老後の貯金はいくら必要?安心して老後生活を送る4つの貯金方法

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金融庁が発表した報告書で話題となった「老後2000万円問題」。老後には2000万円の貯金が必要と言われていますが、いろいろな情報が飛び交い、何が本当なのか分からなくなっている人もいるでしょう。 

現在は昔と比べて健康寿命が延び、老後に必要なお金も増えました。そのため、早いうちに老後のための貯金を始めることが重要です。

この記事では、老後に必要な貯金額と30~50代の平均貯金額、老後資金を貯めるための4つの方法についてご紹介します。

この記事の目次

  1. 老後を安心して生活するための貯金額は1人あたり約2000万円
  2. 年代別!各年代の平均貯金額は806万円!
  3. 30~50代におすすめ!老後に必要な貯金額を貯める4つの方法
  4. 一人で悩んでも分からない場合はお金のプロに相談
  5. まとめ

老後を安心して生活するための貯金額は1人あたり約2000万円

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老後に安心して生活するために必要な貯金額は約2000万円です。

総務省の『家計調査報告(家計収支編)2019(令和元年)平均結果の概要』によると、高齢夫婦無職世帯(夫が65歳以上、妻が60歳以上)の支出平均額は約27万とされています。この金額には食費や住居費、光熱費、保険医療費、交通費など日常生活にかかる支出が含まれています。 

一方、社会保障給付などの実収入平均額は月237659円で、月の不足分は支出額と比較して33269円です。この不足に対して私たちは貯金を用意しておく必要があります。

老後(60歳から)の期間を25年とすると、3万3269円×12ヶ月×25年=998万700円となり、約1000万円必要です。

そして、老後にかかるお金は生活費だけではありません。介護費用や葬儀費用もかかります。

生命保険文化センターが行った調査によると、介護経験がある人の平均介護期間は54.5ヶ月(47ヶ月)、毎月の介護費用は78000円、一時的にかかった費用は69万円でした。

介護期間54.5ヶ月×月78000円+69万円=4941000円となり、約500万円必要です。夫婦2人なら500万円×2人=1000万円あると安心です。 

日本消費者協会の『第10回葬儀についてのアンケート調査』(2014)によると、葬儀の平均額は1889000円です。夫婦2人なら3778000円となり、約400万円かかります。

さらに、趣味や旅行を楽しむなどゆとりのある生活をしたい、病気やケガの治療、災害に備えたい、持ち家をリフォームしたいなど安心して生活を送るためには、プラス数百万円用意しておきたいものです。

株式会社エアトリが実施した『「旅行にかけるお金」に関するアンケート調査』によると1泊2日の国内旅行でのひとりあたりの平均予算は男性が77,083円、女性が 67,457円でした。

このような金額を参考にすると、安心して老後を迎えるためには約2000万円の貯金があると安心ということが分かります。

老後に必要な資金について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。


年代別!各年代の平均貯金額は806万円!

預金通帳と印鑑
金融広報中央委員会の『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和元年調査結果』のデータをもとに算出してみると、30~50代の平均貯金額は約806万円です。 

各年代別に見てみると、30代は529万円、40代は694万円、50代は1194万円となります。なお、貯金額だけで一概に老後の資金が足りないことは判断できませんので、あくまで参考としてください。

30代の平均貯金額は529万円

30代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均貯金額は529万円です。借入金残高(借入金有無回答世帯)1274万円でした。借入の目的は「住宅の取得または増改築などの資金」と回答した人が77.8%と最も高かったです。 

上記で説明した通り529万円(貯金額)―1274万円(借入金残高)=-745万円となります。そのため、貯金額はあるものの貯金よりもローン返済が残っている家庭もみられます。

厚生労働省『賃金構造基本統計調査(令和元年分)』によると、30代男性の平均年収は3096000円となり、手取りは年収の80%とすると2476800円です。

年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)30代平均が11%なので、年間で272448円貯金していることになります。30歳から65歳まで貯金を続けると、272448円×35年+現在の平均貯金額529万円=約1483万円貯まります。

しかし、老後までに3000万円貯めるとすると1517万円も足りなくなってしまいます。老後に必要な貯金額を貯める方法については後程解説します。

40代の平均貯蓄額は694万円

40代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均は694万円です。借入金残高(借入金有無回答世帯) 1088万円でした。借入の目的は、30代と同じく「住宅の取得または増改築などの資金」と回答した人が最も多く78.3%です。 

30代と比べると貯金額は165万円増え、負債は186万円減っています。しかし、694万円(貯金額)―1088万円(借入金残高)=-394万円となるため、十分に貯金できていない家庭のほうがが多いのかもしれません。

40代男性の平均年収は3753000円となります。手取りは年収の80%とすると3002400円です。

年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)40代平均が9%なので、年間27216円貯金に回しています。40歳から65歳まで貯金を続けた場合、27216円×25年+現在の平均貯金額694万円=約1370万円貯まります。 

50代の平均貯蓄額は1194万円

50代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均は1194万円です。借入金残高(借入金有無回答世帯) 632万円で、30代と比べると貯金額は2倍近くに増え、負債は半分にまで減っています。 

借入の目的は、30代・40代と同様に「住宅の取得または増改築などの資金」と回答した人が最多で、67%でした。しかし、30代、40代では10%未満だった「こどもの教育・結婚資金」が50代では21.6%と増えています。また、「土地・建物等の実物資産への投資資金」として借入を行う人も上昇傾向です。

504201500円となっています。手取りは3361200円です。

年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)50代平均が9%なので、年間302508円貯金しています。50歳から65歳まで貯金を続けると、302508円×15年+現在の平均貯金額1194万円=約1648万円貯めることができます。 

しかし、目標の3000万円にはあと1352万円必要です。

以上のことから、30代、40代、50代から人並みに貯金を始めても3000万円貯金するのは難しいことが分かりました。

老後破産に陥りやすい4つの原因とその対処法について知りたい人はこちらの記事もご覧ください。

30~50代におすすめ!老後に必要な貯金額を貯める4つの方法

協議 遺産分割
老後の資金を貯めるための方法として、30~50代におすすめなのが次の4つです。

  • ローンの返済計画を見直す
  • 確定拠出年金(iDeCo)をする
  • NISAをする
  • 積立投資信託をする

ローンの返済計画を見直す

ローン返済している人は返済計画を見直してみましょう。

住宅ローンの見直し方法には借り換えや繰り上げ返済、金利プランの変更があります。借り換えは、金利の低いローンに借り換えることで返済額を減らす方法です。繰り上げ返済は金銭的な余裕がある人におすすめで、一部だけでも返済をすることで返済期間を短縮できます。

金融機関によっては変動金利から固定金利、またはその逆に金利プランを変更できる場合があります。金利が高いプランで契約している人はプラン変更を検討してみるといいでしょう。

ローンには住宅ローン以外にも、自動車ローン、教育ローン、カードローン、フリーローンがあります。とくに住宅ローンは20年、30年と長期にわたって返済するため、場合によっては定年後もローン返済が続きます。

しかし、定年後にローンが残っていると収入より支出が多くなり毎月赤字になってしまうかもしれません。住宅は設備修繕や維持だけでも費用がかかるので、赤字になれば当然生活が苦しくなってしまいます。

住宅ローンの見直しは40代、50代におすすめです。定年後のライフスタイルについて考え始める時期なので、定年までに完済できるよう見直しをしましょう。

確定拠出年金(iDeCo)をする

確定拠出年金(iDeCo)は、加入者が積立投資をして自分で年金を準備する制度です。

iDeCoのメリットは、掛金は全額所得控除され、所得税や住民税を抑えることができることです。掛金を設定したら、定期預金や保険、投資信託など好きな金融商品で運用を始めます。上手に運用できれば賢くお金を増やせるので、忙しい会社員や主婦にもぴったりです。

iDecoで積み立てた資金は60歳になるまでは原則引き出せませんが、受給可能年齢に達すると老齢給付金として掛金と運用して得た利益を受け取れます。一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除の対象となります。

通常、金融商品の運用益には20.315%の税金がかかりますが、確定拠出年金(iDeCo)なら運用益は非課税です。

月々5000円から上限額まで1000円単位で掛金を設定でき、収支バランスにあわせて自由に運用できるのも確定拠出年金(iDeCo)の大きなメリットです。上限額は次の通り設定されています。

加入資格

具体例

掛金(上限額)

1号被保険者

自営業者

68000

2号被保険者

会社に企業年金がない会社員

23000

企業型確定拠出年金に加入している会社員

2万円

公務員や確定給付企業年金に加入している会社員

12000

3号被保険者

専業主婦(主夫)

掛金の額は1年に1回変更ができるので、生活状況が変わったタイミングで見直してもいいでしょう。

ただし、あくまで投資なので元本割れすることもあります。運用益が少なくなるかもしれませんが元本確保型の商品も選択可能なので、慎重に運用先を決めることが大切です。 

確定拠出年金(iDeCo)20歳以上60歳未満であればだれでも加入できますが、とくにおすすめなのが30代、40代です。加入期間が長いほど所得控除の恩恵があり、運用益が期待できるため加入を検討してみることをおすすめします。

なお、確定拠出年金(iDeCo)60歳から受給するためには、10年以上の加入期間が必要です。50代から始めると受給開始年齢が遅くなり、運用期間が短くなることで思ったような利益が得られないかもしれません。始めるなら50代前半までがいいでしょう。

NISAをする

NISA(少額投資非課税制度)は、毎年一定金額以下の投資で得た利益が非課税になる制度です。

株式投資や投資信託などで得た運用益や売却益には、通常税金がかかります。しかし、NISA口座を開設すれば、節税しながら投資ができるのです。

NISAには一般「NISA」と「つみたてNISA」の2種類があります。NISAは上場株式や投資信託など幅広い商品に投資できるので、株式投資をしたい人に向いています。

一方、つみたてNISAは積立専用のNISA口座で、毎月一定額をコツコツ積み立てる積立投資信託をしたい人に最適です。投資経験者なら一般NISA、投資初心者ならつみたてNISAがいいでしょう。

NISA

NISA日本在住の20歳以上であればだれでも口座開設できます。

口座はひとり1口座で、投資額は毎年120万円が上限です。非課税期間は最長5年で、株式や投資信託などから得られた配当金、分配金、譲渡益が非課税になります。

例えば、株式の売却で30万円の利益が出たら、通常は20.315%が課税されるためNISA口座でなければ6945円納めなくてはいけません。しかしNISA口座なら非課税となり、税金を納める必要がありません。

非課税期間の5年が過ぎたら売却、NISA口座以外の口座に移す、新たな非課税枠に移すこと(ロールオーバー)が可能です。

NISAは何歳から始めても最長5年は税制優遇のメリットがあるため、30~50代のすべての人におすすめです。とくにある程度貯金ができていて投資に回せるお金がある人、まとまったお金で一括投資したい人、特定の株式を購入して株主優待を得たい人に向いています。

購入できる金融商品は国内・海外上場株式、株式投資信託、国内・海外REIT(不動産投資信託)、国内・海外ETF(上場株式投資信託)ETN(上場投資証券)、新株予約権付社債(ワラント債)と幅広いので、これを機に投資を本格的に学んでみるのもいいでしょう。

つみたてNISA

つみたてNISAは長期の積立・分散投資をするための非課税制度です。一般NISAと同じく、売却益や分配金は非課税となります。

日本に住む20歳以上ならだれでも口座開設できますが、NISAとつみたてNISAの両方を開設することはできません。NISAを始めたい人は、一般NISAかつみたてNISAのどちらかを選んでください。

口座はひとり1口座で、投資枠は毎年40万円が上限です。最長20年間非課税となります。購入できる金融商品は、長期分散投資に向く公募株式投資信託とETFのみです。

つみたてNISAは長期にわたって積立投資を行うため、30代や40代におすすめです。毎月決まったタイミングで自動的に積立投資できるので忙しい人でも続けやすく、少額からスタートできるため初心者にも向いています。

一般的に投資は、長期にわたって運用することで得た利益をさらに運用して増やすことが可能です。買うタイミングを分散できる積立投資なら値動きがあってもリスクを分散でき、平均購入価格を抑えられます。

また、ひとつの銘柄だけに投資すると失敗したときの損失が大きくなりますが、投資信託なら様々な銘柄に投資できるためリスクを回避できます。

積立投資信託をする

積立投資信託は、毎月一定金額の投資信託を購入して積み立てることを言います。

投資信託は投資家から集めたお金をプロが株式や債券などに投資して運用する商品です。複数の金融商品に分散投資することで投資リスクを軽減し、少額でも購入できるため投資初心者に向いています。 

ただし、積立投資信託はじっくり時間をかけながら資産を作ることを目的としているので、短期間で利益を得ることは難しいです。

申し込み時、運用期間中、売却時にはそれぞれ手数料がかかり、実際の手取り利益が思ったより少なくなることもあります。投資のプロが運用しても元本保証されていないため、元本割れのリスクがあることも忘れてはいけません。

積立投資信託はつみたてNISAと同じく長期投資なので30代、40代におすすめです。売却益や分配金には税金がかかるため、積立投資信託に興味がある人は先につみたてNISAを始めましょう。

すでにNISAをやっていてつみたてNISAができない人、つみたてNISAでは取り扱っていない金融商品を購入したい人、つみたてNISAの上限額以上の投資をしたい人はぜひ検討してみてください。

老後の貯金がない場合の対処法についてより詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。


一人で悩んでも分からない場合はお金のプロに相談

家族、贈与
老後資金について不安を抱えている、お金を増やすため投資を始めるか迷っているなど悩みを抱えている人はお金のプロであるファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。

老後に必要なお金は、現在の年齢や職業、性別、家族構成、希望する老後のライフスタイルなどによって変わります。投資方法にも様々な種類があるため、どれが自分に向いているのか分からないことも多いでしょう。

お金のプロに相談すれば、現在の状況や要望を踏まえて最適な選択肢を提案してくれます。専門家に相談することで気持ちが楽になり、安心して老後のための準備に取り掛かれるはずです。

まとめ

老後に安心して生活するためには約2000万円貯金しておくことが理想です。これだけあれば趣味や旅行を楽しみながら生活でき、日常生活費や介護費、葬祭費用をカバーできます。

  • ローン返済計画の見直し
  • 確定拠出年金(iDeCo)
  • NISA
  • 積立投資信託

で老後資金を準備しましょう。

30~50代のうちに始めれば、定年退職と同時にゆとりある老後生活に入れます。まだまだ先のことと考えず、ぜひできることから始めてみてください。

老後のお金・介護の基礎知識を解説