三十五日の法要はするべき?目的やとり行われるケース・当日の流れを解説
三十五日法要とは、故人が亡くなった命日から数えて、35日目に行う法要です。
三十五日法要の豆知識
- 地域や宗派によっては三十五日を忌明けとする
- 三十五日法要と四十九日法要を両方やることはほぼない
- 参列する場合のマナーは同じ
- 当日の流れは通常の四十九日と同じ
挨拶・読経・焼香・法話・お墓参り・会食
お墓の準備は始めていますか?
供養の節目に合わせて、故人の遺骨をお墓に納骨する方が多くいらっしゃいます。
まだこれからお墓を用意するという方は、家族が会するこの機会に、墓地のパンフレットを持ち寄って相談してみませんか?
お墓の墓石を作るには、約3ヶ月かかります!
「次のお彼岸までに納骨するには」
「一周忌までに納骨するには」
などと、期間を逆算して今のうちから霊園・墓地を探しておくと安心ですよ。
この記事の目次
三十五日(さんじゅうごにち)法要とは?意味・目的・数え方
まず、三十五日法要とは何か、目的や三十五日の数え方について解説します。
故人が亡くなって35日目に行う法要のこと
三十五日法要は、故人が亡くなった命日から数えて、35日目に行う法要をいいます。
つまり、3月1日に亡くなった場合は4月5日が三十五日法要のタイミングになる、といえます。
ただし現在では、「きっかり35日目に行うこと」はほとんどありません。日程は多くの場合、「絶対に参加したい人・参加すべき人」に合わせて、35日目の直前の土日に法要が営まれることになります。
ただし、前倒しにすることはあっても、35日を過ぎてから行ってはいけません。
また、「法要」とあることからもわかる通り、三十五日法要は仏教の行事です。キリスト教や神式の葬儀では、基本的にはみられません。
三十五日法要の目的
三十五日法要の目的は、追善供養です。
追善供養とは、「残された人間が、家族のために徳を重ねる行為」をいいます。
追善供養について詳しく解説をすると、仏教では、一部の宗派を除き、「亡くなった人は49日間をかけて旅をして、さばきを受ける。それによってどこの世界に行くかが決まる」とされています。なお、35日目は第5の審判を受けることになります。
どこに行くかは生前の行いによって決まるのですが、残された家族が故人のために徳を積むこともできます。残された家族が追善供養を行うことで、故人がより良い世界にいけると考えるわけです。
追善供養は、かつては7日ごとに行われていました。現在でも非常に信心深いご家庭(あるいは故人)の場合は、三十五日法要として追善供養を行う場合もあります。
しかし、初七日法要ですら「繰り上げ初七日法要」というかたちで火葬当日に行う人が多くなった今、「初七日法要を行い、三十五日法要(あるいはそれ以外の七日間ごとの法要も)を行い、四十九日法要も行う」というご家庭は、極めて少ないと思われます。
では、現在の三十五日法要はどのような理由・どのような状況で行われているのでしょうか。次の章で解説します。
三十五日法要はするべき?行われる2つのケース
現在、三十五日法要を行うケースは非常に限られています。行われるケースとしては以下の2つが挙げられます。
- 命日から四十九日法要までの期間が3か月にわたるケース
- 地域・宗派によって三十五日が忌明けとなるケース
1つずつ解説します。
命日から四十九日法要までの期間が3か月にわたる場合
三十五日法要を行う1つ目のケースは「命日から四十九日法要までの期間が3か月にわたる場合」です。
故人が旅立った後の法要でもっとも重視されるのは、「四十九日法要」です。
四十九日法要は、亡くなった日から49日を数えたタイミングで行うのが基本です。たとえば4月26日に亡くなった場合は、四十九日法要は6月14日となります。
しかし、仏事においては、「命日から四十九日法要までの期間が3か月にわたるのは良くない」としていて、これを特に「三月越し」と呼んで避けるべしとしています。
「三月越し」がいけないとされている理由は、「49日」と「三月」の言葉の響きに由来します。「49日=しじゅうく=始終苦」につながり、「三月=みつき=身付き」に繋がると解釈されるからです。つまり、「始終苦労する生活が、身に付いてしまう」というところから、「三月越し」が嫌われるようになったわけです。
そこで登場する考え方が、「三十五日法要」です。
4月26日に亡くなった場合、三十五日法要は5月31日となります。このため、三月にわたることなく、法要を行えるわけです。
これは「六曜」と同じようなもので、「なんとなく習慣として縁起が悪いといわれているが、実際には根拠のない話」だともいえます。そのため、現在は「三月越しであっても構わない」と考える人も多くいます。
地域・宗派によっては三十五日目を忌明けとする
三十五日法要を行う2つ目のケースは「地域・宗教によって三十五日を忌明けとする場合」です。
地域や宗派によっては三十五日法要を忌明けとすることもあります。忌明けとは、忌服期間が終わることです。これによって普段の生活に戻っていくとされています。葬儀~法事関係は地域性が大きく影響するため、「葬儀会社に長く勤めていたが、三十五日法要という言葉はほとんど聞かなかった」という人もいます。
真言宗などでは、「近頃では、四十九日まで待たず、三十五日法要で忌明けとすることが多い」という見解を示しているお寺もあります。いずれにせよ、これは絶対的なものではありません。自分が喪家側・施主になった時は、周りと相談して決めていくとよいでしょう。
四十九日と三十五日を両方行うことはめったにない
このような理由があるため、現在ではごく一部のご家庭を除き、「四十九日法要と三十五日法要、どちらもしっかり行う」ということはほとんどありません。三十五日法要をやったら四十九日法要は、四十九日法要をやるつもりならば三十五日法要は行わないのが基本です。
次の項では、三十五日法要の流れを具体的に見ていきましょう。
三十五日法要当日の流れ
三十五日法要当は、自宅や法要会館などで行われることが一般的です。ただ、自宅の場合は「三十五日法要に参加する人全員を受け入れられるだけの広さの部屋」がなければなりません。このため、人数が多い場合は法要会館を使うのが一般的です。ここでは、法要会館で行うことを想定し、当日の流れを紹介します。
僧侶の入場
まず、会場に僧侶が入場します。家族・親族は、その前に着席しておきます。なおこのときは、故人と近しい関係だった人が前の方に座ります。
施主からの挨拶
施主が、三十五日法要を営む旨を簡潔に告げ、挨拶を行います。
「本日はお忙しいなか、故〇〇の三十五日法要に御臨席賜りまして誠にありがとうございます。これより、三十五日法要を始めさせていただきます。(僧侶に向かって)ご住職、よろしくお願いいたします」などです。
僧侶の読経
僧侶の読経が始まります。
焼香
焼香をしていきます。僧侶の読経の最中に順番に焼香を行っていくスタイルがとられることもあります。なお、焼香は、施主→家族→親族→友人の順番で行っていきます。
僧侶からの法話
僧侶から、死生観にまつわる法話が語られます。死をどう考えるか、人はどうあるのかを説くことが多いのですが、故人と僧侶の関係が深かった場合は故人の思い出話が交えられることもあります。
この後僧侶は退場することもあるのですが、最後まで付き合う場合もあります。
仏壇の開眼供養(場合によっては)
仏壇は買ってあるが、まだひらいてはいないという場合は、仏壇の開眼供養を行います。
仏壇の開眼供養とは、そこに安置してあるご本尊やご位牌に魂を入れる儀式です。浄土真宗以外の在来仏教で行われる儀式で、仏壇を買った後にはこの儀式が必要となります。
「いつまでに行わなければならない」というものではありませんが、三十五日法要や四十九日法要、あるいは一周忌法要、もしくは買った直後に行うことが多いといえます。
墓地へ移動(場合によっては)
仏壇の開眼供養が終わったら、墓地へと移動します。施主が簡単に案内をしてあげると親切です。移動の際はバスなどを使うこともできますが、人数が多くなければ自家用車に乗り合わせて向かうケースが多いかと思われます。
墓地へ移動し、納骨式を行う ※納骨場所が決まっている場合
すでにお墓を購入していて、かつこのタイミングで納骨を行うのであれば、「納骨式」を行うことになります。
納骨式とはご遺骨を納めるために行う儀式です。施主の挨拶→読経・焼香・納骨を行います。
しかし三十五日法要の段階で納骨場所が決まっていない、もしくはまだ納骨をしないということであれば、この手順は省かれます。
納骨は、「〇日までにしなければならない」とされているものではありません。このため、三十五日法要の段階で納骨を行わなくてもまったく問題はありません。
納骨式・納骨の時期に関しての詳しい情報は「納骨はいつ行うのが常識?一般的に多い納骨おすすめの時期を5つ紹介」の記事をご覧ください。
なおここでは、「お墓」としていますが、樹木葬や納骨堂、あるいはほかの納骨・散骨でも同じようにいえます。
会食
納骨式までが終わった後(あるいはお墓参り、あるいは法話が終わった後)には、会食の席が設けられるのが一般的です。ご家庭や故人、施主の考え方によって、「お墓参りが終われば解散」とすることもありますが、基本的には食事の席が用意されると考えるべきでしょう。
法要会館もしくはレストランに移動します。
会食は、故人のことを悼み、故人の思い出話を行うことを目的とした席です。また、遺された人たちに対しての労をねぎらうための場所でもあります。
施主が挨拶をして、会食が始まります。
三十五日法要においては、料理は精進料理ではないものを出し、お酒も出すのが現在の主流です。ただしこのあたりは、ご家庭によって多少の違いがみられます。
会食にかける時間は、2時間を基本とします。特に法要会館やレストランでは、ほかのお客様の関係で後ろの時間が厳に定められていることもあるので、事前に確認をしておいた方がよいでしょう。
最後に、施主が簡単に挨拶をして締めます。
この後、三十五日法要に参列してくれた人を施主・家族で見送り、三十五日法要は終了となります。
僧侶の退席のタイミング
三十五日法要で、「僧侶がいつ退席をするのか?」について気になった人も多いことでしょう。
僧侶が退席するタイミングは、基本的には以下の3つに分けられます。
- 法話が終わった後
- 開眼供養・納骨式が終わった後
- 会食が終わった後
仏壇の開眼供養や納骨式を行わない場合、三十五日法要の読経だけをして僧侶が退席するということがあり得ます。
しかし仏壇の開眼供養をする際は、僧侶による読経が必要です。
また、納骨式の場合も、特殊な状況ではない限り、僧侶の読経が求められます。特殊な状況とは、「特定の宗教は信じていないが、とりあえず仏式の葬儀をした」「故人や施主側の希望で、僧侶との関わりは最小限にしている」「納骨式は三十五日法要とは別のときに、ごく小規模で行う」などのようなケースです。
このため、「仏壇の開眼供養及び納骨式を行う」場合は、僧侶退席のタイミングは読経後となります。
また、仏壇の開眼供養や納骨式を行う・行わないに関わらず「会食までのすべての工程に僧侶が参加する」というケースもあります。
僧侶とともに会食をとらないことも多い
現在は、三十五日法要、もしくは仏壇の開眼供養~納骨式までの宗教的儀式のみを行い、会食の席は辞退する、という僧侶もいます。この場合、施主側は御膳料として、会食分のお金を包んでお渡しする必要があります。
「僧侶がどこで退席するか」は、僧侶自身の考え方やスケジュール、喪家側の関係にゆだねられます。一概に言い切ることはできませんが、一般的に、僧侶と喪家側の関係が深ければ深いほど、会食の席にまで付き合うことが多いと考えられます。
「僧侶が会食に参加することが当たり前だった」という環境の人にとっては、「僧侶が会食に参加せずに帰ってしまうこと」に違和感が生じるかもしれません。しかしこのあたりも時代とともに弔いのかたちが変化していっていることの表れなのかもしれません。
なお、僧侶が会食に参加する場合、僧侶の席は常に一番上座となります。施主の席がどこになるかは専門家の間でも意見が分かれることがありますが、僧侶の隣の席になることが一般的だといえるでしょう。
三十五日法要を行うときには、僧侶への連絡を含め、行うべき「準備」があります。それについてみていきましょう。
三十五日法要の3つの事前準備
三十五日法要を行う前には、事前の準備が必要です。これは、大きく分けて以下の3つに分けられます。
- 寺院への連絡と日程調整
- 参列者への連絡
- 会食の手配
それぞれ見ていきましょう。
その①:寺院への連絡と日程調整
三十五日法要を行う場合は、寺院への連絡と日程調整が必須です。準備の際は、まずは寺院に連絡をして空いている日を確認してから参列者に連絡をすることが基本となります。
連絡すべき寺院は、基本的には「自分の家の菩提寺」です。家の菩提寺が無い方は、葬儀のときにお願いしたお寺があると思うので、そこにお願いするとよいでしょう。
日程調整は、僧侶の予定を一番に優先して決めることが多いです。ただ、「菩提寺と非常に仲が良く、気軽に話せる間柄である」という場合は、僧侶側に候補日を挙げて選んでもらう場合もあります。
なお、「お盆の繁忙期と三十五日法要が重なってしまい、どうしても僧侶のスケジュール調整がつかない」という場合は、菩提寺を通して、その宗派のほかのお寺を紹介してもらえることもあります。それも難しい場合は、葬儀のときに使った葬儀会社に相談して僧侶を派遣してもらいましょう。
繁忙期の場合、「午前中ならば伺えるが、午後からは別の法要が入っているため無理である」というケースもあります。よって「時間」についても確認しておきましょう。
その②:参列者への連絡
準備の二つ目は、参列希望者に対して、「参列をお願いする」という意味で案内状を送ります。
「限られた家族だけしか参加しない」などの場合は電話で済ませてもよいのですが、基本的には書面で案内するようにします。またこのときには、返信用ハガキもつけておきます。
参列者はどこまで呼ぶか
三十五日法要に限らず、冠婚葬祭のすべてで、「どこの範囲まで呼ぶべきか」は悩みのタネとなる部分です。「どの範囲まで呼ぶか」に決まりはありません。故人の希望もしくは喪家の意向、あるいは親族間でほとんどやりとりがないなどの事情があれば、家族だけで済ませてしまっても構いません。
ただ、故人の希望・喪家の意向が無いのであれば、三十五日法要は非常に重要な法事となるので、親族全てに声を掛けるとよいでしょう。声を掛けられたことに怒る人はいませんが、声を掛けられなかったことで後々まで関係がこじれることもあるからです。
ただ、大変なご高齢の方や体調を崩されている方に対しては、ご無理に参加していただく必要はないという心遣いを持ちたいものです。
なお、三十五日法要では血のつながりのある親族を呼ぶのが基本です。ただ、故人が極めて親しく付き合っていた友人知人などを招くことはあります。たとえば、「故人の昔からの友人を、故人の意向と施主・家族の意向でお招きするケース」などもあります。
案内状はいつ出すか
三十五日法要の案内状を出すタイミングは、三十五日法要の1か月~1か月半前が基本です。なお受け取った側のマナーとして、「できるだけ早く返信をする(そして特段の事情がなければ断らない)」というものがありますが、出すときには、「1~2週間前まで(〇月×日まで)にご返信をお願いします」といったことを記しておくと安心です。
三十五日法要の参列者に案内状を出す場合~基本と例文~
三十五日法要には、以下の要点を入れ込みます。
- 相手への挨拶(拝啓~から始まる。基本的には季節の挨拶は入れないが、入れるとしているところもある)
- 〇月✖日に、亡き人の三十五日法要を行う旨を告げる
- 参加してほしいこと、いつまでに返信が必要かを書く
- 日時と場所を記す。この段階では会食の場所などは記さなくても構わない
- 日付と施主の住所、名前
例文
拝啓 貴家益々ご頌栄のこととご推察申し上げます
亡父(施主との間柄を記す)△△の葬儀に際しましては皆さまにも大変お世話になりました
さて 来る〇月×日は△△の三十五日忌にあたりますので 左記により三十五日法要を営みたくご案内申し上げます
御多忙中の折 大変恐縮ではございますが 御臨席賜れれば幸いでございます
なおお手数ですが〇月■日までに 同封いたしました葉書にてご返信くださるようお願い申し上げます
敬具
日付
記
日時 令和二年〇月×日(土) 午後◇時より
場所 法要会館●●● (法要会館の住所及び電話番号)
法要後 ★★★(飲食店で行う場合は飲食店名)にて粗宴をご用意致しております
施主の住所、名前、電話番号
法事の案内状には、句読点は打たないのが原則です。これは「法事が滞りなく行えるように」との願いが込められています(ただし、読みやすくするために打つケースもあります)。
なおこの段階で、「食事はとってもらうが、どこにするかは決めていない」という場合は、簡単に「法要後には粗宴をご用意しております」などのように書くだけで構いません。
返信用ハガキには、施主の住所と名前を記し、「名前+行」とします。出す側は「行」を消し、「様」に替えて出します。
その③:会食の手配
準備の3つ目として、会食の手配を行います。
法事を行う場所と日程が決まったのなら、会食の手配をしましょう。会食はそれほど優先度が高くない項目ですから、案内状を出した後に決めても問題はありません(ただし、人数が多かったり繁忙期だったりする場合は、早めに決めた方が良いでしょう。)
会食の会場となる場所は、大きく分けて以下の4つです。
- 飲食店:食事がおいしいことが多く、故人の好きだった店なども選びやすい。バリアフリー化がされていないこともある。
- ホテル:バリアフリー化されていて宿泊施設も兼ねる。法要行事がどこまでできるかはホテルによって異なる。要問合せ。
- 会館に隣接した施設:法事に特化しているしスタッフに知識もある。食事及び持ち込みの自由度が低い。
- 自宅:仕出し弁当や手作りなどができるので費用が安くなる。また、くつろげる。広い部屋の確保が必須。
三十五日法要に参加する場合には、「服装のマナー」「持ち物のマナー」も抑えておかなければなりません。次の章ではそれについて解説していきます。
三十五日法要当日の服装マナー
三十五日法要の服装は、基本として、「一周忌が終わるまでは、遺族(家族)の服装は喪服を着用する」というものがあります。丁寧に解説していきましょう。
遺族は「喪服」
【男性】
遺族の男性は、喪服を着用します。「喪服」と「色が黒いだけのスーツ」は異なるものなので注意してください。喪服はダブルでもシングルでも構いません。
ワイシャツは白で、アイロンもしくはノリのきいたものを選びます。ネクタイと靴下は黒色のものを選び、靴は金具のついていないものを選ぶのが正式です。大人の場合、ローファーは認められていません。
カフスボタンはつけません。ネクタイピンは、白真珠もしくは黒真珠ならばOKですが、無理につける必要はありません。結婚指輪はつけていても構いませんが、「つけていなければならないもの」ではありません。
時計に関しては、黒いベルトとおとなしい文字盤のものを選ぶと良いでしょう。特に施主は時間を確認しなければならないシチュエーションも多いので、つけておくと便利です。
【女性】
遺族の女性も喪服を着用します。現在は洋装がよく選ばれています。
夏でも、袖の長さは七分丈~長袖を選びます。スカート丈はひざ下から5センチ以上のものを選び、黒いパンプスを履きます。ミュールや、ヒールの高い靴、ピンヒール、ブーツは着用してはいけません(ただし、非常に大雪の積もる一部の地域などでは、ブーツは容認されることもあります)。
ストッキングは黒のものを選びます。鞄も、黒で、金具のないものを採用してください。
アクセサリーは真珠を使ったものと結婚指輪だけは許容されます。真珠のネックレスを使う場合は、必ず一連のものにしてください。
長すぎる髪の毛は結いますが、耳より下で結いましょう。このときには、黒~茶~紺のリボンやネットを使います。
メイクは薄く行います。チークやアイシャドウ、アイライナーは使用しないのが基本です。ただし、「顔色が極めて悪く見える」などのケースの場合は、薄づきのチークを軽く入れるくらいならばOKです。
葬儀のときにはバッドマナーと解釈されることのある「口紅」は、法事のときにはつけていても構いません。ただし、ベージュやブラウンなどの色を選び、薄く塗るようにしてください。
子どもに関しては、「着崩していない制服、あるいはそれに準じた格好」をすればOKです。子どもの場合、足下は黒もしくは白の靴下とし、ローファーもしくは地味な運動靴を履きましょう。学齢期前のお子さんの場合は、黒やパステルカラーの洋服を用意するとよいでしょう。
参列者は「略喪服(平服)」
参列者は、略喪服(平服)を着用します。
【男性】
黒や紺色、グレーなどの落ち着いた色のダークスーツを選びます。小物も落ち着いた色のもの、靴も光沢のないものを選びましょう。
【女性】
黒や紺色、グレーなどのダークトーンのワンピースやアンサンブルを着用します。ストッキングは黒色が無難です。靴は、グレーなども許容されますが、やはり黒色のものを選んだ方が良いでしょう。アクセサリーは結婚指輪もしくは真珠のみとし、2連になっているものはつけません。化粧は薄化粧とします。靴や鞄、ストッキングは黒色とし、金具のついていないものを選びます。
三十五日法要当日の持ち物
ここからは、三十五日法要の持ち物についてみていきましょう。施主側が用意するものと、参列者側が用意するものに分けられます。
- お布施(施主のみ)
- 香典(参列者のみ)
- お供え物
- 数珠
- 引き出物(施主のみ)
一つずつ見ていきましょう。
僧侶に渡すお布施(施主のみ)
三十五日法要では、僧侶に渡すお布施を用意することになりますが、必要に応じてお車代と御膳料も用意することになります。僧侶に渡す可能性のあるお金は、以下の3つです。
- お布施
- お車代
- 御膳料
なお、通常、これらはすべて袋を分けて入れます。それぞれ性質が全く異なるものだからです。
お布施の相場
お布施 | 30,000円~50,000円 |
---|---|
お車代 | 5,000円~10,000円 |
御膳料 | 5,000円~20,000円(料理の金額に準じる) |
開眼供養などを行う場合は別途お布施が必要
三十五日法要のときに、仏壇の開眼供養などを行う場合は、別途お布施が必要になります。
開眼供養についてより詳しくは【3分でわかる】開眼供養・開眼法要とは?開眼法要のお布施などを徹底解説!の記事をご覧ください。
香典(参列者のみ)
香典は、参列者だけが持っていくものです。
香典は、葬儀や法事にかかる費用を補佐するべく、相互扶助の精神に基づきます。施主は三十五日法要の費用を払うため、香典を用意する必要はありません。施主の家族が持っていくかどうかは、ケースバイケースです。
例えば、故人の子どもに当たる女性で既に嫁いでいるケースであれば、別世帯であっても香典を用意することが多いでしょう。逆に、「扶養家族」「生計を同一にしている家族」ならば持参しないというかたちかと思われます。
香典の相場
香典の相場は、5,000円~10,000円程度です。ただ、この金額に収まることはあまりありません。なぜならば、三十五日法要の後には高い確率で会食の席が設けられるからです。この場合、御膳の費用も香典袋に入れることになります。このため、最終的には10,000円~50,000円程度の金額に収まることが多いといえます。親族ならば、30,000円~50,000円がボリュームゾーンでしょう。
筆者の経験からすると、1人で参加だと30,000円(多い人なら50,000円)、夫婦だと2人で50,000円というケースが比較的多くみられたように思います。
香典の表書き・水引
現在、三十五日法要は「三十五日法要で忌明けとする」という意味で行われることが多いと思われます。表書きは「御仏前(御佛前)」とすると良いでしょう。理由は、「35日で故人が成仏し、仏様となった」と考えるからです。「御供物料」「御香典」でも構いません。
反対に、「三十五日法要はまだ忌明けではない」と考える場合は、「御霊前」とします。「御霊前」は、葬儀のときにはどの宗教・宗派でも使える(一部例外はありますが、とがめられることはまずありません)表現ですが、三十五日法要の場合は注意しましょう。
水引は、黒白か双銀の結び切りのものを基本とします。
葬儀に持っていく香典は薄墨で書くこともありますが、三十五日法要の場合は一般的な毛筆(ペン)で問題ありません。
お供え物
お供え物も用意します。施主は、仏壇やお墓にお供えする果物や花を用意します。故人の好物を用意するのも良いでしょう。
また、お供え物は参列者側が持っていくこともできます。この場合、黒白の水引を掛けて、「御供物」などの表書きをします。参列者として持参する場合は、個別包装で日持ちのするお菓子などが良いでしょう。なお、親族間の関係性や慣習によっては、「頂いたお供物をその場でお分けする」「食べる」などのやり方が取られることもあります。
数珠
葬儀の際同様、仏式の法事では数珠が必要となります。厳密には宗派によって形に違いがありますが、一般的な葬儀・法要ではそれが問われることはありません。
引き出物(施主のみ)
三十五日法要が終わった後にお持ち帰りいただく「引き出物」は、施主が用意しなければならないものです。
3,000円~5,000円程度のものを用意するとよいでしょう。
基本的には「キエモノ(洗剤や飲み物、調味料、乾物類など)」を選びますが、タオルなどが選ばれることもあります。現在はカタログギフトもよく選ばれています。
なお、「引き出物」ではありませんが、家で三十五日法要を行う場合は、僧侶用のお茶菓子などを用意しておくことをおすすめします。多くの場合手を付けずに過ごされますから、持ち帰ってもらえるように、お菓子を包める懐紙を用意しておくとよりスマートです。
まとめ
三十五日法要の要点をまとめます。
- 三十五日法要とは
- 三十五日法要とは、故人が旅立ってから35日目に行われる法要を言う
- 前倒しにすることは構わないが、35日が過ぎてから行ってはいけない
- ・逝去~四十九日法要までの期間が3か月にわたる場合、「三月越し」と呼ばれ、縁起が悪いとする考え方がある。この場合、四十九日法要の代わりに三十五日法要が2月中に行われる
- 非常に信心深いご家庭を除き、三十五日法要と四十九日法要の両方を行うことは基本的にはない
- 三十五日法要の流れ
- 三十五日法要は、僧侶入場→施主挨拶→読経と焼香→法話→仏壇の開眼供養・納骨式(省略されることもある)→会食となる
- 僧侶がどこまで付き合うかはケースバイケース。会食には参加しないこともある
- 三十五日法要の事前準備
- 「参列者の選定」「寺院への連絡と日程調整」「会食場所の手配」を行う。基本的には、親族全員に声を掛けるべき。また、寺院の都合を最優先とすること。会食場所の手配は後日でも構わない
- 案内状は1か月~1か月半前に出し、返信期日を三十五日法要の1~2週間前とする
- 三十五日法要の当日のマナー
- 遺族は喪服。参列者は略喪服(平服)
- 遺族が用意するべきものは、「お布施(お車代・御膳料)」「引き出物」「お供え物」「数珠」
- お布施は30000円~50000円が相場で、白い無地の封筒に入れる
・香典も30000円~50000円が相場。黒白もしくは双銀の結び切りの水引に入れる。薄墨は使わない
- もっと詳しく法事・法要のことを知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「三十五日法要」は、地域によってはほとんどなじみのないものです。しかしだからこそ、自分が執り行う立場になったときは、しっかりと情報を収集して臨みたいものですね。
ライフドット推奨
後悔しないお墓のために今から準備してみませんか?
終活といっても、生前整理、葬儀、お墓の検討などさまざまです。
そのなかでも「お墓」は、一生に一度あるかないかの買い物ですね。
- 自分のライフスタイルに合ったベストなお墓はどういうものなのか知りたい
- お墓選びで複雑な手順を簡単に詳しく理解したい
- お墓選びで注意するべきポイントを詳しく知りたい
など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
そのためにも複数の霊園・墓地を訪問して実際に話を聞き、しっかりと情報収集することをオススメします。
情報収集するために、まずは気になる霊園・墓地の資料請求をしてみましょう。