公証人に相談!財産管理が難しくなる前におこなうことは?
公証人に相談〜遺言の存在、もう1人の親の今後が心配になったとき〜
ポイント:最寄りの公証役場で遺言の有無を調査。任意後見人契約についても相談する。
公証人の役割
公証人とは30年以上の実務経験をもつ法曹有資格者です。公正証書の作成、私署証書や会社などの定款に対する認証の付与、私署証書に対する確定日付の付与といった業務を行います。
その中でも、高齢社会を反映して、遺言作成、任意後見契約の依頼が増加しています。特に任意後見契約は公正証書で行わなければならないことから、公証人の役割が重くなっています。
故人の遺言書の存在を調べる
家族は、故人が遺言書を残していないと思っていても、公証役場で遺言書を作成していた可能性はあります。平成元年(東京都内は昭和56年)以降に作成されたものであれば、調べることは可能です。
日本公証人連合会では、公正証書遺言書を作成した公証役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日などをコンピュータで管理しています。そこから検索し、遺言書の有無を調べます。
調査に必要なものは、
- 故人の死亡を確認できる書類
- 故人と相談者の関係が証明できる書類(戸籍謄本など)
- 相談者自身の身分証明書
です。
これらを最寄りの公正役場に持参すれば、調べてもらえます。
残された親の今後を考えて
故人の配偶者が1人残された場合、将来的に相続した財産管理が難しくなる可能性があります。
そこで、元気なうちに信頼できる第三者(任意後見人)に財産管理の代理権を約束しておけば安心です。この制度が「任意後見契約」です。
任意後見人は、親族や身近な人の中に候補者がいない場合でも、弁護士・司法書士・行政書士・社会福祉士などに引き受けてもらうこともできます。公証人に相談しましょう。
任意後見は、公正証書を作成しただけでは始まりません。本人の判断力が低下し、家庭裁判所がそれを認め、監督する任意後見監督人を選出したときから始まります。
任意後見が始まるまで
★ワンポイントアドバイス★
本人が元気なときから財産管理をしてもらいたいという希望がある場合、任意後見契約を結ぶときに公正証書で約束すれば、一定の限度で可能です。詳しくは公証人に相談しましょう。
■参照元
改訂増補 親の葬儀とその後事典
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平成20年9月30日 旧版第1刷発行
平成29年5月26日 改訂版第1刷発行
著 者:黒澤計男 溝口博敬
発行者:東島俊一
発行所:株式会社法研