焼香の手順はこれでバッチリ!宗派別の流れとマナーを紹介
みなさんは、,今までに焼香をあげる機会はありましたでしょうか。 これまで一度もなかった方はとても幸いですが、いつその状況になるのかがわからないのが、ご不幸というもの。
通夜や葬式で故人を偲んで行うこの行為は、ご冥福を祈る気持ちがもちろん大切ですが、厳粛な場で落ち着いて振る舞うためにも、最低限のルールは知っておくと良いでしょう。 初めて通夜や葬式に参列することになってしまったという方も、いつかの日に備えたいと思われる方も、こちらの記事で紹介する焼香の手順やふるまいマナーを確認しておけば、その時にあせらず対応できるようになりますよ。 ※こちらの記事では、一般的に焼香で使用される抹香(粉末状になっているお香)の作法について記述しております。
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この記事の目次
焼香の手順は信仰している宗派か相手のご家族に合わせて行う
焼香とは、仏式でお香を焚いて拝む行為のことを言います。仏式というように一つの作法であり、葬祭ですので基本的なルールがあります。基本的には、焼香の手順は「自分が信仰している宗派に合わせる」場合と、「葬儀に参加する相手の宗派に合わせる」場合があります。
「自分が信仰している宗派に合わせる」のは、信仰心の強い人が行う作法です。どこで行っても通用しますので、自分の宗派の焼香手順を確認するとよいでしょう。
一方、「葬儀に参加する相手の宗派に合わせる」のは、特に自分の信仰宗派にこだわりがなく、相手の宗派に敬意を表すときの作法です。
ただ、葬儀の場であれば、焼香回数は司会側から「心を込めて、一回で」などといった案内があるのが一般的です。やはり焼香の回数について迷う参列者が多いことと、焼香回数が多ければ、儀式の時間が長くなってしまうことを考慮しての案内です。案内があった場合は、進行に従いましょう。
そういった案内がない場合、とっさにできるのが、僧侶や喪主の真似をすることです。
宗派がわからない場合は僧侶または喪主の真似をする
自分自身に信仰のこだわりがなく、相手の宗派に合わせたいと思っているにもかかわらず、宗派がわからない場合があるでしょう。そのときは、先に焼香をする僧侶や喪主の真似をしましょう。さらに、前の人の真似ができるよう、なるべく後ろの席に座ると安心です。
そうはいっても、偶然自分が一番先に焼香しなければならなくなることもあるでしょう。また、子どもなど目下の人から「焼香は何回がいい?」と聞かれたら、なるべく答えたいものですよね。次章では、形式別、宗派別に焼香の作法を紹介します。
詳しく解説!焼香は形式×宗派別作法でやり方が異なる
焼香の形式は立って行う立礼焼香、座って行う座礼焼香、参列者の手元でまわす回し焼香の3つの形式があります。葬儀場の規模にもより、どのように行われるかは違うものなので、どちらの形式でも対応できるように確認しましょう。
会場の規模やスタイルで違う3種の形式
立礼焼香は、会場がいす席の際に行われるものです。葬儀社のホールなど、ほとんどの現代的な葬儀式場ではいす席なので、立礼焼香が行われます。
座礼焼香は、お寺など座敷の式場で行われるもので、焼香台に進み出て座布団に正座し、焼香を行います。回し焼香は、自宅葬などやや狭い式場で行われるもので、回ってくる香炉を使い、座席に座ったまま焼香します。立礼焼香、座礼焼香、回し焼香について、一連の流れをご紹介します。
会場が椅子席の場合:立っておこなう立礼焼香の流れ
- 焼香台の手前まで来たら、僧侶と遺族に一礼してから焼香台へ進み出る。
- 遺影へ合掌し、一礼する。
- 宗派にのっとり、決められた回数だけ焼香する。
- 遺影を仰ぎ見て合掌し、ご冥福を祈る。
- 振り返り、遺族に一礼してから席へ戻る。
会場が畳の場合:座っておこなう座礼焼香の流れ
- 焼香台の座布団の手前で腰を落とし、正座して僧侶と遺族に一礼する。
- ひざから座布団に進み出て、遺影へ合掌し、一礼する。
- 宗派にのっとり、決められた回数だけ焼香する。
- 遺影を仰ぎ見て合掌し、ご冥福を祈る。
- 腰をかがめたまま振り返り、正座して遺族に一礼してから席へ戻る。
会場がご自宅の場合:その場でおこなう回し焼香の流れ
- 香炉が回ってきたら、香炉を自分の前に置き、宗派にのっとり決められた回数だけ焼香する。
- 遺影を仰ぎ見て合掌し、ご冥福を祈る。
- 隣の人へ香炉をまわす。(火傷に注意!うっかり炉の中に指を入れない)
焼香の流れを確認したら、次は葬儀では深くかかわりのある、宗派別の焼香の手順を確認しましょう。
宗派別で異なる焼香の作法
冒頭でも触れたように、焼香には、参加する葬儀の宗派に合わせるのが良い、ご自身の宗派で行うのが良い、葬儀社や僧侶の指示に従うのが良いとされる3つの説があります。結論としては、どちらの方法で行っていただいても問題ありません。よって、事前に葬儀を開かれるお家の宗派がわかる場合はもちろん、自分の家系の宗派でのやり方を確認してみましょう。この章では、日本で行われる葬儀で代表的な9つの宗派を取り上げます。
真言宗の場合
抹香を額におしいただき、3回焼香する。
日蓮宗の場合
抹香を額におしいただき、1回または3回焼香する。
日蓮正宗の場合
抹香を額におしいただき、3回焼香する。
臨済宗の場合
抹香を額におしいただくかどうかには定めがない。1回焼香する。
曹洞宗の場合
1回目は額に抹香をおしいただき、2回目はおしいただかずに、そのまま焼香する。
浄土宗の場合
抹香を額におしいただき、1回から3回焼香する。
天台宗の場合
抹香を額におしいただき、3回焼香する。
浄土真宗(本願寺派)の場合
抹香を額におしいただかず、1回焼香する。
浄土真宗(大谷派)の場合
抹香を額におしいただかず、2回焼香する。
いずれも菩提寺の考え方により違う場合がありますが、以上の基本を守っていればとがめられることはないでしょう。 次に、宗派がわからない場合に、宗派を見分けるポイントをお伝えします。
宗派を見分けるポイント
宗派を見分けるのは、なかなか大変なことです。基本的には、自分の家族やお寺にしっかり確認するのがよいでしょう。
家族に聞いてみる
自分の宗派を確認するために最も確実なのが、家族に確認する方法です。「ところで、うちは何宗だっけ?」と、機会があったら聞いてみましょう。
仏壇・仏具に入っているマークを確認する
各宗派には、家紋のようなものがあります。「宗紋」「宗派紋」と呼ばれています。仏壇や仏具にあしらわれていることが多いため、マークを確認して調べてみるといいでしょう。
宗紋にはさまざまな種類があり、すべて覚えるのは至難の業です。しかし、浄土真宗の「下り藤」だけは、かなり一般的に使われています。仏壇・仏具に「下り藤」があしらわれていれば、その家は浄土真宗であるということができます。
墓参りに行くお寺に確認する
家族に確認することができない場合には、お寺へ墓参りに行ったときに確認するといいでしょう。たいてい、門前の石版などに「●●宗●●派 ●●寺」とあります。
焼香をあげる手順はこれでばっちりですね。ただ、焼香をあげることに慣れていないという方は、葬儀自体に慣れていない方が多いのではないでしょうか。
次の章では、葬儀場に到着してから受付、焼香までの流れ、会場から帰るまでの一連の流れを紹介します。きちんと理解して、当日は落ち着いて行動をとりましょう。
通夜と葬儀での立ち居振舞いのマナー
通夜と葬式、また無宗教の告別式にわけて、一般的な流れと立ち居振る舞いのマナーをお伝えします。
一般的な通夜の流れ
一般的な通夜の流れは、以下の通りです。
- 香典受付
- 開式
- 僧侶入場
- 読経
- 焼香
- 僧侶退場
- 閉式
通夜での振る舞いで気をつけること
通夜には、開式から参列するのが理想的です。しかし、仕事の都合上、遅れてしまう場合もあるでしょう。遺族も参列者の事情はわきまえています。慌てず、ゆったりとした態度で式場に入りましょう。走ってきたり、遅れたことを詫びたりすると、かえって目立ってしまいます。
通夜には、開式から参列するのが理想的です。しかし、仕事の都合上、遅れてしまう場合もあるでしょう。遺族も参列者の事情はわきまえています。慌てず、ゆったりとした態度で式場に入りましょう。走ってきたり、遅れたことを詫びたりすると、かえって目立ってしまいます。
焼香の際にも、ゆったりと落ち着いた動作で行うことがポイントです。焼香回数に多少自信がなくとも、堂々とふるまえば誰もあなたのことを気にしません。また、抹香を炉にくべることよりも、故人のご冥福を祈ることのほうが、焼香にとっては大事です。焼香後の合掌は、丁寧な動作を心がけましょう。
一般的な葬式の流れ
一般的な葬式の流れは、以下の通りです。
- 香典受付
- 開式
- 僧侶の入場
- 読経
- 弔辞/弔電
- 読経
- 焼香
- 喪主挨拶
- 僧侶退場
- 閉式
葬式での振る舞いで気をつけること
お葬式に遅刻してはいけません。早めの到着を心がけましょう。焼香のときには、通夜と同様、堂々とゆったりした動作で、故人を偲ぶのが大事です。
一般的な告別式の流れ
般的な告別式の流れは、以下の通りです。僧侶のいない無宗教葬を想定しています。
- 香典受付
- 開式
- お別れビデオなどの上映
- 弔辞/弔電
- 献奏(生演奏など)
- 焼香または献花
- 喪主挨拶
- 閉式
告別式での振る舞いで気をつけること
無宗教葬であれば、数珠を持っていくのはタブーです。数珠は仏教に固有のものだからです。焼香と想定していたのに献花だったという場合でも、落ち着いて行動しましょう。
献花の流れは以下の通りです。
- 遺族に一礼してから献花台に進む。
- 花を受け取り、遺影に向かって一礼する。
- 茎のほうを遺影に向けて、献花台に花を捧げる。
- 遺族に一礼してから席に戻る。
式だけではなく、当日全体においてどのような振る舞いをしたらよいのかが気になる人もいることでしょう。次章では、当日の行動で気をつけることについてお伝えします。
当日の行動で気をつけること
通夜や葬式、告別式当日の行動で気をつけるべきことには、使ってはいけないタブーな言葉と、遺族の方へのご挨拶があります。それぞれ解説しましょう。
使ってはいけないタブーな言葉
葬儀には「忌み言葉」があります。なかでも「重ね言葉」は、うっかり使ってしまう可能性が高い言葉です。例を紹介しましょう。
- たびたび
- ますます
- 重ね重ね
- かえすがえす
- いよいよ
その他、仏教的には「浮かばれない」「迷う」がタブー視されます。「浮かばれない」は、成仏できないことをあらわしているからです。「迷う」も、「死者の霊が迷って成仏できない」という意味を指すためです。
なお、忌み言葉とまではいえませんが、キリスト教式や神式では、「ご冥福をお祈りいたします」とは言わないようにしましょう。「冥福」は、仏教的な意味合いを持つ言葉だからです。
遺族の方へのご挨拶
通夜や葬式の後、遺族の方はとても忙しそうに見えることでしょう。「大変そうだから、挨拶せずに帰ろうか」と思ってしまうかもしれませんが、それは間違いです。遺族のほうも、あなたに挨拶したがっています。遺族の身体が空くのを見計らって、声をかけるのがマナーです。
急な葬儀となった場合には、「ご冥福をお祈りします」などの言葉がいささか場にそぐわない場合があります。遺族の気持ちが、「冥福を祈る」までには追い付いていないことがあるためです。そんなときには、「お辛いでしょうが、お身体お気をつけて」などと、遺族をいたわる言葉をかけましょう。
また、無宗教葬など、一般的にまだまだメジャーではない形式をとったときには、こんな声掛けをしましょう。「いいお葬式でした」参列者から肯定されることで、遺族の気持ちがほぐれます。
まとめ
以上、宗派による焼香の手順や、通夜や葬式当日の振る舞いについてお伝えしました。
慣れない葬儀の場でも、落ち着いて行動するための手助けとなれば幸いです。焼香や振る舞いには気をつけるべき点がいくつもありますが、何よりも大事なのは、故人を偲ぶ心です。それを忘れずに、参列に臨みましょう。
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監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
仏教では、葬儀や法要等をはじめとする仏事の際には香を焚きます。葬儀の場面は「礼はどのタイミングで、誰に向かってするべきか」という質問をよくいただきます。結論から言うと、礼をするタイミングに決まりはありません。一般的には焼香をする前と後に行います。中央に位牌や本尊があればそこに向かって、一礼すると良いでしょう。
遺族や親戚に対しての礼は、その場の状況によります。参列者の人数が多く、それぞれが焼香前後に遺族に向かって礼をしてしまうと、遺族はお辞儀ばかりしていることになり、遺族の心理的な負担は大きくなります。一方、家族葬等コンパクトな葬儀スタイルなら、ゆっくりと礼をしても違和感はありません。ただし、読経の最中ですからその場で話し込んでしまうようなことは避けたいもの。葬儀中は目礼程度にしておくのがベターです。