年金はいくらもらえる?年収や家庭状況別に受給できる年金額を紹介
テレビやメディアなどで年金不足問題が大きく報道される中、「結局年金っていくらもらえるのだろう?」と不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
確かに年金に関する話題は、老後生活においてとても重要なものです。場合によっては年金額が不足し、老後破産に繋がる可能性もあります。
だからこそ年金がいくらもらえるのか、そこに関心を持つのは当然のことでしょう。
結論からいうと、受給できる年金額は人によって大きく異なります。なぜなら日本の年金制度は複雑な仕組みになっており、納付月数や職業によっても受給年金額が変わってくるからです。
この記事では、年金の種類を図表でわかりやすくご説明した上で、もらえる年金の金額についても触れていきます。記事を最後まで読めば、ご自身が受給できる年金の種類と大体の金額を把握することができます。
金額を把握した結果、年金額不足が判明する場合も当然ながらあります。
そのような場合の具体的な対処法についてもご案内していますので、ぜひ参考になさってください。
動画で年金の仕組みについて詳しく知りたい場合は、こちらの動画をご覧ください。
この記事の目次
いくらもらえる?職業別の年金の種類と受給額
日本の年金は3階建ての構造になっており、それを建物に模して表現されるのが一般的です。ただ全ての人が3階分全ての年金を受け取れるのかというと、決してそんなことはありません。年金は職業によって種類が異なるからです。
日本で一般的な年金を下記一覧表にまとめましたので、ご覧ください。
※公務員の年金については被用者年金制度一元化後の分類を記載
参考 文部科学省共済組合資料
一覧表を簡単にご説明すると、強制加入の年金は1階の国民年金と2階の厚生年金、任意加入および企業によって取り扱いの異なる年金は2階の付加年金と3階の全ての年金となっています。左側にそれぞれの階層が表記されており、職業によってもらえる年金の階層が異なっています。
例えば自営業者であれば強制加入の年金は国民年金だけなので、もらえる年金は基本的に1階部分のみです。対して会社員または法人役員の場合、強制加入の年金が国民年金+厚生年金の2階建てなので、1階分と2階分を合計した金額の年金を受給することができます。このように、もらえる年金額は過去に就いた職業によって計算が変わってきます。
国民年金と厚生年金は「公的年金」、それ以外の年金は「私的年金」に分類されます。厚生労働省年金局の資料(※)によると、平成30年度の国民年金の平均受給月額は約5.6万円、厚生年金の平均受給月額は約14.4万円となっています。
ただしこの金額はあくまで平均値です。実際にいくら年金がもらえるのか、次章で詳しく見ていきましょう。
※厚生労働省年金局 平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
老後にもらえる年金の平均受給額
厚生労働省年金局の資料によると、老後にもらえる年金の平均受給月額は以下2つとなっています。
- 国民年金 5.6万円
- 厚生年金 14.4万円
それぞれの年金受給額について、詳しくご説明していきます。
国民年金は約5.6万円
国民年金の平均受給月額は約5.6万円です。
国民年金は、日本国内に居住している20歳~60歳未満の全ての人が加入する年金です。
年収や職業に関係なく、一律の保険料を納める仕組みになっています。したがって受給年金額も全ての人で一律の金額が毎年設定されます。令和2年度の国民年金の金額は年間781,692円で、ひと月あたり65,141円が支給されています。
注意点として、この約78.1万円は「40年間全額を納付した場合の金額」です。つまり未納の期間がある場合や免除された期間があると、年金が減額されて支給されることになります。
納付済期間が10年未満(納付月数120ヶ月未満)の場合に関しては、年金の受給資格さえ無くなってしまうため、注意しなければなりません。
ただし、未納や免除の期間分も追納(所定期間経過後に遡ってお金を払うこと)ができるようになっています。減額期間分があるようであれば、年金受給時までに必ず精算しておくようにしましょう。
厚生年金は約14.4万円
厚生年金の平均受給月額は約14.4万円です。厚生年金は国民年金に上乗せして支給されるので、国民年金受給額+厚生年金受給額が実際の受給額になります。
いわゆる「社会保険」で給料から天引きされる年金が、厚生年金です。厚生年金は労使折半で保険料を納める仕組みになっており、雇用先企業と労働者で半分ずつ負担することになっています。
厚生年金は国民年金と違い、一律の受給年金額が設定されていません。厚生年金の年金受給額は、以下2つの観点で計算されます。
- 加入期間
- 年収(標準報酬月額)
したがって加入期間が長ければ長いほど、過去の年収が高ければ高いほど、もらえる年金額も多くなります。
老後支払う税金について詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
年金の受給は原則65歳から
年金の受給は原則として65歳からです。
受給する年齢は年々引き上げられ、現状の65歳になっています。65歳も、今後高齢化社会が加速するにつれて引き上げられる可能性があります。
実は年金支給開始年齢が65歳なのに対し、雇用契約の満了年齢を意味する「定年」自体は、ほとんどの企業で60歳から変わっていません。
平成29年度の厚生労働省発表資料(※)によると、定年制を定めている企業の約80%が60歳を定年としているのです。つまり「65歳まで今の年収で働いて、65歳からは年金だから安泰」というわけでもないということです。
60歳で定年した場合、65歳までは「再雇用制度」で再度契約を結びなおすのが一般的です。しかしながら再雇用制度では賃金体系も一新され、ほとんどの場合で給料が大幅に減少します。実際に、現役時から約5分の1まで月収が下がってしまった人もいるほどです。
場合によっては、60歳で雇い止めになってしまう可能性もあります。そのような場合は年金の「繰り上げ受給」を検討することになります。
厚生労働省 平成29年就労条件総合調査 結果の概況 定年制等
老後の資金がいくら必要か詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
年金の「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」
年金には60歳~64歳で早めに受給する「繰り上げ受給」と、66歳以降70歳で少し遅れて受給する「繰り下げ受給」という取り扱いがあり、期間に応じて1ヶ月あたりの受給額は増減します。
60歳で雇い止めになった場合に関しては繰り上げ受給を検討することになるかと思います。ただ、受給できる年金月額も少なくなってしまうので、可能であれば65歳までどこかの企業で就業するほうが、老後の負担は少ないでしょう。
ここまで年金を受給できる年齢と定年制の注意点、繰り上げ・繰り下げ受給について解説してきました。ただ実際の年金額は年齢や加入している年金によって大きく変わってきます。実際に受け取れる年金額にどれくらい差があるのか、見ていきましょう。
最新!年代別にもらえる国民年金の平均受給額
国民年金は、毎年支給額が変わっています。これは物価の推移や社会情勢による背景も含め、厚生労働省が年金額を改定しているからです。
国民年金の受給額は、非常にシンプルな計算式で算出することができます。下記をご覧ください。
781,700円(国民年金の満額)×{{保険料納付済月数+(免除等月数×所定割合)}/480}
例えば20~60歳までの40年間保険料を納めた場合、納付済み月数は480ヶ月になります。したがって480ヶ月÷480=1という計算になり、781,700円を受け取れます。
受給平均月額には年代によって少し差があります。年齢別の国民年金平均月額を以下にまとめました。
国民年金 年齢別平均月額 | |
---|---|
年齢 | 平均月額 |
60-64歳 | 41,790円 |
65-69歳 | 56,831円 |
70-74歳 | 56,429円 |
75-79歳 | 55,972円 |
80-84歳 | 56,336円 |
85-89歳 | 54,708円 |
上記表は令和2年度の年金額を前提として作成したものです。したがって今後の政府の方針次第では金額が変わってくる可能性もあるため、注意してくださいね。
※厚生労働省年金局 「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
次は、厚生年金の平均受給額について見ていきましょう。
年代・年収別にもらえる厚生年金の平均受給額
国民年金は一律の年金額が定められていますが、厚生年金の場合は月収(標準報酬月額)や年代によって受給額が大きく変わってきます。年代や年収別に年金がいくらもらえるのかを解説していきましょう。
最新!厚生年金の年代別平均受給額
まずは厚生年金の年代別平均受給額について見ていきます。
厚生年金 年齢別平均月額 | |
---|---|
年齢 | 平均月額 |
60-64歳 | 79,135円 |
65-69歳 | 144,521円 |
70-74歳 | 146,813円 |
75-79歳 | 153,816円 |
80-84歳 | 161,663円 |
85-89歳 | 164,831円 |
90歳以上 | 160,367円 |
※厚生労働省年金局 「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
上記は厚生労働省の資料をもとに、年代別の厚生年金の月額をまとめたものです。年代別で厚生年金の受給額に少し差があるのがわかるかと思います。
なぜ差が生じているのかというと、法律改正が影響しているからです。以前の厚生年金は60歳から受給開始でしたが、法律の改正によって、段階的に受給開始年齢が引き上げられていきました。その際に年金額自体も見直しになったのです。
今後政府の方針によって減額される可能性も十分にあるということを理解しておきましょう。
続いて、年収別の受給額について見ていきましょう。
厚生年金の年収別受給額
厚生年金は月収(標準報酬月額)によって納める保険料が変わる仕組みになっており、当然ながら支給される年金額も、納めた保険料の多い人ほど増えるようになっています。
ただし厚生年金の場合は途中で法律が改正されている背景から、計算がかなり複雑です。実は定期的に送付されている「ねんきん定期便」を見るだけで厚生年金の受給額は確認可能なのですが、手元に無い場合もありますよね。
そこで一定の条件をもとに、年収ごとの想定年金月額を三井住友銀行のツールにて試算しました。
シミュレーション前提条件
- シミュレーション設定年齢 65歳
- 性別 男性
- 就業開始年齢 20歳
- 就業終了年齢 60歳
厚生年金 年収別想定月額 | |
---|---|
納付期間中の平均年収 | 想定月額 |
300万円 | 5.6万円 |
400万円 | 7.5万円 |
500万円 | 9.4万円 |
600万円 | 11.3万円 |
700万円 | 13.1万円 |
800万円 | 15.0万円 |
900万円 | 16.2万円 |
上記のように、納付期間中の平均年収によって厚生年金の想定月額は変化するようになっています。したがって現役時の平均年収が低いケースほど、老後資金の備えを十分に用意する必要があるでしょう。
では、老後はどの程度の年金受給額で生活していくことになるのでしょうか。実際の老後生活における世帯ごとの年金受給額を見ていきましょう。
世帯別で見る年金受給額の試算例
年金受給額は人によって異なるとお伝えしましたが、世帯によっても大きく異なります。例えば夫婦共働きであれば両方が厚生年金を受給できますし、対して自営業であれば、受給できるのは2人分の国民年金だけです。
このように世帯によって年金額が大きく変わってきます。ここでは、以下3つについて解説します。
- 夫婦共働き家庭の年金受給額
- 会社員+専業主婦家庭の年金受給額
- 夫婦で自営業を営む家庭の年金受給額
※平均支出は総務省統計局 令和元年度家計調査報告「高齢夫婦無職世帯」の数値より23.9万円に設定
共働き
共働き夫婦が65歳になったときに受け取れる年金額を試算していきます。シミュレーションの前提条件は下記のとおりです。
共働き家庭の年金額シミュレーション
夫の現役時平均年収 600万円
妻の現役時平均年収 400万円
年金受給額と支出
【夫の年金受給額】
- 国民年金:6.5万円
- 厚生年金:11.3万円
- 計:17.8万円
【妻の年金受給額】
- 国民年金:6.5万円
- 厚生年金:7.6万円
- 計:14.1万円
【夫婦の年金合計】
- 合計:31.9万円
【平均的な支出】
- 23.9万円
【最終的に手元に残る金額】
- 8万円
共働き夫婦の場合、両方が厚生年金の対象者ということもあり、世帯の年金合計額は31.9万円と余裕があります。そこから平均的な支出額である23.9万円を差し引いたとしても、最終的に8万円手元に残るような試算結果になっています。
このような家計であれば、老後資金と年金を活用して生活に余裕を確保することができるでしょう。
もし仮に老後資金が心もとない状況であったとしても毎月の家計に余裕があるので、ある程度不測の事態にも対応できると想定されます。
会社員+専業主婦
会社員+専業主婦の世帯の年金はどのぐらいの金額になるのでしょうか。会社員+専業主婦世帯の年金額試算は下記のとおりです。
共働き家庭の年金額シミュレーション
夫の現役時平均年収 500万円
年金受給額と支出
【夫の年金受給額】
- 国民年金:6.5万円
- 厚生年金:9.4万円
- 計:15.9万円
【妻の年金受給額】
- 国民年金:6.5万円
- 計:6.5万円
【夫婦の年金合計】
- 22.4万円
【平均的な支出】
- 23.9万円
【最終的に手元に残る金額】
- -1.5万円
会社員+専業主婦世帯の家計は、毎月1.5万円の赤字という試算結果になりました。共働き家庭とは違い、妻の厚生年金分の受給がないことが要因です。
専業主婦は国民年金における第3号被保険者に該当し、第2号被保険者に扶養されることで保険料を納付する必要がありません。その分受給できる年金額は少なくなっています。
65歳から日本の平均寿命である84歳まで月1.5万円の赤字が続くと仮定した場合、最低でも342万円の老後資金が必要になります。
もちろんこれは生活の余白を考慮しない最低限度の金額なので、実際には入院時の医療費や介護費等も含め1,000万円~2,000万円程度の老後資金を確保しておくほうが良いでしょう。
自営業
自営業者の場合、対象になる年金は国民年金のみになります。夫婦で自営業を営んでいる世帯の年金額シミュレーションは下記のとおりです。
共働き家庭の年金額シミュレーション
夫と妻の現役時平均年収の合計:800万円
年金受給額と支出
【夫の年金受給額】
- 国民年金:6.5万円
- 計:6.5万円
【妻の年金受給額】
- 国民年金:6.5万円
- 計:6.5万円
【夫婦の年金合計】
- 13万円
【平均的な支出】
- 23.9万円
【最終的に手元に残る金額】
- -10.9万円
国民年金には、会社員のような扶養の概念がありません。したがって夫婦で自営業を営む場合、ふたりともがそれぞれ国民年金の第1号被保険者になります。
ただ、国民年金の支給額は年間約78万円(一人あたり)と少なく、老後生活には不安が残ります。月10.9万円の赤字となると、65歳で現役を引退するとして、平均寿命まで最低でも2,485万円の老後資金を確保しなければなりません。
この金額は裕福な生活を前提としたものではなく、現役時に比べかなり質素な水準で計算したものです。したがって倹約しなければ必要な老後資金はもっと大きい金額になるでしょう。
自営業は、ご自身で現役を引退するタイミングを決めることが出来るため、体調との兼ね合いを考慮しつつ、必要な老後資金額を試算することが重要でしょう。
このように、世帯によって必要な老後資金額は全く異なります。では、どの程度の老後資金を用意しておけば安心なのでしょうか。次章でわかりやすく触れていきましょう。
老後の生活が安定する資金目安は1世帯あたり約3,000万円
前章のシミュレーションで「最低限必要な老後資金」については軽く触れましたが、実際には緊急の入院代や介護費、冠婚葬祭費用など、様々な出費が発生します。安定した老後生活を送れる資金を考えるのであれば、「1世帯あたり3,000万円」が妥当でしょう。この金額は年金とは別に用意しておくのがベストです。
3,000万円と聞くと非常に大きな金額に思えますが、実際に計算してみると妥当な金額であることがわかります。3,000万円を65歳から現在の平均寿命である84歳までの19年間で割ると、ひと月あたり約13.2万円です。
もちろん前章で触れたように年金額は世帯によって大きく異なるため、一概に全ての人が3,000万円必要というわけではありません。
1つの目安として、「3,000万円程度の老後資金が必要になる場合もある」と認識しておくことが大切です。
では、老後資金が足りない世帯はどのように確保していけば良いのでしょうか。次の章で老後資金の作り方についてご紹介していきます。
+αに備える!老後資金を作るための4つの方法
老後資金を作る方法には様々なものがあります。ただ普通預金でコツコツというレベルの金額ではないので、可能なかぎり効率良く資金を貯めていかなければなりません。
そのような場合に有効なのが、下記の4つの方法です。
老後資金を作るための4つの方法
- 確定拠出年金
- つみたてNISA
- 国民年金基金
- 財形貯蓄
それぞれの基本的な意味とメリットをご説明していきます。
確定拠出年金
確定拠出年金とは、日本における年金の「3階」に位置する私的年金です。確定拠出年金には企業型と個人型の2種類があり、それぞれ取り扱いが異なります。
確定拠出年金の分類
【企業型】
従業員を雇用している企業が制度を導入し、掛け金(運用する元の資金)を出してくれる仕組みです。掛け金は金融機関に委託され、従業員の指示で運用します。掛け金は従業員の専用口座に積み立てられて、将来的に得られた収益とともに年金として受け取ることができます。得られた利息等の運用益は全額非課税になります。
【個人型】
「iDeCo(イデコ)」という名称で知られています。個人が金融機関に申込を行い、開始する仕組みです。掛け金も申込者本人が支払い、金融機関に委託します。本人が支払った掛け金は全額所得控除になり、結果的に所得が減って節税に繋がります。また得られた収益に対しても非課税になります。
確定拠出年金の企業型は、企業が掛け金を出します。したがって勤務先に確定拠出年金の制度が導入されていなければ、加入することはできません。対して個人型の場合、金融機関に申込さえすれば自由に加入することができます。
企業型と個人型の共通のメリットとして、運用で得られた収益に対しては課税されません。
また個人型の場合、所得控除による節税効果があります。受け取るときにも税制優遇があるため、老後の年金を補うのには最適な制度でしょう。
確定拠出年金は「節税しながら資産を運用して資金を増やせる」という点が大きなメリットといえます。
つみたてNISA
つみたてNISAは、長期的資産形成の促進を目的とした制度です。金融機関が窓口となって加入することができ、年間40万円の非課税投資枠で資産を運用します。
非課税投資枠内で得られた利益は、課税されません。非課税投資枠は毎年40万円で、最大20年間運用することができます。
つみたてNISAは、最大でも月3.3万円程度の金額を長期的に少しずつ積み立てていく制度なので、老後資金の確保にピッタリです。
ただし掛け金が所得控除になるといった節税メリットはないので、年金を補うという意味では確定拠出年金のほうが適しているでしょう。
国民年金基金
国民年金に上乗せして加入する制度です。加入できるのはあくまで第1号被保険者のみで、会社員や会社員に扶養されている配偶者は加入できません。
国民年金基金は会社員等に比べるとどうしても年金が少なくなる第1号被保険者に対し、老後の所得保障として用意されているものです。
掛け金は最大月68,000円(※確定拠出年金にも加入している場合は両方の合計額)で、拠出した金額は全額所得控除になります。
したがって節税しながら老後資金を積み立てられるというメリットがあります。
財形貯蓄
企業と金融機関の間で契約し、労働者が給与から天引きで資金を積み立てていく制度です。通常の預金より利率が良く、計画的に貯蓄できる仕組みになっています。
「財形年金貯蓄」や「一般財形貯蓄」などいくつかの種類がありますが、いずれも天引きで積み立てるという点は同じです。財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄を合わせて最高550万円まで利息が非課税になるというメリットがあります。
ただ金利が良いとはいっても、昨今は非常に低い利率になっています。したがって利息による資産増加はあまり期待できません。
また勤務先の企業が制度を導入していなければ加入できないので、利用できる人は限られます。
節税面のメリットも他制度と比べると見劣りしてしまうので、効率的な老後資金の積み立てが目的であれば、確定拠出年金や積み立てNISAを優先して利用したほうが良いでしょう。
まとめ
現在の年金額の平均は、国民年金で月5.6万円、厚生年金で月14.4万円です。ただしこれらの金額はあくまで1つの目安に過ぎません。正確に把握したいのであれば、ねんきん定期便を確認するようにしましょう。
その他、年金額を把握する上で重要なポイントは下記の9つです。
- 日本の年金は建物にたとえられ、3階建ての構造になっている
- もらえる年金は職業によって異なる
- 強制加入の年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類
- 国民年金の満額は年収等に関係なく一律。ただし加入期間が短くなることで減額される
- 厚生年金は加入期間と年収(標準報酬月額)で金額が変わる
- 日本の年金は65歳から支給される
- 年金支給開始は65歳だが多くの企業の定年自体は60歳から変わっていないため、60歳以降の収入低下に注意
- 世帯によって受給できる年金額は大きく異なるため、ご家庭ごとに試算が必要
- 年金に不安があるなら「確定拠出年金」「つみたてNISA」「国民年金基金」「財形貯蓄」などの制度を上手く活用して資金を確保する
いずれも老後生活を安心して送るために重要なポイントです。1つずつチェックしておきましょう。