散骨は法律上問題ない!守るべきマナーや流れを紹介

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散骨とは?徹底解説

  • 散骨は自然の中に遺骨をまくこと
  • 散骨は専門業者を通じて実施する必要がある
  • 立ち会いありと完全委託の散骨があり、費用は数万円から
  • 永代供養墓や樹木葬など他の供養方法と比較検討される

お墓を持っている、持っていないにかかわらず、「散骨をしたい」と考えている人は一定数いることでしょう。

散骨には、海や川への散骨、山など陸地での散骨、空中への散骨の3種類があります。
いずれも自然に還る供養法で、すべて散骨してしまえば、お墓を設ける必要はありません。

全国の男女2,800名あまり名に対し、2017年に行われた全国石製品協同組合の報告では、「部分散骨したい(残りはお墓や納骨堂に納める)」「すべて散骨したい」を合わせ、散骨を希望する人が45.1%にも上っています。

一方で、散骨に抵抗のある人、良い供養の形とは思っていない人も、いないとはいえません。
賛否両論あるのが、散骨だといえるでしょう。

この記事では、散骨について以上のような疑問や悩みを持つ人のために、散骨の法的問題や散骨方法、かかる費用、注意点について詳しくご案内します。

散骨以外に、お墓を持たずに遺骨を供養できる方法についてもご紹介するので、散骨をする、しないに関わらず、故人と家族にぴったりの供養法を見つけることができますよ。

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この記事の目次

  1. 散骨の法的問題
  2. 散骨を業者に依頼する場合の流れ、費用、注意点
  3. 散骨を自分で行う場合のマナーと費用
  4. 散骨以外にある、墓石を建てない供養法
  5. まとめ
  6. 監修者コメント

散骨の法的問題

散骨の方法や費用を説明する前に、まずは散骨の法的問題についてご説明します。

なぜなら、散骨を取り巻く法的問題は少し複雑で、法律について知っておかなければ、マナーにのっとった散骨はできないからです。
散骨を行おうとする人は、トラブル回避のためにも、必ず散骨にまつわる法律を知っておきましょう。

散骨は違法でも合法でもない

散骨は、違法でも合法でもありません。
日本には、散骨の可否を規定する法律がないからです。

火葬や納骨などに関する法律には、「墓地、墓埋などに関する法律」(通称「墓地墓埋法」)があります。

墓地墓埋法では、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない(第4条)」とされています。

しかし、墓地墓埋法では、あくまで「死体の埋葬」や「焼骨の埋蔵」しか対象としていません。
海や山に遺骨を撒く散骨は、想定されていないのです。

また、刑法第190条には、
「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」とあります。

海や山へ遺骨を捨てているかのように見える散骨は、死体遺棄にあたるのではという考え方もあるでしょう。

しかし、この問題については、1991年に法務省が、
「葬送のための祭祀として、節度を持って行われる限り、遺棄罪には当たらない」と非公式のコメントを発表しました。

非公式ながら、このコメントは散骨を国が容認した証であるとして、全国の散骨希望者を今も励まし続けています。

条例により散骨ができない地域がある

条例により、散骨ができない地域があります。
散骨を行った人のマナーが悪く、住民とトラブルになったことなどがきっかけで、市町村が散骨禁止条例を施行させるのです。

また、観光地としてのイメージを保つために、散骨に規制を設けている自治体もあります。
散骨が禁止されている、あるいは規制されているのは、例えば以下のような自治体です。

自治体名条例名
北海道長沼町長沼町さわやか環境づくり条例
北海道岩見沢市岩見沢市における散骨の適正化に関する条約施行規則
埼玉県秩父市秩父市環境保全条例
静岡県御殿場市五点箸散骨場の経営の許可等に関する条例
静岡県熱海市熱海市海洋散骨事業ガイドライン

とくに故郷の近くで散骨をしたいなど、散骨地に希望のある人は、散骨禁止区域に撒こうとしていないか調べておきましょう。

以上、散骨の法的問題について解説しました。

「違法とも合法ともいえない、グレーゾーンなことをやるなんて、難しいのでは」と思ってしまった人もいるでしょう。
しかし、法律を熟知し、マナーを徹底できる散骨業者に依頼すれば、散骨は難しいものではありません。


次章では、散骨を業者に依頼する場合の流れや費用、注意点についてお伝えします。

散骨を業者に依頼する場合の流れ、費用、注意点

散骨を業者に依頼する場合の流れ、費用、注意点について、順を追って説明します。

散骨を業者に依頼するときの流れ

散骨を業者に依頼するときの流れは、以下の通りです。
散骨方法には次の2つの種類があり、それぞれ流れが違います。

それぞれ詳しく説明します。

立ち会い散骨

実際に遺骨を撒く場に立ち会う散骨を、立ち会い散骨といいます。
業者と散骨の日時や場所を打ち合わせ、期日になったら遺骨を持参して、業者の案内に従い散骨します。

散骨マナーの一つとして、遺骨を2ミリ以下の粉骨にすることが求められているため、事前に業者へ遺骨を送らなければならない場合もあります。

海洋での散骨の場合、人目につかない沖合まで船で出た後、花びらを海に散らしてから散骨をするという流れが多いでしょう。

散骨時には、骨粉が舞い上がることのないよう、水溶性の紙に遺骨を包むケースが大半です。
散骨後には、散骨した地点の緯度経度などが書かれた散骨証明書が発行されます。

委託散骨

業者に遺骨を送り、実際に遺骨を撒く場には立ち会わない散骨を、委託散骨、または代行散骨といいます。
散骨業者に遺骨を送ったら、あとはすることがありません。

後日、散骨業者からは、実際に散骨をしている様子を撮影した写真や散骨証明書が送られてきます。

いずれの場合も、その遺骨が誰のものかを証明するため、埋葬許可証の提示を求められることが多いでしょう。

散骨を業者に依頼するときの費用は5万円から30万円程度

散骨を業者に依頼するときの費用は、5万円から30万円程度です。
散骨の方法によって、それぞれ相場が違います。

  • 個人散骨は30万円程度
    一家族だけで行う立ち会い散骨を、個人散骨といいます。
    散骨に行くための船などを、一家族だけでチャーターしなければならないため、金額が膨らみ、30万円程度になります。
  • 合同散骨は20万円程度
    複数の家族で行う立ち会い散骨を、合同散骨といいます。
    船のチャーター代を割り勘にできるため、個人散骨よりは安価です。

    ただ、たくさんの人が参加するため大きな船をチャーターしなければならず、各家族が支払うのは20万円程度です。
  • 委託散骨は5万円から8万円程度
    業者が都合の良いときにまとめて散骨できる委託散骨は、費用がぐっと安価になり、5万円から8万円程度です。

散骨を業者に依頼するときの注意点

散骨を業者に依頼するときの注意点は、以下の通りです。

  • 希望の土地に散骨してくれる散骨業者を探す
    散骨希望地があるときには、なるべく希望に沿った場所の近くに散骨してくれる業者を探しましょう。
  • 数社から見積もりを取る
    希望地に複数の散骨業者がいる場合は、複数社から見積もりを取り、納得できる金額を提示してくれるところを選びましょう。

    見積もりのやり取りで、業者の対応の良し悪しも分かり、一石二鳥です。
  • 散骨証明書を出してくれる散骨業者を選ぶ
    散骨証明書に法的効力はありませんが、親族に「どこへ、どのように散骨したのか」を示す客観的な書類になります。

    散骨したことを親族へきちんと報告するためにも、散骨証明書を出してくれる散骨業者を選びましょう。

以上、散骨を業者に依頼するときの流れや費用、注意点についてまとめました。

「マナーさえ守れば、自分で散骨をすることもできるのでは?」と思い至った人もいることでしょう。
その通りです。次章では、散骨を自分で行う場合のマナーと費用をお伝えします。

散骨を自分で行う場合のマナーと費用

散骨を自分で行う場合のマナーと費用は、以下の通りです。

散骨を自分で行うときのマナー

散骨を自分で行うときは、以下のようなマナーに気をつけ、トラブルにならないよう注意しましょう。

遺骨を2ミリ以下の粉骨にする

見た目で人骨と分かる遺骨をそのまま撒いては、見つけた人が驚いてしまいます。

このため、散骨業者の間では、遺骨を2ミリ以下の粉骨にすることがマナーとして確立しています。
もっとも、一般の人には、粉骨は簡単な作業ではありません。
粉骨だけを代行してくれる散骨業者があるため、利用しましょう。

他人の敷地内には勝手に撒かない

節度を持って散骨を行うため、他人の敷地内に勝手に遺骨を撒かないようにしましょう。

たとえ自分の土地であっても、近隣住民の許可が得られなければ、撒くべきではありません。
多くの人が、海水浴場や漁港から遠い沖合まで出て散骨する海洋散骨を選んでいます。

遺骨を埋めない

散骨は、遺骨を埋めないからこそ、墓地墓埋法に違反しない方法であるといえます。
よって、遺骨を撒いたあとに土をかけるなどの行為は違法です。注意しましょう。

花は花びらだけを撒く

とくに海洋での散骨の場合、弔いのためにお花を流したいと考える人は多いでしょう。
お花を海に流すときは、花の部分だけを散らし、茎や葉、包み紙は流さないようにしましょう。
海をきれいに保つためのマナーです。

喪服を着ず、動きやすい格好をする

とくに海洋での散骨の場合、喪服を着て船着き場に集まると「散骨をするのだな」と周囲に悟られてしまいます。
そのことによって不快に感じる人も、いないとは限りません。

また、船では足下が不安定ですし、衣服が濡れる心配もあります。
喪服ではなく、動きやすい格好で散骨に臨みましょう。

マナーを守って散骨すれば、トラブルになる可能性はぐっと減ります。

散骨を自分で行うときの費用は、0円から10万円程度です。

例えば、山1つなど広大な敷地があり、自分で粉骨することができれば、散骨の費用は0円で済みます。
海洋での散骨をする場合でも、自分で船を出せれば、また粉骨ができれば、費用は0円です。

船をチャーターするなら5万円から10万円、散骨業者に粉骨だけを依頼するなら2万円から3万円の費用が必要です。

以上、散骨を自分で行うときのマナーや費用についてお伝えしました。

ここまで読んで、もしかしたら「散骨以外の方法を考えたい」と思うようになった人もいるかもしれません。
そんな方のために、最終章では散骨以外の供養法をご案内します。

散骨以外にある、墓石を建てない供養法

従来のお墓を買わない供養法は、散骨以外に以下のようなものがあります。

永代供養墓

永代供養墓とは、他の人と一緒に埋葬されるタイプ合祀墓・合同墓や、初めは個別に弔い、あとで合祀されるタイプのお墓のことです。

初めから他の人一緒に埋葬される合祀墓は、一人当たりの費用が5万円~10万円ほどで、一般墓と比べると費用も抑えられます。

合祀墓・合葬墓について詳しく知りたい方は「【おひとり様でもOK】人気上昇中の合同墓とはどういうお墓?費用や供養方法を紹介」の記事をご覧ください。

樹木葬

墓石ではなく、樹木を墓標として植えるのが樹木葬です。

樹木葬の多くは、土中に直に遺骨を埋葬するので、「散骨のように自然に還りたいけれど、やっぱりきちんとしたお墓が欲しい」と考える人に向いています。

一本の木の下にたくさんの遺骨が眠るタイプなら、30万円程度から見つかります。

送骨

送骨は、お寺に遺骨を送り、そのまま供養塔などへ埋葬してもらうサービスです。
お盆やお彼岸には、供養塔前で供養祭を行ってもらえるお寺が大半です。

「お墓はいらないし、安価に済ませたいけれど、ていねいに供養してもらいたい」と考える人におすすめです。
サービスは3万円程度から見つかります。

手元供養

手元供養は、遺骨を自宅で保管して供養する方法です。
「故人をいつもそばに感じていたい」と考える人におすすめです。

また、手元供養はほんの少し遺骨を手元に置くだけで供養ができるので、残りの遺骨は散骨するという選択肢も取れます。
とくに専用の道具を購入しなければ、手元供養は0円からできます。

ただ、供養をする家族亡きあとも遺骨がそのまま残ってしまうため、いずれは自宅の遺骨をどうするか決める必要があります。

以上、散骨以外に考えられる供養法についてお伝えしました。
さまざまな選択肢のなかから、故人と家族にぴったりの方法を選びましょう。

まとめ

この記事では、散骨の法的問題やかかる費用、流れ、注意点についてお伝えしました。
散骨以外の方法についても紹介したので、自分たち家族にふさわしい供養法を見つけることができたのではないでしょうか。

お墓についての考え方は人それぞれです。

散骨派も、散骨反対派もいて、それぞれの考え方を否定することは、誰にもできません。
それを踏まえ、マナーにのっとった散骨を心がけましょう。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

散骨は、「墓地、埋葬等に関する法律」に明記されていない葬送方法のため、現状はそれぞれの業者がガイドラインをつくって行われているのが実情です。

海への散骨については本文中で触れられているとおりですが、山などへの散骨はどのように考えられているでしょうか。

散骨の考え方は「マナー、節度を守って行う」が基本でですから、他人の敷地内に勝手に撒くことはできません。

すなわち、山などへの散骨は、他人の敷地だったり国や地方自治体が管理している土地だったりしますから、「葬送のための祭祀として行うなら大丈夫」と都合よく解釈するのは危険です。

公に認められた散骨地としては、島根県には日本唯一の散骨の島として知られる「カズラ島」があります。

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