、下に半紙など敷いてから置くことが一般的です。
お墓参りにおすすめのお供え物2選
お墓参りの際にはおすすめのお供え物もあります。上記で説明した五供を意識することもよいでしょう。
また、一般的には日持ちする焼き菓子などが多い傾向です。
しかし、あまり細かく考えず「故人が好きだったもの」「季節に合わせたもの」などもおすすめといえます。
1.故人の好きだった食べ物や飲み物
迷った際は、故人が好きだった食べ物や飲み物などをお供え物とするのが良いでしょう。
生前故人が好んでいた物を選んでいくことで、より一層心のこもった供養となります。
例えば、タバコやお酒が好きであれば、それらとともにおつまみでも添えてあげれば故人も喜ぶでしょう。
だれのための供養なのかを意識すると選びやすい傾向です。
2.季節に合わせた旬の食べ物
季節に合わせた旬のくだものなどもおすすめです。一般的にお墓参りをする時期は、お盆やお彼岸になります。
お彼岸は3月の春彼岸と9月の秋彼岸と年に2回ありますので、旬のくだものなどを選ぶと良いでしょう。
お供え物としては丸いくだものを選ぶということも一つの手です。
なぜなら、丸い物は「円」であることから、故人との「縁」につながるという意味合いがあるからです。
避けたほうがよい2種類のお供え物
お墓参りの際には、避けたほうが良いお供え物もあります。頭に入れておかないと、恥をかくだけでなく、マナーがない人と思われてしまう可能性がありますので気をつけましょう。
1.五辛(ごしん)
にら、にんにく、ねぎ、らっきょう、はじかみ(しょうが、さんしょう)の5つを五辛といい、お供え物にはふさわしくないとされています。
においや辛みが強い野菜は、古くから仏教で食べることを禁じられていました。
その名残でタブー視されています。
また、たまねぎなども避けたほうがよいとされている寺院もあるようです。
2.肉や魚
肉や魚についてもお供え物としてふさわしくないといわれています。
なぜなら、「殺生」をイメージさせる物だからです。
そのため、故人が好きだったとしてもお墓参りのお供え物には避けたほうが無難でしょう。
肉や魚は傷みやすく日持ちがしないため、お供え物に適さないという見方もあります。
お墓参りの流れとお供え物の作法
お墓参りの流れやお供え物の正しい作法を学んでおくことで安心して故人の供養ができるでしょう。
そのためには、ポイントを押さえておくことが重要です。
お墓参りをするまでの5つの流れ
お墓参りは大きく分けて5つの流れがあります。
なんとなく先祖のお墓へ行って合唱礼拝して帰ってくるという人も多いかもしれませんが、時間があるときは丁寧にお参りしてみることもおすすめです。
1.お墓参りの持ち物をチェック
お墓参りをする前に、持参する物をしっかりチェックしておきましょう。
一般的に必要になる物は、「お線香」「お花」「ろうそく」「ライター」「お供え物」などです。
現地で調達するのか、持参するのかを決めておくとスムーズにお墓参りができるでしょう。
2.寺院の場合は本堂にお参りする
寺院墓地の場合は、先祖のお墓へ足を運ぶ前に本堂をお参りしましょう。
合祀墓などもある場合は、そちらもお参りするのがおすすめです。
民営墓地や公営墓地でも合祀墓など永代供養のお墓があるケースが多いので、その場合はそちらもお参りしましょう。
3.両隣のお墓にもお参りする
先祖のお墓の両隣にお墓があれば、そのお墓にもお参りをしましょう。
どうしても故人のお墓へ直行してしまいがちですが、さまざまな人たちにお世話になっているという感謝をお参りで表せるとベストです。
4.お墓の掃除をする
お墓参りを始める前に、まずはお墓の掃除から行います。365日、雨風にさらされているお墓ですから、丁寧に心を込めて掃除しましょう。
先祖のお墓の敷地から草や木が周りのお墓に伸びきっていないかなどのチェックも重要です。
墓石の掃除については「きれいに墓石の掃除をする方法!掃除の手順と代行業者の紹介」で詳しく解説しています。
5.先祖のお墓にお参りする
ようやく先祖のお墓のお参りを行います。お花とお供え物を献上して、墓石にお水をかけて浄化してあげましょう。最後にお線香をあげて合掌礼拝をします。先祖へ近況などをしっかり報告して、自分の命があることに感謝の意を伝えましょう。
お供え物の置き方や敷き紙は半紙や懐紙
お供え物をお墓に置く際は、直接ではなく敷き紙をします。半紙や懐紙(かいし)が無難です。懐紙とは、懐に入れておけるぐらいの小ぶりの和紙になります。
そのままお供え物を置くことはマナーとしてもふさわしくないですが、墓石を傷めてしまう可能性もありますので気をつけましょう。
ここまでは、お墓参りをする流れについて解説いたしました。正しいお墓参りの方法を知ることで、いつもとは違った気持ちで先祖を供養することができますね。
納骨堂へのお参り
屋内にある納骨堂では、お参りの仕方は変わります。納骨堂によって、「個別スペースがある」「線香に火をつけてはいけない」などさまざまです。下記の記事で詳しくは、説明しています。
お墓参りのときに押さえておきたいお供え物のマナー
お供え物にはしっかりとマナーもあります。
墓地を清潔に保つためにもお供え物をあげっぱなしにならないよう注意しましょう。
お供え物は持ち帰るのが基本
お墓参りの際のお供え物は、基本的に帰宅する際に持って帰ります。
なぜなら、食べ物や飲み物をそのままおいておくと、動物に荒らされてしまったり、腐ってしまったりするからです。
例えば、公営墓地や民営墓地などは、禁止事項として看板が設置されていることも珍しくありません。
立つ鳥跡を濁さずという精神で、お墓参りが終わった際はお供え物を持ち帰るのを忘れないように心がけましょう。
持ち帰らずに飲食することはマナー違反ではない
お墓参りをしたとき持参したお供え物を、墓地で食べてしまうというのも一つの方法です。
お墓で持参したお供え物を食べることはマナー違反に感じる人もいるかもしれません。
しかし、お墓参りは故人の霊を慰める供養ですので、故人が困るようなことでなければ問題ありません。
むしろ、そのままお供え物を置いていかれて、腐ったり、荒らされたりしてしまうほうが故人にとっては困ることなのです。
お墓参りした人たちで供養の気持ちでいただきましょう。
お墓参り後に持ち帰ったお供え物は食べてしまってOK
お供え物を持って帰ってきた場合は、自宅で食べてしまいましょう。なかには、持って帰ってきたお供え物を自宅の仏壇にお供えする人もいるかもしれません。
しかし、基本的にお墓参りでお供えした時点で、ご先祖様が召し上がった物です。形は残っていたとしても、供えるほうが失礼になりますので、食べてしまいましょう。
ここでおさらい!お墓参りの時に気をつけたいマナー
お墓参りをするときは、「派手過ぎない服装にする」「あまり大きな声でおしゃべりしない」など、他にお参りに来ている人にも配慮した方が良いです。
まとめ
何気なく行っているお墓参りやお供え物ですが、思っている以上に奥が深いですね。
今まで、形式的だったり、慣例行事だったりするからという理由でお墓参りしていた人も、きっと違った視点でお供え物ができるのではないでしょうか。
これまで説明してきた内容をおさらいしてみましょう。
この記事のまとめポイント
- お供え物は、仏様や故人、先祖の霊を慰め供養するための物
- お供え物の基本は五供(ごく・ごくう)
- 五供とは、香・花・灯燭・浄水・飲食(おんじき)の5つ
- お墓参りのお供え物は「故人が好きだった物」「季節の旬な物」がおすすめ
- 避けたほうが良いお供え物は「五辛」「肉や魚」の2種類
- 五辛とは、にら・にんにく・らっきょう・ねぎ・はじかみ(しょうが、さんしょう)のこと
- お墓参りの際は、持参する物をしっかりチェック
- 寺院墓地の場合は、まず本堂や合祀墓にお参りをする
- 先祖のお墓の両隣にあるお墓にもお参りする
- お墓の清掃は、日ごろの感謝の意味を考えながら丁寧に行う
- お花やお線香、お供え物、お水をあげてからお参りする
- お供え物を墓石へ置く場合は、半紙や懐紙などの敷き紙の上にする
- お墓参りの際のお供え物は持ち帰ることが基本
- お供え物は、お墓参りの際にその場で食べてしまってもOK
- お供え物を持ち帰った場合は、仏壇に供えず、食べきってしまう
お供え物は一部ふさわしくない五辛や殺生をイメージさせる物などがありますが、基本的に自由度が高いです。
お墓参りの際に「なにをお供えしよう」と迷ってしまうようであれば「故人が好きだったもの」「旬のくだもの」などを持参しましょう。
先祖を丁寧かつ、心を込めて供養することは、先祖への感謝、ひいては自分自身を大切にしていることにつながります。そのため、ポイントをしっかり押さえて気持ちの良いお墓参りをしましょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
お墓参りの作法というと、堅苦しいイメージになってしまいますが、「こうしなければいけない」という決まり事はほとんどありません。
お花をお供えして墓石をきれいにしてお参りする、というシンプルなもので、寺院境内のお墓であればお墓に行く前に本堂にお参りします。
お墓参りの際はしゃがんだ方が良いともいわれていますが、墓石のカタチや墓地の状況にもよります。
線香は1本が良いのか、束が良いのか聞かれることもありますが、どちらでもかまいません。
ただ数束を一度に焚くと温度が上がり、墓石を傷める可能性があるので避けたほうが無難です。
供物はお供えをした後は必ず持ち帰りましょう。お酒を墓石の上からかける人もいますが、シミの原因にもなりますので避けましょう。