故人の借金、返済は慎重に。相続放棄が認められなくなる可能性を解説
故人が借金を抱えていたら行動は慎重に
安易にお金を返してはいけない理由とは?
故人が銀行などから借金をしている場合があります。その場合は、借りている銀行や消費者金融などに電話で連絡して、亡くなった旨を伝えましょう。
その際注意したいのは、相手が返済を求めてきた場合でも、安易にお金を返さないこと。故人の相続財産から一部でもお金を払ってしまうと、「単純承認(借金も相続すると認めること)」とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
また、お金を返さなくても、口頭で「返します」というだけで、単純承認とみなされることがあるので、安易にいわないようにしましょう。
借金を引き継ぐ場合は、引き継ぐ人が、「銀行や証券会社などの金融機関の手続はどのように行うのか?」の銀行と同様の手続を踏むことになります。
ただし、プラスの財産と違って、相続人同士の話し合いだけで、「1人の相続人だけが債務を引き継いで、あとの相続人は債務から免除」とすることはできません。
相続人の1人だけが承継するのであれば、銀行などの債権者の承認を得たうえで、債務を1人にまとめる「免責的債務引受」という契約を交わす必要があります。
借金をしている金融機関などへの電話連絡に注意!
少しでも支払うような言動をとったらアウト。
「借金を支払う意志がある=債務を相続する」とみなされてしまい、相続放棄ができなくなることがある。故人の財産から一部お金を返すと、完全に相続放棄ができなくなるので、気をつけること
故人の借金を調べるには?
- 銀行……全国銀行個人信用情報センター
- 消費者金融……日本信用情報機構
- クレジット会社……シー・アイ・シー
1カ所で借金をしている人は、ほかの機関でも借りていることが珍しくない。借金の有無を確認したいなら、上記の信用情報機関で、故人の信用情報を調べてもらおう
■参照元
わかりやすい図解版
身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」
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2016年5月10日 第1刷発行
2018年2月20日 第6刷発行
監修者:岡信太郎(司法書士)、木村健一郎(税理士)、岡本圭史(社会保険労務士)
発行者:押鐘太陽
発行所:株式会社三笠書房
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