相続の権利は遺言書次第で変わる。遺言の検索や検認の方法を解説
相続の権利をもつ人は遺言書次第で変わる
まずは遺言書が有るか無いかを確認する
該当者
遺言書が有る場合
期日
なるべく早めに(1 ~ 2 週間が目安)
遺産を相続する権利は誰がもっているのでしょうか。
もし、夫が亡くなり、妻子がいれば、その妻子に夫の遺産がすべて相続される、と考えているかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
遺言書に「友人のA氏に遺産のすべてを遺贈する」と書かれていたら、妻子ではなく、A氏に遺産がわたってしまうのです。実際には、妻子は最低限の遺産を相続する権利があるので(= 遺留分(いりゆうぶん))、多少は遺産が残るのですが、かなりの額がA氏にわたります。
つまり、遺産相続では、遺言書の力は非常に強いのです。相続の権利をもつ当事者同士で遺産の配分を話し合ったあとに、遺言書が出てきたら、それに基づいて話し合いをし直す必要があります。
そんな二度手間を防ぐためにも、まずは、遺言書を探すことから始めましょう。遺言は、自宅に限らず、銀行の貸金庫に保管されていることもあります。
また、公証役場で作成する「公正証書遺言」の場合は、全国の公証役場で遺言の有無を無料で検索、有料で閲覧・公正証書謄本発行を受けることができます。
相続の権利は、遺言書次第で変わる
公証役場で公正証書遺言を検索、発行するには?
場所 | 全国の公証役場 (どの公証役場で作成した遺言書でも、全国で検索可能) |
必要なもの | ・遺言者の除籍謄本(亡くなったことを確認するため) ・検索・発行を申し込む人が相続人であることが証明できる戸籍謄本 ・検索・発行を申し込む人の身分証明書(運転免許証、パスポートなど)と認印 ※代理人の場合は委任状が必要 |
費用 | 検索は無料、閲覧は1回200円、謄本発行は1枚250円 |
自筆の遺言が出てきた場合は家庭裁判所で「検認」が必要
ひと口に遺言書といっても、いろいろな形がありますが、大きく2つに分かれます。
1つは専門機関の公証役場で証人2人の立ち合いのもとに作成した「公正証書遺言」、もう1つは亡くなった人が生前に自分で作成した「自筆証書遺言」です。
「公正証書遺言」は法的な効力をもちますが、「自筆証書遺言」は、そのままでは対外的に使用できません。本当に故人が作成したのか証明できないからです。また、封印があるものは、開けると、その時点で無効となる可能性があります。
そこで自筆証書遺言の場合は、遺言書を家庭裁判所に提出し、開封のうえ、確かに本人が書いたものであるかどうかを確認してもらう必要があります。これを「検認」といいます。検認が済むと、検認済み証明書が発行されます。
ただし、検認が済めばどんな遺言書でも法的効力をもつというわけではありません。たとえば、「書かれた日付が無い」「誰に相続するのか、不明瞭な書き方をしている」など、内容に不備がある場合、遺言書は無効となる可能性があるので注意が必要です。
遺言書の検認申立書の書き方
遺言書の「検認」をするには?
申し立てる先 | 亡くなった方の住所地の家庭裁判所 |
申立が可能な人 | 遺言書を保管している人、遺言書を発見した相続人 |
必要なもの | ・検認申立書 ・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本 ・相続する権利をもつ人全員の戸籍謄本 ※その他、亡くなった方の子どもがすでに他界している場合などに、その子のすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要になることがある |
費用 | 800円(収入印紙)+連絡用の郵便切手 |
※詳しくは申立を行う家庭裁判所にお問い合わせください
■参照元
わかりやすい図解版
身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」
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2016年5月10日 第1刷発行
2018年2月20日 第6刷発行
監修者:岡信太郎(司法書士)、木村健一郎(税理士)、岡本圭史(社会保険労務士)
発行者:押鐘太陽
発行所:株式会社三笠書房
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