樹木葬の種類を解説!木・霊園・埋葬の違いとメリット・デメリット

大樹が生えている緑の丘

樹木葬の種類とは?徹底解説

  • 樹木葬は里山型、霊園型、ガーデン型の3霊園タイプが存在
  • 埋葬方法は合祀型、集合型、個別型の3種類から選択可能
  • 選択時は家族意見、遺骨処理、手入れや災害リスクを考慮
  • ヤマツツジ、桜、ハナミズキなど、樹木葬に使う木に特徴あり

人気が高まっているといえ、まだまだ樹木葬について知らないという人はたくさんいるのが実情です。

この記事では、樹木葬に用いられる木の種類、霊園の種類、埋葬方法について、詳しく解説させていただきます。

樹木葬については樹木葬とは?費用相場・メリット&デメリット・仕組みを解説|種類が豊富で人気の永代供養のお墓を参考にしてみてください。

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この記事の目次

  1. 樹木葬に使われる樹木の種類 
  2. 樹木葬の霊園タイプと特徴 
  3. 樹木葬の埋葬タイプは3種類
  4. 後悔しないために 樹木葬タイプの選び方
  5. 樹木葬を選択する時の注意点
  6. まとめ
  7. 監修者コメント

樹木葬に使われる樹木の種類 

樹木葬は主に里山型と霊園型に分けられ、さらに霊園によっては個別型や集合型など、利用者の多様なニーズに合わせてさまざまなタイプのものがあります。(里山型と霊園型の違いは次の章で詳しく解説いたします)

樹木葬に使われる樹木も、利用者が選ぶタイプによって向き不向きがあります。
その一例をご紹介いたします。

ヤマツツジ

あまり背の高くならないヤマツツジは里山型や個別型で好まれています。
4月から6月にかけてきれいなオレンジの花を咲かせます。

半常緑樹なので、年間を通じて部分的に葉が落ちることもあるでしょう。
里山型樹木葬の先駆けである岩手県雲祥寺でも、ヤマツツジを植樹しているそうです。

日本人に一番愛されている樹木と言っても過言ではないのが桜です。
春には満開な花が咲き誇り、夏には青々と繁った葉が覆い繁ります。

樹木葬でも桜は人気の品種で、桜に特化した樹木葬を「桜葬」と呼んでいるところがあるほどです。
また、日本人は桜の中に自分たちの死生観を見てきた節があります。

「散り際」なんていう言葉は死を歓喜させるものです。
また、梶井基次郎の『櫻の樹の下には』や坂口安吾の『桜の森の満開の下』のなどの近代小説の中でも、桜と日本人の死生観を見事に描かれています。

ハナミズキ

ハナミズキは春に花を、秋には紅葉をという具合に1年を通して楽しめる樹木です。
高さも4〜5mくらいまでのものなので、樹木葬にも最適なのでしょう。

ハナミズキは日本の花だと思われている人も多くいるようですが、実際にはアメリカやメキシコが原産地です。
日本がワシントンDCに桜を贈ったお返しが、ハナミズキだったようです。

樹木葬に不向きな木

樹木葬に不向きなのは、大きく育ってしまう木です。
枝や葉が大きく育つと隣の方に迷惑がかかりますし、根が張るのもまた問題です。
樹木はある程度は好きなものを選べるようなので、詳しくは霊園に相談してみましょう。

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樹木葬の霊園タイプと特徴 

樹木葬の墓地や霊園が広がりを見せていますが、霊園のタイプによって特徴が大きく異なります。
タイプ別に詳しくご紹介していきます。

里山型 

里山型とは、自然の山を墓地とした樹木葬です。
樹木葬のはじまりは、1999年の岩手県一関市にある祥雲寺がはじめた樹木葬公園墓地です。

隣地所有者の同意を受けて、山林を購入し、岩手県より墓地経営許可を取得したれっきとした墓地です。

遺骨は土の中に埋め、その場所に植樹をして墓標とします。
樹木葬全体の中でも、里山型の数は極めて少ないのが現状です。

というのも、『墓地、埋葬などに関する法律』の中では、埋葬は「墓地」と認められた場所でなければならず、山林を墓地として許可を得るためには大変な労力を要します。

また、自然の山を利用するため、必然的に墓地は地方や郊外になってしまいます。
都市部からはどうしても距離があり、利用者のアクセスが不便という側面もあるでしょう。

公園型

公園型とは、都市型霊園や寺院の境内に設けられた樹木葬墓地のことです。
現在最も多くの樹木葬墓地が公園型墓地です。

一般的なお墓の墓標を、石から樹木に変えた、と言えば分かりやすいかもしれません。
公園型の樹木葬では、里山型のように自然の景観をそのまま生かすことができません。
墓地用に造成され、区画整理された区域の中で埋葬と植樹をします。

遺骨はカロートの中に納められ、その蓋として石のプレートや石碑をしなければならない霊園もあるでしょう。
ですから、人工の構造物を使わない里山型とは全く異なる樹木葬なのです。
また、埋葬のタイプも、個別型、集合型、合祀型とあり、利用者の事情や予算から、自分たちにあったものを選べます。

ガーデン型 

ガーデン型とは、公園型をさらに小さくして、園内がヨーロッパガーデンのように作られている樹木葬墓地のことです。
お墓と聞くと、どうしても「暗い」「怖い」「気味が悪い」などのネガティブな印象を持ちがちですが、もっと明るく、解放的にお墓参りをしたい人にはガーデン型の樹木葬が最適です。

園内はバラを始め、さまざまな草花で空間演出がなされ、足元には芝やタイルが敷き詰められています。
埋葬はカロートに、そして墓碑には小さな石碑や樹木が用いられます。
お墓参りに来たというよりは、公園に散歩に来たという感じでお参りができるかもしれません。
 

樹木葬の埋葬タイプは3種類

樹木葬の中でも最も多いのが公園型の樹木葬墓地です。
この公園型でも、埋葬方法はさまざまで、合祀型、集合型、個別型の3つに分類できます。

埋葬タイプ

埋葬

礼拝

費用

合祀型

合祀

他の人の遺骨とまとめて埋葬

共有のシンボルツリー

相場は5万円~15万円

集合型

個別

シンボルツリーの周辺に用意された個別のカロートに納骨

共有のシンボルツリー

相場は20万円~50万円

個別型

個別

個別の墓域の中に埋葬

個別の樹木

相場は50万円~80万円

それでは、それぞれのタイプ別に細かくご説明していきます。

合祀型

合祀型とは、シンボルツリーの木の下に遺骨を他の人とまとめて一緒に埋葬するスタイルの樹木葬です。
場所も取らず、礼拝の対象としての樹木も不要なので最も安く抑えられる方法です。
樹木葬は、そもそもが継承を不要というスタイルをとっています。

そのため、集合型であれ、個別型であれ、お参りに来る人がいなくなったら、遺骨は合祀されますが、合祀型の場合は、はじめから個別の埋葬をせずに合祀します。

あととりのいない人、身寄りのいない人、お参りにそこまでこだわりのない人、費用を安く抑えたい人などが合祀型を選びます。

集合型

集合型とは、シンボルツリーの周りに設えられたカロートに納骨するスタイルの樹木葬です。
手を合わす礼拝の対象は大きなシンボルツリーですが、納骨は個別のカロートが用意されています。

埋葬だけは他の人と同じ場所にしたくないという人が多く、このような形が表れたのでしょう。
納骨は骨壺のまま行い、カロートの蓋をしなければならないためにプレートや石碑を据えます。
お参りの人がいなくなったり、一定期間が過ぎると遺骨は合祀に移されます。

個別型

個別型とは、個別の墓域が割り当てられて、その中で植樹をし、納骨します。
家族、夫婦、世帯単位でその区画を利用できるために、費用は最も高くなります。

とはいえ、大がかりな工事や石材の加工を伴う石のお墓に比べると、格段に安く抑えらます。
礼拝の対象を樹木とする場合と、小さな墓碑等のまわりに植木をするケースとがあり、このあたりは霊園の運営方針によって異なるので事前に確認しておきましょう。

個別型でも、33年などの一定期間を過ぎると合祀に移されることが多いため、納骨用のカロートが用意されていることが多いでしょう。

また、樹木葬の費用について詳しく知りたい方は樹木葬の費用はいくら?値段の内訳や相場より安い価格で購入するコツの記事をご覧ください。

後悔しないために 樹木葬タイプの選び方

古墳

樹木葬の霊園のタイプは、里山型、霊園型、ガーデン型に分けられます。
さらに、樹木葬の埋葬のタイプは、合祀型、集合型、個別型に分けられます。
後悔しないためにも、あなたにはどの霊園の、どの埋葬タイプが向いているのか、参考にしてみて下さい。

里山型がおすすめな人

自然志向、エコ志向など、大自然の中に埋葬されたいと思う方におすすめです。
カロートなどを用いないために、遺骨のまま土に還されます。
自分自身も土に還れますし、環境にも優しい樹木葬霊園です。

公園型がおすすめな人

自宅から比較的近い場所で樹木葬をしたい人にお勧めです。
園内は公園のようにきれいに整備され、明るく開放的な雰囲気が特徴です。
公園型は、埋葬方法がいくつかりますので、それぞれのタイプ別におすすめをご紹介します。

合祀型がおすすめな人

遺骨を預けた段階で合祀される埋葬法です。
身よりや跡取りがいない人、少しでも費用を安く抑えたい人におすすめです。

集合型がおすすめな人

シンボルツリーの周りに用意された個別のカロートに納骨します。
費用は抑えたいが合祀はいやだ、という人におすすめです。

個別型がおすすめな人

個別に区割りされた墓地の使用権を購入し、埋葬、植樹をする方法です。
自分たちだけのお墓を持ちたいと考える人におすすめです

あととりがいなくて、お墓を建てたとしてもゆくゆくは墓じまいをしなければならないと分かっている人にもおすすめです。

ガーデン型がおすすめな人

公園型をよりガーデン風にした霊園です。
ヨーロッパのグリーンガーデンのような雰囲気が好きな人におすすめです。

樹木葬を選択する時の注意点

注目が集まり、人気が高まっていると言われている樹木葬。
しかし、まだまだ圧倒的多数を誇るのは石のお墓です。

そのため、不慣れな樹木葬をしてみて後悔したという声があるのも事実です。
いざ樹木葬にしてみるとどのようなことが起こり得るのか、その注意点をまとめました。

家族・身内との相談が必要 

樹木葬はまだまだ新しいお墓のスタイルです。
石のお墓を見慣れている人からすると、樹木葬に違和感や物足りなさを感じることもあるために、家族や身内の中では苦言を呈する人が出てくることもあるでしょう。

もちろん、亡くなった人をどのように埋葬、供養するかを決める権利は施主にあります。
と同時に、亡くなった人に手を合わす権利は誰にでもあるのです。

樹木葬にするのであれば、周囲の人たち、特にお墓参りに来てもらえると想定される人への配慮をした上で、理解してもらうのが賢明でしょう。

樹木葬は合祀後に遺骨を取り出せない

樹木葬は、個別に納骨(集合型や個別型)する時は、骨壺のままカロートの中に納めます。
一定期間を過ぎて、お参りの人がいなくなると、遺骨は骨壺から出されて、シンボルツリーの下の土の中に埋葬されます。

一度遺骨が合祀されてしまうと他の方の遺骨や土とまざってしまうために、再び遺骨を取り出すことは不可能です。
将来的にお墓の計画がある、だれかの所にお墓を持って行きたいなどの予定や可能性がある場合は十分に気をつけましょう。

手入れが大変   

手を合わす対象となる墓碑が樹木ということは、当然、その周りからも雑草などが生えてきます。
また、樹木そのものの花や葉が落ちてしまうために、小まめな手入れをしなければなりません。
特に里山型は、自然の山の中で埋葬やをします。

石であれば、どんなにまわりの木や草が覆い繁っても、どれがお墓かは一目で分かるのですが、樹木葬の場合、墓碑としての樹木と雑草の見分けがつかなくなることもあり得るでしょう。
場合によっては石のお墓よりも手入れが大変な面もあります。

火が使えない・満足にお墓参りができない

お墓参りの時には線香とローソクを灯すのが一般的ですが、樹木葬の場合では火の使用を禁止している墓地や霊園は多数あります。

手を合わすだけのお参りなので、物足りなさを感じてしまうかもしれません。
また、里山型の場合は、霊園は郊外にあるために、自宅から簡単にお墓参りできる距離ではないかもしれません。

災害に弱い

自然災害が年々強くなってきています。
特に樹木は、風で倒壊したり、万が一火事が起きると消失してしまうおそれがあるでしょう。

その点、石は頑丈です。
筆者は土砂崩れにあったお寺の墓地の再建を手伝ったことがありますが、どんなに大量の土砂の中に埋もれても、石碑であれば、賢明に探せば必ずどこかから出てきます。

土砂の中に埋もれたとしても、極端に朽ちることもなければ土に還ることもありません。
また、墓石の表面には文字が彫刻してあるので、それが誰の墓石か特定できます。

しかし、樹木の場合はそうはいかないでしょう。
猛烈な台風が押し寄せるとそれだけで幹から折れてしまったり、根こそぎ倒壊することもあります。

まとめ

いかがでしたか?
では最後にこの記事を箇条書きにしてまとめます。

この記事のまとめ

  • 樹木葬には、ヤマツツジ、桜、ハナミズキなどが用いられる
  • 樹木葬の霊園には里山型、霊園型、ガーデン型がある
  • 樹木葬の埋葬方法には合祀型、集合型、個別型がある
  • 樹木葬の場合、次のような注意点があるので考慮しておく
    • 周囲から苦言を呈されることがある
    • 合祀後は遺骨が採り出せない
    • 樹木や雑草などの手入れが大変
    • 火が使えない、満足にお墓参りできない
    • 災害に弱い 

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監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

昨今は、墓石の代わりに樹木をシンボルとして建てる樹木葬墓地が人気です。樹木葬というと、「大自然に抱かれるイメージ」「遺骨は土に還る」「墓石を建てるより安いのでは」というイメージを持たれる人が多いのですが、実際は「整備された公園型がが数」「遺骨は骨壺に納めることも多い」「複数人となると墓石を建てたほうがリーズナブルなことも」というように、イメージとは異なることもあります。

樹木葬墓地も事業主体は自治体が運営する「公営墓地」、寺院境内にある「寺院墓地」、民間業者が開発・販売に絡んでいる「民間墓地」のいずれかになります。 樹木葬墓地といっても、さまざまなタイプがありますので、実際に足を運んで比較検討することをおすすめします。

樹木葬の基礎知識を解説